「葵!出来ました!」
シリアスによって淹れられた紅茶が運ばれてきた。
何の茶葉を使ったかは分からないが、見た目は普通だ。
白く湯気がたち、普通に美味しそうだ。
だからって油断は出来ない。
あのベルファスト姉さんが顔色を変える様な紅茶を出したことのあるシリアスだ。
「どうしたのですか?紅茶が冷めてしまいますよ?」
頭上に?を浮かべたシリアスが聞いてくる。
「あ、ああ」
少し変な返事になってしまったが、
僕はティーカップに指をかけた。
(よし。)
そのまま、ティーカップを口に近づけ、少し口に入れた。
「……ウッ」
まぁ何ということでしょう。
紅茶の味わいはほとんどなく、砂糖の甘さが口全体に広がる。
いくつ角砂糖を入れたら、こんなに甘くなるのでしょう。
糖の取り過ぎで、少し吐きそうになったが、
なんとか堪えた。
「シ、シリアス?」
「はい?」
「この紅茶を自分で飲んだ事がある?」
「いえ、ベルファスト様やニューカッスル様には飲んでいただきましたが、皆様顔色を変えて何処かに行ってしまうものですから、でも、絶対に陛下には淹れるなと言われました。」
シリアスはまた?マークを浮かべた。
「少し自分で淹れたのを飲んでみて。」
僕が持っていたティーカップをシリアスに差し出す。
「……いただきます。」
シリアスは少し赤面し、うつむきながら受け取った。
(自分の淹れた紅茶が恥ずかしくて顔が赤くなってるな。)
僕はそう思った。
「あっやばいもうこんな時間!」
ふと見た壁掛け時計の示す時刻は08:50。
「シリアスごめん!僕、これから女王陛下の所に行かなきゃいけないんだ。それ、自分で味見して何が悪いか考えといてね!」
「あっ…!」
僕はキッチンを後にし、身なりを整えながら女王陛下が居る茶会の会場へと着いた。
一方、その頃、シリアスは……。
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「うぅどうしましょう。自分の淹れた紅茶を飲むのはいいのですが……。」
シリアスは葵から渡された、ティーカップに目を向ける。
(葵の飲みかけ…。つまりか、間接キスになるのでは…!?)
あわわわ、と慌てるシリアス。
(落ち着くのよシリアス。これはただの紅茶よ。葵が飲んでいたとしても、葵が味見をしろと言っていましたし、何も恥ずかしがることはないわ!)
ゴクッとつばを飲むシリアス。
手に持ったティーカップが、
徐々にシリアスの口元に近づいていき……。
ガチャ
「ひゃあ!」
ガチャンとティーカップを落としてしまった。
「シリアス!大丈夫ですか?」
ドアから入ってきたのは、姉のダイドー。
「怪我をしていませんか?あぁティーカップが!」
「も、申し訳ありません。姉さん。」
「シリアス、顔が赤いじゃない?」
「!!」ドキドキ
「熱があるんじゃない?片付けはダイドーにまかせて、シリアスは休んでて。」
「で、ですが…。」
「大丈夫だから、ね?」
「……わかりました。ありがとうございます姉さん。」
「このダイドーにまかせて。休んでいなさい。」
「はい…。」
ドキドキ
シリアスはキッチンを後にした。
結局味見は出来なかった。
ドキドキ
動機が収まらない。
(シリアスは一体どうしてしまったのでしょう。)
落ち着かせる為に、深呼吸を一度して、自室へと戻って行った。
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そんなシリアスの事など知らない葵は、
女王陛下の居る茶会会場へとついていた。
懐中時計を取り出し、時間を確認する。
「よし。」
時間はちょうど09:00をまわったところだった。
「失礼いたします。葵でございます。」
「よく来たわね!葵!」
「御機嫌よう。」
「葵。御機嫌よう。」
女王陛下ことクイーンエリザベス様。
陛下の妹ぎみ、ウォースパイト様。
