目が覚めたら難易度ナイトメアの世界です   作:寝る練る錬るね

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フェルト√ 「そこから13+√3iの方向に直進してください」

 これは、醜い自己愛とエゴの吐露だ。

 

「ティフィ、ティフィ……!ティフィ……!」

 

 おかしい。

 

 最近の僕は、おかしい。

 

 おかしいのだ、僕は。

 

 こんなに近くにあるものが。あれほど近くにあったものが。今なお、僕を助けてくれるものが、わからない。

 

「ティフィ……ティフィ……!」

 

 この体が。リルが。たしかにその音を覚えている。その言葉を口に出したことを。その喉を、口の形を。全て覚えている。

 

 忘れないとも。ああ、忘れない。その瞳も。その顔も。その体も。美しい意思も。僕を救ってくれたあの光景を、この三年で忘れたことはない。

 

 覚えている、はずなのに。

 

「きみは……どこにいるんだ、ティフィ……!」

 

 紛い物の名前でずっと誤魔化してきた。『フィアラ』を名乗ることで、ティフィとソアラの二人を探すフリをして、日々を騙し騙し乗り越えた。自らの欲を満たして、何の関係もない少女を貶めて、昏い欲望に身を委ねていた。

 

 でも、もう限界だった。

 

 忘れられたならよかった。『生きろ』というその言葉を。わがままを。或いは、彼女自身を。

 

 忘れられるはずがなかった。どれだけフェルトと、ロム爺と。幸せな時間を過ごそうと、軽口を叩こうと。肉欲に溺れて、誰かに身を預けているときですら。僕の頭には…………『慧眼』には、ティフィのことが焼き付いている。

 

 焼き付いていると言うのに。彼女との思い出は、全くの空っぽ。大切だと思う気持ちがあっても、その裏付けがない。信用も、信頼も。その記憶がなければ薄っぺらい盲信だ。

 

 僕とティフィの間には、記憶のことごとくが欠如していた。ティフィがどこの誰で、何が好きで、何が嫌いで。何が得意で、何が苦手で。元は(・・)どんな少女だったのか。もしくは、少女ですらないのか。

 

 あの日。僕がティフィを殺して、『色欲』のアジトを抜け出した日のこと。ティフィは死ぬ寸前に、その加護で以って僕に情報を流し込んだ。

 

『慧眼の加護』。目を合わせることで思考を読み取ることができるその力を流用し、ティフィは僕へと記憶の全てを流し込んだ。

 

 記憶の奔流。呑まれる中で『■■■』という天使の悪魔と、『■■』という少年を見た。

 

 二人は、ティフィにとっての全てだった。その全てが、『■■』を押し流し、纏わりつき。結果として、一つの人格となった。それが、今の『僕』だ。

 

 だが、そこにティフィという少女の記憶はなかった。自分自身のことを正確に把握し、日々認識している人間などいない。ただそこにあったのは、長い間積み重ねられた好意と、恋慕と、深い、深い、親愛。

 

 与えられたのは、ツギハギだらけの記憶。『色欲』を唆らせる身体。壊れた心。

 

 まさに伽藍の洞だと、小さく笑っていた。

 

 

 

 お前は誰だと、声がする。

 

 

 

 他人からの情報で出来上がった、確証のない自分。ただ『知っている』というだけの、与えられたものだけで出来上がった自分への、意味のない自問自答。

 

 何かしても、それが本当に自分の意思なのか疑いたくなる。そもそも、僕は本当に僕なのだろうか。

 

僕とは、なんだ。

 

 その問いに、未だ答えは出せていない。一年前のあの日から、かかった呪いは解けないまま。鎖となって心を締め付ける。

 

 助けられない。助けない。救済されない。贖罪がない。始まりがなければ終わりもない。記憶がないから道筋がない。

 

 助けて欲しかった。誰かに、答えを教えて欲しかった。

 

