碇シンジはやり直したい   作:ムイト

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第58話 人類の存亡この1戦にあり

 NERV本部から第3新東京市へ出たシンジ達。辺りを見渡すと、想像以上の被害に言葉が出なかった。

 1部の区画には穴が空き、兵装ビルも半分以上が瓦礫の山と化していた。それに近くにあったはずの山もえぐり取られ、地図を書き直す必要があるくらい周辺の地形は変わっていた。

 

 そこへ轟音が西の方角から聞こえる。

 よく見ると9機の大型機が編隊を組んで高度約1万を飛行しているのが見えた。

 そこから徐々に高度を下げ、7000ほどで腹に抱えた兵器のカバーを外す。そこには白いエヴァが頭を輸送機に埋め込んだまま現れた。もしかして量産機専用の輸送機なのだろうか。

 

 そしてエントリープラグを挿入し、順番に投下されるMark.07、もとい量産機。100mほど降下すると、背中から翼のようなものが生え、くるくると円陣を組みながら近づいてくる。このままいけば降下地点は第3新東京市の近くにある山頂だ。

 

「エヴァMark.07。それが9機も」

 

「あのご老人達はもう後がないのさ。必死だよ」

 

 マリとカヲルは冷静に分析する。

 もしNERV側のエヴァが一機や二機だったら絶望しかない。よくもまぁ戦力差を2倍まで減らせたものだ。

 

 量産機はある一定の高度まで降りてくると、体勢を変え、足を下に向けて着陸した。そして背中に手をまわし、普通は使わない諸刃の剣を取り出した。自分も傷つけしまうかもしれない武器だがシンジは知っている。あれはロンギヌスの槍をコピーした武器であると。使徒やエヴァにとって危険なものなのだ。

 

 向き合う14機のエヴァンゲリオン。ケンスケが見たら大喜びするに違いない。仮面を被り色とりどりの装甲を纏ったエヴァ。片や白い身体に不気味な顔のエヴァ。まるで特撮みたいだ。

 

『なによあのダッサイエヴァは。ゼーレのデザイン性を疑うわね』

 

 アスカがからかうように言う。

 

『でも油断はダメだ。あの武器を見なよ。あれはロンギヌスの槍のコピーだ。僕達がATフィールドを展開した瞬間に槍に変形してコアを貫くだろう』

 

 1時敵の側にいたカヲルが量産機の情報を伝える。正直変わりに言ってくれて助かった。

 

『ロンギヌスの槍ですって!?なんでそれを早く言わなかったの!』

 

『僕は装備の1つとしてあの武器を知っているだけさ。実際に装備されるのかはわからないよ』

 

 叫ぶアスカに呆れるように返すカヲル。もしかしたらこの2人、本当に仲が悪いのかも・・・・・・。

 

『碇君。来るわ』

 

「うん。わかってる」

 

 レイはライフルを手にシンジに話しかける。第3新東京市には持ち出せるだけの武器を持ってきており、使い捨てで扱う覚悟だった。

 

 先に動いたのは量産機。5機がジャンプし、4機がそのまま走って突撃して来る。一方で一斉に射撃を開始するNERVエヴァ。ガトリングガンやライフルで弾幕を張るも、効果は薄いと見える。やはり倒すには接近戦とかポジトロンライフルを使うしかないのだろう。

 

『接近戦よ!相手の武器に注意して!』

 

 ミサトからの通信が入る。

 

『量産機を倒すにはコアとダミープラグを破壊する必要がある。落ち着いて行動すれば倒せない相手じゃない』

 

 さらにカヲルから追加の通信が入る。確かに完成されたエヴァンゲリオンとも言うべき量産機は初号機並の再生能力を備える。斬ったり潰したりしても少し経てば復活してしまうだろう。

 

 各々の武器で戦い始めるシンジ達。量産機は戦い方を知っているのか無理に突っ込む行動は避けており、しっかりタイミングを見て攻撃を仕掛けてきている。

 シンジはエヴァ用のハルバードを手に量産機2機を相手にしていた。斬りかかってくる量産機をさばいているが、どこか兵隊を相手にしているというよりは、獣と戦っている感じがした。

 

