目が覚めたら難易度ナイトメアの世界です   作:寝る練る錬るね

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 リゼロオリ主ものが増えてきてウレシイ……ウレシイ……

 ちょっとばかり初心に立ち帰って書いてみました。今回で原作前編はお終いです。



「先生、お茶!」「先生はお茶ではありません」「は?なんでその発想に至った?頭沸いてんのか?」「頭がフットーしそうだよぉ!」

 はい。というわけで。

 

「リル……どいてください……その女を殺せません……!」

 

「下姉様、落ち着こう。人違い、人違いだから……!」

 

 今庭先で必死に下姉様をステイしています。僕です。

 

 モーニングスターをエミリアに向かって投擲しかねない下姉様とそれに対抗すべく氷塊を生み出しているパックの間に挟まれている。

 

 僕だ。

 

 事の発端?決まってるわ。

 

 ▼紫紺の目 の 銀髪ハーフエルフ が 現れた!

 

 はい終わり。これだけで下姉様が完全に暴走した。

 

 おいこらロズワールっ!お前面白そうなもの見るような目でこっち見てんじゃねぇ止めろ!!割とシャレにならんぞ!特にそこな猫から当てられる殺気が!!最悪このロズワール邸崩壊の危機なんだが!?

 

 上姉様?上姉様は自分のことを抑えるのでいっぱいいっぱいだ。それでも抑えられてるだけまだ下姉様よりマシだよねぇ!?

 

「ご、ごめんなさい……私、やっぱり迷惑で……」

 

「そんなことありません!ロズワール様の客人でしたら、リル達は歓迎させていただきます。ただ、姉はちょっとばかり精神が安定していないので……失礼しますねっ!?」

 

 先輩助けてっ!!先輩には毛皮があるから多少寒いのも平気ですわよねっ!?え?氷漬けになってもメイドとしての本懐を果たす!?流石ですわねオホホ失礼いたします!!

 

 というわけで下姉様、お縄にございます。上姉様は多分ロズっちが上手くやってくれると信じる。

 

 地下の独房に未だもがく下姉様と共にスライディン。扉を内側から硬く(誤字にあらず)閉め、未だ凶器を手放さない下姉様から話を聞く。

 

「リル……!邪魔をしないでください!あの女は……あの女は…!」

 

「下姉様!あの方は嫉妬の魔女じゃないよ!ロズワール様が連れてきた、れっきとしたお客人!」

 

 怒りに我を忘れ、問答無用とばかりに鬼化しかけている下姉様。ヒェッ……下姉様鬼化したら理性なくなるから怖いんだよ。

 

「でも、でも!リルが、姉様が、こんなことになった原因は、魔女で……村も……魔女がいなければ、全部!」

 

「下姉様!……リル達に与えられた役割はそうじゃない。リル達は、ロズワール様に救われたんだから。例えあの方が嫉妬の魔女でも、ロズワール様が迎えろというのならそうする。それが、リル達のやるべきことじゃないの?」

 

「じゃあっ!!」

 

 目から涙を流しながら、下姉様は叫ぶ。

 

「このまま、ずっとあの女の世話をしろというんですか!?あの……姉様とリルの角を奪って!腕まで取った相手の世話を!?そんなの、レムには到底耐えられない……!」

 

 うへぇ。これは完全憤怒状態入っておりますな。てかこれ、多分ここで宥めてもいずれは殺しにかかりそうだな。あれ、これなんてデジャヴ?

 

 ………しゃーない。やりたくなかったけど、情に訴えることにしよう。やりたくなかったんだけどなぁ。やりたくなかった。うん。

 

「じゃあ、姉様。……リルのことを、ここで殺しますか」

 

「………ぇ……」

 

 その言葉の衝撃に、涙すら止めてこちらを見る下姉様。瞳孔が見開かれ、そこには明らかな驚愕が見て取れる。

 

「エミリア様からは魔女の臭いがしないのでしょう?なら、エミリア様よりリルの方が魔女の臭いが濃いはずです。魔女を殺したい下姉様は、エミリア様よりリルを先に殺さなくちゃならない」

 

 一見無茶苦茶な暴論だと思うが。でも、『自分が家族を傷つける』ことをなによりも恐れている姉様に、この手はよく効く。

 

 トラウマと化している敬語を使えば、感情は簡単に浮き彫りになる。

 

「下姉様、殺してください。その鉄球で、リルを打ち据えて、潰して、グチャグチャにして、跡形もなくして、そうして、姉様はエミリア様を殺すのでしょう」

 

「いや、嫌です……そんな、そんなこと……レムは……レムは……」

 

 そんな風に後ろに下がられても。

 

 逃がしませんよ。

 

「今一度訊きます。………本当に、エミリア様を殺しますか」

 

 ねぇ、殺しちゃいます?弟の砕ける骨の感触、潰れる肉の音、飛び散った血の生温かさ、殺してしまった己の罪を感じながら、それでもなお、下姉様は進めますか?

