BA☆KU☆SHI
ショタは安くなかった。
FGOさんも甘くなかった。
ははは。
作者はもうダメだ………
ネモきゅん……作者はもう、立てないよ……
最後に………ネモきゅんの………
(自主規制)な(自主規制)を見たかった……
無念…………
〜寝る練る錬るね先生の次回作にご期待ください!〜
僕にだって、心はあるのです。
他人の不幸を悦びと感じてしまう生き方から、理解してもらうことは諦めました。
それでも。
怖いものは怖くて。
痛いものは痛くて。
腹が立つものは、腹が立つのです。
ナツキ・スバルはこの世界の誰よりも愚かだなどと、考えたことがあった。他でもない、四周目で目の前の彼を殺してしまった時である。
自分をああまで想ってくれた相手を自らの代わりとして死なせてしまうなど、愚か以外表現が見つからなかった。
では。では。
「じゃあ……じゃあ!このまま全部姉様達に言えっていうの!?心臓潰されましたって!やっぱり、やっぱりスバルのせいだったって!姉様に全部正直に話して、スバルを殺してもらえば、それで満足!?」
彼を泣かせることは一体、殺すことの何倍罪深いことなのだろうか。愚かの何倍、疎ましいのだろう。
「殺して………って……リル、お前……」
「リルが話したらどうなるかくらい、スバルにだってわかってるでしょ!?リルに、リルに……スバルを殺せっていうの!?」
恐怖によるものか。或いはスバルに対する怒りからか。何にせよ、スバルが原因で涙を流し、震えるリルは、大声でそう叫んだ。
………泣く姿を見るのは、それが初めてだった。
あまりにも悲痛なその叫びに、困惑の声が漏れる。何を言っているのかに、脳の理解が追いつかなかった。
「『隠さなくていい』……?リルが隠さなかったら、スバルが死んじゃうんだよ!?リルがどんな思いで堪えてるかも知らないで、無責任なこと言わないでっ!!」
その言葉が、電撃のようにスバルを打った。
………そうだ。
何を、寝ぼけていた。
リルが今、異常を誰かに訴えたとしたら。明らかな不調を訴えれば。今一番疑われるのは、スバルではないか。そしてその疑いはそのまま罰へと変わり、スバルを三周目と全く同じ末路へと誘うだろう。
だから、リルは隠してくれていた。他ならぬ、スバル自身を守るために。姉の性格を知るが故に。誰よりも、自分という存在の危うさに敏感だったから。
「………何でだよ」
だが。何故。
今のリルには、スバルを庇う理由がない。そんなことをしてくれる理由が、どこにもないのだ。
『謹んで拝命致します。もしもの時は、一切の躊躇なく、痕跡なく。屋敷から客人を追放しますよ』
さっきだって。ロズワールの前で、あんな冷たい声で。ああ言っていたではないか。
「………お前に、そんなことする理由、どこにも……」
「スバル」
悲しみの海に呑まれながらも。悲嘆の淵に暮れようとも。
明らかな落胆の含まれた声音に、スバルは今、自分がどれほど最低な言葉を口走ったか、知った。
「人が死んで欲しくないって願うことは、そんなに悪いこと……?……
「………ぁ……」
その言葉を。その問いの答えを。
よりにもよってリルに発させてしまったことを。スバルはこれ以上ない後悔と共に恥じた。
『だって、スバル。リルに嘘をつかなかったでしょ?冗談は言っても、悪い嘘はつかなかったじゃん』
『本当にそれだけ。ただ、スバルの目を見て。この人は、悪いことを考えてないんだってわかって。ただ目の前の相手を思う、綺麗な目だったから』
だってスバルは。その答えをとうの昔に得ていた。リルがたった数日の付き合いしかないスバルのことを大切に思えるほど、深い情を持った少年だと。そんな他人のために命を削るほど優しいのだと。誰よりも、誰よりも。この屋敷での日々で、実感したはずだったのに。
あろうことか、スバルはそれを疑って。そしてそれを問いとして、リルにぶつけてしまったのだ。あの日々を、思い出を。全て。
今スバルは、自らの手で否定した。
そして。そんな相手に、スバルは。自分を思ってあれほどの痛みを、恐怖を隠してくれていたリルに。『隠すな』だなんて。あまりにも無責任で他人事のような、惨い言葉を。
「違う………違うんだ、リル………俺は……そんな、つもりで……」
「………全部、知ってた。リルに殺されないか怯えてたことも。ロズワール様との会話を盗み聞きしてることも、知ってたよ……知ってて、それでもスバルは。リルのこと、信じてくれてると思ってた」
それは、衝撃の真実だった。
ロズワールとのあの会話を耳に入れたのは、本当にただの偶然だ。屋敷を歩く執事姿のリルを見かけて。珍しくてこっそり後をつけたら、そこがロズワールの部屋で。扉が開いていたから、会話が外に漏れていたのを聞いただけ。
だが。もしかすれば、それは。彼なりの忠告だったのではなかったか。今にして思えば、完璧な作法を身につけるリルが、扉を少しでも開け放しにするなど。扉の後ろで聞き耳を立てている存在に気がつかないなど。あまりにも、不自然すぎる。
