神獄塔メアリスケルターAnotherFinale 獄中血刑前夜譚 作:謎のコーラX
私は、道具だ、人を殺す、ただそれだけの道具、そこに感情は左右されず、ただ殺すだけ。
生まれたときからあの人のもとで殺す術を教わり、まだ汚染動物となった人間が主だけど、いつかは何百の人間を殺すことになるであろう。
そんな時、一人の人間が私の前に現れた。
○
「……誰ですか、あなたは」
少女は、訝しげにその人を見る、近くに落ちてるナタに手を置いて、いつでも殺せるようにしている。
それでもその人は笑顔を崩さず、いや、少し部屋の様子から少し歪んでいる。
(え、なにこの部屋、汚い、私の住んでいたボロ屋でももう少し綺麗だった気がするんだけど)
「あの、誰ですか、あなたは」
復唱された少女の言葉で、ふと我に返るその人、その人は少女の目線に立ち、元気な声で挨拶をした。
「こんにちは!、私はそうだね……先生とでも呼んでね、あなたの名前はなんて言うのかな」
「先生、ですか、私はギロチン、そこにいるのはアイアン・メイデンという子です」
「あうー」
アイアン・メイデンは、まだ言葉を覚えていないのか、あーとかうー、しか言えないようだ。
「なるほど、ギロチンちゃんね、これから私はあなたの教育係らしいから、末永くよろしくね」
その人は、手を差し出して、握手をしようとするが、ギロチンは応えず、手を出さない。
「勘違いしないでください、私には殺すこと以外にやることなど必要ありません」
「――そっか、でも私としてはそれだけなのは哀しいことだと思うな、ま、とりあえず部屋の片付けをしようかな」
「勝手にどうぞ」
それから、その人、先生は、片付けをした後、ギロチンもアイアンメイデンも聞いてはいないが、授業をするようになった、どんな言葉があるか、どんな遊びがあるかなど、そんな日々が2年続いた、その間にギロチンは人を殺し始め、それが私のやることだと、それが生きる意味だと思い。
そんな日々にギロチンにも変化が起きる、先生は毎日のように授業、黒板のない言葉だけだが、ふとギロチンが口を開いた。
「あの、ライオンってオスとメスでタテガミが無かったりあったりって何故なんですか」
初めて、ギロチンは先生に質問をした、それに先生は驚き、喜び、その質問に答える。
「そのオスのタテガミがカッコよくて、メスに好かれるからオスはタテガミがあるんだよ、まぁつまりオスなのに無かったら好かれないということだね」
「……なるほど」
「へー、らいおんさんにとってのたてがみってふくみたいなもんってことー?」
「正解、よく授業を聞いていたね」
暗い青色の髪をした少女、アイアン・メイデンも喋れるようになってからは、先生の授業に参加するようになった。
そんな時、某氏から3人目の処刑台少女、首つり台が生まれたと聞いた、その間に死んでいった人達に黙祷しながら、授業を終えた、先生は、一人、日記をつけていた。
「……ま、今日はこんな感じかな」
自室で日記を書き終えると、少しずつギロチンとも仲が深まっていることを実感していた、あの頃よりは仲が進んでいると。
「今日は良好だったかな、先生」
そこに隠れていたサンソンが姿を見せる。
「うん、良いほうだと、私は思うな、そろそろあなた達も紹介しても良いかなって思う、サンソンはギロチンと同い年くらいだし」
「でも大丈夫か?、僕としてはあんなやつ、あ、狂ってる育ての親のほうな、あれにバレる可能性が高くならないか?、僕としてはあいつのところにいるのは勘弁ねがいたい」
「まっ、そんときは……覚悟決めないといけないかな」
先生は神妙な面持ちで、そう言う、先生は2年の間に近くにあるもの、某氏の生活サイクル、そして
「……さ、もう夜も遅いし、寝ようか」
「そうさせてもらうよ、じゃあまた明日、先生」
「えぇ、また明日ね」
○
そして翌朝、ギロチンとアイアン・メイデンに、3人を紹介した。
「3人とも、自己紹介を」
「僕は処刑人の剣、サンソンって呼んでくれ」
「ぼくはスコッチ・メイデン、スコッチでいいよ」
「わたしはハリファックス断頭台、ハリーだよ」
ギロチンは他に3人もいたことに驚きの表情を見せた。
「まさか私とメイ以外にまだ3人もいたなんて、先生、あなた私が彼女らを告発する可能性を考えなかったんですか」
「それも、考えてたよ、でも私はギロチン、メイ、きみらを信じてみようと思ったよ、まぁ告発されたなら、私の目も曇っていたんだろうなって、そう思うことにするよ」
「……馬鹿ですか、あなたは」
「ねーねー!、スコッチちゃん!、ハリーちゃん、遊ぼ!」
「うん!ハリーも良いかな」
「わたしもやるー!、何して遊ぶ?」
「そうだねー――」
アイアン・メイデンとハリーとスコッチはすぐに打ち解け、この部屋だけだが遊び始めた。
「ふふ、すぐに仲良くなったね、さて、これだと授業は彼女らに悪いかな」
「何言ってるんですか、始めてください」
「え?」
ギロチンもつい声に出してしまったのか、口を抑え、ほのかに頬が赤くなる。
「……ふふ、そうだね、始めるよ、サンソンも今回同席で良いかな」
「えぇ、何時も一人だけでしたから、新鮮です」
サンソンとギロチンは座り、先生の授業を聞いた。
○
私も変わったなと、ふと思う、あれだけ殺すこと以外不必要だと断じていたのに、今では必要ないあの人の言葉に耳を貸すようになった。
――私はどうしてしまったのだろう。