目が覚めたら難易度ナイトメアの世界です   作:寝る練る錬るね

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書いてたらぐだぐだになりました。許してください。


ただの汁でも、一線を画せば努力の結晶。そんな言葉遊び

 

 

 

 突然!リゼロクーイズ!

 

 問題っ!!ロズワールの世間からの評判は次のうちどれ!?

 

 ①亜人趣味の変態辺境貴族

 ②空を飛んで王城に入城する変態魔導士

 ③想い人への愛を拗らせたヤベーTS経験済み変態

 

 正解は………①番!②と③は単なる事実です!みんなは正解できたかな!?それじゃあ、まった来週〜!

 

 

 酷い電波を受信した気がする。

 

 なにが言いたかったかというと、ロズワール辺境伯というのは、国が公認するほどのド変態な道化師ということです。国で一番凄い魔導士じゃなかったのかよアンタ………

 

 と、偉い立場にエラい変態が座ってしまったことで、ロズワールはわりといろんな勢力から怨みを買っているらしい。宮廷筆頭魔導士の従者なんか、恨み買ってなくても真っ先に目をつけられる。なにせ格好の人質なんだから。

 

「私がいる間は間違っても襲ってきたりはしないだろうけどねーぇ。私が王都に赴くこともあるし、君たちもずぅっとこの屋敷から出ないわけでもないだろうしーぃ?最低限、自衛の技術くらいは教えておくのは主人の義務かなぁって」

 

 はいコレ、と下姉様にモーニングスターを渡したロズワールは、何気ない顔でコチラに近づいてくる。下姉様があまりの重さに持ち上がらずうんうん言ってる。鬼化もしてないならそりゃそうなるか。

 

 というか、下姉様にモーニングスター(鎖つきトゲ鉄球)とかそのチョイスエグくないですかロズワールさん……

 

「うーん、それでリル、君の武器なんだけどぉ……」

 

 おっ!来るか!なんか強いの!多分ロズワールがくれるやつだからイロモノだとは思うけど!

 

「なんとぉー」

 

 おっ、焦らすな。なんだなんだ。あんまり至近距離でピエロが迫ってくるとジョージが死にそうになるのでやめてもらっても?

 

 

 

「今ないから、そこんとこ、ヨロシク?」

 

「はぁ……?」

 

 いや、期待させといてないんかーい!

 

 ……関西風のツッコミは僕には向いてないな。二度とやらない。

 

「あはぁー、そんな目に見えてガッカリされると焦らした甲斐があるねぇー。心配ご無用。ちょぉっと作るのに時間がかかってるだけだぁから。二日後にはできてるとおもうよぉ」

 

 なるほど。流石に僕を保護して数日で武器を用意するのは容易ではないということか(激ウマギャグ)

 

「でぇも、レムが訓練している中。君とラムだけ傍観っていうーのは、ラムはともかくじゃぁっかん問題がある気がするんだぁよね。絵面的に」

 

「と、いうことは……」

 

「格闘術、覚えよっか。男の子だもんねぇー?(さいわ)ぃ、筋力なんかは申し分ないし」

 

 おお、つまりアレだな!ロズっちのガーフィール顔面粉砕キックみたいなことができるようになるのか!

 

 ……嫌だな!身に付けたくない!スバル君を蹴りまくって顔面崩壊(物理)させたのは忘れないぞ!

 

「お待ちください、ロズワール様。ラムは反対です」

 

「おんやぁ?」

 

 若干嫌な思い出をほわんほわんしていたら、上姉様からの思わぬ横槍が入る。そうだよね。やっぱり後ろから心臓貫かれ(アゾ)るのは嫌だよね。

 

「リルには、もうそんな危ないことをして欲しくない。リルが危ないならラムが守ります。訓練でも、傷を負って欲しくありません。ですからどうか、お考え直しを」

 

「ふぅむ………そんなに危ないことをするつもりはなぁいよ?格闘術といっても、最低限の護身なんだけぇど」

 

「レムもお姉……姉様に、賛成です。リルにはもう、そんな危ないことをして欲しくない、です」

 

 下姉様までそんなことを言い出す。……うーん、コレはちょっと過保護が過ぎるんじゃなかろうか。確かにロズワールの殺人用撲殺術を習いたい気持ちはあんまりないけども。いざという時武器がないのは心許無い。

 

 そうそう。この右腕と角に関しては、全部ペテルギウスに責任を(なす)りつけました。魔女教大罪司教の『怠惰』を名乗る人物にやられました!なんとか撃退しました!と言うと、今までの被害の規模と角や腕の断面の歪さから、割とあっさり信じてくれた。