わざと、スバルを突き放すようなことを言って。そして、客観的に今のスバルの立場を教えてくれていた。もう少し自然にした方がいい。さもないと、この屋敷から追い出されると。そう、教えてくれていた。
そのことに、スバルは全く気が付かずに───
「王都でリルを呼んでくれた時。嬉しかった。スバルがリルを信じてくれて、助けを呼んでくれて。ホントのほんとに、嬉しかったんだよ?」
全部、勘違いだったんだね。と。悲しそうに自嘲する。そんな、リルの姿を見ていられなくて。
「違う!俺は、お前のこと、疑ってなんて…!」
スバルは、最もしてはならない禁忌に手を染めた。
四周目の思い出を投げ捨てるに止まらず、その意義すらも。その誓いすらも。全てを足蹴にして、目先のことを誤魔化すためだけに、その尊いものに唾を吐き捨てたのだ。
「………ほら。嘘、ついた………」
彼の前で、嘘をつくことだけはしまいと。四周目に心に誓ったことを。スバルは、絶望の音と共に知った。
疑っていたのに。リルのことを、今の今まで裏切り者扱いしていたスバルの虚飾は、簡単に暴かれてしまう。
「………あ、違……」
咄嗟に口を閉じても。吐いた唾は飲み込めない。ついた嘘は、延々とこだまして。
執事服姿の子供の顔が、みるみるうちに潤んでいく。その原因が自分であることは、あまりにも罪深すぎた。
「下手な嘘。………すぐにバレちゃうの………なら。もう、何も言わないで。これ以上、リルにスバルのこと、期待させないでよ……!」
冷たい、淡々とした言葉を伴って。再びボロボロと悲しみの涙を流し。非難と絶望を目に宿し、リルはそう叫んだ。
「お願いだから騙してよっ!!お願いだからリルのわかんない嘘ついてよぉ!!そんな空っぽな嘘、つかないでっ!!」
「俺は、そんな……」
弁明の言葉すら、閊えて満足に発せない。反論の余地すらないことも確かだったが。そんな言葉を言う資格すら、今の自分にはないように思えたからだ。
そうして。
自らの弱さ故に、咄嗟にリルの目から自らの目を逸らしたのが、スバルの最たる愚行だった。
「───スバルの、バカぁぁぁっ!!」
最後にとびきり大粒の涙と嗚咽を溢して弱々しくスバルの胸を叩いたリルは、そのまま廊下へと走り去ってしまった。輝く涙の線が、その軌跡を残して月光の元に輝いた。
その感触は、締め付けられるような痛みに襲われ続ける胸に、延々と残り続けていた。
子供らしい罵りの言葉が、工夫を凝らされたどの罵倒よりも、ずっと痛かった。
よし。廊下50m走タイマーストップ。記録はなんと5.26。いつも通り世界記録ですね。これならこの先の冬季
あ、どうも。僕です。
最初ガチ泣きしたけどあとは全部演技だよ。感動、ありがとう。ありがとう。全部無駄だよ。
僕だ。
いやぁ、我ながら名演技だった。最初の一言だけ本音だったけど、真っ白だった頭からあそこまで繋げられたらほぼ満点だろう。
やりきったぜ………ふぅ。
いやね。こちとら心臓握り潰されとるんだよ。結局は自分のせいだから、それ自体には納得してるんだけどさ。何で暴こうとするの?
僕を巻き込むって知ってたらスバル君そうそう死に戻りペナルティ使えないじゃん。あれ使わないと魔獣戦はともかく、白鯨戦とかぶっちゃけ無理ゲーよ?ペテ公追い出すのも無理だし。武器の一つをここで潰すのはちょっと……
スバル君のために愚痴を溢すの我慢してたのに、そのスバル君に『我慢するな』って言われてキレてしまった。反省反省。
幸いにも、実際に僕が心臓を握り潰されたとまでは気づいてないみたいだったので、そこは誤魔化した。そこまで知ってたら何で僕が生きてるのかって話にもなるしね。
なんにせよ、だ。あの会話を盗み聞きしていたスバル君にとってはかなりのダメージだろう。なにせ、疑った相手が実は変わらず自分のことをずっと庇い続けてくれていて、心臓を握り潰される痛みを味わっても知らないフリをしてくれていたのに、『我慢しなくていい』なんて台詞を吐いてしまったのだ。
それにこの屋敷でずっと仲良かった僕との初めての仲違いだ。スバル君の顔がどんどん……いひっ……うへへ………
「リル、大丈夫ですかっ!?」
「…………下姉様……」
あっぶね。表情崩れかけてた。
………ビックリした。急に話しかけて来られると顔面崩壊しかけてることがあるから困る。見られたら一万年と二千年の恋も冷めるくらいあられもない顔してるからね。しかもこれ一回なると戻すのに時間かかるんだよ。
てか、気づくのが早かったな。流石にあの会話聞かれるわけにもいかないから、陰魔法で音漏れないようにしてたんだけど。
我、できるメイド故。アフターケアも万全よ。
涙を拭うフリをして顔を隠し、頬を引き締め直す。下姉様はその僕の手を心配そうに取って、顔を覗き込んだ。
凄く………近いです………姉ながら整った顔は目の保養だ。僕もだけど。肌もシミひとつないくらい綺麗だし。僕もだけど。
あといい匂いがする。ははーん、さては美少女だな?僕もだけど!
