神獄塔メアリスケルターAnotherFinale 獄中血刑前夜譚 作:謎のコーラX
「んじゃ、メイ姉さんはあっちの鞭持ってるの、私はあのデカ腕ちゃんとだねー、どっちが早く殺せるかなー」
「そだねー、メイまだこの姿慣れてないしー、遅れちゃうかも、ま、ころころすることには変わりないけどねぇ」
「ちっ、舐めんじゃないぞ!、貴様ら!、良いだろう!貴様らからどんな音が鳴るか、試してやろう!」
鞭打ちは武器の鞭を手に持ち、それを振るう、目標は首つり台、音速を超える、パンッ!、という音と共に、首つり台に振るわれる、が、それを首つり台は難なく掴んだ。
「ふーん、早いね、ま、私が走ったほうが速そうだけど、ほら」
首つり台の姿が、鞭打ちの視界から消える。
「は?、消え」
次の瞬間、鞭打ちの身体が宙に浮く、首には枷のようなモノがつけられ、もがき苦しむ。
「がっ!?―――この、貴様」
「はいはい、ちょっと黙れよ、クズ」
首つり台は手刀によって、鞭打ちの目が横一文字に切り裂かれる
「ガァァァァァ!!」
「ほら、壊れる音、好きでしょ、もっと喜んでほらほらほらほら!」
首輪が外れ、鞭打ちは床に崩れ落ちる、痛い痛い痛い痛い、けど……
「……石打ち、ここは」
「――が――ぐは」
見えなくてもそれなりにわかる、石打ちもまた瀕死なのだと。
石打ちはアイアンメイデンに挑んだが、近距離は苦手、だがその巨大な義手で握り潰そうとしたが、簡単に避けられ、両義手を落とされ、鉄針が張り巡らされた入れ物に入れられ、致命傷を避けるように刺されて、今、床に転がっている。
「うーん……まっず、やっぱり悪人の血は泥水と一緒だね」
(なんだよ……なんだってんだ、こいつら、化け物どもが下にいたのに、なんで、こんな簡単にこれて、ワタクシらが倒されているんだ!)
「メイ姉さん強ーい、んじゃ、私もころ、救済しないとね」
首つり台は両足で鞭打ちの両腕を踏みつけ、その手刀で首を。
「メイ!、首つり!」
落とそうとしたが、先生の声で、我に返る。
「――せん、せい?」
二人が振り返ると、そこには元気に立っている、先生がそこにはいた。
「私は大丈夫だから……だから、私のためでも、殺すようなことはやめてほしいな、もう十分ですよ」
「――先生、先生!」
「うわぁぁあん!」
首つり台とアイアンメイデンは、鞭打ちと石打ちを置いて、先生に抱きついた。
○
「……ふむ、元気になったみたいだ、大丈夫だ、今の先生の身体は元気そのものだよ」
薬のその言葉を聞いて、皆安心して、息を吐いた。
「良かった……でもどうします?、このまま五月蠅い中生活するのも、そもそもこの監隊塔でしたっけ、このまま進ませるのはどうかと」
ギロチン含め、皆この胸糞悪い叫びの中では眠れもしないのだろう、それに先生が手を上げて、告げた。
「あぁ、それなら私がなんとかするよ、ギロチン」
「え?、先生、何かできるんですか?」
「ま、私も初めてやるんだけどね、少しは
――監隊塔の中を歩いていき、ある部屋にたどり着く、真ん中には監獄塔にもある
「うまくいってくれるかなっと」
先生は
「先生!?」
ギロチンは止めようとするが、先生は手で静止する。
「大丈夫……さて、なるほど、こんな感じか」
「あの、先生、何を?」
「あー……なんか私、わかるかも」
「メイも何となく」
「火あぶり柱も、たぶん、同じ考えね、たぶん管理者になろうとしてると思うわ」
「管理者?」
ギロチンはそのワードを記憶から探る、そうだ、あの時ファラリスとの戦闘であの姿になったときに、頭に流れ込んできた言葉の一つ、ゴアスーツ ゴアブラッド そして管理けん。
「なるほど、確か
しばらく先生を見守っていると、監隊塔から変化が起きる。
