目が覚めたら難易度ナイトメアの世界です   作:寝る練る錬るね

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 みんなは何歳の幼女が好き?作者は200歳以上かな!

 ちなみに、リル君が三歳ということで鬼族の村では魔女教ヒャッハーしてたりするんですが。特に関係ないので省略。パンドラ様は不在だった模様。


フェルト√ 好きな幼女は八歳です!

 

 

 そんな風に、僕を睨まないでくれ。

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 ほいほい。どうもどうも。未だ三歳。けれど容姿は七歳弱。リルでございます。

 

 ぶっちゃけメィリィが来なくて焦りを感じ始めてるよ。

 

 ……………マジで言ってますか。

 

 えっ?僕が来たせいでメィリィ来なくなる説微レ存?今のところ新しく来る子とかいないし、そもそもメィリィ僕より年上だろうし

 

 問:メィリィがいなくなったらどうなるか。

 

 A.2章以降が崩壊。魔獣騒ぎが起こらない。

 

 ………すぅぅぅっ……(クソデカ深呼吸)

 

 エルザァァァァァッ!!ちょぉぉぉっとばかし魔獣の女王的な存在の名前を聞きつけて攫ってきたくならなぁぁぁい!?お仕事しよっか!!労働は国民の義務だよなぁ!?

 

「リル、また変なお顔」

 

「ほっときゃいいだろ。いつものことだ」

 

 むっ。ティフィとソアラ。君らは君らで僕のことを顔芸役とでも思ってないか?傷つくぞ。こんな美少年なのに。いや、二人もそうだけどもさ。

 

 てか、マジ『色欲』アジト顔面偏差値高すぎんよぉ……スバル君とか来たら目が潰れるんじゃなかろうか。前の世界なら国に一人いるかいないかくらいの美少女美少年がすっぴんで溢れかえっとるんやぞ。小学校に通ったら確実に子供たちの性癖が歪むわ。

 

「………手加減はしてあげてね」

 

「なんの話〜?」

 

「にらめっこの話。あっぷっぷ」

 

 先手変顔、と思ったら不思議そうな顔をされた。そうか、にらめっこないんだよな、この世界。

 

 にしても、はぁ……うちの子達かっっわ……永遠に睨めっこできるぞ……やっぱり子供ってば無限に可愛いよね。礼儀が悪いクソガキはともかく、うちのはそんなこともないし。そういうとこカペラ(母さん)に似なくてほんとよかった。

 

「てか、エルザ姉遅いな。今日は来るって言ってたのに」

 

「ソアラ、一日間違えてる。エル姉が来るのは明日〜」

 

 おっとりさんのティフィがそう告げると、ソアラが首を傾げて天を仰ぐ。現在、エルザもカペラも不在故にアジトは僕ら子供組だけだ。………『色欲』に恨みを持つ奴らに強襲されたらどうしよう、と低い可能性を検討。勝てねぇな、うん。

 

「ソアラってばドジだなぁ。そんなにエルザに会いたかった?」

 

「だってエルザ姉いないと退屈じゃん。それと、俺が好きなのはママだ」

 

「わたしもママは好き〜」

 

 恥ずかしげもなくそんなことを言う二人。血が繋がってたらマザコン待ったなしの台詞だけど、ここでは逆に母さんを好きでないと生きていけない。僕は普通だ。ライク的な意味ではそこそこだけど、ラブ的な意味ではドベ。サイコは趣味じゃありません。エルザも同様。口にする時は好きって言うけど。

 

「にしても、リルもティフィもよく日数覚えてるな。ずっと中にいるから忘れちまうよ」

 

「寝たら一日がきじゅんだもんね〜。わたしはなんとなくで測ってるけど、リルは?」

 

「有能な時計を飼ってるから」

 

「………腹時計、とかいうオチじゃねぇよな」

 

「大当たり」

 

