ゲージの中では、2機分のエヴァンゲリオンから発せられる熱気でいっぱいだった。おそらく外に出てすぐに戦闘ができるようにしたのだろう。確かに外に出てからの起動では遅すぎる。
『零号機、初号機、所定の位置に射出する』
『了解。3・・・2・・・1・・・射出!』
シゲルのカウントで、シンジとレイは地上に射出されていく。
2機が姿を現したのは、新しく新設された射出口。第三新東京市から北に何ヶ所か作られた射出口の1つだ。
シンジとレイは地上に出るとアンビリカルケーブルを接続。再充電を開始した。しかし今回は運がいい。零号機も出撃できたからだ。やはり第8の使徒との戦いで前より軽傷だったのが良かったのだろう。
(あれ?ここは前回3号機と戦った場所の近くなんじゃ)
そうシンジは思う。
もちろんその考えは当たり。ここは前回3号機と戦った場所よりも5kmほど後方に下がった所だ。実は浅間山で使徒が出た事にNERVは警戒し、内陸側に新たに射出口を作ったのだ。
『シンジ君。あと10分ほどで目標が到達する。レイ君と連携して対処してくれ』
「了解です」
シンジはマコトの言葉に返答しながら、既にオレンジ色の空の彼方に見える黒い影を見つめていた。
数分後、発令所は混乱から立ち直りつつあった。
「東御付近で映像を捉えました。主モニターに回します」
シゲルが主モニターを外の映像に切り替えると、そこにエヴァ3号機が映し出された。
「やはりこれか!」
冬月が言う。
「活動停止信号。エントリープラグを強制射出」
ゲンドウの指示が実行されるが、3号機のエントリープラグは青色の粘着物に阻まれて射出することができない。無理に出そうとするとエントリープラグが潰れてしまうだろう。
「ダメです。停止信号およびプラグ排出コード、認識しません」
そうマヤが報告する。
「エントリープラグ周辺にコアらしき侵食部位を確認・・・・・・あ!」
マコトが向かってくるエヴァの情報を見て声色を変える。
「分析パターン出ました・・・・・・青です」
発令所はマコトの報告に静まり返る。誰もエヴァンゲリオンが使徒化するなんて思っていなかったからだ。
「エヴァンゲリオン3号機は現時刻を持って破棄。対象を第11の使徒と識別する」
ゲンドウは顔の前に手を組んだまま、淡々と命令を告げる。 彼の冷静な声にオペレーター達は再びコンソールに置いた手を動かし始めた。
そして初号機内で待機していたシンジの所へ、オペレーターから目標に攻撃開始の通信が入る。
前を見据えるシンジ。地平線に沈む前の太陽が浮かび、目の前には水田が広がっている。黒い影は人型となり、先程よりも鮮明になってきた。
『地対地迎撃戦、用意!』
『戦略自衛隊、攻撃開始!』
地上に配置された機動戦闘車の砲撃が始まる。
「父さん、あれが使徒なの?」
シンジは目標の姿を確認して、ゲンドウに聞く。
『そうだ』
淡々とゲンドウは答える。
「僕の目の前には3号機しかいないよ」
シンジの正面に3号機が近づいて来る。激しい砲撃を浴びながら、ゆっくりと歩いている。わかっていた事だが、砲撃は効いていない様子。
『コックピットからでも目標はパターン青と判断されているはずだ。レイとおまえが倒せ』
「パイロットが脱出したって報告は来てないよ。まずアスカの確認を――」
珍しくシンジはゲンドウと話している。オペレーター達は「よくもまぁあの司令に・・・・・・」という顔で2人の通信を見守る。冬月でさえため息をついていた。彼の場合は、2人の会話が親子のものではないと嘆いているのだろう。
こうもしている内に、3号機は初号機から少し離れた場所で一旦立ち止まる。そして雄叫びを上げて高く飛び上がった。
そのまま体を捻って回転させると、初号機に向かって飛び蹴りを食らわせる。シンジは咄嗟にガードをして3号機を払い除けた。3号機は獣のように四つん這いになって着地する。
「やっぱり。エントリープラグが射出されてない」
シンジは3号機の背中に、まだエントリープラグが入っているのを見つける。
「綾波。アスカを助けよう」
『え?』
「僕がエントリープラグをなんとか引き出すから、綾波は引き出したエントリープラグを遠くに避難させて」
『シンジ。命令は殲滅だ。破壊を優先しろ。お前がやられるぞ』
ゲンドウがすぐさま話に入ってくる。
「仲間を殺したくないんだ!」
そう言ってシンジは無理やり通信を遮断。発令所との会話を断ち切り、零号機のみと会話できるようにした。
発令所ではシンジが通信を切った事にざわめきが起きる。ゲンドウの表情はわからないが、内心では相当キレているはず。しかしそれをわかっているのは冬月だけだった。
「お前の息子、なかなか頑固じゃないか。誰に似たのやら」
「・・・・・・ダミーシステムを起動させろ」
冬月の言葉を無視し、ゲンドウはマヤにダミーシステムの起動を命じた。
「しかし!あれはまだテスト段階です!」
「構わん。やれ」
「・・・・・・わかりました」
嗚呼、こんな時に頼りになる先輩がいてくれたら・・・・・・。
マヤはそう思いながらダミーシステムのスイッチを入れた。
だが――
「ダミーシステム、起動しません!」
突然警報音が発令所に鳴り響いた。
「なぜだ」
「信号は受け付けているんですが、初号機が拒否しているようです!」
「パイロットか?」
「違います!初号機自身が拒んでいるんです!」
原因が原因なだけに、マヤは半泣きでコンソールを操作しながら報告している。
オペレーター達は必死に働いているが、やはりダミーシステムは発動しそうにない。全ては初号機に託されたのだ。
(私を拒絶するのか・・・・・・ユイ)
♢ ♢ ♢ ♢
シンジはダミーシステムを初号機が拒んだのを感じる。
目の前の3号機は、初号機と零号機にじりじりと近づいて機会をうかがっていた。
ドンッ、と飛び上がる3号機。
やはり狙いは初号機のようだ。シンジは組み敷かれないように後退。着地と同時に3号機へ格闘戦を挑んだ。
3号機を操作しているのはアスカではなく使徒であるため、格闘戦はシンジが優勢だ。だが向こうも力任せに攻撃してくるため、なかなか決着がつかない。
(アスカ・・・・・・ごめん!)
