誕生日祝ってくださってありがとうございます。
お陰様でそこそこ寂しくなかったです。
現在進行形で吐きそうなことを除いてなァ!!
マジで気持ち悪い……無理ポ………
男でも女らしく扱ってたらそのうち扱ってた側が女になってたみたいな
夜。この世界では冥日11時ごろの話。
「ほぉぅ。そーれで、報告は以上かぁーな?」
「はい、ロズワール様。あのお客様の扱いはどうなされますか」
「無論、歓迎してくれたまーぇよ。まぁ、数日は様子見がいいだろうけどねーぇ」
「承知致しました」
紫髪の少年執事が一礼。堂に入ったその動作が、否応なしに月下の密談を怪しげに彩る。それを控えて聞いていた桃色の少女は、少しばかり顔を顰めた。
「リル、本当に大丈夫だったの?何か問題は……」
「少々問題も発生しましたが、結果的には『剣聖』に貸しも作ってまいりました。当家にとっては充分な利益かと」
「そういうことじゃ……!」
心配。王選の陣営としてではなく、弟の状態について尋ねたラムの意図は、汲まれることなく的外れな回答で打ち捨てられる。それを諫める忠言は、家主によって遮られた。
「いやいや!充分すぎる成果だぁとも。元々別の目的があったんだ。おまけとしては、なかなか大きいものだったんじゃあーないかな」
「リルもそのように捉えております。……報告は以上です。失礼致します」
「あぁ、構わないとも。……お客人が目覚めたら、世話は君とラムに頼むことにするよーぉ。レムはどうも、
「
では。と、扉を開いて部屋を去ろうとする執事服の少年。その背に、魔女に魅入られた道化は一つの言葉をかけた。
「あぁ、そうそう。ネルトガース殿との
「………はい。極めて
「結構」
ロズワールの頷きに、今度こそ扉が重く閉じられる。その会話に入れないメイドは、言葉を額面通りに受け取るしかなかった。
「リルに交渉、ですか」
「なに、簡単なお仕事だぁよ。万一交渉中にエミリア様が狙われることになっても、リルなら守り切れると判断してのことさーぁ。迷子になるのは予想外だったけど」
いつも通り忠実に指令をこなし、それ以上の成果を伴って帰還する従者に、道化は口角を上げる。
「さぁ、ラム。おいで」
「……ロズワール様のお手を、煩わせてしまい……」
「なに、君たちはよくやってくれている。当然の報酬だとも」
申し訳なさそうに目を伏せるメイドを抱き寄せ、生きる糧を供給する。ロズワールの手にかかれば造作もないことだ。
───さぁ、君が持って帰ってきたものは災厄か、我々にとっての希望かのどちらなのだろう。
どちらにせよ、手綱はロズワールの手の中に。この少女がいる限り、彼が背くことはありはしない。
いつまでも、いつまでも。自分を魅せてくれる壊れた駒を見ながら。ロズワールは、いつか来たる目的の未来へ期待を馳せるのだ。
──次は一体、どれほどのものを私に与えてくれるのかな、リル。
その期待を超えられることを願いながら、ロズワールはただひたすらに、彼の与える恩恵を貪っていくのだから。
はい、気持ちの良い朝です。おはようございます。僕です。
下姉様にはがいじめにされ、全く意味深でもなんでもないそのままの意味でプロレスをするハメになりました。
僕だ。
上姉様とロズワールに報告が終わった後、下姉様に
………うん。どうやら、僕の魔女の臭いがアホみたいに濃くなってるらしい。十中十『死に戻り』の影響だろう。
そんな僕が割と親しげに紹介したスバル君にはやっぱりセンサービンビンでアホほど警戒してました。はは。
ただ、話していて分かったことが一つ。どうやら、スバル君からは魔女の臭いがしないらしい。あくまで魔女の臭いをビンビンにした僕が一緒に連れ帰ってきた客人ということで警戒しているだけなのだそうだ。………どゆこと?