『ギギギァァァァァ!!』
とても大きな声、皆耳を塞きたくなるほどの。
「――ふぅ、ちょっと手こずったかな」
先生は大きく息を吐き、達成感に満ちた安堵した表情を見せる。
「あの、先生、管理者になったのはわかりますが、他に何かしました?」
「あぁ、私がやったのは管理けんを得る……だけではないね、この
「それって」
「何それ何それ何それぇぇぇ!!」
薬が飛び出して、先生に詰め寄る、これほどまでに知識欲を刺激されるモノは無いだろう。
「あぁ、とても簡単なモノではないけどね、私の特殊な身体も起因してる、まぁまずはそれがどんなものか、見せたほうがいいかな――命ずる、ここに囚われた人間を開放せよ」
先生がそう告げると、監隊塔が大きく揺れる、そして、壁と一体化していた人間達が飛び出してくる。
『うっ……ここは……』
『私達……助かったの?』
『や、やった!、俺らは助かったんだ!』
「……さて、後は、《皆さん!、道を作りますので、あまり走らずに、外に出ていってください》」
今度は監隊塔全てに、まるで学校の放送のように、声が響き渡る。
『あ、ありがとうございます!、この恩はいつか必ず!』
人々は疲弊した身体でなんとか歩いて、外に向かっていった。
残ったのは、処刑台少女達だけとなった。
「ねぇ!、さっきのはいったい!?、どうやってこの監隊塔を支配したの!、ねぇねぇねぇ!!」
キラキラした瞳で、薬は先生に更に詰め寄る。
「わかった、わかったから離れて、まぁ私一人では無理って言ったよね、まず、かなりの意思のチカラが必要、それは私の中の思念の皆様がなんとかしてくれたわ、まぁ言っちゃえば私で
「一つに……つまり、この監隊塔は先生であると?」
「まぁそうなるのかな、だから私の声、意思一つで人間を開放できるし、なんなら本来の管理権では不可能なメルヒェンだって操れる……まぁ、もしかしたら、この植物を落とした異星人なら、そんなことする必要はないのかもね」
「ふむふむ……わかりました、貴重な情報ありがとうございます!」
「……さて、早いところ、車輪ちゃんを治療してあげて、私は、あの二人を見てくるわ」
「なら
「なら私もぉぉ?」
「あらー?」
アイアンメイデンと首つり台の姿が元に戻った。その様子に、薬の興味が移る。
「……ね、それどんな感じだったか、教えて?」
「じゃあ
「あ!、ちょ、ま」
ギロチンと先生は、屋上へと向かった、質問攻めにされる、アイアンメイデンと首つり台を置いて。
○
「ぐっ……がは、こ、ここでワタクシは死ぬのか?、ありえない、ありえない、ワタクシはまだ、壊れる音を、もっと聴きたいのにぃ!!」
「オレだってなぁ、もっと弱者を、強者を遠くから虐めたりないぞ!」
血液が多量に流れ、息も浅く、このまま死ぬかと、二人が思っていたとき、二人の脳内に声が響く。
《ネェ、マダイキタインデショ、ナラ、テツダッテヨ、ワレラノケイカクニサ》
人の声ではない、合成音声のような機械的な声がする。
「な、なんだ?、なんでもいい、オレらを助けやがれ!」
《イイヨォ、ヤクソク、チャントマモッテヨネ?、ジャ、オネガイネェ、
二人の身体が光で満ち、宙に浮く。
「な、なんですか!、ワタクシ達を何処に!」
《ソレジャア、カンゲイスルヨ、アタラシイヘイシサン》
○
先生とギロチンが再び屋上までつくと、そこには大きな血溜まり以外に、鞭打ちと石打ちの姿は何処にも無かった。
「これは……」
「いませんね、足跡も無く、ギロチン、あの出血で生きてると思う?」
「無理ですね、立つこともままならないかと」
「……謎、だね、後で薬の知恵を借りるとしよう」
先生とギロチンは、とりあえずこの件は後にすることして、戻っていった。