 突進してくる1機を交わしたシンジは、ハルバードを力任せに薙ぎ払う。すると量産機の腹が真っ二つに裂け、血を噴き出して倒れた。次にもう1機の量産機に今度はシンジから突進して槍の部分で首を攻撃して突き刺す。そしてハルバードを抜いて倒れる2機と距離をとって様子を見た。

 

「う、うそでしょ・・・・・・」

 

 重症を負ったはずの量産機。しかしその傷跡は無かったかのように修復され、次の瞬間には量産機は立ち上がっていた。これが完璧なS2機関か。初号機も同じような感じになっているはずだが、痛みはあるのであまり怪我はしたくない。

 

 少しだけ辺りを見回すと、レイやアスカ達も再生能力に苦戦していた。だがその中でも、マリの戦闘能力はいかんなく発揮されている。

 

「とぉぉぉりゃっ!」

 

 3号機改で量産機2体と戦っているマリ。おそらくシンジ達の中で1番エヴァを使いこなしているのでないだろうか。シンクロ率はシンジとカヲルがダントツで高いが、使いこなせるかは別の問題だ。

 

 ぴょんぴょん飛び跳ねて量産機の狙いをずらしつつ、タイミングをみて首を狙ってトマホークを振り回している。シンジはマリが戦いを楽しんでいるように感じた。

 

(マリさん凄いや・・・・・・僕もやるぞ!)

 

 そんな彼女を見てやる気を出したシンジは、ハルバードで1機の量産機を地面に突き刺して固定。プログレッシブナイフを取り出してもう1機に向かう。

 

 ナイフを突き出すが、量産機は初号機の手首を両手で掴んで止めた。両者1歩も引かない攻防が続くが、ハルバードで地面に固定している量産機が抜け出してくる事を考えると時間はあまりない。シンジはもう片方の手をナイフに添え、ATフィールドを中和し始める。

 

 量産機は武器を拾おうとするが、両手が塞がっているためそれは出来ない。そしてATフィールドが破られると、装甲のない首筋にナイフが突き立てられる。シンジはてこの原理で装甲をひっぺがし、コアを発見した。

 

「あった!これを・・・・・・!」

 

 続いてコアにナイフを突き立て、破壊作業に入った。数々の使徒と戦って成長したシンジは、どうやったらコアを破壊できるかなんとなくわかっていた。

 ナイフで攻撃し始めてから1分後。コアにヒビが入り、もうひと押しすると完全に破壊されて粉々となった。

 

 崩れ落ちる量産機。さらにシンジはうなじの部分の装甲を引き剥がし、中のエントリープラグに向けて傍の兵装ビルにしまってあった拳銃を発砲。これも完全に破壊した。

 なぜエントリープラグを抜いて破壊しなかったのかというと、シンジは前にアスカのエントリープラグをシステムに操られていたとはいえ噛み砕いていたのだ。おそらく量産機にはカヲルのクローンがいるはず。そう思うとシンジは直接の破壊はできなかった。

 

 地面に転がる量産機を見つめるシンジ。すると後ろでバキンという音がした。

 振り向くとハルバードで固定していた量産機が柄を折って立ち上がっているのが見える。すかさずシンジは折られて半分になったハルバードに手を伸ばす。しかし量産機は落ちていた自分の剣を拾うと、初号機の肩を切りつけた。

 

「うぐっ・・・・・・」

 

 肩の肉が削られる感覚。シンジは激痛に顔を歪めるが、次の瞬間初号機のS2機関の影響で、傷口は少しずつ塞がり始めた。

 

 完治するまで待ってられないため、シンジは我慢して量産機に持っていたハルバードを突き刺す。こちらもATフィールドを展開したが、それ以上にシンジがハルバードにATフィールドを纏わせていたため直ぐに貫通。今度はコアの部分に突き刺さる。

 そしてシンジは先程と同じように拳銃でエントリープラグを破壊。無力化した。

 

 これでシンジの獲物は全て片付いた。警戒しながら周囲を見ると、全員再生能力に苦戦しながらもなんとか戦えていた。

 レイに来たのは一機だけだったのでタイマンとなったが、この中で1番戦闘能力が低いレイはその一機に善戦しているものの、勝てそうになかった。

 

 突然強烈な一撃をもらった零号機。その衝撃で持っていた槍を落としてしまう。

 

「綾波!」

 

 慌てて走るシンジ。量産機が落とした剣を振りかぶって突進する。

 すると突然持っていた剣が槍に変わる。何故かは知らないが、形態変化してしまった。

 