とまぁ、そんなことを考えていたら、部屋に師匠が入ってきました。そして、下姉様にガッチリロックされている僕の状態を見て嫌なものを見たような顔をする。
「…………おはようございます、師匠」
「朝っぱらから何をやっているのかしら」
「実は昨日の夜からです」
「なんで眠れたのかしら!?」
飛び出すツッコミ。ふええ、急に大きい声を出されると怖いよぉ。
「……朝から珍しいですね。どうされました?」
「昨日お前と半魔の小娘が連れてきた男。あれが客室の前で気絶してるから回収するといいかしら」
あぁ、なるほど。例のスバル君の禁書庫破りか。自慢の魔法を破られて割と師匠が不服そうだ。
「破られたんですか、『扉渡り』」
「一発で正解を引きやがったのよ。というわけで、後は任せたかしら」
言い捨て、禁書庫に繋がる道となった部屋の扉から出て行く師匠。投げやりだな、随分と。
扉が閉まり、部屋の中に僕と下姉様が取り残される。身動きが取れない中なんとか体を揺すると、下姉様は目を覚ます。
「おはようございます、下姉様」
「………おはよう、ございます。……ごめんなさい、こんなのじゃ。起きられなかったですよね」
「大丈夫です。家族ですから。助け合って当然ですよ」
ニコリ、と笑みを零す。それに対して、なんとか作った笑みらしきものを浮かべる姉様。知ってた。
姉様は僕を助けられないと思ってるもんね。助けたことなんて、一度もないと思ってるんだもんね。
「姉様、先ほど師匠がいらっしゃって、スバルを回収するように言われ……」
「………あの人は、スバルと言うのですね。……リルの臭いを、強くした男……」
姉様が、ギュッと手を握り締める。痛い。爪が肩にめり込んでますよ姉様!うへへ。
「下姉様、大丈夫?」
「………ご、ごめんなさいっ!……違って……そんな、つもりじゃ……!い、痛かったですよね!?」
自分の行いに気がつき、尋常ではない焦りを見せる姉様。………やっぱり、退廃的に腐っていくのもいいものだけど、こうやって新しい刺激で得るのもいいものだ。
「大丈夫だよ、姉様。リルは、痛くありませんから平気です。何のために鍛えていると思ってるんです!」
「………ごめんなさい、レムは、またリルに迷惑を……」
「そんなのいいっこなし!下姉様、スバルをベッドに戻さなくちゃだから、起きてもいい?」
「………はい。ごめんなさい、リル」
気にして。間違えた気にしないで。
申し訳なさそうに顔を伏せる姉様を見ながら、おそらく廊下で昏倒しているであろうスバル君を救出するため、僕は客間前へ歩き出したのだった。
スバル君ひっくり返って気絶してたわ。これ下手すりゃ死に戻るんじゃね?
「………知らない天井だ」
目を開けて一度は言ってみたいセリフを吐いたスバルは、とりあえずと窓を確認する。空は明るい。おそらくは朝方だろうが……
「今って、だいたい何時なんだ?この世界に時計とかってあんのかね?」
「今は陽日七時になるところです、お客様」
「今は陽日七時になったところよ、お客様」
「今は陽日七時になったところだね、お客様」
後ろから続く三つの声が、親切にも時間を教えてくれる。多分、陽日というのは午前の解釈でいいのだろう。
「さっきロリに暴行されたのをノーカンにして……まぁ、大体丸一日寝てた計算になるわけか。2日半寝続けた記録を持つ俺にしてみればどうってことないな」
「まぁ、穀潰しの発言ですよ」
「ええ、ろくでなしの発言ね」
「うん、疫病神の発言だね」
「んで!一人はわかってるが、残りのは誰ですか!!」
覚えのある声一つと覚えのない声二つを背に、突然振り向くスバル。ビクッと身体を震わせ、少女たちはそれぞれ手を合わせてスバルを見る。
三人の少女達。それは、瓜二つの容姿をした双子の少女と、見覚えのある紫の少女。身長は、それぞれ150半ば。大きな瞳が輝き、唇は桃色に。彫りの浅い顔が幼さと愛らしさを同居させ、可憐という表現でしか表せない。見ただけで、血縁と判断できる三人。
