大本営の資料室   作:114

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はい。

今回はまた趣向を変えて、偉大なる先駆者方である

なかむ~様、そして大キャバクラ様をリスペクトした、所謂ヤンこれ系のお話となります。


いやー…これ系だと筆が進む進む…

あ、一応本編とも…まぁ、少しは絡んだり絡まなかったり…


ではどうぞ






File104.霧坂中将辞任案件

 

 

 

 

やぁ、やぁやぁやぁ…

 

悪いね、突然呼び出して…

 

 

最近どう?

 

え?

 

はは…ありきたりなこと聞くなって?

 

 

 

悪い悪い…

 

いやー…実はさ…ほら、同期の霧坂…いるじゃない…

 

 

 

 

 

そうそう、キリトキリト

 

 

いやー…アイツからひっさびさに連絡もらってさ…

 

いや、本当に久しぶりによ?

 

 

士官学校出てから…

 

 

…ろ…く…7年?

 

あ、8年か!

 

はは…うん悪い悪い…

 

 

え?早く話せって?

 

 

 

あー…

 

 

 

んー…

 

 

実はさ…キリトのやつ…

 

こんなもん送ってきてさ…

 

 

ん?…あ、なんか住所俺のしか知らなかったみたいでさ…

 

 

ほれ…

 

 

 

…な?

 

 

 

…あのー…アレ…

 

噂で聞いてさ…

 

 

えっと、なに?…なんかワケアリの報告書とか預かってくれるみたいな部署があるってさ…

 

 

お前ならその部署の担当の士官か誰か知り合いにいるだろう?

 

 

 

はい、んじゃあ渡したからな

 

え?頼むよー…なんか俺も…その…最近付けられてる気がしてさ…

 

 

 

ああ、じゃあまた同期会でな

 

悪いな

 

 

…え?

 

あいつが今どこにって?

 

 

…さぁ?…あ、でも確か俺のところにその封筒が来た時は……

 

 

 

 

 

デンマーク…だったかな?

 

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

俺の名は霧坂隼人

 

 

年齢は26歳の乙女座だ

 

 

親しい友人や同期からはキリトって呼ばれてる…このあだ名スッゲー嫌なんだけどな…

 

 

で、突然だけど、俺は今フィリピン領内のタウイタウイって場所で海軍の提督をやっている。階級は大佐…

 

なんでフィリピン領内なのに日本人が提督の基地を?って聞くなよ?

 

 

 

でもまぁ、別にやりたくてやってる訳じゃない

 

そうせざるを得ない状況だったんだよ…

 

始まりは高校時代…

 

 

海軍省からやってきたお偉方さんがうちの高校にやってきた…

 

 

海軍士官の素質を持った生徒を見つけるための調査でな…

 

 

そこで妖精さんが見える…もとい、見えてしまった俺は無事海軍士官学校へのシードチケットを無理矢理受け取らさせたってわけだ

 

 

嘘でも見えないって言えばよかった…あれが最初の後悔だったな…

 

 

 

それから士官学校に入学、無事課程終わらせて日本国軍海軍東海支部へ着任、有無を言わさず伊予海上レーダー基地に研修後、タウイタウイ泊地着任となった…

 

凄くね?

 

エスカレーターどころか逆バンジーかってくらいのとんとん拍子よ

 

 

いや、いやいやいや…

 

 

本当に俺な~んもしてないのよ…

 

なんでか知らんけど、なんでもかんでも良い方へ流れてくんだよね…マジでさ…

 

 

で、タウイタウイに着任するときに初期艦を選べって言われたのにさ、なんでか知らないけど5人が俺のところに就きたいって…あっちから俺の方へ来ちゃったんだよ…

 

本来は一人しか選べないのにね

 

 

お偉いさんも困っちゃってたみたいでさ

 

 

 

『じゃあ、あとよろしくね、霧坂君』

 

 

とか言ってどっか行っちゃったし…

 

 

 

ここまでで2年前…

 

あのさ…俺、一言も海軍やりたいって言ってないんだけど…

 

言おうとするとなーんかいっつも邪魔はいるしさ…

 

 

 

だいたいさ、俺の「提督?聞いてますかー?」

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

昭和83年9月

 

 

 

フィリピン南西部

 

タウイタウイ泊地 執務室

 

 

 

 

「提督ー?」

 

「え?は?…あ、ああ……なんだっけ?」

 

 

上の空だった俺は彼女の呼び掛けでハッとする

 

そう。秘書艦の大淀だ

 

 

「…もう…じゃあもう一度説明しますね?実は泊地の艦娘達からの要望で…」

 

 

ああ、またこれだ…

 

 

「あ、あのさ…大淀さん?…その…近くない?」

 

 

資料を読んでくれるのはありがたいけどさ…いつもいつも俺の膝の上に座って読むことなくない?