 今は多分昼の三時とかかな。こっちで言えば陽日九時。おやつどきだ。甘いものなんてここじゃ滅多に手に入らないが。

 

「ちぇっ。暇だな。ガキたちも世話が終わって今は寝てるし、ママがいないから外で遊ぶこともできないし」

 

「エル姉がいたらまた別なんだけどね〜」

 

「エルザの遊びはちょっと刺激強すぎないかな……」

 

 エルザの遊び、もといおままごともどき。言ってしまえばTRPGといった具合で、エルザの旅の話を元にしたストーリーで空想を広げていくと言うそこそこ面白いものではあるのだが、どう言うシステムになっているのか、最終的には全員腸を引き裂かれて終わる。剣聖の末裔だのなんだのと好き勝手に設定を付け加えるも、どれもあえなく惨死。今まで50体以上のオリジナルキャラクター達が無惨な死を遂げた。

 

 しかもいちいち表現がエグく、描写が生々しいこともあって『剣で斬る』やら『弓で射る』程度の言葉しか発せない僕らの語彙力では到底エルザを言い負かすことなどできない。仕方なく、これができる人がいればいい、役割を分担していけばいいなどと作戦を練ることになる。

 

 ………もしかして今のうちからの戦闘訓練だったりするのかな。柔軟に頭を使う練習とか。

 

 そんな思案をよそに、ソアラは勇者然としたイケショタフェイスを歪め、ゴロンと床に転がった。

 

「あーあ。俺ら、いつになったら外に出れるのかね」

 

「しょうがないよ。わたしたち、ママに拾ってもらった子なんだから。ママの言うことは聞かなきゃ〜」

 

「そりゃそうだけどさ……でも、もう俺ら十歳近いんだぜ?リルはともかく」

 

 むぅ。疎外感。

 

 だがしかし。言われてみればそうだ。ソアラは確か今年で10だし、ティフィは今9つ。二人とも遊び盛りで、普通なら外でも駆け回っているような歳だ。そんな子が、生活基盤や仕事が用意されているとはいえ軟禁生活は、多少なり思うところがあって当然だろう。陽の光も差し込まないここでは、日にちを数えることですら一苦労だし。

 

 アジトは、基本的に脱出不可能な作りになっている。僕らがいる場所もそうだが、アジト全体から出入りできるのはごく一部の人間だけだ。なぜだかと言われれば『立地がそうさせている』としか言えないのだが。脱走なんて企てれば三重の意味で死ぬ。だから、こうして僕らは燻っている。全ては、カペラが外へ出す許可を得させるまで。

 

「リルはどう思うんだよ。不満とかねぇの?」

 

「うーん……ない、かな。こんな場所にいるから、二人とこんなに仲良くなれたし。エルザにも母さんにも、みんなにも会えた。ずっとこのままでいいくらいかも」

 

 嘘です。

 

 本音はめっちゃ出たい。

 

 やだぁぁもぉぉぉ!監禁とかふざけんなカペラぁ!折角リゼロ世界に転生したんだからもっと暴れさせろ!させないにしてもスバレムを見せろ!愉悦をさせろぉぉっ!!

 

 カペラとかエルザ相手とか、どうやったって愉悦できねぇじゃん!罪悪感とかと無縁の二人でしょアイツら!

 

 かといってこの二人に対しても、そもそも行動範囲が狭すぎて愉悦どころじゃない。ホントに愉悦分が足りてないよう……このままじゃ無垢なショタロリに浄化される……

 

 あ、でもこの二人と会えたのは僥倖だったと思う。普通にいい子達だし、心の底から家族だと思ってる。孤児√まっしぐらだったからね。二人とカペラとエルザには感謝してるよ。

 

「ふぅん……へぇ……そんなもん、かね。ま、俺もお前らのことは嫌いじゃねぇけど?」

 

 おっ?照れとるんか照れとるんか?ツンデレなんかぁ?ちょろいガキめ。ええ顔するやないか。今のうちに照れさせに照れさせてやんよ。

 

 照れ顔をチラリさせるソアラは、けれど少ししてその表情を真剣そのものに変える。

 

「……でも。俺は外に出たい。外に出て、金を稼いで。それで、育ててくれたママやエルザ姉に恩返しをしたいんだ。もちろん、お前らを養っていけるだけの金も稼いでやる。そうやって世界一の大金持ちになって……それでママを嫁にする」

 

 ほうほう、中々いい夢………

 

 ちょっと待て。なわかいまへねこといわねかた?