髪型も双子がショートボブでお揃い。もう一人は髪を軽く編み込んで後ろで括っている、所謂ハーフアップの状態で、相当な時間がかかっていることが見受けられた。髪の分け目はそれぞれ違って、左、右、そして両眼をそれぞれ隠していた。
それらを一瞬で確認し、格好に目を向けて……
「メイド服が………三人……だと……!?」
つい昨日見た少女の正統派メイド服とは違い、完全趣味用の改造エプロンドレス。スカートは短く、肩、背中など、露出部が過度に多い。露骨な趣味が反映されているが、スバルとしては作成者を褒め称えたい気分だ。
「あの正統派の奥ゆかしさも良かったが!これはこれでアリアリありまくりだぜ!!」
「大変ね。お客様の脳内で卑猥な辱めを受けているわ、リルが」
「大変です。お客様の脳内で恥辱の限りを受けていますね、リルが」
「お客様、きっも……」
「無茶苦茶言うな君ら!?」
それぞれが肩を寄せ合い、ひええと後ずさっていく。一人だけ完全なる暴言だったのは、スバルの聞き違いか。
大声を上げるスバルに対し、姉二人は絡めていた指を解き、それぞれで少し身長の低い妹らしい紫の少女を指さした。
「許してください、お客様。レムと姉様だけは見逃して、リルを汚してください」
「やめてちょうだい、お客様。ラムとレムは見逃して、リルを凌辱するといいわ」
「可哀想だな末妹!?」
一人だけ生贄に捧げられた年下の少女。組まれた手の輪から離れ、泣き真似をしながらこちらへとすり寄ってくる。
「ぐすん。姉様方がそう言うなら、経験もない素人同然の目つきが悪い不審者のお客様にご奉仕させていただきます。チッ」
「後半がもはや悪口でしかない!しかも舌打ちしたよな今!」
言動の悪さは相変わらず。それに加えて姉様方の援護が入ったことで、より暴言のキレが増している。
それはそれとして恩がある相手。見逃してやるとし、逆に後ろへ下がった薄情な姉様二人にワキワキと手を動かして、どちらから先に毒牙にかけようかと目つきを細めると。
「………もっと大人しく起きられなかったの、スバル」
結びをほどき、長い銀髪を背中に流す少女の姿があった。王都での格好とは違い、こちらも完全な私服。白色のイメージに合うデザインの格好に、思わずスバルはガッツポーズ。
と、そこで少しだけ後ろの少女の対応を思い出して、不安に思って声をかける。
「……その、俺のこと、ちゃんと覚えてる?名前だけ知ってるとかじゃないよね?」
「スバルみたいに印象が強いと、なかなか忘れられないものよ?……あぁ!リルのことを気にしてるなら大丈夫よ。忘れてるとかじゃなく、今はお客様だから気を使ってるだけだもの。ね?」
名前を呼ばれたことが少しだけ嬉しくて、照れ臭さを隠すために後ろのメッシュの少女を見る。メイド……リルは、覚えているよと言わんばかりにこくりと一つ頷き、再び裏切り者の姉様方の輪へと戻っていく。
「聞いてください、エミリア様。あの方に酷い辱めを受けました、リルが」
「聞いてちょうだい、エミリア様。あの方に監禁凌辱されたのよ、リルが」
「聞いて聞いて、エミリア様。ブチ犯されちゃった」
そして、事実無根の告げ口をした。
「おい最後!!もうちょっとオブラートに包まねぇ!?」
下手をすれば年齢制限に引っかかりそうな暴言。あまりにも天衣無縫で恥じらいが欠けている。天衣無縫な暴言ってなんだ。
「ブチお……?まぁ、スバルはそんな悪ふざけする子じゃないわよ。きっとやらない。そう私信じてるから。あんまりからかいすぎないようにね」
「はい、エミリア様。リルも反省しています」
「はーい、エミリア様。リルも己の所業を悔いているわ」
「はいはい、エミリア様。お客様もそんな構って欲しいって顔してるの反省しとけよ」
「いちいち茶々が刺々しい!!」
お客様としてリルの対応が変わったというが、訂正。実際そこまで変わってない。むしろ酷くなったまであるかもしれない。
そんな軽口を叩いていても、エミリアは慣れているのかさして気にした様子もなく、ちょいとリルだけを小突いて反省を促した。