 

 

俺一応上官よ?

 

 

「そうでしょうか?この方がしっかりと声も届くと思いまして…あ、もしかして重いとか言うつもりじゃありませんよね?」

 

 

「…いや…そんな事は…うん…ちょうど良い重さかな?」

 

 

俺の返しに大淀はにっこりと笑う

 

「…も、もう…可愛いだなんて…提督ったら…」

 

 

あれぇ?

そんなこと言ってませんが?

 

大淀はつん、としながら

 

 

「そ、それにこうして座っておかないと他の子達がやってきて提督のお膝の上を独占するんですから!これは防止のためです!」

 

 

…はぁ、さいですか… 

 

 

と、やりとりしていると早速執務室の扉が開き、元気な艦娘達が入ってきた

 

 

「司令官ー!あそぼうよー!」

 

「うーちゃん参上だっぴょん!」

 

 

皐月と卯月か…おや?大淀さんお顔が…

 

 

 

「…お二人とも?入る前にノック、それと所属と艦名、きちんと要件を言ってからですね…」

 

うわ…うわうわうわ…離脱っと

 

 

 

「あ、提督?どちらに「トイレだトイレ!」

 

 

 

 

「あーあ」

「行っちゃったぴょん」

 

「全く…もぅ…」

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

ひゃー…参った参った…ああなったら大淀長いし…俺にも被害が流れてくるからな…

 

 

「…うし…ションベンして静かな図書室へと「あー提督?どこ行くの?」

 

 

廊下を歩いてると前から鬼怒と阿武隈がやってきた…

 

 

 

「トイレ?あ、じゃあ鬼怒もついていくよ」

 

「あ、ならあたしも行きますよ!」

 

 

なにいってんのこいつら

 

 

「いやいやいや…男子トイレだから!女子禁制の聖域だからさ!」

 

「えー?別にいいじゃん!」

「そうですよ!あたし達がちゃんと持っててあげますから!」

 

 

何を?ナニを?

 

おっと…鬼怒が耳元へ近づいてきた

 

 

「…起っちゃったら…鬼怒違が処理してあげますよ?」

 

 

 

ASMR!

 

 

鬼怒め!気持ち唾液の音混じりに囁きやがって!

 

 

「あーはいはい…そういうの良いから…ほら、訓練に行った行った」

 

 

なんとか二人をしっしする

 

悪いな鬼怒…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はもうお前らじゃあ起たんのよ

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

いやね?最初は喜んだよ?

 

もう、そりゃあもうおっしゃーって…

 

 

『女の子達と一日中一緒やっほー!』

 

 

ってさ…

 

 

これ男の夢じゃん?ロマンじゃん?

 

 

でも実際提督の立場になったらわかると思うけど…

 

 

 

確かに皆可愛いさ

 

戦艦空母あたりなんてエロいしでかい!

 

 

…けどさ、いきなり下半身押し付けてきたりさ、言葉でセクハラしてきたりさ、寝てると音も立てずに寝室入ってきて布団入ってこようとしたりさ…

 

 

これずーーーーぅっとやられたら逆に怖くなるのよ…

 

 

「…ふぅー…」

 

トイレ内での喫煙…これが日中での俺の唯一の癒しの時間

 

 

…本当はだめだよ?

 

この癒しの時間のためにトイレの火災警報器外したからね

 

 

あ、で…

 

 

俺も性欲に忠実なスケベならよかったんだけどさ、ここ一応軍隊だしさ、規律とか大事じゃん?

 

やりたくなくとも俺ってここの提督だし、一応立場を弁えた行動しなきゃじゃん?