 こちらに気がついた量産機はATフィールドを展開するも、ロンギヌスの槍のコピー版はなんなくそれを貫いた。

 

「綾波!エントリープラグを!」

 

『ええ』

 

 レイは前の量産機の首を掴み、無理やりエントリープラグを引き抜いて地面に落として踏みつけた。

 その光景を見たシンジは吐き気をもよおしたが、なんとか耐えることができた。そして踏みつけたエントリープラグを見つめるレイにシンジは近づく。

 

「だ、大丈夫?」

 

『碇君・・・・・・ありがとう』

 

 ぽわ〜っとした空気が出来上がる。

 発令所ではミサトがニヤニヤと笑い、リツコが何かのメモをとっていた。彼女が何を書いているかはわからないが、接点の多いマヤはわかっていた。あれはリツコの持つ【レイ観察日記】のメモだ。ヤシマ作戦の後くらいから書き始めた物で、どんどん人間の少女らしくなってゆくレイを記していた。

 

『コラ!バカシンジ!なーにイチャついてるのよ!終わったんなら!手伝いなさい・・・よっ!』

 

「う、ごめん」

 

 ギリギリと拮抗状態を保っているアスカがキレる。いくら身体に異常がないと言っても訓練をしていなかったため、彼女の身体はまだ完全ではない。2体同時はキツかっただろうか。

 

 シンジはアスカの下へ。レイはカヲルの下へ援護に向かう。

 現在3機の量産機を倒した。残りは6機。アスカ、マリ、カヲルが2機ずつだ。

 

「ぐむっ・・・・・・よいしょぉぉ!」

 

 マリは量産機の頸動脈に噛みつき大破させ、ぐったりした機体を放り投げた。そしてもう一機に向かって地面に刺さっていた槍を突き刺し、同時にATフィールドを中和して量産機の腹部に突き刺した。やはり彼女は1人でも問題ないだろう。

 

 アスカを助けにいったシンジは、マリが投げたと思われるトマホークを手に取り、2号機につかみかかっている量産機の一機の背中を斬りつけた。

 

「ごめんアスカ!大丈夫!?」

 

『ふ、ふん!このあたしが押されてるとでも?』

 

「・・・・・・手伝えって言ったのに」

 

『なんか言った?』

 

「イエナニモ」

 

 2号機と戦っていた2機の片方は初号機へと狙いを変えた。アスカは負担が減ったためか、動きが先程より良くなり、取っ組み合いになっても量産機の腕をへし折っていた。

 

 そして今度はシンジがやったのと同じように、装甲を剥がしてコアとエントリープラグを破壊した。

 それが終わるとシンジと対峙していた量産機を後ろから刺し、うなじを切り裂こうとした。

 

 だが――

 

『やば!』

 

 量産機はぐるんと回って2号機の腕を掴み、全力で投げ飛ばした。初号機の方に。

 

「わーっ!」

 

 あまりに突然の事だったため、シンジは2号機を受け止めきれずに激突。2機は無様にも地面へ転がった。

 

 そしていつの間に回収したのか量産機は自分の剣を手にこちらへ歩いてきている。

 

『ちょ!なんで避けないのよ!』

 

「だっていきなりのことだったし・・・・・・ってそれよりもどいて!」

 

『え、わ!』

 

 シンジは少々乱暴に2号機をどけると、トマホークで剣を迎撃した。相変わらず頑丈な量産機の剣は折れることはなかったが、攻撃の衝撃はかわせない。量産機は剣を落として痺れる腕を不思議そうに見つめる。

 

『よくも乱暴に扱ってくれたじゃない・・・・・・まぁ今はそれよりも!』

 

「せいっ!」

 

 2人は意外と合った動きで量産機を前後から各々の武器で突き刺した。シンジはコアを。アスカはエントリープラグを破壊したため、量産機は一瞬ビクッと反応して崩れ落ちた。

 

 これで後4機・・・・・・いや、よく見るとマリが1機を破壊していたから3機。カヲルは上手く立ち回っているが、中身が自分のクローンであるため中々決着がつかなかった。

 

 戦いは続く。

 

 

 




エヴァの呪いが解けたらと思ったら別の呪いかぁ
まったく大変だねシン・・・乙骨パイセン

12/28 残機を修正しました
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