 

「エミリア様と共に、リルを、殺しますか」

 

「わかりました……!わかりました、わかりましたわかりました!!わかりましたからっ!!そんなこと言わないでください……レムが、リルを殺すなんて……そんなこと……」

 

 少しでも、想像したのだろう。下姉様がリルを殺すところを。その微かな考えだけで、表面を取り繕っただけのツギハギだらけな姉様の精神は耐えられない。

 

 うん、ここまで釘を刺したら、もう大丈夫だろう。

 

「……ごめんなさい、下姉様。意地悪、言っちゃった」

 

 いつも寝るときのように、へたり込んでしまった下姉様を抱きしめる。胸の内に抱え込むようにして、頭を撫でてやる。

 

「………リル、リルぅ……」

 

「大丈夫、下姉様。下姉様は、リルを殺したりなんてしない。そうでしょ?」

 

「はい……!はい……!リル、リル……ごめんなさい……!ごめんなさい……そんなことを言わせてしまって……そんなことを言わせる、ダメなお姉ちゃんで……」

 

「リルもごめんね。大丈夫、リルはここにいるから。リルはここで、姉様と一緒に暮らせて、充分幸せです。もう、昔のことを気にしなくても平気ですよ」

 

 そんなこと言えばいうほど気にするんだろうなぁ……あぁ、下姉様、ホントに愛してる……無限にその顔見てられる……泣き腫らした痕とか、申し訳なさげに目が合わないところとか完璧……!

 

 下姉様が泣き止むまで、僕は義手と左手で、しっかりと姉様を抱き留めていたのだった。

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

「下姉様。エミリア様の面倒は、なるべくリルが見ることにするね」

 

「………すみません。心苦しいですが、今はリルにお願いするしか……」

 

「大丈夫。なんなら、庭仕事だけじゃ飽きてきちゃうところだったから」

 

 ──仇そっくりの女と何もかもを歪められた弟のツーショットで心をぐちゃぐちゃにしてください!

 

 欲望をそのままに、下姉様と共にエミリア様を待たせている客室を訪ねる。

 

 コンコンコン、とノックをする。反応はない。

 

 コンコンコン、とノックを。反応はない。

 

 部屋を間違えただろうか。

 

 コンコンコン、コンコンコンと………

 

「リア、あれは入っても大丈夫ですかの合図だよ」

 

「えっ、そうなの!?ご、ごめんなさい!大丈夫ですっ!」

 

 おいおいおーい。くっそ不穏な会話が聞こえたが?え?いくらコミュ障拗らせてるからって、そこからなの?

 

 という感情を表に出さず、あくまで冷たい業務用の表情を保ったまま扉を開ける。

 

「失礼しま………」

 

 あっぶね。めっちゃ変な声出そうになった。多分後ろの下姉様も一緒だ。

 

 何故この女、床で頭を低くして座っているのだろうか。土下座する寸前みたいになっとる。シュールすぎんかこの光景。

 

「お客様。何故、床に座っていらっしゃるんでしょうか」

 

「ほら、リア。言ったでしょ?そこに椅子があるんだから、ちゃんと座ってればいいのに」

 

「私が座ったせいで椅子が壊れたらどうするの!?椅子が突然凍りつくかもしれないし!この家の人の物なのよ!?」

 

「と、とりあえず、お座りいただけませんか。この屋敷の椅子はそんなにヤワではございませんので……」

 

 必死に笑いを堪えながら、椅子を引いて座るように促す。ぶっちゃけロズワールの屋敷の備品って気づいたら喜んで壊していいと思うんだけどな。

 

 後ろの下姉様を見ると、想像の埒外のものを見たかのようにぽかーんと口を丸く開けている。珍しいワンショットだ。

 

 おずおず、といった態度で椅子に慎重に腰掛けるエミリア。パックは何でもないように差し伸べられたその掌の上に乗っかる。うわ、近くで見るとわかるけど、やっぱり毛並みは一級品だ。