 

 

「…ふぅー…」

 

 

うん。つかれるよねー…

 

 

でもさ、一番疲れるのはアレなんだよ…

 

 

うん。ミーティング…

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

会議室

 

 

泊地の会議室…また次の作戦の為のミーティングね?やってんだけど、さ…

 

 

「…以上の情報からこちらの海域に深海棲艦群がいる可能性が高いと思われます」

 

 

大淀の説明に、地図を広げたテーブルを囲む各艦隊の旗艦達は心配そうに悩んでいる

 

 

「…情報が少なすぎる…このまま出撃しても良いのだろうか…」

 

 

うん、流石だね長門

 

俺全然説明聞いてなかったわ…

 

 

「…長門さん心配いらないですよ。いつだって私達はうまくやってきたんですから!」

 

おー朝潮、良いフォローだぞー

 

 

「…提督、提督は今の作戦内容…どう考えられますか?」

 

 

え?俺に振るの?天城さんよ…

 

俺は一つ咳払い

 

あ、咳払いしたのは大淀の説明中に全然喋ってなかったからほら…喉がアレでさ…

 

 

「…ああ、良いと思う…俺もこの…」

 

手元にあったペンで、地図に描かれた大淀の予想する海域を指そうと思ったんだよ…

 

 

「…あっ…」

 

 

皆の前で緊張しちゃってさ…摘まんだペンがぴんっ、て飛んでったんだよね

 

そうしたら別の海域にペンが刺さっちゃってさ

 

 

いや、刺さるわけないよね?

 

ペンだよ?

 

確かにペンは剣よりも強しなんて云うことあるけど、地図に刺さるくらいの力飛ばしてないからね?

 

 

 

 

 

…で、ここからがいつもの流れなんだよね…

 

 

 

「…ま、まさかその海域の方が怪しい、と…?」

 

あー…大淀…すっげー驚いてる

 

 

「…え?…あ、いや…「成る程!…提督は最初からそこが怪しいと…その海域にこそ深海棲艦群がいると言うことだな!?」

 

ありゃ…

 

 

「流石です司令官!朝潮、目から鱗です!」

 

 

あ、そう?

 

鱗出ちゃったか…

 

 

「…あ、ああ…いや…その…だな…違「よし!すぐに出撃準備だ!座標を共有するぞ!」

 

 

あー…まって…話を聞いてくれよ

 

「いや…な、長「はい!すぐに準備し出撃できるようにアナウンスします!」

 

 

 

 

これだよ

 

 

全然話聞いてくんないし…

 

 

俺ここに着任してから一言も出撃!なんて言ったことな…あーあーあー…みーんな出払っちゃったよ…

 

 

 

「…流石です!提督!」

 

 

「あ、うん…」

 

 

大淀よ…そんな感激した表情で俺を見るな…

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

結局…遊撃作戦は成功

 

俺が飛ばしたペンでたまたま偶然うっかり記した地図の海域で見事会敵したんだと、さ…

 

 

偶然って怖いよねー…

 

 

今回だけじゃないんだよ…

 

今までの作戦もこんな感じで意図せずうまく行ってたのよ…

 

俺が関係ないことをちょっとしたこと呟いただけで天啓だ!みたいな騒ぎになってさ…んでそれが本当になったりして…

 

 

 

 

作戦の指揮は基本大淀と長門でやってくれてるし、訓練も各艦種で各々やってて練度もあがってるし…

 

 

 

え?

俺いらなくね?

 

夜な夜なベッドに忍び込んでくる子達相手に腰振ってれば良いの?

 

 

俺童貞なんだけど…

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

まー…そんな感じで…ものスッゴい幸運と、作戦成功確実のスペシャリスト達が周りにいるお陰で俺ちゃんはな~んにもしなくても勝手に昇格していってるわけですよ

 

 

 

え?羨ましいって?

 

 

いや、全然?

 

 

だって俺完全に空気だしさ。確かにやりたくて就いてる仕事じゃないけど、やろうとしても何もやらせてもらえないのよ?

 

 

この無力感

 

すっげーつまんないって…

 

 

なんか人のやってるRPG見てる感覚っつーの?それに近い感じ

 

 

 

 

それでも自分に出来ることないかなってさ…

 

花壇を整えようとしてもさ

 

 

 

『提督!ここは私がやりますから!…え?大丈夫です!私花好きなので!』

 

 

食堂で皆に料理を振る舞おうとしてもさ

 

 

『提督。こちらは私と伊良湖ちゃんがいますので…え?提督が料理を?そんな…恐れ多いですよ…』

 

 

 

提督らしく執務でもしようものなら

 

 

 

 

『あ、提督おはようございます。執務なら既に私、大淀が終わらせたので!…とりあえずお膝、失礼しますね?』

 

 

 

…提督らしく朝イチに早く来て執務でもしようものなら…

 

 

『あ、提督おはようございます。執務なら既に私、大淀が終わらせたので!…とりあえずお膝、失礼しますね?』

 

 

……丑三つ時に来て執務でもしようものなら…

 

 

『あ、提督こんばんわ。執務なら既に私、大淀が…あ、どうして扉を閉めるんで

 

 

 

え?君いつ寝てんの?

