碇シンジはやり直したい   作:ムイト

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第54話 本部侵入

 

 松本の第1機械化歩兵師団司令部。ここの師団長室にて、荒山は各連隊長と会議を行っていた。

 

「閣下。我が偵察隊の情報ですと、第3新東京市へN2弾道弾が2発命中したそうです」

 

 そう言うのは隷下の第1連隊長だ。第1連隊には第3新東京市と松本の監視を秘密裏に行ってもらっている。

 

「そうか。松本(ここ)はどうかね」

 

「政府や与党議員はゆっくり会議中です。これは協力している野党議員の情報と合わせたものなので確実ですな」

 

「閣下、彼らは油断しきっております!それにジオフロントに敵が侵入すると陥落も時間の問題かと!」

 

 ここにいる男達は全員が第1機械化歩兵師団の者だが、NERVとはいい関係を持っておきたいと思っているのだ。常に日本国の安全を第一に考え、日本国のために働いている。

 

「馬鹿な奴らよ。国を思うのならNERVと敵対するのは得策ではないというのに」

 

 荒山は呆れて怒る気すらない。

 

「よし諸君、決起だ。日本の安全を脅かす国賊共を叩く!」

 

「「「はっ!」」」

 

 荒山と連隊長達は立ち上がり、NERV救出のために動き始めた。

 第1機械化歩兵師団に所属する3個歩兵連隊の内、2個連隊を第3新東京市に、1個連隊を会議をしている首相官邸を初めとした国の施設に向かわせる予定だ。

 この師団は歩兵戦力を充実させているため、歩兵の数のでは他の師団に勝る。その代わり装甲機動連隊は1個減っているが、それでも師団要員は4師より多い。

 

 また、航空機も出動準備に入り、輸送訓練という名目でVTOL攻撃機や輸送機を引っ張りだした。

 後は世論に対してだ。過去にクーデターを軍が起こしたために、クーデターというイメージは悪い。だがそこは取り込んだ野党議員が上手くやってくれるそうだ。

 世界を救った組織を取り込み職員を虐殺し、世界征服しようとしている。

 とでも言えば日本人はクーデターを認める・・・・・・かもしれない。

 

 

 ♢ ♢ ♢ ♢

 

 

 ジオフロントにある丘の上。

 ここでは決死隊と言うべき30人の男達がいた。彼らの任務は飛来する航空機に向けスティンガーミサイルを放つ。それだけだ。しかし陸と空からの同時攻撃が予想されるため、無事に帰れるかわからないのだ。一応志願者のみで集めたのだが、よくこれだけ集まったものだ。

 

 ちなみに陸路では物資運搬用及び職員専用のケーブルカー、一般用のモノレールの2箇所から侵入してくるものと思われる。

 

「いいか!我々はあの穴から侵入する敵機を落とすのだ!」

 

「「「はっ!」」」

 

 気合いを入れる男達。その一方で・・・・・・。

 

「やるぞお前ら!式波特務一尉に踏んで・・・・・・じゃなかった褒めてもらうために!」

 

「「「おうっ!」」」

 

 少し変な気合いの入れ方をする男達(ヤロー共)もいた。実はNERV本部の中ではパイロットのファンクラブ的なものが出来ており、その筆頭がレイ派で、その次がアスカだった。無論シンジにも女性のファンが多数いる。男性も少しいるのが不思議だが・・・・・・。

 

 しばらくするとジェット機の音が聞こえる。VTOL航空機が近づいてきているのだろう。

 

「空いた穴に敵が近づきます!」

 

「撃てる兵器は全部撃って!できる限り航空兵器を叩く!」

 

 ミサトの命令で第3新東京市の稼働している兵器は航空戦力、ついでに陸上戦力に向けて攻撃を開始。だが狙いは先の攻撃の影響で定まらず、ミサイルに至ってはほぼロケット弾と変わらない使い方だった。

 

 結果、撃墜した機体は無かったが至近距離で爆発したミサイルもあるらしく、数機はエンジンから煙が出ていた。

 

 ジオフロントに侵入する穴まで残り200mを切った頃、陸上でも1個歩兵連隊と砲兵連隊が待機しており、先遣隊の1中隊は職員専用のケーブルカー入口前まで来ていた。

 

「こちら先遣中隊。ケーブルカー入口に敵影無し。ですが硬い扉で塞がれている模様」

 

『砲兵部隊の射撃で第3新東京市の対空火器を潰す。その時に無反動砲で扉も破壊し、航空隊と共に侵入せよ』

 

