大本営の資料室   作:114

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はい。お久しぶりの投稿です。

もう投稿遅くなっても謝りません(虚無感)

物語自体はちまちま書いてるので、見てくださる方はゆっくり…ゆっっくりとお待ちください

今回はお酒の大好きなあの娘のお話です。

短いですが、どうぞ


File107.特別治療院カルテ「入院艦者4-23号」①

 

 

 

『この化け物!なんで…なんでこんなこと…!』

 

 

 

…??

 

 

化け物…?私が…?

 

 

『止めて!…止めてって言ってるでしょ!』

 

 

なんで?あれ?

 

なんか…止まらない…

 

 

 

『目を覚ましてよ!ぁぁあああ…!』

 

 

 

なんで泣いてるの?

 

こんなに楽しいのに…

 

 

 

ほら、こんなに…

 

 

 

『誰か!誰かぁー!』

 

 

 

……ナンデ…私ノ手…血マミレ…?

 

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昭和86年2月

 

 

山口県にある日本国軍海軍南海支部直下、周防基地の執務室

 

 

昨夜の雨、そして外の気温の低さのお陰で窓の枠には薄く氷が張っている

 

 

ここ周防基地の提督と見られる士官服の中年男性は、コーヒー片手に窓の外に視線を向けながら心配そうに再度問う

 

 

 

 

「…確か今日からだったね…イタリア海軍から配属される艦娘が来るというのは…」

 

 

 

周防基地提督、今村了之介大佐(55)

 

頭頂部は薄く、小太りで眼鏡を掛けた中年男性士官。その見た目と人の良さから艦娘達から裏でお父さんと呼ばれていることに気がついていない。何事にも心配性なのが自身の悩み

 

 

 

今村が問うと、秘書艦である重雷装巡洋艦、木曽が執務机に腰掛け、腕を組みながら口の端をつり上げる

 

 

「…相変わらず心配性だな…"留学生"のことなら俺達に任せればいいさ」

 

 

留学生と揶揄する木曽

 

今村はうーん、と困ったように薄い頭をトントンと指で叩く

 

 

「…同盟国のイタリア海軍の艦娘だからね…何かあったら私の首ひとつじゃ済まないからね…そこのところを慎「慎重に、だろ?わかっているさ」

 

 

 

2人は長年の付き合いなのだろう

 

台詞が被せられても怒ることのない今村は、なら頼むよ、と申し訳なさそうに微笑む

 

 

 

そこへ執務室の扉がノックされる

 

 

ノックの音がすると、木曽と今村は執務室の扉の方に視線を向け、今村は咳払いし、襟を正し、木曽は腰掛けていた執務机から離れ、執務机の横に立つ

 

 

『駆逐艦玉波です。提督、ポーラさんをお連れしました』

 

 

扉の向こうから聞こえたのは駆逐艦玉波の声

 

 

ここ周防基地には案内役の艦娘などは特に決まっていない

 

恐らく例の"留学生"は基地内にいた玉波にたまたま声をかけ、優しさの塊とも言える玉波の厚意で執務室まで案内してくれたのだろう

 

 

そんな玉波の優しさを感じながら、今村は小さく微笑む

 

 

「どうぞ」

 

 

今村の返答を聞き、玉波の失礼しますとの台詞とともに執務室の扉がゆっくりと開く

 

…が、扉が開ききる前に勢いよく扉が開く

 

 

 

「ボンジョルノ~、イタリア海軍グロッセート航空基地からやって参りました~。ザラ級3番艦、重巡洋艦ポーラです~。よろしくお願いしますね~」

 

 

手を振りながら入ってきたのはポヤポヤした雰囲気のウェーブのかかったプラチナブロンドの女性、重巡洋艦ポーラ

 

隣の玉波は困ったように微笑んでいる

 

 

 

「やぁ、ようこそポーラさん。私は日本国軍海軍南海支部直下、周防基地提督の今村です。どうぞよろしくお願いします」

 

 

へらへらとした雰囲気のポーラに対してしっかりと敬礼して挨拶を返す今村

 