 

俺提督なんだけど、承認の判子とかどうしてんの?

 

 

…ってな感じよ…

 

 

 

窓際ならぬ波打ち際、なんちって

 

 

 

 

ま、こんないてもいなくてもいいやつなら別に他の仕事しようかなってなんじゃん?海軍じゃなくてさ…

 

 

だから必然的にこう考えるわけよ

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

 

 

「て、提督…い、今なんと?」

 

「ん?聞こえなかった?…俺、海軍辞めるから」

 

 

あらら、大淀ってば手が震え…いや!震えすぎでしょ!!

 

 

「…あ、これ…辞表ね」

 

「…ふんっ!」

 

 

あ、破いた…びりびりに…

 

お、おお?大淀が俺の胸ぐら掴んで壁際に…!

 

 

 

「な、なななな、何故ですか!?わたっわたっ私の…!私の何がいけなかったのですか!?わ、私は提督に喜んでもらおうと…!ただその一心でここまでやってきたというのに!…答えてください提督!何がいけないのですか!?どうすれば考えを改めてくれますか!?提督!」

 

 

長いっ!

 

そして近い!

 

 

「あ、いや…ならさ…俺も海軍として「わかりました!更なる戦果をあげましょう!そうすればお考えも変わるはず!!私に…私達にお任せください!」

 

 

 

…いや…違う

 

 

「ま、待ってくれ大淀!そうじゃないって!俺が言いたいのは「問題ありません!すべて私達にお任せください!では!」

 

 

 

違う違う違う…

 

まずは俺の話を…

 

 

 

「…聞いてくれよ…」

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

「はぁ…」

 

 

なんで男子トイレ改装中なんだよ…俺どうすりゃいいんだ?執務室に置かれた壺にすりゃあいいのか?

 

 

…大はどうしよう…

 

 

とか考えながら工廠裏でタバコを吸う…

 

 

「…あー…めんど…メンディーメンディー…」

 

「あれ?提督?」

 

「ん?」

 

 

俺に声をかけてきたのは夕張だった

 

作業着に…ん?一斗缶?

 

 

 

「…よ、夕張…今日も工廠でカチカチやってんのかい?」

 

「ええ!今日もカチカチですよ!」

 

 

…適当にカチカチって言ったのにあわせてくれんだな…

 

 

 

…あ、そういえば…夕張はここでの数少ないグイグイ来ない系だ!

 

 

夜寝てても忍び込んでこない系だ

 

 

「なぁ、夕張…ちょっと聞いてくれないか?」

 

「私に?ええ、もちろん構いませんが…」

 

 

そう言って夕張は俺のとなりにしゃがんでくれた

 

ふんわりと香るオイルの匂い…まぁ嫌いじゃない

 

 

 

「いやー…実はさ。俺海軍辞めようかと思っててさ」

 

「えー…なんかいきなり重いですね…」

 

 

 

苦笑いしてくれる夕張

 

そう!そうそう!そのリアクションが欲しかったんだよ!

 

 

同じ軽巡で大淀とこんなにも違うのか!

 

 

 

「あ、ああ…いや、ほら…俺って昔から提督やってはいるけど、全然「提督よ!ここにいたのか!」

 

 

げっ…長門…

 

 

うーわ

 

うーわ最悪…

 

いっつもこうだよ…

俺がなにかをしようと、言おうとすると誰かや何かで邪魔される…

 

 

まじなんなん?