「わ、我々がいるのに榴弾を撃つのですか!?」

 

『砲兵の目標はガトリング砲を初めとした火砲だ。その周辺には無いから安心して攻撃したまえ』

 

「・・・・・・了解」

 

 どういう事か航空支援は無いらしい。その代わりに砲兵による射撃があるらしいが、破片がこちらに来ないか心配だ。いくら破壊する施設がここから離れた場所にあると言っても衝撃波くらいは来るだろうに。

 

「中隊長・・・・・・」

 

「仕方ない。パンツァーファウスト3用意!3発ほど撃ち込む!榴弾の着弾寸前に発射、担当の者以外は爆風を遮れるビルに退避!」

 

「「「了解」」」

 

 中隊長が命令すると、パンツァーファウスト3を持った隊員が3人が前に出た。

 そして――

 

『こちら砲兵連隊。射撃を開始した』

 

「総員退避!建物の影に隠れろ!」

 

 わらわらとパンツァーファウスト3を構えた隊員以外は建物の影に隠れ、爆風から身を隠すようにした。隠れていない3人もできるだけ身体を隠して構えていたが、射線が通りずらいために完全には隠せなかった。

 

『着弾まで10秒前・・・・・・5.4.3.2.1!』

 

「発射!」

 

 中隊長は1のタイミングで発射命令を出す。対戦車ロケットは真っ直ぐ扉に飛んでいき、上空の爆発と同時に着弾した。

 榴弾の衝撃波が隊員を襲うが、発射した瞬間に他の隊員が彼らを引っ張りこんだために被害はなかった。

 

 NERV本部発令所でも、第3新東京市に着弾した榴弾を確認していた。

 

「第3新東京市に榴弾が着弾!対空火器がやられました!」

「職員専用の出入口に敵1個中隊が侵攻を開始!」

 

「やっかいね。次は航空機が来るわよ!」

 

「決死隊から通達!攻撃開始するとの事です!」

 

「・・・・・・始まるな」

 

「ああ」

 

 発令所はこれから始まる人と人との戦いに緊張した者の空気に包まれる。

 

 決死隊がいる丘の上では、爆発音と振動でその時が近づいているのを感じ、発令所へ連絡していた。

 

「発令所への通達完了」

 

「よし。確実に敵を落とす!一機につき2発か3発だ!」

 

「「「了解」」」

 

 男達はスティンガーミサイルを構える。

 じっと待っていると、2機のVTOL機が降下して来た。

 

「まだだ。まだだぞ」

 

 4機、8機、12機。

 どんどん増える敵航空機。中には小型の軽戦闘機が何機か混じっている。

 

「よぉーい・・・・・・・・・てぇ!」

 

 目標にロックオンをした彼らはスティンガーミサイルを発射。発射する前に敵は散開して回避行動をとっていたが、距離は2kmもなかったためにあまり動けなかった。

 隠れている決死隊はカムフラージュでその姿は見えず、航空隊も確認はできなかったのだ、

 

 そうしてミサイルは次々に命中。中にはチャフフレアにやられたミサイルもあったが、16発は確実に命中していた。

 まさか携帯兵器を持っているとは想定していなかったため、航空隊は完全に油断していたのだ。

 

「よし!これで1個中隊は動けないぞ」

 

 日本の軍隊は第二次世界大戦後、人命をアメリカ以上に重く見ているため、いくら侵攻作戦でも輸送中の部隊が落とされれば、救助のために他の隊員を割かなければならない。実際、この攻撃で約2個中隊は動けなくなってしまった。

 

 さて、攻撃が成功した決死隊だが、ここからが問題だった。NERV本部に入る扉まで100m。安全な場所まで避難するとベークライトでそこを固める方針である。

 

「急げ!バレない内に逃げるぞ!」

 

「はい!」

 

 決死隊は空になったスティンガーミサイルの発射筒を放り捨てて走り出す。一応15人ほどにMP5を持たせているが、航空機には効果はないだろう。だから逃げるのが最適。

 

「や、やばっ!気づかれました!」

 

「走れーっ!」

 

 彼らは走る。だがこちらに気がついた軽戦闘機が迫ってきた。あの機体が装備しているのは20mm機関砲。人間がくらったらひとたまりもない。

 

 残り50mで扉だったが、決死隊にとっては長い50mとなる。

 たかが50、されど50。

 軽戦闘機にとって数百mなど一瞬でたどり着ける。今の距離で撃たないのは必殺の距離まで近づくからなのか、単純に狩りを楽しんでいるのか、それはわからない。

 