そして、フッド様。
それぞれの挨拶を交わした。
「おはようございます。女王陛下、ウォースパイト様、フッド様。」
「とりあえず座りなさい葵。ベル、紅茶と茶菓子の用意を。」
「かしこまりました。」
いつの間にか背後に控えていた、ベルファストが茶会の準備を始める。
「それでは陛下、ご用件はなんでしょうか?」
「よく聞いてくれたわね。葵、貴方は各陣営から出される指揮官のロイヤル代表になったわ。」
ここでの指揮官とは、毎年一人から二人ほど各陣営から、指揮官としてふさわしいと判断された者たちが、アズールレーンの指揮官となって、指揮をする人のこと。
ロイヤルには、もともと候補が、4人ほどいた。
もちろん葵もその中に入っていた。
ロイヤルの決め方としては女王陛下がふさわしい人を指名する形をとっている。
その代表として僕が選ばれたのだ。
「僕が、代表?」
「そうよ!これは厳密なる審査の結果よ。」
ない胸を少しそらして陛下は言う。
「私は、陛下に賛同します。」
「私も同意見ですわ。」
「ロイヤルに執事として数年仕えてきた貴方はロイヤルの代表として優雅さは合格点、女性の扱いに関しても、貴方は問題を起こさないと判断したわ。」
「確かに真面目で紳士的な方と存じておりますわ。」
「さすがは陛下でございます。」
僕への評価結構高いな。
頑張った結果かなぁ。
僕をここまで育ててくれたロイヤルに対しての恩返しだ。
「分かりました、謹んでお受けいたします。」
「貴方ならそう言ってくれると信じていたわ!」
「陛下、紅茶が入りました。」
「ありがとうベル。」
「今回はダージリンを淹れさせていただきました。」
ダージリン
それは特に香りの強い紅茶で、芳醇な味わいが特徴。
僕の結構好きな紅茶だ。
(やっぱり、ベルファスト姉さんが淹れた紅茶は美味しいな。)
「それで貴方の配属先だけど、マドラスに配属してもらうわ。」
マドラス?聞いたことのない所だな。
「力を強めたセイレーンに対抗する為に、新しく新設された所よ。色々な陣営のKAN−SENが集まってセイレーンにから海を取り戻す為に戦うのよ。」
そう言って、女王陛下は紅茶を飲む。
「やっぱりベルが淹れる紅茶は美味しいわね。」
「我々ロイヤル、ユニオン、重桜、そして、鉄血。他にも様々な陣営からKAN−SEN達がくるわ。」
とウォースパイト様が、言う。
「ロイヤルからは誰が来るのですか?」
「我々、ロイヤルからは、葵と同期のシリアス、ネルソン、そして、ベルにも行ってもらうわ。」
「お待ちください。私もですか?」
「ベル、貴方は最近働き過ぎよ。しばらく休みなさい。ベルの代わりに、ニューカッスルが一時的にメイド長に就任してくれるらしいわ。だから、安心して行ってきなさい。」
「…御意に。」
「そして、葵。」
「はい。」
「マドラスに私が興味本位に行くわけにはいかないわ。だから、ヴァリアントを私の代わりに、マドラスに行ってもらうわ。」
「ヴァリアント様…ですか?」
あのカリスマを持った、チェス好きのヴァリアント様か。
「ヴァリアントを私だと思って、仕えなさい!」
「ヴァリアントも楽しみにしていたわ。」
「はい。分かりました。」
「出発は2日後よ。それまでにここを離れる準備としばしの別れを告げてきなさい。」
「仰せのままに。」
「要件は終わりよ。戻っていいわ。」
「失礼します。」
そうして僕は、茶会会場を後にしようとした。
「待ちなさい、葵。」
「はい?」
「頑張りなさい葵。期待しているわ。」
そう陛下は言った。
「ご期待にそえるか分かりませんが、頑張ります。」
(陛下からの期待に答えたい。)
そう思いながら、僕は自室へと戻った。
こんにちは、無事に第ニ話を投稿出来ました。
思ってたよりもたくさんの方々に見ていただきました。
こんな駄文ですが、これからもよろしくお願いします。
何故マドラスなのかというと、自分のサーバーだからです。