 何度も、何度も誰かに問おうとした。宛先のない問いを放とうとした。『僕は誰だ』と。それでも、いざ声に出そうとすると、心の奥がきゅうっと締まって、言葉にするのを躊躇った。

 

 いまさら綺麗ぶるな。お前は、ティフィを殺した人間だ。許されてなどいない。救いを求める資格などない。

 

 それに、虚飾塗れでツギハギの僕を、好き好んで救ってくれる奴なんているものか。

 

 なら。誰も愛してくれないなら。誰も僕を見てくれないというのなら。

 

 思う存分。堕ちるところまで、堕ちてやる。

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

「嬢ちゃん、奇遇だね。どう?俺たちと遊んでかね?」

 

 こんな時に、ついていない。

 

 言葉の軽薄さとは裏腹に、ガッチリと武装した集団を目の前にして、フェルトは思わずそう溢したくなった。

 

 フィアラに暴言を吐き、自己嫌悪の中逃げ出し、駆け出し。逃げて、逃れて。アテもなく彷徨っていた。どうしてあんなことを言ってしまったのかと、冷静になった必死に考え尽くしていた。

 

 そうして、その路地裏に迷い込んだのはなんの偶然だったろう。ただ、考える時間が欲しくて。フェルトは何も思わず、落ち着けそうな暗く、細い道へと足を運んだ。

 

 結果、袋小路に自分から入り込み、こうして正体もわからないゴロツキ擬きに追い詰められている。

 

「で?どーよ。俺たちに付き合ってくんね?ちょっと遊ぶだけで終わるからさぁ」

 

 下卑た笑みを浮かべる男たちは、騎士団もかくやと言わんばかりに剣やら盾やらでフル武装。ナンパや恐喝の類でないことは一目瞭然。だというのに、先ほどからフェルトを付け回し、逃げ道を塞いでおいて『一緒に来い』と誘ってくる。

 

「…………そんな仰々しいカッコで信用なんてできっかよ。わりーが手持ちもねーからよ。集るなら他所でしてくれや」

 

「いやいや。金は十分あるんだよ。ちょーっとついてきてくれるだけでいいからさ。ね」

 

 軽薄な態度で、けれど言外に逃がすつもりは無いと伝えてくる男たち。その目的を読むことができず、フェルトは軽く冷や汗を流す。

 

 フェルトの身軽さなら、男たちを飛び越えて…………或いは壁を乗り越えて、ここから逃げられるだろうか。

 

 それも否だ。何かしらの中継や足場があるならともかく、十メートル以上の高さの壁を何もなしに越える跳躍力は今のフェルトにはない。そして測ったように、この袋小路は綺麗に物が撤去されていた。

 

 そもそも、ここまで追い詰める手際が良すぎる。いくら感情的になっていたとは言え、こんな武装集団をたまたま見逃し、逆に相手には目をつけられる。そんな偶然が、果たしてあるのだろうか。

 

 ──となると。目的は、アタシか?

 

 恨みなど、いくらでも買ってきた。心当たりは多い。流石に貧民街のドブネズミを相手にここまで周到な準備をしてくる相手は限られてきそうではあるが。それでも、今の状況が自業自得であると断言できるほどにはフェルトの素行は悪い。

 

「こりゃ、詰みかな……」

 

 今日向かい合ったシャトランジ盤を見るように、嫌なくらい冷静にその思考に行き着いた。逃げ道も、勝ち目もない。このまま捕まって、無事でいる保証もない。

 

 どう考えても、この状況でフェルトに出来ることなどありはしなかった。

 

「そうそう。諦めるのが正解だよ。大丈夫、悪いようにはしないさ。雇い主の意向でね。連れて来いって言われてるだけだから」

 

 フェルトの小さな呟きを拾い、男が傲慢とも取れる態度で飄々と言ってのける。その態度に腹が立つ…………が、抗う術があるはずもない。

 

 本当に、言う通りにするしか無いのだろうか。

 