 

「改めまして。先程は大変なご無礼をいたしました。当家の使用人、リルと申します。そしてこちらが」

 

「当家で使用人頭を務めさせていただいております。レムと申します。先ほどはお見苦しい姿をお見せしてしまい、大変申し訳ございませんでした」

 

 うん。ちゃんとした挨拶。使用人モードの下姉様……じゃねぇわ。よくよく見れば拳めっちゃ握りしめとる。これは今晩は寝かせてくれませんね(直喩)

 

「うん、とりあえず───君らに、リアに対する敵意や害意ってものは無いと考えてもいいんだよね」

 

 部屋いっぱいに氷塊を浮かべて殺意を剥き出しにしながら、こちらを睨むパック。わお、あれで何回僕らを氷漬けにできるんだろうな。

 

「ちょっとパック!?」

 

「大事なことだよ。リアがここで安全に過ごせないなら、わざわざこんなところにとどまる必要がない」

 

 下姉様が動こうとするが、片手で制する。ステイステイっ!!

 

「もちろんでございます、お客様。そちらのエミリア様がロズワール様が正式に迎え入れられた客人である以上、我々に思うところはございません。貴方様に危害を加えることはないと、このリルが龍に誓ってお約束いたします」

 

 恭しく礼をすると、こちらに悪意が無いことを見抜いたのか、灰色の猫は氷と剥き出しだった牙を引っ込め、うんうんと頷いた。

 

「うん、まぁ及第点かな。これでリアに不満がないなら、滞在場所としてはいいんじゃにゃい?」

 

「もう、失礼なこと言わないの!……ごめんなさい、リルさん。パックったら私のことになるとめちゃんこ過保護になるところがあるから……」

 

 めちゃんこ。きょうび聞かねぇ。

 

「それでは、リル達はこれで失礼いたします。今後のことはロズワール様がご説明されるかと思いますので、何かあればリルかフレデリカをお呼びください」

 

 やっと終わった、とホッとしながら、下姉様が出て行くのに続けて出て行こうとすると。

 

「そういえば、リルさん」

 

「リル、とお呼び捨てになってください、エミリア様。客人に使用人へ敬称をつけさせるようでは、主人の器が知れてしまいますので」

 

 様呼びでいいよ。ロズワールの狭くて浅い器をそこらへんに宣伝しまくってやろう。

 

「じゃあ、リル。えっとね……」

 

 その薄紅の唇から飛び出したのは……

 

私たち(・・・)どこかで(・・・・)会ったことない(・・・・・・・)

 

 わぉ、なんて熱烈でベタな口説き文句なんだろ。

 

 

 

 

 ……冷や汗が止まんねぇ。

 

 

「……リルは諸用で王都へ赴いたことはありますが、それ以外でお屋敷を出たことはございません。エミリア様とお会いした記憶はございませんが」

 

「そう……そう、よね。ごめんなさい!私の勘違いだったみたい!」

 

「そうそう。世間知らずのリアがあの村の住人以外と会ったことなんてないんだから」

 

「パック!」

 

 恨めがましそうにそう叫ぶエミリア。それに気を配る暇もなく、脳内では大量の情報がのたくっている。

 

「では、リルはこれで。また明日の朝、お会いいたしましょう」

 

「ごめんね、うちの娘が」

 

「いえ。何かご用命がありましたら、存分に」

 

 ドレスの裾を掴んでもう一度礼をし、部屋を出て扉を背にパタンと閉める。

 

 

 

 音が聞こえなくなったのを確認して………ずるずると床に座り込んだ。

 

 

 ───焦ったぁぁぁぁっ!!

 

 

 パンドラ!パンドラ、お前ぇぇぇっ!!マジ焦ったわ!!『虚飾』使わにゃならんかと思ったぞ!!この状況で下手に権能使って魔女の臭い強くさせたらゲームオーバーだかんな!?わかってる!?

 

 しかもエミリアたん!!最後の最後で地雷を突っ込んでくんなよ!!死ぬかと思った!!

