碇シンジはやり直したい   作:ムイト

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第57話 量産機襲来

 

 戦自が撤退してから40分後、再編成された彼らは再びNERV本部へと突入していく。

 それと同時刻、1師の先陣であるVTOL攻撃機が対空装備で4師がいる場所へ突入してきた。

 

「全機に告ぐ。我々の目標はVTOL機だ。滅多にない対空戦のため落ち着いて行け」

 

『『『了解』』』

 

 次々に突撃していく1師の航空隊。それに対抗する4師だったが、いかんせん数が倍近く違う。1師は何機か落とされたが、逆に4師は袋叩きにされてしまった。元々対地装備をメインとした機体を展開していたために満足に戦えなかったのだ。

 

 10分もしない内に1師は制空権を確保。次は地対空ミサイルを見つけ次第攻撃する事になっているが、やはり距離が近すぎた。チャフフレアをばら撒きながら撤退するしかなく、地上からの攻撃で4機落とされた末に射程外まで退避した。

 

「こちら航空隊。2割ほど落とされるか損傷を受けましたが制空権は確保しました」

 

『時間があれば君達に犠牲を強いる事はなかったが、我々には時間がない。だがよくやった。下がってくれ』

 

「・・・・・・了解」

 

 航空隊の隊長は通信を切ると、そのまま基地へ帰還していく。そして彼らと入れ替わるようにして地上部隊が到着。4師との戦闘が始まった。

 

 初めは互いに砲弾を撃ち込みあっていたが、4師側のある隊員が車載機関銃を撃ちまくりながら疑問を口に出し始めていた。

 

「車長。なぜ自分達は味方と戦っているのです!?」

 

「仕方ないだろう!上からの命令なんだっ!」

 

「相手は1師です。歩兵戦力に勝る彼らに勝てるとは・・・・・・」

 

 隊員の気持ちはよく分かる。自分達はなぜ戦っているのだろう。何と戦っているのだろう。少なくとも戦略自衛隊の敵は1師ではないはずだ。

 

 だがどうだろう。今や自分達は反乱軍扱い。制空権を失い、地上戦でも圧倒されている。

 味方と戦いたくない。

 そういう思いを持つ隊員は増え続け、なんと装甲機動連隊の1個中隊が降伏するまでに至った。

 

 味方の部隊が降伏した。

 その事実は味方に駆け巡り、前線で防衛線を構築していた部隊は次々に降伏。

 1人行ったらみんな行く、という日本人らしい性格で戦闘は終わり、防衛線を築いていた部隊の内3割が死傷して1師の勝利となった。

 

 4師の臨時司令部では、防衛部隊と連絡が取れなくなった事で混乱状態となり、焦りを見せていた。

 

「閣下、このままでは1師が第3新東京市に突入します。それにここも危険です」

 

「わかっている!連中まさか降伏したのか!?」

 

「相手が味方なのが効いたようです。現にここにいる部隊の士気は下がっています」

 

「NERV本部に突入した部隊は?1個連隊を突入させているんだぞ!」

 

「先程再突入したと報告がありました。しかしNERV本部内は遠隔操作の機関銃や強固な防衛陣地で攻略のスピードは牛歩の如く遅いそうです。おそらく1師に挟まれるかと」

 

「・・・・・・・・・」

 

 ついに師団長は黙り込んだ。彼も実力でこの地位にいるため、もう勝ち目が無いことくらいわかっている。だが反乱軍というレッテルを貼られてしまった以上、本格的に増援は望めない。おそらく九州の本部は抑えられてしまっているだろう。

 

 司令部の移動を。

 

 そう言おうとした途端、部屋の中に筒状の物が投げ入れられ、閃光と爆音がその場に炸裂した。

 

 

 ♢ ♢ ♢ ♢

 

 

 さて、NERV本部に再突入した戦略自衛隊は、今度は制圧を最優先とし、重火器の過度な使用も厭わない攻撃を開始していた。

 その圧倒的な火力に、NERV側も徐々に押されつつあった。遠隔操作の機関銃も活躍していたが、手榴弾やバズーカ砲の攻撃により沈黙するものも出てきた。

 

「第2防衛線で戦闘発生」

「Aポイントとの通信途絶。隔壁を閉鎖します」

「負傷者多数。1部危険なポイント有り」

 

 発令所に続々と情報が入ってくる。いい具合に守ってはいるが、先程の攻撃とはどこか違う勢いがある事をNERV上層部は感じていた。

 

「連中、焦っているな」

 

「ああ。だがその勢いが危険だ。葛城一佐、念の為第3防衛線に下がる準備をさせろ」

 

