みんな、ほぼ一ヶ月遅れだけどあけおめっ!作者です!
『匿名』さんからいただいた挿絵ドンっ!!随分前にもらってたのに公開遅れてしまって申し訳ねぇ!
【挿絵表示】
番外編。IF√その一です。もしもエミリア陣営スタートではなく、フェルト陣営になっていたら……というお話。愉悦対象は主にレムとフェルトです。
本編とは全く関係がありません。ご了承ください。
原作五章を見ていらっしゃらない方はネタバレもありますが、こちらの記事に目を通してからご覧になることをお勧めいたします。
自分が誰か、わからない。
自分とは、いったい何だっただろう。
自分とは、いったい何の価値があったのだろう。
それは、突然のことだった。
突然の、選択だった。
選ばざるを得なくて。
選ぶ必要すら感じられない運命で。
結果、自分は全てを失った。
わからない。わからない。わからない。
世界が、わからない。
世界から突き放された、何もかもから忘れられた。
自分自身が、何よりも。
僕は───
『お前は誰だ。■■■』
どんぶらこ、どんぶらこ。
川から、木製タライが流れてきました。
どうも。僕です。
黒塗りの高級車に轢かれて意識を失い、目が覚めたら赤ん坊になって川下りしていた件。
僕だ。
アイエエエエ!?ナンデ!?ニンジャナンデ!?
これはあれですね。今時流行りの異世界転生ってやつ。そしてどうやらこの世界は桃太郎で僕は主人公のようだ。憑依ってやつか!
HAHAHA!!
桃どこ行った。雑に桶にのっけられてどんぶらこしてんだけど。風がちべたい。え?なに?もしかして今からおばあさんに洗濯されたりするの?何だその急展開桃太郎。逆に見てぇわ。当事者じゃなかったら。
あかん死ぬぅ………
現実逃避してたけど、どう考えてもこれ捨てられちゃってますよね……初っ端から捨て子とか難易度どないなってんねん。ここはあれか、虚淵作品の中だったりするのか。
なんにせよ、ヤバいものはヤバい。今僕は何の力も持ってない赤子だ。転生したのか憑依したのかとか置いといても、どれだけ転生特典云々があっても、川を漂流してればそのうち死ぬ。
頼む。この世界が近未来かもしくは現代設定か何かで赤子を助けるお人好しが沢山いる世界であってくれ!!
願いつつ、必死に声を出して場所をアピールしようとする。
だが、現実は無常。声と言っても満足に口も動かせないそれでは泣き声を出すのが精一杯で、ついでに周囲は声がこだまして帰ってくるくらい静まり返っていた。どうやら、周囲は人がいるような場所ではないらしい。
青い空しか見えないから何とも言えないが。僕が勝手に桃太郎に当て嵌めてただけで、もしかして海説ある?
どちらにせよ、人がいないなら声をあげても仕方がない。体力の無駄だ。ひとまず声を出すのをやめ、僕は周囲に耳を傾けた。人工音らしきものが聞こえてきたら、再び声を出して発見してもらうために。
せせらぎ。そよぐ風とそれに揺れる木々の音。小鳥の囀りに、あとは───
それらの風情を台無しにする、滝から大量の水が落ちるが如き轟音。
……………
…………
………
……
…
……………ダメみたいですね。
あっやだ浮遊感が
死〜ん。
ご臨終。
いや、うん。助かりはした。命だけは助かった。
なんとまぁ驚いたことに、ご親切にも滝からの落下中に助けてくれた奴がいたのだ。明らかに人間技じゃなかったから、確実に現代社会に再転生という筋は無くなったんだけど。
たださぁ………
「きゃはっ!なんかがきぃきぃ喚いてっかと思ったら、キャワイイキャワイイ赤ん坊たまじゃねぇですか!まだ何にも知らない、無垢で無力で無駄で新鮮な、名前もわかんねぇクズ肉!興奮して汁すら流せねぇ惨めな体でよぉく生きてられますねぇ!?」
くぉれはないんじゃないかなぁ…………
羽のような、明らかに人間でないパーツが生えたソレ。金髪で紅の目をした幼女の体に、水着のような露出の多い服。ついでに腰につけた球状の金属。
どう考えてもカペラ・エメラダ・ルグニカさんです。本当にありがとうございました。
この世界リゼロかよぉぉぉ!?よりにもよって!?虚淵作品よりマシだろうけど!?あんなに異世界転生量産されてる中でリゼロって……おま、おまえぇぇっ!!