 

 両姉様は超絶復讐に燃えていたが。ペテルギウス君、すまそ。

 

 さて。口論の憂慮を振り払ったのは、別のところからこの論争を見ていたフレデリカだった。

 

「ラム、レム。弟想いはいいことです。ですが、甘やかすことばかりが愛ではありませんよ」

 

「フレデリカ!あなたに何が……!」

 

「あなたたちも、ずっとリルと一緒にいられるわけじゃないでしょう。たった一時、ほんの一瞬。目を離さないなんてことはできない。その時に、リルに護衛手段を教えていなかったからなんて理由で傷ついたら。あなたは危ないことをして欲しくなかったから、と言い訳するのですか」

 

 うわ、キッツイ切り口。もっと言ってやってくださいパイセン。言い負かされた姉様方の顔が曇ってメシがますます美味くなる。

 

 にしても、ロズワールに上姉様が意見するのは予想外だったな。………てか、そういえばラムは会った当初からロズワールに信を置いていたんじゃなかったんだっけ。契約も結んだばかりだし、ある程度恩があるぐらいの存在でしかないのか。今はまだ、心の中の思慕に抗えているのだろう。

 

「んーん、少女同士の争いはよろしくない。ならば、約束しよう。私の参加している訓練中は、私はいーっさい、リルに血を流させない。それなら安心だろう?」

 

「もし、破られた場合は?」

 

「そうだぁーね……よし。私を一発殴ることではどうかな?」

 

「旦那様!」

 

「安心していぃーよ。そんな事態には絶対させないから。そもそも、教えるのは私のものとは違って大昔の格闘術だからぁね。今のリルに、私の技は重すぎる」

 

「………承知しました」

 

 色々と思うところがあったのだろう。数十秒ほど考え込んだ後、上姉様は一礼をしてから引き下がる。それを見て、下姉様も渋々の様子ながら後ろに下がった。

 

「ですが」

 

 ん?まだ何かあるのか。

 

「それもこれも、リルの意思次第です。リルがやりたくないというようなら、ラムは断固としてそれを認めません」

 

「うんうん。そりゃあ当然だぁね」

 

 そう言って、ラムは僕の左肩を掴んで向き合う形になる。おぅ、目がやりたくないって言えと語っておるわ。

 

「リル、あなたはやりたい?どうしても、お姉ちゃんのことを信じられない?」

 

 えぇ……その言い方はセコくないか………N○Kの集金ばりに汚い手口だぞ。てか、さっきの先輩の言い分やっぱ納得してないんじゃないか。

 

「リルは……」

 

 むむむ………このまま元々の姉様が如く、怠惰な生活を貪るというのも悪くはない気はする。

 

 ただ、僕はこれでも男の子なので。やっぱり、必殺技とかに憧れちゃうわけだ。……最終手段の破壊兵器的なアレ(権能)は持ってるけど。

 

 しかも今、ロズっちは格闘術と言った。もしも、もしも。………その格闘術で、某神父のようなアレ(・・)が習得できるのだとしたら。

 

「上姉様、下姉様。リルは、姉様の足を引っ張りたくない。ロズワール様と先輩の意見が、正しいと思う」

 

「……そんな………」

 

 いやいやいやいや。そんなこの世の終わりみたいな顔しないでくださいよ。興奮しちゃうだろ。……しょうがない。それっぽいこと言って誤魔化そ。

 

「上姉様。もしリルが力をつけたら、もっと姉様たちを守れる。もっと強くなったら、姉様たちを安心させてあげられるんだよ。だからリル、頑張ります!」

 

 ぞい!と、件のポーズをとりながら……と言っても、片手だからそれっぽくはならなかったけども。まぁ、気合を表明してみせる。うんうん。両姉様が超いい顔してる。あとで写真撮らせてくんない?