 そう、覚悟して。

 

 

 

「乱入するのは簡単。だって何物にも穴は沢山あるもの。性的な意味で」

 

 

 意味不明なことを口走りながら、フェルトが飛び越えるのを諦めた壁の上から人影が落ちてきた。

 

 流麗な白髪。そこから覗くのは高貴な藤色と、色とりどりの光を写す二色の瞳。とても人間とは思えない妖精のような幻想が服を纏い、この場に顕現する。

 

 その美しさと、抱いてしまった安堵を嫌悪しながら、フェルトは小さく唇を噛んだ。

 

 

「なんで……来ちまったんだ!アタシは…………!アタシは……お前に…………!」

 

 傷ついたはずだ。傷つけたはずだ。相手の過去を軽視して、無神経に刺激する最低の一言を、フェルトは発したはずだった。

 

 だというのに、何故。どうして、助けようとしてくれるのか。

 

「フィアラ……!」

 

 フェルトの問いに、フィアラは答えなかった。

 

 ただ。答えの代わりに、フェルトを庇うようにして武装した男たちの前に堂々と立ちはだかる。

 

「何こっち見てるの?キモいんだけど。幼女趣味?てかおっさんたち、誰?」

 

 そして、普段からは考えられない辛辣な口調で、男たちを挑発した。

 

 なんなら、そのまま舌でも出してしまいそうな雰囲気だ。普段のハキハキした口調とは全くの別物。相手を侮辱し、逆上させるための弁舌だった。

 

 当然ながら、男たちは集団にして怒りの感情をあらわにする。しかし、リーダーらしき一人は冷静で、軽く前に出てから軽く手で御した。

 

 どよめきが消えるのを待ち、男はフィアラへと向き合う。強面のその顔には、いかにも今貼り付けましたと言わんばかりの薄い笑みが張り付いている。子供だからと、甘く見ているようだ。

 

「まぁ待て。威勢のいい子は嫌いじゃない。しかし、この人数相手だ。どれだけ挑発しようが、どうせ敵わん。それがわかったら、とっととこっちに……」

 

 

おっさん。口、臭いよ?

殺す!

 

 

 嘲笑とともに放たれた言葉に、男は浮かべていた笑みを引き攣らせ、明らかな怒気を発する。まごうことなき本気(マジ)ギレだ。一瞬の煽りは、どうやら相手の痛いところにこれでもかと突き刺さったらしい。

 

 だが、煽ったところでどうなる。人数差や地位的不利はひっくり返らない。

 

 ゴロツキの中には巨大な剣や斧剣(ハルバード)を持っている者もおり、素手で立ち向かうことがどれほどの無謀なのかは一眼見てわかる。なにより、その人数だ。三十人ほどだろうか。それほどとなると、もはやそれは壁。詰め寄ってくるだけで、質量の鬼となりうる。

 

「躾けてやるよ、クソガキぃ……!」

 

 怒りの声を上げて、男たちがジリジリとにじり寄る。

 

 一度、フィアラが似たような相手を伸すのは見ている。だが、それは相手が完全に油断していて、かつ非武装の状態での話だ。どれだけフィアラが不意打ちに長けていようが、戦闘モードで警戒中の相手……それも二桁を相手に、どこまで太刀打ちできるものか。

 

「やめろ、フィアラ!コイツらはアタシが目的なんだ!お前一人なら、いくらでも……!」

 

「わぁ、そんなおっきいのでされたら、どうにかなっちゃいそー」

 

 呑気な声を上げながら、惚けるように手を上にやるフィアラ。言葉とは裏腹に、観念したとも取れる行動。不審な動きをすれば、それが開戦の合図となるだろう。戦闘中とは思えない一挙一動に、男たちの目は惹きつけられる。

 

 惹きつけられたその目は…………

 

 

『エル・ジワルド』

 

 

「ぐ、が……!?」

 

 突如その手から発された極光により、網膜ごと焼きついた。

 

