碇シンジはやり直したい   作:ムイト

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第51話 戦略自衛隊

「閣下!どういう事ですか!」

 

 ここは戦略自衛隊の本部、国防省が置かれる第2新東京市。

 その一室で荒山陸将は自身の上官、統合幕僚長に詰め寄っていた。

 

「何がだね」

 

「NERVとの交流を止めろと通達がありました。本気ですか!?」

 

「陸将、君の気持ちはわかる。だがこれは政府の命令なのだ。しょうがないだろう?」

 

 統合幕僚長はため息をつきながら荒山に返す。それでも彼らは軍隊だ。下された命令には従わなくてはならない。

 だが荒山は納得できていなかった。

 

「それに我が戦略自衛隊にNERVを好まない連中がいるのも知っているはずだ」

 

「・・・・・・九州の第4機械科歩兵師団ですか」

 

「そうだ。やつらは・・・・・・いや、正確には4師の上層部は政府の思考に賛同しているから厄介極まりないのだ」

 

 荒山はミサトからNERVが国連に対して宣戦布告めいた事を宣言したのを聞いていた。だからNERVとのかかわり合いを止めろという命令が下された理由もなんとなくわかっていた。

 

 なぜ同じ日本人同士で争う必要があるのか。協調するわけにはいかないのか。

 戦自最強と謳われる第1機械科歩兵師団を率いる荒山だが、実は意外と穏健派である。

 

「閣下、閣下はどうなのですか。まさか政治家共と同じお考えで?」

 

「まさか。私は君と同じくNERVとは対等であるべきと考えているよ」

 

「ではなぜ!」

 

「いい加減にしたまえ!私は戦略自衛隊の長だ。その責務を果たさなくてはいけないのだよ」

 

 まさかこの歳になって怒られる日が来るとは思わなかったが、統合幕僚長は一応こちら側の人間らしい。

 

「もういい。陸将、下がれ」

 

「・・・・・・はっ」

 

 もう話は終わりだと言うのだろう。統合幕僚長はくるりと後ろを向き、後ろで組んだ手を「しっし」と動かす。

 荒山もここにいては意味が無いと思い、敬礼してから部屋を出ていこうとする。

 

「ああ待ちたまえ。私は明日から北海道へ視察に行く。その間に日本の意思に逆らう連中もいるかもしれんからな、その処理を君に任せたい」

 

「か、閣下。それは・・・・・・!」

 

「国益に反する輩を排除するためにはどんな手段でも使え。連絡はいらん。私は忙しいからな」

 

 淡々と告げる統合幕僚長。それでも荒山は彼の言っている意味がよくわかっていた。

 

「そうですな。テロリストに武器弾薬を支援したり、首都を攻撃したり、我々の仲間を襲う連中がいるかもしれませんしな」

 

「ん?あぁそうだな。くれぐれもよろしく頼むよ」

 

「ハッ!失礼します!」

 

 今度は本当に部屋を出た荒山。その表情は真剣そのものだ。

 自室に戻り、盗聴器の類いがないかを確認すると、とある場所に電話をかける。

 

『はい葛城です』

 

 相手はミサトだった。

 

「荒山だ。日本国政府からNERVに関わるなという命令を受けた」

 

『・・・・・・そうですか』

 

「表だっての支援はできんが、そちらに弾薬を少しずつだが支援する準備はできている」

 

 実は荒山はNERVに対して武器弾薬の支援ができるように準備していたのだ。

 9mmと12.7mm、そしてそれに応じたものを。

 

「それとそちらが前に言っていた物資の件だが・・・・・・弾薬をそっちで作るのか?」

 

『はい。支援が打ち切られてからも生産できるようにしたいので』

 

「よかろう。私の力が及ぶ範囲で今日から物資を送る」

 

『ありがとうございます!』

 

 ミサトは徐々に足りなくなってきている物資が外から入ってくるのがわかると、少しだけ気持ちが楽になった。特にP90の弾薬は補給されないため、NERVの中で出来るだけ作っておきたい。

 

「NERVの戦闘員はどうか?戦えるのか?」

 

『戦略自衛隊とロシア軍から訓練を受けて多少は成長したでしょうが、それでもまずまずですね』

 

「すまないな。我々から援軍は出せそうにない。だが4師が動いている情報は入っている」

 

『いえ、知った顔と戦わずに済む事がわかっただけでもありがたいです』

 

「そうか。では健闘を祈る」

 

 そう言って電話を切る。

 ミサトからは感謝されたが、荒山の中には彼らを救いたいという想いがある。そのためすべき事は何か。

 その後、荒山は師団駐屯地に戻って行った。

 

 

 ♢ ♢ ♢ ♢

 

 

「諸君。ついに量産機と輸送機のメンテナンスが完了した」

 

「我らの願いを妨げるとどうなるか。奴らに思い知らせよう」

 

「さよう。覚醒した初号機と量産機、リリスをもって計画を最終段階へ移行するのだ」

 

 ミサトが荒山と通話をしてから約10日後。

 

 ここはユーロNERVの地下深く。

 一般職員でも入れない【聖域】と呼ばれる場所にて、ゼーレの会合が行われている。

 

「どうする?国連軍を動かすか?」

 

「いや、日本の戦略自衛隊を使う。どうやら向こうの第4機械科歩兵師団はNERV本部を良く思わない日本国政府と同調しているらしいからな」

 

「なるほど。計画が発動すれば世界の覇権どころではない、か。それに奴らの方が国連軍よりも強い」

 

「戦略自衛隊が消耗するのも望ましいな」

 

「ではさっそく」

 

 彼らの内の1人が受話器を手に取り、高圧的な態度で話しかける。相手はもちろん日本国政府だ。

 

 だが日本国政府はこれで動きやすくなった。世界の黒幕ともいえる人類補完委員会。彼らのお墨付きで出動ができるのだ。

 松本の首相官邸では、作戦開始にあたって閣僚がほぼ全員揃っていた。

 

「ふん。この時ばかりは奴らに感謝しよう。状況は?」

 

「既に第4機械科歩兵師団の輸送準備を開始。海路と空路の両方で送り込みます」

 

「全部隊を送れるのか」

 

「海上自衛隊の協力で輸送艦に7割ほどの軍用車両は積み込めます。歩兵は戦自の輸送機で最低限の部隊を残し出動します」

 

「よかろう。では直ちに出動せよ」

 

「了解」

 

 男は受話器を手に取る。かけた先は九州の第4機械科歩兵師団の司令部だ。

 

「・・・・・・私だ。総理からの下命を確認した。直ちに出動せよ」

 

 

 

 

 

 NERV本部にて警報が鳴り響く。それは4師が動いたという合図でもあった。

 この時パイロット達はそれぞれの部屋で各自好きなことをして過ごしていた。だが警報が鳴ると部屋を飛び出して全員が合流した。

 

「カヲル君!これって!」

 

「ああ。敵が動き出したみたいだね。おそらくゼーレも」

 

「何してんの!早く行くわよ!」

 

 さぁ決戦の時だ。

 午前9時00分。

 後に【箱根事変】と呼ばれる一大決戦が幕を開けたのだった。




選挙の結果は…まぁ予想通りというかなんというか。
結局共闘してた連中はなんだったのだろう。国民と維新に議席を持ってかれた上に自分たちは減らしてしまった。これで代表と幹事長を交換しなかったら次はもっと減りますね。
え、交換しても減る?ハハハ、そんなまさか。
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