 

「………そう。なら好きにするといいわ。くれぐれも、怪我だけはしないようにね」

 

 苦虫を噛み潰したような顔を必死に隠して、姉様はクールに僕の前を去った。

 

 はい。というわけで、修行パートに入りまーす。上姉様はぶっちゃけ天性のセンスのおかげでさいきょーなので、見学である。

 

「とりあぇず。ラムは問題外として、レムの方はフレデリカに任せてあるかーら。リル、君の実力を見せて貰おうかぁな」

 

「実力……?武術に関しては、ズブズブの素人ですが」

 

 それっぽいものは、三本角のとき魔女教徒の顔を引きちぎったやつしかない。それも武術というか、おもっくそ力技だったし。

 

「あぁ、うん。一応型から教えたいんだけーど。とりあえず、リルの今のことの武術に対するイメージみたいなのぉを、見てみたいかなぁ」

 

 好きに打ち込んできていいから、と。正面に立つ自分を指差して手招きするロズっち。魔導士なのに武術の達人ですもんねアンタ。まぁ、一発も入れられずに終わるだろう。三本角ならともかく、一本なら速度も今までとは勝手が違うはずだ。

 

 ……というか、一本になってから鬼化をしてないので不安要素が強いです。どんな感じなんだろう。

 

 あれ?てかこれ、鬼化してもいいのかな。いや、いいのか。その程度でロズワールに敵うわけもない。

 

 とりあえず鬼化。瞑想というか、集中すればこれは簡単にできる。

 

 左右のものは反応せず、額の一本だけがちょこんと伸びる。……我ながら、小さい。短小とか言ったやつはぶっ殺す。

 

 とりあえず、ちょっと感じを確かめてみたところ。やっぱり出力はかなり落ちてる。今までの九割減、くらいだろうか。体は重いし、吸えるマナも少量だ。角の大きさもあるんだろうけど、これはひどい。

 

「とりあえず、一発打ってきてごらぁん」

 

 こちらの様子を見て、ピエロらしくその場でぴょんぴょんと飛んで見せるロズっち。やめろ。その姿で跳ねるな。見苦しいぞ。

 

 ………イメージするのは、自分の中での格闘技の最強。その極み。

 

 愉悦部副部長の神父の技。

 

 誰が言ったか"マジカル☆八極拳"。"倍速で動くなら、倍速に合わせて技を繰り出せばいいじゃない"

 

 いや、その理屈はおかしい。と全部員に思わせたその一撃を、今はあのピエロへの苛立ちを込めて繰り出す──!

 

 ズらすように体を移動させ、敵の横を向いて踏み込む。そのまま渾身の一撃を打ち込め!!

 

 

「………あり?」

 

 と、イメージしていたところ。

 

 僕は全力で、一歩目を踏み外した。ロズワールもその展開は予想していなかったのか、ポカンとした表情を隠せずにいる。珍しく動揺しているようだ。

 

 そのまま僕は右側に転倒し、ズシャァァ!と地面を無様に転がった。痛ってえぇぇ!!

 

「痛ぅ!!」

 

「………なるほど。片腕がないから、重心がズレちゃったんだぁね。体の感覚が、今までと違うでしょーう?その違和感を認識しないまま全力で踏み込みしちゃったもんだから、体幹が崩れちゃったんだぁーよ」

 

 なるほど、と納得しながら、痛みでその場をのたうちまわる。普通に痛い。見えざる手の時ほどじゃないけど、まぁ痛いわ。

 

「リル!!」

 

 下姉様が心配して駆け寄ってくれる。なんかめっちゃいい表情をしながら。

 

 そうだね!こけたのは腕がないせいだもんね!!当然自分を責めるよね姉様!!ありがとう!興奮が痛みを上回ったわ!!

 

「………遺言はあるかしら、ロズワール様」

 

「無罪を主張しまーす♡」

 

 おちゃらけたその発言を契機に、上姉様は一発殴るどころか、身の丈以上のロズワールの肉体をギッチリとキャッチし………

 

「フンっ!!」

 

 見事なジャーマンスープレックスが決まったぁぁっ!!1カメ!2カメ!3カメ!どこから見ても完璧に決まっているぅぅ!!10カウント!10、9……………1、0!!ロズワール起き上がれない!!

 

 勝ったのはラム!新チャンピオンの誕生っ!その姿はさながら子を守る百獣の王だぁぁっ!

 

 

 

 その後、二日に渡るまで僕の訓練は禁止となり、パイセンに傷を治してもらった後も姉様にしつこく介護されたのでした。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 二日後。

 

 得物が出来たと再び呼び出された僕らは、任され始めた家事をそこそこに庭へと集まった。

 

 集まった……のだが。

 

「ロズワール様。質問をいいでしょうか」

 

「ん?なにかぁな、リル。武器のお披露目はもうちょっと焦らしてからかなぁって思ってるんだぁけど」

 

 そうじゃない。そうじゃなくてだ……

 

「なんでリルの服は、執事服じゃなくメイド服なんでしょうか」

 

「私の趣味」

 

「なるほど。ぶち殺して差し上げてよ」

 