 ゲンドウは的確に指示を出す。

 第3防衛線に配置している保安部の職員がバタバタし始めると、発令所でもその空気が伝わってきたのか、手が空いている職員は手持ちの銃と弾倉をコンソールの上に出したり、通路から繋がるドア付近の場所から別の安全な場所へ移った。

 

 カリーナ達も頑張ってはいるが、彼女達にも負傷者が出始め、5名が治療に向かっている。長期戦が不利になるのはわかってはいたが、今後悔してもどうにもならない。

 

 一応なんとか守ってはいるものの、やはり完勝とはいかない。ついに1つのポイントから6名ほどの戦自が突破し、第3防衛線や非戦闘員が避難しているブロックへ向かう。NERVの職員は2000人を優に超える。そのため、第3防衛線に近い場所に避難せざるを得ない事もあったのだ。

 

「葛城一佐!Kポイントが突破されました!敵は非戦闘員の避難するブロックへ向かった模様!」

 

「第2防衛線からの避難用に通路を多く残しておいたのが仇になったか・・・・・・。直ちに隔壁閉鎖!カリーナ達を向かわせて!それと1番近い避難場所にもっと下がるように伝えて!」

 

 ミサトは自身のたてた作戦に不備がある事に気がつくと唇を噛んだ。しかし何もしないわけにはいかないので、急いで指示を出す。

 

「第3防衛線から何名か割かないのですか?」

 

「それはダメ。彼らの練度は低いわ。無闇に動かせないのよ」

 

 マコトの言う通り、第3防衛線の人員を割いて戦自にぶつければ何とかなるとは思う。だが進路を変えて彼らの方に行くかもしれないし、救助に向かおうとしても、防衛陣地に空白を作るわけにはいかない。

 

 命令を受けたカリーナ達は急いで突破した戦自を追いかける。

 

『こちら第14避難所。これより退避します』

 

 発令所に避難指示を出した避難所の音声が流れる。

 

「隔壁とベークライトでそこは封鎖する!急げ!」

 

『わかり――あっ!』

 

『戦自だ!逃げろ!』

 

 スピーカーを通して銃声が聞こえた。

 非戦闘員には数丁の銃器しか渡しておらず、あまり訓練も受けていない。第3防衛線の職員よりも弱いだろう。

 それに遠隔操作の機関銃はここにはない。間に合わなかったのだ。

 

 しかも相手はプロ。逃げ遅れた職員を的確に殺害してゆく。

 さらに被害は続く。

 

『れ、連中火炎放射器――ぎゃああああっ!』

 

 今度は男性職員や女性職員の悲鳴が聞こえた。先の発言から火炎放射器が使われたのは間違いない。

 実際、部屋から脱出して無事に逃げきれた職員は3分の1に過ぎない。残りは蜂の巣に射殺されたり、火炎放射器で焼かれたりなど、むごい死に方だった。

 発令所に悲鳴が響くと、女性職員が口元を抑え、男性職員は拳を握りしめて震えていた。マヤに至っては今にも倒れそうな顔色だ。

 

 戦自が後始末をしていると、後ろからようやくカリーナ達が追いついた。

 

「間に合わなかった!くそっ!」

 

 そして有無を言わさず発砲。数が少なかった戦自部隊はあっという間に壊滅した。

 

「ごめんなさい。間に合わなかった」

 

 カリーナは発令所に連絡をいれる。

 

『・・・・・・いいのよ。隔壁とベークライトでそこを固めるわ。戻ってちょうだい』

 

「わかった」

 

 ミサトの命令で、カリーナ達は第2防衛線に戻って本来の任務に再び取り掛かる。

 

 激戦が続くNERV本部。

 その上のジオフロントの連隊本部では、地上から連絡が途絶え、2個連隊規模の戦自が迫っているとの報告が入っていた。

 

「連隊長。上の監視部隊からです。1師がここに向かっていると」

 

「2個連隊です。数が倍以上異なります」

 

「・・・・・・ここに到達したら速やかに降伏せよ。私は外の空気を吸ってくる」

 

 命令を下した連隊長はフラフラと護衛も付けずに外へ出ていく。

 

(目的は達成できず・・・・・・残念だ)

 

 部下達が降伏の用意を進めている中、連隊長は1人林の中へ向かう。その後彼が戻ってくる事はなかった。

 

 第3新東京市に突入した1師は、すぐさまジオフロントへ降りるルートを探し、そこへどんどん部隊を投入していく。

 降伏した地上の4師の部隊は機動連隊や砲兵連隊に任せ、歩兵連隊だけで突入したのだ。この時地上は歩兵部隊が乗ってきた装輪装甲車やトラックで溢れ、工兵部隊はミサイルが着弾した場所の瓦礫を撤去して駐車場を作り出していた。

 

