Re:ゼロから始める異世界万事屋生活   作:伊吹恋

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全ての設定をかなぐり捨ててみてください。
よろしくお願いします!


「大人の階段は昇り階段とは限らない!」その1

それは、何時ものように平和な日常が送られているルグニカでのこと。陽の光が強く照らし、一層夏に近づいてきた中、一人の白髪に黒いドレス風のローブに身を包んだ魔女は日傘片手に空を仰ぎ見ていた。

強欲の魔女エキドナである

 

「嗚呼、暑いね…」

 

どういう事をしたのか、死んでいるはずの彼女が地上に現界し街を歩き回る。街の人々は結構前からその姿を見ているため気にもとめない。というか関わったら面倒くさそうなので無視を決め込んでいる人達がほとんどだ。

 

そんな彼女が何故この場にいるかと言うと、それは娘のベアトリスが気がかりだったためである。

400年にも及ぶ育児放棄気味な約束をしておいても、やはり今のベアトリスがどの様な生活をしているのか気がかりだった。だが、ある一件以降は彼のパートナーとなったナツキ・スバルがいる手前余りにも顔を合わせずらいというか訳の分からない言い訳をしながら陰ながらベアトリスの様子を伺っていた。

彼女がベアトリスの母親だと分からなければ世間一般的に見れば幼女を付け狙っている変質者にも見えなくもない。いやそうにしか見えない。よく今日まで衛兵に捕まらなかった事が不思議だ。

 

そんな彼女は今日も今日とてベアトリスを観察する為に探している。最近はアーラム村にも現れ色々しているようだ。

 

「おや?」

 

そんな彼女の願いは直ぐにも叶った。何時も村の子供たちが遊んでいる広場、そこに見慣れた服装に特徴的な髪型をした小さな子供を見つける。お目当てのベアトリスである。しかし今日は少し違う所があった。何時もは他の子供たちがいる広場にはベアトリスと、もう1人の子供がいた。その子供は男の子だ。

モジモジとしながら後ろに回している両手を前に出し、ベアトリスに何かを差し出す仕草をしている。

 

「なっ…!」

 

これがあの伝説の告白というやつなのか?と思い、エキドナはつい近くにあった木に身を隠した。もう盗み聞きする気満々になり耳を澄ませて2人の会話を聞き取る。

 

男の子の手に握られていたのは手紙だった。ベアトリスは不思議そうな顔をし、その手紙を受け取ると、男の子は「返事はまた今度でいいから」と言いながらその場から逃げるように走り去った。

男の子の行動を逐一不思議そうにしていたベアトリスは直ぐにその手紙を開いて読み上げる。

 

「『ベアトリスちゃん。初めてあった頃から貴女の事が気になっていました。』」

 

その時、エキドナは身を潜めていた木にしがみつき、まるでサバ折りをしているように抱きしめる。木からメキメキという音が聞こえだし、エキドナの背後には炎のような物が浮き出る。これには嫉妬の魔女もびっくりしそうな程だ。

そして、背後の炎はまるで具現化したように木に燃え移り、木が燃え始め、脆くなったのか、それともエキドナの抱きしめる力が強かったのか、バキャッ!という音を立てて折れエキドナの頭を直撃しエキドナは

 

「『貴女を思うと僕の胸はまっ黒焦げです』…?」

 

黒焦げになった。

 

 

 

 

 

ベアトリスの契約者であるナツキ・スバルはロズワールが領主をしているロズワール邸に身を寄せている。今彼も昼休み中でデザートのプリンを楽しもうとしていた。そんな中、

 

ヒューーーー

 

何かが飛んでくる音と共に、スバルたちがいる部屋に黒焦げになった木が直撃した。

 

ズガァァァン!!!

 

「ちょっとォォォォォォ!!ナニコレ!?一体何が起きたんですか!?」

 

「オットー・・・俺はスプーン取ってくれって言ったんだよ。こんなデケェ(スプーン)出すんならプリンもデカくしてくれよぉ」

 

真横で黒く焦げている木が突き刺さっている中、スバルは冷静にオットーに話しかける。

すると1人の女性がその木が飛んできた方向から現れる

 

「それでいいんだね・・・?最後の晩餐は、それでいいんだね?!」

 

現れたのは魔女であるエキドナだ。何故ここに現界しているのか分からないがスバルは平然としている

 

「エ、エキドナさん!?」

 

「あららぁ、魔女さん先日ぶりですね、どうしたんです?連絡したらもう一個プリン準備したのに、わざわざやって来て母様もご持参ですかペッチンプリン」

 

スバルはエキドナの頬に勢いよく手を置き、ペチンと小さな音が鳴る。

 

「誰の頬がペッチンプリンだい!」

 

「なんなんすかいきなり来るなりプッツンプリンじゃないですか、ちょっと失礼じゃないですか?」

 

ペチン

 

「人の頬を頑なにプリン呼ばわりする奴に言われたくないよォォ!!」

 

そんな事はどうでも良いと言わんばかりにエキドナはスバルの胸ぐらを掴み、グラグラと上下に揺らし出す。

 

「キミィ!、仮にも人の娘を預かっておきながら、一体何を見てきたんだい!?監督不行き届きも良いとこだよコレェ!!」

 

胸ぐらを掴んだままグワングワンと激しく上下に揺らす。するとあまりの激しさに苦しかったのだろう。スバルは口から泡を吹き出す。

 

「えっ、ベアトリスちゃんに何かあったのですか?」

 

オットーの問いかけに答える間もなく、玄関から聞き慣れた声がする。

 

「ただいまなのよ-」

 

ベアトリスだ。

 

「スバル?それにエキドナお母様、どうしたのよ?」

 

エキドナはスバルの胸元を掴んだ手を離し、ベアトリスを見る。その顔は不安というより焦りがあった。

 