 決死隊に追いついた軽戦闘機は射撃を開始。その1人に20mm弾が命中すると、悲鳴もあげられずに消し飛んだ。

 それでも決死隊は走り続け、扉に飛び込んでも走るのを止めなかった。

 安全な場所にたどり着き、隔壁が閉鎖されてベークライトで後ろが固められる中、彼らはようやく走るのを止めたのだった。

 

「何人やられた?」

 

「・・・・・・9人」

 

「ちくしょう!20mmなんて人の原型残さないじゃないか!」

 

「そうか・・・・・・」

 

 死亡したのは9人。落ち着いてみると、自分の足に血がついているのがわかる。決死隊の1人も言ったが、20mm機関砲をくらった生身の人間は普通生きてはいない。そもそも12.7mmでも危険なのだ。

 それによく21人も生き残ったものだ。

 

「さぁ戻ろう。葛城一佐には連絡したからな」

 

「・・・・・・はい」

 

 今頃ジオフロントは敵兵でいっぱいだろう。なんとしても本部の制圧を防がなくてはならない。

 

 先遣中隊と航空隊によるジオフロント制圧は予想以上の損害もあったがなんとかなった。今は主力部隊をジオフロント内に降ろしている。連隊本部もここに移された。

 

「連隊長。ジオフロントの制圧完了です」

 

「ここまで来るのが長かった。我々4師がここまでの損害を被るとはな」

 

「ほぼ1個歩兵連隊が使い物になりませんし、今の侵攻で約2個中隊は置いていかなければなりません」

 

 連隊本部では損害をまとめたモニターが設置されており、連隊長以外副官らがそれを見ていた。

 

「上層部はバカなのか?何が精密誘導兵器は無い、だ。旧式とはいえスティンガーミサイルを持っていたのだぞ!」

 

「連隊長、ここまで来たら数個中隊を潰す覚悟でNERVを制圧しましょう。このままでは世界最強の市街戦部隊の名折れです!」

 

「それにここで撤退すると他の師団を抑えられなくなる可能性もあるかと」

 

「・・・・・・仕方ない。2個大隊で本部を制圧するぞ。突入口はここと、ここだ」

 

 連隊長は指示棒でNERV本部への侵入経路を説明する。偵察隊を出して侵入する場所を探したものの、やはり入ってきた2箇所しか内部に通ずる道はなかったのだ。

 むろん罠なのはわかる。それでも他の道はベークライトで固められている事が予想されるため、残念ながら行くしかない。

 

「制圧作戦自体は予定通り。始めるぞ」

 

 そうして戦略自衛隊2個大隊による本部侵入が開始された。

 

 発令所でもその様子は確認されており、武装した保安部が向かっている。

 また、侵入されそうな発令所の左右の扉の近くには8名ほどのオペレーターがいるが、そのデスクは破棄し、上のフロアに仮のデスクを用意した。

 

「保安部配置につきました!」

 

「カリーナ達は?」

 

「遊撃隊として好きに動かせます。すでに本部の地図データを渡しました」

 

 カリーナとレイラ率いるスペツナズは遊撃隊、つまり1拠点を防御する以外にもあちらこちらで攻撃を行い、敵を下がらせるのが彼女らの任務だ。

 

「よし。兵隊の量も質も足りないけど耐えるわよ!遠隔操作の兵器も準備して!」

 

 NERV本部内にはこの時のために備えて対人迎撃システムを組んであった。本来なら予算はほとんどつけられず、NERVが国連からもらう金の1割もないが、今回は第3新東京市外の兵器とエヴァンゲリオン初号機のメンテナンス費用の分だけ余裕があるため、なんとかそちらにまわす事ができたのだ。

 

「パイロットは?」

 

「全員乗り込みました。射出しますか?」

 

「まだよ。でも格納庫に敵が来そうになったら射出して」

 

「了解です」

 

 シンジ達はギリギリまで出さない方針となった。おそらく1番安全なのがエヴァの中だが、無闇に出してN2弾道弾でも撃ち込まれたらたまらない。

 

 敵は保安部が固めている陣地に近づきつつある。非戦闘員も退避させた。しかしどこまで耐えられるかわからない。NERV職員にとっては苦しい戦いとなるだろう。




祝え!アスキストの諸君!
本日はアスカ生誕祭である!世にアスカのあらんことを・・・・・・。
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