それに倣って木曽も敬礼する

…木曽はどことなく呆れるようにポーラを見ている

 

 

「えへへ~よろしくお願いしますね~ポーラ、頑張っちゃいますよ~」

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

着任の挨拶も終わったポーラは、そのまま玉波に基地内を案内されていた

 

 

「…次が艦娘寮ですね。周防基地に所属する艦娘は約40人。3人で1部屋となっています」

 

 

玉波の丁寧な説明を聞きながら、日本の基地の内装が珍しいのか、ポーラはきょろきょろと周りを見ながら玉波についていく

 

 

「ほぇ~…40人もいらっしゃるんですねぇ…あ、というか"人"なんですね~」

 

「…え?…はい…えっと…」

 

「あはは、グロッセートでは…というよりもイタリア海軍では艦娘は人扱いじゃなくて完全に船扱いだったので、数え方も何人じゃなくて何隻だったんですよ~…少なくとも私のいた基地では艦娘"寮"とは呼んでませんでしたね~」

 

 

何気に重く感じる話をにこにこしながら教えてくれるポーラに、玉波は返答に困る

 

「…ええっと…では寝る場所などは…」

 

「あ、寝る場所もベッドもちゃーんと人数分ありましたよぉ?ポーラもよくゴリツィアのベッドに入って怒られて…あ、ゴリツィアって私の姉妹艦なんですけどねぇ~ふふふ」

 

 

「…そ、そうなんですか…」

 

 

戸惑いながらも、恐らく生活基準は人並みなのだろうと推測した玉波は気持ち安堵する

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

同日、夕方

 

 

夕陽が執務室の窓から差し込んでくる

 

 

そんな中、執務作業をほとんど終えた今村は、自分で自分の肩を揉みながら首を捻る

 

 

「…ふぅ…少し落ち着いたね…」

 

 

今村の執務机の横に置かれた秘書艦用の執務机で同じような作業をしていた木曽が今村の方を見ていたずらっぽく笑う

 

 

「ふふふ……なんだ?俺が肩を揉んでやろうか?今村大佐殿?」

 

 

木曽の冗談に今村も小さく吹き出す

 

 

「…その気持ちだけで十分だよ?木曽秘書艦殿」

 

 

 

今村の返しに木曽は椅子の背もたれに寄りかかり、頭の後ろで手を組む

 

 

「…全く…相変わらず提督は堅物だな…アンタほどの人柄と信用があればちょっとしたおさわりぐらいなら皆許してくれるぞ?」

 

 

「ははは…よしておくれよ…昨今ではちょっとしたことでセクハラだなんだと世間で騒がれてしまうからね…特に私のようなおじさんなら尚更だ…」

 

 

今村の台詞を聞き、木曽は呆れながらジト目で今村を見る

 

 

「…そういうものかねぇ…外の世界の女の気持ちが俺にはわからないな…」

 

 

さて、と今村は咳払いする

 

 

「彼女…ポーラさんの扱いをどうするつもりだい?木曽」

 

 

穏やかな表情で木曽に問う今村

 

だが木曽はわかっている

 

こういう時の雰囲気の今村は周防基地の提督としての彼だ

 

 

こういう時は冗談は言うものではない

 

 

「…少なくとも現時点では基本的に出撃はさせない。それよりもまずはここでのルールを覚えてもらい、他の艦娘とのコミュケーション、訓練への参加…とりあえずはその辺からだな…ああ、念のため補助艦で同室になる江風をつける予定だ」

 

 

江風と聞き、今村は「ほぅ」と唸る

 

 

「…江風…か…うん。彼女なら大丈夫かな…」

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

同時刻、玉波の案内によって艦娘寮のとある部屋の扉の前にやって来たポーラ

 

 

ふと見れば、各部屋から数人の艦娘達が珍しそうにポーラを視線を向けている

 

 

「ここがポーラのお部屋なんですね~ありがとうございます!タワ波さん」

 

「…"玉波"です…」

 

 

 