シンジは3号機を地面に組み伏せ、両腕をへし折った。3号機はビクンッと反応し、痛みに耐えるように震えていた。
そしてシンジは青色の物体に手を伸ばし、引き剥がす作業にかかった。
発令所では初号機が青色の物体に触れた途端に警報音がなり始めた。
「どうした!」
冬月が叫ぶ。
「使徒が初号機に侵食を始めました!このままでは初号機が乗っ取られます!」
モニターの中では、初号機の腕に青色の物体が徐々に侵食しているのが見える。だが、その侵食は肘までの所で止まってしまった。
「使徒の侵食が止まっています!」
「初号機がATフィールドで食い止めている模様」
「シンクロ率が95%を超えました!」
初号機の防御に発令所の職員が驚いている中、シンジは必死にアスカの救出作業を行っていた。プログレッシブナイフで付着物を切り刻み、再び侵食しないように手で抑えながらエントリープラグをゆっくり引き抜きつつある。
だがシンジは初号機に侵食してくる使徒の感覚をダイレクトに感じていた。
いくらATフィールドで防御していても、シンジのスタミナが切れてこのままでは初号機も乗っ取られてしまうだろう。
そしてようやく――
「綾波!エントリープラグを!」
『ええ』
レイはシンジからエントリープラグを受け取ると、少し戻った所にある山の麓にゆっくりと下ろし、初号機の所に戻ろうとした。
「ダメだ!こいつは僕がやる!」
シンジはレイにこう言うと、エントリープラグを失った3号機を蹴り飛ばした。侵食を受けた腕が気になったからだ。
初号機の腕は使徒により焼け焦げていたが、思ったほど侵食は酷くない。
(もしかして母さん・・・・・・?)
初号機の中にユイがいるのを知っていたシンジはそう思った。
また、3号機は核としてのエントリープラグを失ったため、その動きは明らかに遅かった。侵食のリスクがあるとは言え、倒しやすくなったのは事実。ここで畳み掛ける必要がある。
今度は初号機が3号機に飛びかかると、抵抗する3号機を気にもせずに攻撃。首を腕で挟み、徐々に力を入れてボキッと折った。この時初号機は再び侵食を受けるも、今度は完璧なATフィールドによって初号機に触れる前に弾かれてしまう。
そして初号機は再びプログレッシブナイフを取り出し、胸部の装甲板をひっぺがした。すると見えたのは3号機のコア。シンジはそこへプログレッシブナイフを突き刺し、一気に力を入れて破壊した。
使徒になったとはいえ、3号機はエヴァンゲリオン。使徒のような爆発はなく、3号機の悲鳴(?)が辺りに響き渡った。また、3号機にくっついていた青色の物体も、コアユニットの破壊によって地面に落下。それなりの量の血を出して弾け飛んだ。
(よかった・・・・・・これでアスカは・・・・・・)
シンジの意識はそこまでだった。気を失ったのだ。そして初号機もNERV職員と戦自が見守る中、ゆっくりと地面に倒れたのだった。
シンエヴァの情報量が多すぎたのでもう1回観ました。今度はIMAXで。IMAXは音と画質(?)がいいですね。メカが多い映画にはピッタリかも。
まぁ2回観たけど結果は変わらずM氏エンド。不満があるわけじゃないけど、アスキストである私にとっては少し苦しいエンドに・・・・・・でも浜辺で照れるアスカにこちらは昇天しそうになりました。
そしてやはり「え、最後何がどーなった!?」という事が頭の中を巡っております。
旧劇場版と新劇場版。どちらにもケリをつけたような映画でしたが、終わったにもかかわらず、まだ続きがあるんじゃないかと思ってしまう自分もいたり・・・・・・。