 

 

「さ!次の作戦会議としゃれこもう!」

 

 

長門に襟首を捕まれ引きずられる俺…

 

夕張は小さく手を振ってくれたから俺も振り返した

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

…そしてきた運命の日…

 

 

 

豪華に飾り付けられた泊地の講堂

 

いつもの通り壇上にあげられた俺…

 

目の前には東海支部の将校や来賓の将校達…

 

と、満面の笑みの大淀…

 

 

「この度の作戦行動。実に見事だった!おめでとう!霧坂大佐!」

 

 

少将…いや、俺は初めて会うわけなんだけど…

目の前の少将が勲章を持って俺の胸につけはじめる

 

…ああ、これも何度目だろう…

 

 

また勲章貰っちゃったよ…

俺な~~~んにもしてないのに

 

 

あ、じゃあじゃあ…もしかしてこれで大佐の階級から…

 

 

「作戦成功…!今回の作戦で君は見事昇進だ!…この後には陸奥との中規模の合同作戦もある!まだまだこれからも頼むよ。霧坂少将」

 

 

…きたー…少将きたー…

 

これだれが望んでんの?

どっきり?どっきりカメラ?

 

おい長門…お前鼻水と涙流すなよ…

 

あー…朝潮も嬉しそうに霞と抱き合っちゃってまぁ…

 

 

 

「潮時、かな…」

 

勲章をもらい、大佐から少将へとなった俺は皆に一言言うためにマイクの前に立つ

 

 

そして…

 

 

 

 

 

 

 

『俺、海軍辞めます。皆、じゃあね』

 

 

 

 

俺の一言で講堂内の時が止まった

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

「どういうことだ!提督!!」

 

 

やっぱりの長門…

おい、胸ぐら掴むのはいいけど…いや、よくないけど…

 

まずは鼻水ふけよ…

 

 

 

 

 

授与式が終わると、執務室にやってきたのは艦娘達

 

みーんな泣いて怒ってでパニックになってる…

 

 

草生えるわ

 

 

 

「…どうもこうも…さっき言ったろう?俺海軍辞める、ってさ」

 

 

ちょっと不貞腐れたように言うと、床に座り込んでいた大淀がボロボロと泣きながら声にならない声で俺のズボンの裾を掴んでくる

 

 

 

 

「うぁぁあああ!!でぁどぐぁあん!どぁじで!わだじ!がんぁっぁあんああん!!!」

 

「おいやめろって…ズボン脱げるだろ…長門も放せって…」

 

 

「おい提督!ふざけんなよ」

 

「そうだ!お前らしくないぞ!」

 

「提督!なにか悩みがあれば聞くから!」

 

 

重巡のうるさいやつら…近い近い近い…

 

 

「もういいってそういうの」

 

 

あれ、なんだろう…いつもより声が通る気がする

 

 

「そ、そういうの…?」

 

皆と同じく朝潮も驚き、顔をひきつらせている

 

 

はぁ…ちゃんと俺の話を聞いてくれる空気になったのがこんな時とはね…

 

 

 

「だから…もういいって!…俺は疲れたの!もう海軍続けたくないし、続ける理由もないの!」

 

 

 

 

タウイタウイの艦娘は強い

 

実際俺がいなくても十分できる子達なんだからさ…

 

 

 

「て、提督よ…あの、その…の、飲もう!まずは飲んで…だな…」

 

おい那智…なんつー顔してんだよ…

目元に涙浮かべて…酒の瓶持つ手がめっちゃ震えてんじゃん…

 

声も裏返ってるし

 

 

「司令官!やめないで!」

 

「提督ー!嫌だよー!」

 

 

ああ、駆逐艦や海防艦達も入ってきた…床抜けない?これ

 

っつかさ…っつかさ…

 

あー…なんかイライラしてくんな…

 

 

「あのさぁ!…もういいって言ってんのがわかんないわけ!?もううんざりなんだよ!」

 

 

ああ…またもや時を止めてしまった…

 

ポカンとする艦娘達

 

よし、このチャンス…ここで言いたいこと言おう

 

 

 

「俺、そもそも海軍やりたいって言ってないしね?…高校時代に海軍のお偉いさん勝手に来て、勝手に推薦して勝手に引っ張り回したんだよ!やりたいなんて一言も言ってないのにね!むしろ嫌だって言ったのにみーんな無視したんだからな!」

 

 

「て、提督…?」

 

 

「ここに就いてからだってそう!俺なんっにも命令してないのにお前らが勝手に出撃だ遠征だってやってさ!はぁ!?俺のため?…誰が頼んだってんだよ!!」

 

 

しゅんとする駆逐艦達

 

いや、俺もこんなこと言って胸が…

 