ドアをノックし、扉の向こう側にいる人物に声をかける玉波

 

 

「玉波です。失礼しますね」

 

 

玉波が扉を開けると、8畳ほどの広さの部屋に、二段ベッドが部屋の壁側に対になるように右側と左側に設置されており、右側の二段ベッドの上の手すりから赤いアホ毛がぴょこんと出ていたが、玉波が部屋に入ってきたのがわかると、そのアホ毛から引き続き少女の顔もひよこっと出てくる

 

 

「よっ、玉波。なんか用かー?…って、そっちは誰だい?」

 

 

「こちらはイタリア海軍グロッセート航空基地から短期配属された重巡洋艦のポーラさんです」

 

「初めまして~ヴォンジョルノ~、ポーラですぅ。よろしくお願いしますね~」

 

 

玉波の丁寧な紹介に反してひらひらと笑顔で手を振るポーラ

 

少女はよっと言いながらベッドの下に降りる

 

 

「…よぉ、アンタが噂の留学生だね?白露型の江風ってんだ!おんなじ部屋だからこれからよろしくな」

 

ポーラの前に立ち、にこにこと気持ちのよい笑顔で挨拶、そして右手を差し出すと、ポーラも笑顔でその右手を握る

 

 

「はぁい、どうぞよろしく~」

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

その後、玉波と江風に連れられて基地内の各施設を案内されたポーラ

 

特に大きな問題もなく、楽し気に施設内を案内され、心なしかお互いの緊張が解けている

 

 

 

「ここが最後ですね。周防基地の酒保…売店所です。私達艦娘だけではなく、基地の職員さんも利用する場所ですね。食料品は勿論、日用品や雑誌などもありますよ」

 

 

夕刻、玉波に最後に案内されたのは酒保だった

 

 

売店と呼ぶにはなかなかに広く、街のコンビニエンスストアを少し狭めたような店内

 

商品棚にはお菓子や日用品、カウンターの向こうには様々な種類の煙草も並べられている

 

「へぇ~…シューホっていうんですねぇ…あ、キットカット!これイタリアにもあるんですよぉ~…んん?…緑色のパッケージ…ミント味ですかね?」

 

 

 

母国でも見たことのあるチョコのお菓子を手にとり、まじまじと見るポーラ

 

 

 

「そいつは抹茶味だよ、お嬢ちゃん」

 

 

不意にかけられた男性の声

 

そちらの方を見れば、紺色のシャツに、腰に前掛けを着けた細身の男性が棚に肘をついてポーラを見ていた

 

 

 

大久保司(おおくぼつかさ)

 

ここ、周防基地の酒保の販売員。

飄々とした男性で、気さくで愛想のいいその人柄もあり、基地内の職員、艦娘からの評価もいい

 

長い髪を後ろで束ねた31歳男性

 

 

 

 

「…えっとぉ…」

 

「お嬢ちゃん新顔かい?俺ぁ大久保ってんだ。この酒保の販売員だよ、よろしくね」

 

 

軽くウィンクしながら自己紹介する大久保。彼の雰囲気に対してポーラも笑顔を返す

 

 

「新顔のポーラです~。こちらこそよろしくお願いします~」

 

 

「へぇ、ポーラちゃんか…かーわいい名前だねぇ」

 

腕を組んで「にひひ」と笑う大久保

 

玉波と江風は2人してジト目で大久保を睨む

 

 

「…おいおい司兄よぉ…そうやってチャラい態度してたらまた少佐に怒られんゾ?」

 

「そうですよ?…これまで何人の艦娘が貴方の思わせ振りな態度で泣いたか知ってますか?」

 

 

 

2人に突っ込まれ、大久保は苦笑いで頭を掻く

 

 

「うへぇ~きっついぜぇ2人とも…っていうかだーれがチャラ男だっつの!俺、艦娘にも職員にも手なんか出したこと無いぜぇ?」

 

 

 

ポーラは思う。

 

 

まさか自分がちゃん付けで呼ばれる日が来るとは思いもしなかった

 

 