………今僕を抱えている金髪ロリ幼女の名は、『カペラ・エメラダ・ルグニカ』。他でも無い、この世界でのカルト教団、もといテロリストにあたる魔女教の幹部クラスの一人、『大罪司教』の『色欲』担当。権能で自分や相手の容姿を龍からハエまで好き勝手にコロコロと変えてしまう、この世界のチートキャラの一人である。
何故か『Re:ゼロから始める異世界生活』の舞台であるルグニカ王国の過去の王族の名を名乗り、あまりにも下品すぎる口調で題名の『生活』の部分を『性活』にしかねないガチ狂人。作品がR15になった要因多分カペラさんもちょっとはあると思う。
そして今助けられたんですよね。リゼロ世界明らかやべーやつ第一号に。あっ……(察し)
これ、人生詰んだのでは……少なくとも日の元を堂々と歩けるようにはならなさそう……
てか何でこんなとこいるんだよアンタ。たまたま偶然ここを通りかかったとかだったら僕の不運鬼がかってるだろ。
「滝から流されて来たってことは、もちかちて僕ちゃん捨てられちゃったんでちゅか?きゃはは!かわいそ!アタクシはてめーが愛おしくなるくらい可哀想に思っちまいましたよぉ!辛いかったねぇ。怖いかったねぇ。ならならならなら!アタクシが癒してさしあげよーじゃねーですか!アタクシ、尽くす女ですから!」
ふええ……なんか言っとる………こっわ……
「ふぇ?」
と、徐にカペラが僕を包んでいた毛布を剥がす。当然、赤子なのでその下は全裸である。
きゃー!えっち!もうお嫁に行けなーい!って、『色欲』だからえっちなのは当然か。
「あぁ?てめー、オスでしたか。……きゃはは!いいこと思いつきやがりましたーっと」
ガン見したの股間かよ。ひでぇなこの人。
とはいえなるほど。男か僕。そりゃ朗報。TS転生でメス堕ちせずに済む。………カペラさんの権能で女に変えてやろうとかないよね?無いよね?次のセリフがアタクシが女にしてやるとかだったら抵抗するよ。絶対勝てないけど。
ただ、独り言はそれ以上続くことなく、カペラは酷く凶悪な顔を作ってから、己が権能によってか肉体をそのままに背から龍が如き翼を生やす。ヒェッ。
片手で乱暴に抱かれた僕は、そのままカペラによって天空へと誘われた。お持ち帰りぃ!
いや怖っ。空飛ぶの怖っ。ちゃんと握っててくださいよカペラさん。おっことして気づかなかったとかあんたならやりそうだから怖いんだよ。いや、そもそも存在自体が恐怖でしかないんだけどさ。今やってることただの幼児誘拐だし。
それでもこのまま野垂れ死ぬよりは何倍もマシだから抵抗はしない。というか選択肢がない。万が一カペラの気が変わったとしても、結果はきっと赤子の死体が一つ増えるだけだ。それなら、大人しく従っていたほうが何倍もいい。
…………え?赤ちゃん相手にゴリゴリの拷問とかしたりしないよね?
大丈夫だよね?いくら大罪司教だからってそこまで人間性終わってないよね?
いや終わってたわ。人間ハエに変えるレベルで終わってたわ。だって究極の自己中だもんこいつ。
もうダメだ……おしまいだぁ……
こうして僕は、この世界で一番のガチ狂人によってドナドナされたのでした、まる。
たしけて。
フェルト√ 災厄その1
レムにこれ以上の劣等感を抱かせないため、ラムに川に流される。
フェルト√ 災厄その2
育 て 親()
最初からクライマックス。なお、この世界線でのリルくんは生後すぐの目が見えない状態で川にスローインされたので自分がラムレムの弟だということをそもそも知りません。
カペラルートと間違えたかな?と思われた方。安心してください。あまりにカペラさんを出すとセリフだけでタグにR18をつけなくちゃならなくなるので、カペラルートはありません。
更新に関してですが、火・木・土くらいを目安にやっていこうかなぁと思います。理由?なんとなく。てかそれが多分作者が一番やりやすいから。たまに先走ったりサボったりもあると思うので、それらの情報はTwitterにて。