 

すっとする♡

 

 

 

「大淀は俺の言葉遮って余計な解釈するし、長門も俺が話してると途中で勝手に行動する…朝潮もそうだよな?俺がやめろっていってんのに自分達のやりたいようにばっか!」

 

 

ぱしゅっ、と官帽を床に叩きつける

 

 

「俺はただの置物!お飾りの提督だ!実際今までの俺がなにも言わなくても上手くやってたんだからこれからも頑張ってくださいね!!ファイト!!」

 

 

「ち、違うよ!私達は提督がいたから「あー!あー!キコエナーイ!」

 

 

 

両手で耳をふさいで、後ろ髪を引かれるように執務室から出ていく俺

 

 

あー…言いたいこと…3割くらい言えたかな

 

っつーかなんか久しぶりに大淀以外と自分の意思で話した気がするわ

 

 

よし、後は東海支部に辞任の意向を伝えて…

 

 

まぁ何にもしてないけど、今回も今までのも俺の手柄の戦果ってことだし、支部の将校もなにか要望あれば聞くって言ってたし…もう良いだろ。海軍は終わり!これからはプロのゲーマーにでもなろうかな?…って、んな仕事ないか

 

 

そーだそーだ

 

そういえばなんだっけ…MMOパソコンゲームで流行ってるって話だし、有給使いながら遊ぼうかな~…金も使ってないから(使えないから)結構あるし

 

もちろんキャラネームはキリト!

 

あ、†キリト†にするか!うん!

 

 

 

 

 

 

…ただ、俺はまだ気がついてなかった…

 

俺のわがままが…俺のせいで彼女たちが壊れちまったことに…

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇    

 

 

 

 

 

 

 

その日の深夜、艦娘寮の大広間では蝋燭の明かりだけが淡く灯され、焦燥感や怒りを孕んだ表情の少女達が集まっていた

 

 

 

 

「…大淀、金熊少将は?」

 

 

大広間の一人掛けのソファーに座った長門が大淀に問うと、大淀は眼鏡をくいっと指であげて頷く

 

 

「あれから数時間は放心状態でしたが…今はもうそれはお怒りに…提督からの辞任の手続きは絶対に受けない、と…」

 

 

大淀の返答に長門は小さく頷き、次いで向かいに座る朝潮を見る

 

 

「…朝潮」

 

 

そちらはどうか、という視線の問いに朝潮も小さく頷く

 

 

「はい、既に駆逐、軽巡のメンバーで塀を立てています。朝には終わるかと…基地内でも逃亡阻止のための装置も万全です」

 

 

不穏な単語を使い、現状を説明する朝潮。

深夜に行う作業ではないが、今は緊急時。朝潮の後ろにいる大潮と霞はスコップを持ちアピールしている

 

 

「よし…恐らく提督は今週中にでもここから出ていこうとするはずだ…私達が止めても無理矢理にでも出ていこうとするだろう…」

 

 

「それを私達が阻止するんですね?」

 

 

「そうだ、天城…どんな手を使ってでも提督をこのタウイタウイから逃がすな…!」

 

 

長門の静かな決意と指示で、大広間にいた艦娘達も各々決意する

 

 

 

「許さない…私達の元からいなくなろうとしているなんて…」

 

 

「提督…提督…提督!…いやよ…!」

 

 

「提督への愛が足りないせいだわ…」

 

 

「そうよ、提督をもっと愛して、提督の為だけに動かなきゃ…!」

 

 

 

 

ざわつく艦娘達を大淀は片手をあげて制すると、再び眼鏡をくいっと指であげる

 

 

蝋燭の灯りの反射でその目は見えない

 

 

 

「では皆さん。武運を祈ります…各自行動してください」

 

 

 

艦娘達は皆頷いた

 

 

 

 

 

 

 




はい

お疲れでした

今回は文字数も少なく、サクっと読めたかと思います。

今回の短編の主人公はキリトこと、霧坂隼人さんです。


自分の意見を持ってても流されて色々と諦めちゃう系の主人公ですね。
自尊心の低い彼は、そのカリスマ性を自分で理解しておらず、彼のカリスマ性に惹かれた艦娘達はいつものごとく暴走を始めました


まぁ、冒頭のやりとりで、オチがどんなものかは予想つくとは思いますが、次回もお付き合いして貰えればと思います。


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