「ま、やらせないけどね」

 

 陽魔法。フィアラが使えるという希少属性。まさか、この小さな図体の子供がそんな凶悪な魔法を使うなどとはつゆほども思わなかっただろう。突然の目眩しに男たちの陣形が乱れ、僅かな、けれど確かな隙が生まれる。

 

「…………何、が……!」

 

「いっぱい出してね♡……血とか

 

 未だ状況を理解していない男たちの頭上に、フィアラは手がブレるような速度で何かを放り投げた。不透明なその液体は、あっという間に雨あられと男たちへと降り注いだ。

 

 その液体……薬品には、フェルトは嫌というほど心当たりがある。そして効果は、言うまでもなくあまりにも顕著に表れた。

 

「い、ぎゃぁぁぁ!?」

 

「やっぱり作っておいてよかった。『ぶっかけたら皮膚がただれてめちゃくちゃいてー薬』。備えあれば、うれしいな」

 

 男たちの皮膚が、瞬きの間にドロリと溶解。蒸気すら発しながらその下の筋肉を露出させる。当然、そのショッキングさと身を襲う激痛に、男たちが悶絶し、のたうち回る。

 

 すると、どうだろう。

 

「い、痛ぇぇっ!!んぎぃっ、が、ぉ……!」

 

 皮膚がなくなった身体を地面に擦り付ける。その行為は、今の男たちに強すぎる刺激を与えてしまった。先程の比ではない悲鳴を上げ、さらに地面を転がり、痛がりの繰り返し。まさに阿鼻叫喚の地獄が完成した。中には痛みに耐えかね、泡を吐いて倒れるものまでいる。

 

 あっという間に場には死臭が漂い、血と肉の香りが吐き気を催すほどの不快感を与えていく。フェルトは這いつくばり、吐くのを抑えるがやっと。それに対して、フィアラは未だ機敏に動き回っていた。

 

「いっぱい浴びせたげる。どろどろの白〜い液体。好きでしょ?」

 

 そんな凄惨極まりない光景を作り出してなお、フィアラは無慈悲に薬品の投下を続ける。それを見ていると、地面に這いつくばるフェルトとの格差が歴然のようになった気がして、心にまで不快感がのしかかってくる。

 

 その服の小さなポケットからは考えられない量の瓶や壺が延々と投擲され、その度に悲鳴と、停止の懇願が響く。そのほとんどの被害を被った前方の男たちの様相は特に酷く、つい先程まで人の形をしていたことが信じられないほどだった。

 

 事が動いたのは、ほんの数秒後。

 

「退けっ!俺がやる!」

 

 浮き足立つ男たちを押し除けて前に進み出たのは、壮年の男性だった。その表情には覇気と呼んでもいい気迫が宿っており、一目見てただ者ではないとわかる。並の相手なら、気迫だけで圧殺することができるだろう。盾を投げ捨てているあたり、薬もきちんと防いでいたようだった。

 

「わぉ、突然の乱入はNG。4P以上はオプション付きでもちょっと……」

 

「訳のわからん御託を!覚悟ッ!」

 

 男の裂帛に怯む事なく、のらりくらりと躱すフィアラ。それに対し、男は油断なく剣を構えて突撃する。さしものフィアラも投擲を続けるわけにもいかず、回避へと方向転換。間合いを図るため、軽く後ろへと跳躍した。

 

「緩いわ!」

 

 が。背後にフェルトを庇い、満足に飛べなかったのか。その踏み込みは、あまりにも浅すぎた。間合いから逃げることすらできていない。完全に剣が届いてしまう位置だ。

 

「う、ぐっ……!」

 

 フェルトの予想は正しかった。剣は逃れようとする獲物を逃す事なく、その刃渡りにフィアラを捕らえんとした。咄嗟に回避を諦め、フィアラは防御用にナイフを差し出す。

 