「スバル、体の方は大丈夫?変だったりしない?」
「寝過ぎてちょっとだるいくらい。問題ないよ」
「そのくらいで済んでるなら十分。軽くお散歩でもする?日課があるんだけど」
「散歩か!いいな!……日課というと、花壇に水やりとか?」
「あぁ、それがしたいならリルの方に言えばいいと思う。庭はリルが管理してるから」
リルの方を向くと、肯定の意味か軽くスカートの端を摘んで礼をする。メイドっぽい仕草に、男の子としてはドキドキが止まらないわけだけども。
「うんにゃ、水やりは後々で、エミリアたんの日課に付き合うよ」
「そう、大声とか花壇荒らしたりとかしなければそれで……たん?たんって、どこから出てきたの?」
「よし、それじゃいきますかね!」
愛称めいた呼び方に困惑するエミリア。許せ、思春期に名前を直接呼ぶのは少しばかり恥ずかしいものがあるのだ。
「にしては、リルは全然そう言うの感じないんだけどな。なんでだろ」
「初対面で怪しい硬貨を渡そうとするお客様が緊張、笑わせますね」
「はは、こいつめ」
エミリアを真似るように人差し指で額を小突くと、言動とは裏腹にあうっ、と後ろによろめく。ここまで反応が良いとなるほど。なんだか連打したくなってきてしまう。
その衝動をなんとか抑え、メイド二人の方へと顔を向けた。
「へい、メイド姉妹。俺の元の服ってどこ?」
「ひょっとして、あの薄汚い灰色の布切れでしょうか?」
「たぶん、あの血で薄汚れた鼠色のボロギレでしょうね」
「十中八九、リルが血抜きしたあの正気を疑うダサイ繊維かと」
「不敵すぎるわ。てか、わざわざ血抜きまでしてくれたのか。助かる。持ってきてくれねぇか?」
エミリアに視線を向け、許可を取った三人は、丁寧にお辞儀し、部屋を出て行った。流石に三人がかりはやりすぎではなかろうかとも思うが。
暫くすると戻ってきた三人は、水色の少女が上を畳んで。リルが下をそのまま、ピンク髪の少女がズボンの端の端を持って帰ってきた。
「地味に働いたフリして働いてねぇな姉様!サッカーゴール運びを思い出す手法だ!」
「上姉様はちゃんとお仕事をなさってます。姉様は食器より軽いものは持てないんですよ」
「重いものじゃなく!?」
もしや引きちぎられるのか、とリルの戦闘力を知っている身としては愛服の身が心配で、ひったくるようにしてジャージ下を奪う。幸い、どこも千切れたりはしていないようだ。
さて、着替えるからとりあえず部屋を出て行ってもらおうか、と考えていると。リルがずいっと顔を近づけてくる。
「手伝いますよ、お客様」
「おいおい!いいって、ひとりでできるもん!ちょっと嬉しいけど」
「まあ、恥辱より快楽が勝るなんて本音が出てますね、姉様」
「あら、屈辱より幸福が勝つなんて心底から変態だわ、レム」
「年下の美少女に脱がされるのって恥ずかしくないの?」
「へへへ、みんな纏めて幼妻だぜ〜!」
「まぁ、将来大変ですね。リルは」
「あら、将来可哀想ね、リルは」
「なんか1人がスケープゴートになってるぅ!?」
散々な扱いの末妹を見つめ、ラインハルトの件も含めて若干の不遇さを感じざるを得ないのだった。
「まぁ、何にせよ。1日の始まりと洒落込みますかね!」
おー!と腕を突き出したスバルに、メイド三人の棒読みの掛け声が重なり。
『死に戻り』を乗り越えた一日が、本当の意味でスタートした。
下姉様イライラカウンター 1
・リルの頭を小突いた。
沸点低すぎィ!!
こんなペースでちんたらやってたら確実に終わるので次回からは吹っ飛ばします。正直漫才やりたかっただけ感はある。
アヤマツ√if、欲しかったりします?
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書いてラインハルト殺せやオラァン!
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とっとと続き書いて姉様と絡めオラァン!