玉波と江風の話によれば、どうやら彼はいつ誰に対しても基本的にはこの様子らしく、彼自身としてはフレンドリーなキャラで通しているとのこと…

 

 

 

ぽん、と大久保はカウンターを叩き、キメ顔をする

 

 

「…ちゅーわけで、この酒保の販売員が俺なんで、なんでも買ってっちゃってチョーダイな?…あ、これ着任のお祝いね♡無料で提供しちゃうぜ」

 

 

そう言い、ビン入りのぶどうジュースをポーラに渡す

 

 

「…?…これはワイン…ですか?」

 

 

受け取ったぶどうジュースを手に、首をかしげ問いかけるポーラ

 

 

「ははは…いーや、そいつはぶどうジュースさ。ぶどう農園直送の結構イイヤツだぜ?」

 

 

「へぇ~、イイヤツなんですねぇ~?」

 

 

うへへ、とポーラと大久保は怪しく笑い会う

 

その姿はまるで越後屋と悪代官のそれのようだ…

 

 

そんな2人を見て、呆れながらも玉波が声をかける

 

 

「…えっと…では、そろそろいきましょうか。ポーラさん」

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

1800

 

艦娘寮内の食堂では、ささやかながらもポーラの着任祝いが行われていた

 

 

 

以前、川内型の1人がコンサートを行いたいと言い出したことがあり、今村はそれを許諾。

 

 

食堂内の壁側の空きスペースに小さな舞台をDIYした過去がある

 

高さ20センチ、横3メートル、ステージ幅は60センチの小さな小さな舞台だ

 

 

週に一度だけという約束のもと、川内型の1人のワンマンショーが行われていた

 

だが、最近では他の業務や作戦任務などで、なかなかそういった川内型の1人の催し物が出来ず、今では厨房に入りきらない穀物や缶詰めなどの荷物が置かれているのを、基地の艦娘達からは目撃されている

 

 

そんな苦い歴史のある小さな舞台に、今日は着任したばかりのポーラが立たされている

 

 

隣には戦艦霧島

 

 

どうやらポーラの簡単な紹介を、食堂に集まった艦娘達に聞かせているようだ。

 

相変わらず右手にはマイクを持っている

 

 

 

「…はぁい!というわけで、着任したばかりのポーラさん!軽い挨拶と乾杯の音頭をお願いします!」

 

「う、うへぇ…」

 

 

霧島のゴリ押しに近い雰囲気でマイクを向けられるポーラは、一瞬怯むも、むん、と気合いをいれ、反対側から渡された麦酒入りのカップを受け取る

 

 

「えっと…あー…ゔゔん、重巡洋艦のポーラですっ…皆さん、よろしくお願いしま~す」

 

 

気合いをいれたものの、台詞の最後はやはりのんびりとしたものになってしまった

 

だが、ポーラの挨拶を聞いた少女達は意外にも盛り上がり、挨拶を終えたポーラに拍手を送っている

 

 

「えへへ…じゃあ…改めて…Salu…じゃなかった…乾杯っ!」

 

 

 

「「「カンパーイ!」」」

 

 

 

ポーラが右手に持ったカップを乾杯の音頭と共に高く掲げると、食堂にいる艦娘達も皆楽しそうに乾杯の声をあげる

 

 

挨拶と音頭を終えたポーラは舞台からそそくさと降り、江風や玉波のいる席へと向かう

 

 

「ンぁ?…なんだよポーラ、飲まないのか?」

 

 

乾杯の音頭を取ったわりに、そのカップにポーラは口をつけていない

 

 

ポーラはこそこそと席に座りながら、声が小さくなる

 

 

「…アハハ…えっと…私、お酒はちょっと…」

 

「…苦手、なんですか?」

 

「重巡ポーラっつったら酒飲みのイメージなんだけどな?」

 

 

 

意外だな、といった風に玉波と江風はポーラの方を見る

 

幸い他の艦娘達は各々の仲の良いグループでお喋りしたり楽しくお酒を飲んで盛り上がっており、ポーラの声には江風と玉波以外気がついていない

 