 しかし、剣とナイフ。大人と子供だ。リーチの差どころではない。ナイフは簡単に弾き飛ばされ、フィアラの数少ない武装が剥がれる。

 

 被害はそれだけに留まらなかった。なんとか刃自体は防いだものの、その衝撃をナイフ一本で殺しきれるわけもない。足がふらつき、体の軸がブレる。

 

「そこっ!」

 

 剣は、その隙を逃さなかった。立ち直す隙を与えず、間髪入れずに剣戟を加える。防御は不可能。回避行動を取るフィアラだが、もつれた足では避けるのが精一杯。着地など、見込めるはずもない。

 

「ヤバっ……」

 

 怒涛の攻めに堪らずバランスを崩すフィアラが、背後に転倒。今度こそ、致命的な隙が生まれ──

 

 

 

なんちゃって

 

「なっ……」

 

 ──ることなく、フィアラは隠し持っていた2本目のナイフを放る。そして勢いのまま手を後ろに突き、バク宙。

 

 全く予想だにしていなかった行動に、剣士の攻撃が鈍った。さらに、一瞬で放たれたナイフが足へと突き刺さり、その表情が苦悶へと歪む。

 

 そしてその隙に漬け込むのが、フィアラのいやらしさだった。

 

「はい、さっきまでつけてたの、あげるね」

 

「…………は?」

 

 そして放り投げられたのは…………薄桃のレースがあしらわれた、わかりやすいまでの女性用下着だった。明らかにサイズは合っておらず、先ほどまでつけていたという発言に見合わない。

 

 だが、その行為自体がフィアラにとっての攻撃だった。もし投げられたのが、薬品や武器であれば。男は危険を察知して回避行動を取っただろう。しかし投げられたのは下着。なんの変哲もないが、戦闘においては異常極まりない。

 

 その異常に意味を求めてしまえば、既に術中。疑問と思考は、戦う本能を野性から人へと引きずり戻す。

 

「ノーブラになったら多少身軽になる。それは自然の摂理。しょうがないね」

 

「ぶ……!」

 

 思考停止。まんまと己が策にハマった男を、妓女はどうあっても逃さない。

 

 一瞬で伸ばした手を首に絡ませ、跳躍。勢いのまま軽く宙に浮かせたかと思うと、下敷きにした男のちょうど鳩尾めがけて、落下。

 

 人間離れしたその動きに男は反応しきれない。体重と重力の二段重ねの衝撃を受け、数秒喘いでから白目を剥いて気絶した。

 

 ───勘違いしていた。

 

 以前、路地裏で男たちを倒したのを見て、無意識にフィアラの強さの上限が、そこだと思い込んでいた。

 

 違う。今見ればわかる。

 

 あの時ですら、フィアラは手を抜いていた。フェルトが余計なことを言わなければ、素人程度の集団など相手にすらならない。それがフィアラという少女なのだ。

 

 否。どころか、フィアラの相手になる人間など、この世にいるとは思えない。どれだけ相手が強かろうが、フィアラを相手に隙を作らないことなどできるだろうか。意思、感情。それらを捨てなければ、どんな相手だろうと隙ができる。その隙を生み出すのがフィアラだ。フェルトですら目で追うのがやっとの、並外れた身体能力。それにあの観察眼があれば、負けることなど。

 

 最強。

 

 その言葉が、ふと頭をよぎった。

 

 戦慄する。自分の倍以上の大きさの相手を、淡々と処理するその様体。あまりにも浮世離れした、冷徹な鬼に。

 

 フェルトは───

 

 

「フェルちゃんっ!」

 

 

 その感情に名前をつける前。本当に焦ったような、フィアラの声に反応しきれずに。

 

「…………づ、ぁ……!」

 

 背後からの衝撃に、フェルトの視界が暗転した。

 

 

 

 

 




『フィアラの相手になる人間など、この世にいるとは思えなかった』

 剣聖「ドキドキ、ワクワク」
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