「まあ、丁度いいのよ。二人に知らせがあるのよ」

 

「嫌だ!聞きたくない!!」

 

まるで子供のように耳を塞ぐエキドナ。だがそんな中でもベアトリスの朗報は容赦の無いように降り注ぐ。

 

「ベティ、彼氏?が出来たのよ・・・」

 

「!!!!」

 

聞きたくないと言って耳を塞いでいた人間が衝撃的顔をしていた。聞いてしまったのだ。悪夢の朗報を、しかも一段飛ばして。

 

「(ちょっと待って!恋文を貰ったとかじゃなくて彼氏!?)」

 

それだけを言い残し、ベアトリスはその場を去り、自分の部屋に行ってしまう。

 

「明日はスバルの言うところのデート?なのよ、何を着て行けば良いのかしら?」

 

残されたのはその朗報を聞かされ戸惑いを書く仕切れてないエキドナと何のことか分からないで居たスバルとオットーだけだった。

 

「・・・えっと・・・オットー、カレシって何だっけ、あれか?葉も生えなくなった木の事だっけ?」

 

「いや、それ枯れ木です『し』です。『彼氏』です」

 

「ああ、男がその枯れ木に突き刺さって死んでることか」

 

「いや、それ彼氏DEATH、木から離れてください!人間を切り離してください」

 

「そして、木は形を変え、ク〇ス松村になって・・・」

 

「なんで〇リスの進化の過程みたいになってるんですか!?枯れ木から枯れ木に進化しただけじゃないですか!」

 

そんな漫才をしている最中にエキドナは一人絶望していた。ついに膝を地面に付けて泣き出した。

 

「な、なんてこと・・・!『返事はまた今度』って言ってたのにこんなに早く…!しかも交際OK!?」

 

ついに怒りの矛先をスバルにむけるように顔を近づけて今にも泣きそうな顔をしたエキドナ。

 

「キミィ!どうしてくれんの!キミさえベアトリスを見張ってればこんなことには・・・!」

 

「落ち着け何かの悪い冗談だろ、まさかあのベアトリスに限って彼氏なんて」

 

「そうだよね!これは何か悪い冗談もしくは、悪い夢だよね」

 

「そうだよ。愛らしい姿をした精霊だけど初対面の相手のマナを吸うような奴だぞ?ドッキリか何かにはめられたんだろ、お前とは似ても似つけない程の可愛い精霊だ自信持てよ」

 

「そうだよね!ボクのきったない性格からあんな…って!誰が汚い性格娘だってェェ!!」

 

「いや誰もそこまで言ってねえよ。頼むからそのきったねえ性格がにじみ出る綺麗な顔をイッペン冷やせよ大丈夫だって」

 

「そうとは限らないんじゃないです?」

 

ふたりの会話に割り込むようにオットーが入ってくる。

 

「今ではペトラちゃんぐらいの年頃の子供もお付き合いとかする時代だし、まあ外見が押さなくてもベアトリスちゃんは400年生きてる大精霊でしょ?色恋の一つや二つそろそろ―――」

 

オットーの話しを聞いていくとさっきまで言い合いをしていた二人の顔が暗くなる。

ガシッ!

オットーが言葉をつなごうとした瞬間、エキドナは片手でオットーの頭を掴んでいた。すると鬼のような形相でエキドナは口を開く。

 

「ネエ、ペトラってあの小さな子だよね…小さな子もお付き合いってどういうことだ?この国そんな淫らな国になってたの?滅亡させちゃっていいかな?魔女さん本気出しちゃって良いかな?」

 

「おおおおお落ち着いてください!お付き合いと言っても遊びみたいなものです!ごっこ遊びみたいなものですから!!」

 

「オイ!!」

 

オットーの頭を掴んでいた手を振り払いもう一つの手がオットーの頭を掴む。

 

「遊びってどういうことだ?」

 

スバルだ。しかもその掴んだ手に力が入ってるのだろう、ギリギリギリと軋んだ音が心なしかする。

 

「いやアンタもですかぁぁぁ!?」

 

「まさかヤるだけヤっといて、ジャポニカ学習帳にくるんでポイ捨てする気じゃねえだろうなぁぁ!?んな真似したらランドセルにジェットエンジン付けて、銀河の果てにポイ捨てしちゃっていいかな?ランドセル座にしちゃっていいかな!?」

 

血走った目をしたスバルの手を振りほどくオットー

 

「落ち着いてください二人とも!もしもの話ですよ、興奮しすぎです!そんなに気になるんなら直接本人に聞いたらいいじゃないですか!」

 

二人は互いに顔を見合うとエキドナはスバルの肩に手を置く。

 

「よ、よし・・・君が言ってくれ」

 

「な、何で俺が!?お前仮にも母親だろ!?」

 

「うるさいっ!仮の母親だからこそこんな時どんな顔をしたら良いのか分からないの!・・・君なら、気楽にいけるだろ?」

 

「オイオイ、何情けないこと言ってるんだ・・・オットー、お前が行け」

 

「なんでそうなるんですか!?」

 

「うるせえよ、大人の階段上ろうとしてる奴に、大人が階段上からとやかく言うもんじゃないの!こういうときは階段どころか、いまだに地べたはいつくばってる原始生命体のお前が向いてるの!」

 

「誰がアメーバだよ!・・・分かりましたよ。ボクが聞いてきます」

 

「…あっ!ちょっ…!タンマタンマ!やっぱいい…何も聞かなくて、いい、です・・・」

 

「どっちだよ!?」

 

 

次回に続く!!

次のお話

  • スバル&エキドナ「ベア子に彼氏?」
  • レム「お前の後ろだァァァ!」怪談話
  • ラム「…眠れないわ…」

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