「やっぱり、泣いて………それに、魔女の臭いが……あの男……!」
あっ、あっ。あんまり怒らないで……(歓喜)
泣き腫らした痕を確認したからか、怒りに満ちた形相でスバル君がいる先の廊下を見る下姉様。そういえば、スバル君のペナルティの分もあって魔女の臭いも濃くなってるんだったね。
うーん……今殺して、スバル君が一生仲直りできないってことに絶望して自分を責めると凄く興奮するんだけど。
でも、二つの柱である僕を失った状態でもう一回立てるかな、スバル君。それに今の状況だと死んで関係がリセットされることちょっと安堵がありそう。
今の状態で四周目みたく下姉様落とされてもたまんない。
あ〜……ほんとに僕がいない状態で、どうやって下姉様落としたんだろうな。その方法がこの周でも通じるようだったら、下手にスバル君に下姉様けしかけるのは下策だし……
しょうがない、止めるか。
「違うの、姉様……!これは、リルが勝手に……スバルは、何も悪くなくて……!」
「リル……!………いくらリルが言っても、レムはもう……これ以上、あの男のせいでリルが傷つくのは耐えられないんです!今すぐにでも殺して……」
「下姉様っ!!」
強く呼びかけて、手を思い切り握る。
柔らかっ。細っ。僕じゃん。
………にしても、下姉様。嘘はいけないな。
「お願いだから!」
下姉様が本当に見たくないのは傷つく僕じゃなくて。
昔の自分みたいに僕を傷つける、スバル君の方でしょ。
「リルに、スバルを殺させないで……!」
だからこそ。姉様が僕を言い訳に、自分勝手にスバル君を殺すことは、僕がスバル君を殺すことと同義だ。状況の理解が早い下姉様なら、きっとこの言葉の意味も理解できる。
震えた声で懇願すると、下姉様も怒りのボルテージが下がったのか、その表情をゆっくりといつものものに戻していく。リル、その顔の方がいいと思います。
「わかり、ました。………ですが、次。……次に、同じことがあれば。レムは、自分の正気を保っていられる自信がありません。……今度こそ、レムはスバル君を殺しますよ」
「……ごめんなさい、下姉様。それでもリルは、スバルのことを信じてあげたいよ」
「謝らないでください……!リルが謝ったら、レムは一体、どうすれば……!」
ま、そうなるよね。僕の庇うスバル君に怒りをぶつけられず。僕が謝ったせいで自分自身にも怒りの矛先を向けられず。当然僕にも苛立ちを感じられない姉様は、燻った感情をそのままにしておくしかない。
リル、その顔もいいと思います……
「……下姉様。スバルはきっと、下姉様が好きになれる人だと思う」
「………レムは。姉様とリル以外が、レムに必要だとは思いません」
根拠が薄い今、ただ憎い相手でしかないスバルのことをそう言われて、嫉妬と怒りを露わにしながら姉様は自分の部屋へと帰っていく。
ロズワールが消えた!ザマァ!!
………さてさて。
とりあえず外形だけは保てたけどさ。これ、スバル君大丈夫かな。大丈夫じゃないよな。
……失敗したら来世に期待してくれ。
僕と言う希望を失ったスバル君。この崩れかけのバランスの中で一体、どう出るかね。
よし!難しいことを考えるのは面倒だからお風呂に入ろう!
「………お風呂、入りますか?」
……若干不機嫌気味な下姉様と一緒にね!!
気まずい!!!!!
愉悦で完全に立ち直ったリル君。立ち直ってしまったリル君。
嫉妬の魔女「キレそう」
昨日のように、作者は更新をドタキャンしたり遅らせたりドナキャンすることがあります。そういった場合は作者のTwitterの方に報告等載せておりますので、そちらをご覧ください。
https://twitter.com/NeruNe_write
作者の爆死報告等もあがっております。感想欄で作者の悪口書かれるより、こっちで「爆死wwwお疲れ様ですwwww自分、呼符で引けましたけどwww」ってリプされた方が100倍ダメージでかいので止めてください。作者が二度と更新しなくなります。