 

「…なんだなんだぁ?…もしかしてポーラちゃん酒癖悪いとかかい?」

 

 

そこへ入ってきたのは酒保の大久保だった

 

既に出来上がっているのか、顔を赤くし、上機嫌の大久保は缶チューハイ片手にポーラと江風の間に割り込んでくる

 

 

「大久保さん」

 

「司兄!…っつか割り込むんじゃないっつの!」

 

 

あはははと大久保は笑いながら江風の頭をぺしぺしと軽く叩く

 

その姿は気の良い兄貴と素直じゃない妹のようだった

 

 

「…あー…あはは…そんな感じですねぇ…私、前の基地では酒癖悪くってお酒を禁止されたんですよ…それに…私ももう飲みたいって思えないので…」

 

 

困ったように笑い、そう説明するポーラ

 

何かあったんだろうな、と3人とも空気を読むも、封を切ったのは大久保だった

 

 

 

「…ああ、そういやあ、昼間渡したぶどうジュース…あれ、どうだった?」

 

 

大久保の別の話題に対してにっこりと、思い出したかのように笑顔になるポーラ

 

 

「あっ!あれすっごく美味しかったですぅ~!すぐに1本飲みきっちゃって!」

 

 

ポーラの笑顔に江風もホッとしたように胸を撫で下ろし、にひひと笑顔でグラスの中身を1口飲む

 

「そうそう!ポーラってば自分の荷物の整理そっちのけでゴックゴク飲んでたんだぜ?ボーノボーノってさ!」

 

「ひゃあっ恥ずかしいですぅ~!」

 

 

別の席にいる某綾波型の8番艦からちらっと視線を感じたが、それを綺麗に無視

 

 

改めて、大久保の気の利いた機転でポーラ達の席は盛り上がりを保っている

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

『よし、新人ちゃん。基礎トレーニング始まるよ?まずはストレッチからで…あ、こっちこっち!』

 

 

 

『次…ああ、新人の……そうだな…よし、じゃあ次、重巡ポーラ、砲撃準備!』

 

 

 

『あ、ポーラさん…お疲れ様です。…え?…あー…なんといいますか…挨拶?みたいな…あはは…日本語って不思議ですよね~…あ、すいません、一緒に持ってもらっちゃって…』

 

 

 

『…そうだな…次の哨戒にはポーラを編成に入れても私は良いと思うが…よし、私から木曽秘書艦に具申してみよう』

 

 

『こんにちはポーラ。貴女…頑張ってるわね!みんな期待してるわよ?』

 

 

 

ポーラが周防基地に配属されて早くも半月、元々真面目だったこともあり、彼女の頑張りに対して周りの者達もポーラを認めていった

 

 

今村大佐や秘書艦の木曽が心配していたことはなく、寧ろポーラを主力艦隊への編入をも考え始めていた

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

執務室

 

 

今村の座る執務机を前にポーラは姿勢正しく気を付けをしている

 

 

 

「…うん。半月でここまでよく頑張っているね、ポーラ君。木曽や他の者とも協議をしている最中だけれども、君の能力を考えて今後は主力艦隊と共に作戦任務も遂行してもらいたいと思っているんだ」

 

 

「はっ!ありがとうございます、今村提督!」

 

 

 

今村の言葉に対して敬礼し、返事をするポーラを見て、木曽もふ、と笑みをこぼす

 

 

「…実戦での能力はまだまだだろうけど…ま、その辺は俺たちがフォローするさ。心配はいらない」

 

「ありがとうございます、木曽秘書艦!」

 

 

冷静に返事を返してるつもりでも、ほんのりと嬉しいオーラがあふれでているポーラ

 

その姿に今村もふふふ、と笑う

 

 

「…今夜はお祝いすると良い。明日からはもっと忙しくなるよ?…いいね、ポーラ君」

 

 

 

はい、としっかりと返事をし敬礼。

 

そして執務室から出ていく

 

 

 

 

 

 

 

「…しかし本当に凄いね…彼女は…」

 