 ジオフロントに最初に突入したのは先遣の1個大隊だ。外からの侵入を警戒していた4師の部隊もいたが、規模は小隊にも満たない。あっという間に打ち倒されて突破されてしまった。

 出入口の制圧を完了した大隊は地上の本部へと通信を行い、1個中隊をそこへ残してジオフロント内に設置された4師の連隊本部に向かっていく。

 

「動くな!我々は1師だ!臨時政府の命令により貴官らを拘束する!」

 

「わかった。降伏する」

 

 司令部の隊員は両手を挙げて降伏の意志を示す。降伏の準備を進めていたため拘束はスムーズに行われ、残りはNERV本部内の戦自となった。ただ、通信機器は破壊されたため、内部の隊員に降伏を促す事はできなくなってしまった。

 

 4師の司令部には1師の連隊長らが詰めかけ、外にも続々と隊員が降りてきた。拘束した職員は地上へ返す事になっている。

 

「連隊長。2個大隊をNERVに突入させます」

 

「よし・・・・・・いやまて。敵味方を識別するために布を腕に巻いておくんだ」

 

「了解」

 

 こうして1師の隊員に識別用の布を腕に巻くことが通達され、怪我をした時に使われる白い布が隊員の腕に結ばれた。

 そしてメガホンが小隊ごとに配布されると、隊員らはNERV職員を救うために、本部内へ入っていく。

 

 発令所では、第1防衛線付近の生き残った監視カメラが、白い布を巻いた戦自が突入してきた光景を移していた。

 

「ん?なんだあれは」

 

 マコトはその映像にハテナマークを浮かべた。すると映像には護衛を従えた男が壁に設置された受話器を手に取り、いろいろ弄っている。すると発令所のメインオペレーターのデスクに設置されている電話が鳴った。

 

「はい、こちら発令所」

 

『私は1師の第6歩兵連隊長の大友だ。葛城一佐か?』

 

「そうです」

 

『荒山師団長と臨時政府の命令により4師を拘束すべく突入した。我々は腕に布を巻いている。彼らは撃たないで欲しい』

 

「わかりました。感謝します」

 

『では発令所で』

 

 そう言って大友は電話を切る。

 

「葛城一佐、彼ら本物ですか?」

 

 シゲルがミサトに尋ねる。

 

「ええ。ここのデスクの専用番号は荒山陸将にしか渡していない。つまり大友連隊長は彼の命を受けている証拠よ」

 

 むろん後で変えるが。

 

「どちらにせよ救援はありがたいわ。こちらも降伏を促しましょう」

 

「そうね」

 

 リツコの提案にミサトは頷き、マイクで生きているスピーカーから4師の隊員に降伏を促し始めた。

 

 これによりNERV側の士気は上がり、4師の隊員は連隊本部からの連絡がない事に気がついた。そして背後からの銃声。よく聞くとG11の銃声しかしない。少なくとも短機関銃の銃声ではなかった。

 

「どういう事だ?まさか本当に司令部が落ちたのか?」

 

「後方を監視している隊員によれば背後の敵は我々と同じ戦自だそうです。考えたくはありませんが・・・・・・」

 

「最後の司令部からの通信が『2個連隊の敵接近』だからな。ここまでのようだ」

 

「・・・・・・はい」

 

 第2防衛線で着々と押しつつあった戦自は、背後からの攻撃と降伏勧告で自分達は孤立したと判断。ついに降伏したのだった。

 

 1師による武装解除が進む中、発令所では大友連隊長が部下数名と共にミサト達と話していた。

 

「今回はありがとうございました」

 

「臨時政府の命令で動いたまでだ。錦の御旗はこちらにある」

 

「現在4師の武装解除は順調に進んでいます。臨時師団司令部も完全に制圧したそうです」

 

 大友の部下がタブレットを見ながら状況を説明する。

 

 やっと終わった。

 誰もがそう思っていた時、警報音が発令所に響く。今日で一生分聞いたのにまだ鳴るのか。

 

「第3新東京市へ飛行物体接近!数9!大型輸送機です!」

 

「・・・・・・ようやく来たわね。エヴァ全機発進用意!」

 

「葛城一佐?」

 

「大友一佐。敵は戦自だけではありません。今度は向こうのエヴァが来ます。直ちにジオフロントや市外に部隊を避難させてください」

 

「わかった」

 

 大友は部下と共に発令所を出ていく。

 格納庫ではエヴァ5機の発進準備が進められ、シンジ達はL.C.Lの中にいた。

 おそらく最後の戦いになるだろう。そう信じたい。いや、そうしてみせる。

 

『みんな頼むわよ・・・・・・発進!』

 

 ミサトの号令により、NERVの最高戦力エヴァンゲリオンが地上へ射出されたのだった。




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