 

「どうしましたか、リル」

 

「あぁ、いえ。なんでもないよ、姉様」

 

 流石に大精霊様の殺気に疲れちゃって、と言い訳し、なんとか立ち上がる。あーこわ。パックソの殺気なんかよりよっぽどビビったぞ。

 

 ………にしても、なんでバレかけたんだろ。

 

 

 ───こういうときのために、見た目変えといたのにな。

 

 

 深い紫色(・・・・)白金(・・)の混ざった髪をくるくると指で回しながら、疑問をそのままに廊下への一歩を踏み出した。

 

 

「にしても、あんな小さな男の子を口説くだなんて、ボクとしては感心しないなぁ」

 

「口説いてませんっ!……え?男の子?」

 

 

 あ、やっべ。僕メイド服着てたんだった。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 それから、半年の月日が過ぎた。

 

 は?唐突?しょうがないだろ、特に加筆することがなかったんだよ。ルグニカ国王とその一族郎党が死んだニュースが伝わってきたのと、パイセンが屋敷を辞めたことぐらいだ。辞める時泣いてくれたのは記憶に新しい。

 

「よし。それじゃあ、行ってきます」

 

「はぁーい。エミリア様、くれぐれも道中お気をつけてーぇ。リルがいるから、その点心配はいらないと思うけどねーぇ」

 

 ははは、よく言うよこの腹黒ピエロ。わざわざメイド服の日に外出予定を挟んでくれやがってよぉ!!

 

「リル、本当に大丈夫ですか?レムと姉様は心配です」

 

「大丈夫よ、レム。リルはそんなに弱くないわ。強いて言うなら、エミリア様が迷子にならないか心配ね」

 

「もう!ラムったら!子供じゃないんだから、そんな心配要りません!」

 

 ははは、よく言うよ。ホントよく言うよ。

 

「大丈夫、上姉様、下姉様。王都へ向かうだけだから。……もしかしたら、このサイズのメイド服が塵になって帰ってくるかもしれませんが」

 

「安心なさい。予備はあと20着あるわ」

 

「………そのうち一着でも執事服に回せなかったのかなぁ……」

 

 はぁ、と一つため息を吐き、御者の台に立って竜車に繋がっている地竜の手綱を握る。

 

「それじゃあラム、レム、ロズワール。行ってきます」

 

「「「お気をつけて、エミリア様」」」

 

 三人の恭しい礼を確認し、手綱をキツくして竜車を発進させる。

 

 行き先は王都。初めてエミリア様を連れて向かう王都だ。

 

 そう、つまり。

 

 

 ───やっと会えるよ、スバル君っ!!

 

 

 原作の、始まりだ。






リル君の現在の簡易ステータスです。

リル/性別:男(本人も疑わしくなってきた)/趣味:信仰の求道/特技:庭仕事全般、暗■/好きなもの:下姉が作るもの全般/嫌いなもの:虚飾の魔女、強欲な魔女/イメージカラー:紫、白金


現在の装備:
義手(木製):外にいる間は陰魔法で見た目を誤魔化している。本物の腕にしか見えないが、触ると木製であることがわかる。屋敷ではマナ節約の名目で隠していないので、思い切り姉様方の曇った顔が見れる。

ワイヤー:義手に仕込んである。まだまだ未熟なため一定以上の相手には通用しないが、素人相手なら余裕で殺せる。本数が多いわけではないので、テラ○ォーマーズみたいに盾を作ることはできない。

所持金:聖金貨一枚:護身用。ぶっちゃけキャラ作りにいいよねと思っている。給金自体はちゃんと出ているので、貯金はもっとある。

金貨五枚、銅貨五十枚:リルのお小遣い。

銀貨三十枚:エミリアのお小遣い。管理はリルが任されている。

現在使用可能な魔法:

ゴーア:
命中安定。一般的な火力。

エルゴーア:
範囲安定。当たるまで範囲を広げればよかろうなのだ。

ウルゴーア:
制御ができてない。とりあえず超火力でぶっ放しときゃ当たる。

アルゴーア:
最高火力なのに完璧制御不可能とか言う爆弾。使う時は周囲に敵しかいない時。

ドーナ:
他の魔法が優秀すぎて使い道がなくなった。

シャマク:
なんとちゃんと使いこなせたシャマクさん。使った感想として、使い道がない。

エルシャマク:
ギリギリ使いこなせるシャマクさん。大恩があるのでロズワールより信頼度が高い。

ムラク:
何かと便利な魔法。使う機会がぶっちゃけシャマクより多い。

ミーニャ:
音が可愛いと思っている。焼いた方が早いので強敵相手以外には使わない。

エルミーニャ:
音が可愛いと思っている。焼いた方が早いので強敵相手以外には使わない。


マジカル☆八極拳:
すごくつよい

原作開始前の間話、書きますか!?

  • 書いていいよ
  • とっとと原作いくんだよおらぁん!!
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