 

ポーラが執務室から出ていくと、執務机の上に置かれたファイルを開き、ポーラの日報に目をやる

 

 

「…夜戦訓練の火力はそこまではないが、対空射撃の訓練では悪くはない…電探と対空装備次第では良い戦力になりそうだったよ…生活態度も悪くはない。扶桑さんや香取さんにも聞いたが、駆逐艦達からの信用も良いみたいだ」

 

 

木曽の説明になるほどなるほど、と安心したように頷く今村

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

「凄いじゃんか!半月で主力艦隊への編入だって!?」

 

 

基地内ドックにて、哨戒任務を終えた江風がドックで艤装の点検をしていたポーラに嬉しそうに話しかける

 

 

「…うぇ…なんで知って…?ひゃあ…恥ずかしいなぁ…」

 

 

驚きと恥ずかしさで、思わず手にしていたハンマーを落としそうになるポーラ

 

どうやら艤装の打音検査をしていたようだった

 

 

「いやいや!皆言ってンぜ?ポーラなら間違いなく編入だって!」

 

 

ああ、提督から聞いた訳じゃないのか、とほだとするポーラ

 

 

「…んー…うん。多分編入だと思うって提督が…」

 

「おお!やっぱりな!…こりゃあ今夜はお祝いだ!司兄のとこでお菓子とお酒…は、止めといて、ジュース買ってこうぜ!」

 

 

まるで自分のことのように喜ぶ江風はにこにこしながら小躍りしている

 

 

「…うん!ありがとう…江風ちゃん…これからもっともっと頑張らなきゃ、だねぇ…」

 

 

そこへ偶然にも玉波もやってくる

 

 

「…そのお祝い、私も参加させてもらえませんか?…あ、盗み聞きのようなことしてごめんなさい」

 

 

「勿論!玉波ちゃんもありがとう」

 

笑顔で玉波に返答するポーラ

 

だが玉波はん?、と首をかしげる

 

 

 

「…ポーラさん…ちゃんと寝てますか?…その…少し顔色が…」

 

 

玉波の問いにポーラが答えるようも早く、江風が腕を組んで唸る

 

 

「…いや…ポーラってば毎晩遅くまでなんか本読んでンだよな…あたしもいつも早く寝ろって言ってンだけどさ…」

 

 

玉波と江風の雰囲気にポーラは少し慌て、持っていたハンマーを工具箱に入れ、工具箱をもとの棚に戻す

 

 

「…えっと…そのぉ…ポーラ…まだ新人だから色々勉強してて…心配かけてごめんなさい、二人とも…」

 

 

実はポーラも早く基地、というよりも日本に慣れようと、指導書や日本の歴史書、戦闘詳報など、毎晩様々な本を読んでおり、最近は寝不足だったのだ

 

 

「2人に応援されたからもう元気元気ですよぉ!」

 

 

ポーラはそう言いい、笑顔で両手拳を握る

 

 

「…ったく…無理すンなよな?ポーラ」

 

「何かあったらちゃんと頼ってくださいね?ポーラさん」

 

 

 

少し呆れつつも、自分を心配してくれる2人に感謝するポーラ

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

それからポーラは主力艦隊支援部隊へ配属

 

実戦での経験も積み重ね、ただただ訓練だけをする立場から、一歩間違えれば味方が沈むかもしれないという責任ある立場へと変わっていった

 

 

勿論まだ新人のポーラにだけ負担を掛けさせることはなく、先輩の艦娘達がフォローしながらも哨戒任務、迎撃任務などをこなした

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてポーラが周防基地に着任して早くも2ヶ月が経とうとした頃

 

 

 

それは起きてしまった

 

 

 

 




はい。

今回のお話はポーラちゃんの話でした

色々あって周防へ配属となったポーラちゃん。

これからどんなことが起きるのか…



今回の試みとして、なるべく地の文章を丁寧に書くようにしました。

例のごとく、いつも通りペースはドンガメラではありますが、最後までお付き合いいただけると嬉しく思います
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