神獄塔メアリスケルターAnotherFinale 獄中血刑前夜譚 作:謎のコーラX
彼女は世界を知らなかった。
名前はあった、しかし、親は彼女に名前を与えた、そのことに不満を持つことは許されなかった、彼女は拾い子であり、身体が脆弱であったからだ、転んだだけでも骨が折れ、数分歩いただけで息が荒くなる、何時も彼女が見ているのは窓から見える景色、あるいは自分の質素な部屋。
親からは愛されている、いや、そう思いたいのだ、衣食住から、あらゆる動く行為は親によって決められ、何かをしたい時には何時も親がいる、その愛は、まるで貴重な宝石を扱うかのような、言ってしまえばモノを扱うかのような……、不満は無いとは言わない、けど、窮屈過ぎて、彼女には、とても辛いものだった。
「……」
『アイ?、どうしたの?』
彼女は空を見ていた、白い月が見え、膜のようなものだが、母親はそんな様子を、心配していた。
「いや……外、行きたいなって」
「駄目よ!、あなたにもしものことがあったら
困る、悲しむじゃないところに、彼女は心の距離感があると、感じた。
それからも介護と言っていい扱いを受けて、彼女はそこで育っていった、汚染動物があまり来ない場所であったため、危険は少なく、だが、彼女は現れてほしいと、思うことが多々あった。
そんな日々にも、終わりは不意にやってくる。
「……遅いな」
彼女は何時も来る時間に、親が来ないことに不信がった、何かあったのかと、彼女は意を決して、久しぶりに歩いた、おぼつかない足取りで、階段を降りていくと、話し声が聴こえてくる、父と母、そして知らない子供の声だった。その声は楽しそうで、自分にはまず聴かなかった声音。
『ねぇあなた、あの子どうしましょうか』
『そうだなぁ、もう
『そうねぇ、あの子があんなに弱くなかったら、姉としてこの子のことを任せられるのに』
『ねぇ!、何の話?』
『あはは、お前は何も気にしなくて良いんだよ、
――驚きはしなかった、悲しみも沸かなかった、代わりに出てきたのは……失望、ただ、あの人らにはそんな感情しか沸かなかった。
彼女は走った、すぐに身体が悲鳴をあげ、呼吸が荒くなっても、ただ、あそこにいるのがたまらなく嫌だった。
躓いて転ぶと、もう身体には起き上がる気力が残ってなかった、あぁ、このまま死んでいくのだろう、汚染動物かそれとも物取り、あるいは餓死、様々な死に方を空想し、絶望し、彼女は目を、
「おや、こんなところで何で倒れているのかな、お嬢さん」
つぶろうとしたとき、声が聞こえた、なんとか顔を上げて、その人を見た、人とは言えない肌色と髪、そして角を持った女性、女性は優しい笑顔を向ける、本物の笑顔を。
「行くところが無いなら、私のところに来るかな」
「………自分は……」
躊躇してしまう、しかし、このまま死ぬよりは、いや、もしかしたら辛い労働を、いろんなことを思ってしまう……だけど、目の前に座り、自分に手を差し伸べる彼女からは、優しさがあった。
「……いきます、自分、あなたの……ところ――に」
そう言い終わると、彼女は気絶した。
次に目を覚ましたとき、そこはベッドの上だった、近くには様々な人達がおり、先程の女性も横の椅子に腰掛けていた。
「おはよう、自己紹介がまだだったね、私は先生と呼ばれている、あなたの名前を聞きたい」
「自分は……電気椅子」
こうして、か弱き少女、電気椅子は、先生のいる処刑台少女が集う家の家族となった。
処刑台少女、現在9人
12人目の処刑台少女が見つかったとき。
新たな運命が動き出す
(´・ω・`)仲間になるから、まわりにいる人死んでるかクソ野郎の二択になるやつ、展開のボキャブラリーが少ないとも言う