 

 ……なんか今変なこと言わなかった?

 

 えっ?この子……母親が喜ぶ子供のセリフ第一位をガチで叶えるつもり?えっ?マジで言ってんの?

 

「若い身空で人生を捨てる気!?」

 

「ママをおよめさんにするの〜?」

 

「………リルが何言ってんのかは分からないけど。おう、そうだ。それで家族全員幸せにして、こんな風に遊び辛くない、広い孤児院作るのが俺の夢だ。どうだ?いいだろ」

 

 ………は、はええ………

 

 子供の発想力には驚かされるな……いや、あのカペラと結婚…………はぁぁ、なるほどね。

 

 はぁぁぁぁ。

 

 ………どうにかして諦めさせないと(義務感)あんな破廉恥な娘にうちの子はやれない。

 

 いやでも、子供の夢だかんね!歳を取れば変わると信じよう!うん!きっといつか振り返って、あんな時代もあったなぁ的なことを言ってくれるはずだ!うん!

 

 にしても、孤児院か。カペラから直接的にそんな単語を聞いたことないけど、多分二人はそんな風に認識しているのだろう。愛の養殖所なんて突飛な考えに子供が至っても怖いし。

 

「ティフィは?ないのか、夢」

 

「ん………ないかなぁ。わたしは、ママやみんなと一緒にいられればそれでいいよ〜」

 

「そか。なら、決まったら教えてくれ。決まらなかったら、俺と一緒に働こうぜ!リルもそうすれば、ずっとみんな一緒だ!」

 

「ええ……リルも働くこと前提?」

 

「いいじゃんか。子供あやすの上手いし、お前には才能がある!俺が保証するぞ」

 

「それはわかる。リル、赤ちゃんたちに人気だし〜」

 

 げっ、逃げ道潰された。

 

 むぅ。僕は二人を庇って涙ながらに惜しまれながら死ぬことが夢なんだけど……

 

「じゃあ決定!みんな纏めて、うちで働かせる!」

 

「うん。それならわたしも、ソアラのところで働くかな〜」

 

「………降参。わかった、手伝うよ。孤児院開いたらね」

 

 二対一で押し切られ、敢えなく両手を宙に上げる。ここで断るほど鬼じゃないし。まぁ、それも何年も先の話になるだろう。カペラを嫁に、のあたりは一生かかっても無理そうな気がするし、孤児院って意外とお金かかったんじゃないかな。

 

 でも、その時はその時。身内のよしみだ。異世界行ったらこれでお金稼ぎましょー的なテンプレ情報チートでどうにか助けてあげるとしますか。

 

 やれやれしょうがない奴らだぜ的なアレに浸っていると、ふと背後にいるヤチェ(赤ん坊)たちと目が合う。寝ていたはずの彼らと、目が合う。

 

「って、やっべぇ!話しすぎた!ガキ達起きてる!」

 

「あ〜…他の子も泣き声で起きちゃった〜」

 

「あはは……将来云々の前に、目の前のこと片付けなきゃだね」

 

 慌ただしく、分担された仕事を慣れた手つきで行なっていく。

 

 こうして。どうやら僕は、将来の勤め先が決定したのだった。

 

 ………しばらくは、こうやって日々を過ごすのもいいかもしれないと。ふと、子供達の世話をしながらそう思った。

 




あと1話後に本気出す。

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