 ヒラヒラとレースのついたメイド服が、今の僕の格好である。いや、そりゃ似合うだろうけどさ。あいつそっくりの容姿なんだし。

 

 ただ、マジで下が落ち着かない。物語でよく言われているが、めちゃくちゃスースーする。冷える。下半身の風通りがいいことがここまで不安を煽るだなんて思わなかった。

 

 ズボンや袴じゃないってこんなに大変だったのか。お手洗いも一苦労である。

 

「似合っていますよ、リル」

 

「大変お似合いよ、リル」

 

「とてもいいと思いますわ、リル」

 

 味方が誰一人としていないのも問題ではあるのだが。

 

 とりあえず新武器が鈍器の類であったら隙を見て一発食らわせてやろうと決意する。下姉様がモーニングスターをある程度は振れるようになったので、最悪そっちで復讐してもらおう。

 

「と言うわけで!お披露目いっちゃいましょう。リルの武器はぁぁぁぁ」

 

「だらだらだらだらだらだらだらだら」

 

 あ、こっちにもそのドラムロールの文化はあるのね。演出は上姉様である。ノリいいな。

 

「だらだらだらだらだらだらだらだら」

 

「だんっ!」

 

「これだぁよ!」

 

 そうして掲げられたものを見て、全員が微妙な顔をする。

 

 ………うっわ。超絶イロモノ武器じゃん。

 

 それは、僕としては馴染みのないものだった。掲げる、と言うところから、それが重くないことはわかってもらえると思う。

 

 それは、何本かに纏められた、長い糸のようだった。ピアノ線とか、ワイヤーとか言ったほうが正しいのかもしれない。

 

 僕の感想はただ一つ。

 

 ………うっわ。超絶イロモノ武器じゃん。

 

 大事なことなので二回言いました。

 

「旦那様、趣味が悪いとは言われませんの?」

 

「何を今更。ついでに、リルにはこれも渡しておこうかぁーね」

 

 もう一本、後ろ手に隠し持っていたらしいものをドラムロールで出そうとする。が、上姉様もやる気をなくしたのか、だらだらだらがだぁぁぁに変わっている。

 

 雑な叫び声かな。僕もオットセイの鳴き真似か何かしておいたほうがいいんだろうか。

 

 そして時間を置かずに出されたものに、今度こそ僕らはアングリと口を開けざるを得ないのだった。

 

 

 

「はぁーい。義ぃ手!」

 

「よくわかりました!旦那様にはデリカシーというものが足りませんのね!?」

 

 あ、ロズワールがパイセンに蹴られて吹っ飛んだ。

 

 ………うん。最悪の出し方だったわ。姉様方が揃って深刻な表情を並べている。最高ですね。

 

 もうぐだぐだになっている、修行パートなのだった。

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

「───お前たちも大変なようかしら。ロズワールを知っている手前、同情してやるのよ」

 

 上姉様、下姉様と先輩とロズワールを巻き込んだ壮絶な大乱闘スマッシュシスターズ(場外は死を意味する)が開戦されているのをぼうっと眺めていると、屋敷からベア子さんがいらっしゃる。そうか。そういえばそろそろご飯の時間だったか。ご飯の時間しか出てこないニートだもんね。

 

「ベアトリス様」

 

「何かしら、女装癖の弟」

 

 その呼び方はやめろや合法ロリ。

 

「………折り入って、ご相談があるのですが」

 

「お断りするのよ。なんでベティーが、お前の頼みを聞いてやらなくちゃならないのかしら。……ま、話は聞いてやらんこともないのよ。話してみるといいかしら」

 

 不機嫌そうに、フンと鼻を鳴らすベア子さん。ハッ!馬鹿め!話を聞いたうぬが不覚よ!見よ!我が伝説の秘儀!

 

「リルを弟子にしてください!」

 

「なんで土下座をしているのよ!?」

 

 そうして僕は、ベア子……もとい、新師匠に今世四度目の土下座を決め込んだのだった。

 

 

 




シャマク習得チャンス!!

というわけで、修行話です。
義手が新たに追加されるという新事実。
ないというのも不自然なので、仕方ない措置なのだ。許してクレメンス。
次回はロズワール邸の一日をお送りします。女装やらなんやらの伏線はここで回収するのだ。

武器はどうする?

  • 筋肉は全てを解決する 素手
  • ドーマン!セーマン! お祓い棒
  • 上姉様下姉様と聞いて 鎖付き短剣
  • こんにち死ね ワイヤー

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