大本営の資料室   作:114

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はい

どうぞ




File18.駆逐艦吹雪の末路

窓から陽の光が差し込む

 

 

 

ベッドから起き上がり、人間の力程度じゃヒビ一つ入らない特殊ガラスのはめ込まれた窓に近づく

 

 

その小さな窓の外に見える世界を見て、そばかす顔の少女は一人呟いた

 

 

 

 

 

「…おはよう……吹雪」

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇    

 

 

 

日本国海軍北陸支部 海軍特別治療院

 

外観だけでは病院とは思えない無機質なコンクリート製3階建ての建物が数棟並ぶ

 

 

 

その入口に停まる黒塗りの車

 

その車から茶色のジャケットとジーンズを着込んだラフな格好の松井が降りる

 

 

特院へ連絡を入れた際、士官服だと過剰反応する患者もいるので、普段着で来てほしいと言われた松井

 

 

松井は建物を見上げ一言

 

 

 

「…なんか…草加で見たような建物やなぁ…」

 

 

建物の大きさに比べて窓の数が少ない治療院本館

 

 

その見た目はまるで大きな墓石の様だった

 

 

 

「おっと…君は車で待っとってええで」

 

 

松井は一緒に車から降りた若い士官にそう言うと

 

 

「了解っす…なにかあれば連絡くださいっす」

 

 

「ほいほいっと」

 

 

 

松井はひらひらと手を降って建物の方へ歩いていく

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

「こんにちは」

 

 

「…こんにちは」

 

 

 

治療院に入ると明るい白色のコンクリート造りのロビーには赤い上下のジャージを着た見知らぬ少女が一人立っていた

 

 

「…ええと…君…は…?」

 

 

中学生くらいの見た目の少女の出迎えに戸惑う松井

 

 

「私は岸波です…貴方は誰ですか?」

 

 

「…東海支部から来ました、松井です」

 

 

 

「…とうかい?」

 

 

岸波は首を傾げる

 

 

「ええと…小林院長はどちらにいます?」

 

 

「…いんちょう?」

 

 

再度首を傾げる岸波

そこで松井はああ、と納得

 

 

(…この娘もこの施設の患者…かな?)

 

 

 

岸波の対応や反応が普通の人や艦娘とはどこか違いがあると感じ、少しばかり頭を悩ます松井

 

 

「やあやあ…松井准将…わざわざこんな僻地までお疲れ様です…ずいぶん到着が早いですね?」

 

 

ロビーに現れたのは白衣を着た中年の男性医師だった

 

小林医院長

この海軍特別治療院の院長。

黒縁の眼鏡に薄い頭頂部、口元には立派な髭を蓄え、優しそうな雰囲気を漂わせる

 

 

 

「ご無沙汰しています。小林先生」

 

 

松井は小林に丁寧にお辞儀をする

 

 

「あはは…菱作戦以来ですね。松井准将もお元気そうで何よりです」

 

 

小林が笑うと岸波はととと、と小林の側に小走りで近づく

 

 

「………小林先生…その娘は…」

 

 

小林の白衣の裾を掴む岸波を見て松井は問う

ぽん、と岸波の頭に手を置く小林

 

 

「ええ…ここの患者の一人です…まだ軽度の症状の娘ですが…さ、こちらへどうぞ」

 

小林に案内され、ロビーを後にする松井

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

海軍特別治療院

 

 

通称特院

 

 

イジメ、暴力、過労…精神的に悩む艦娘達を治療する病院

 

俗に言えば艦娘の精神びょ…メンタルクリニックである

 

 

入院する艦娘達にはその症状に合わせてステージを1から4で判断し、それぞれの病棟へ割り振りを行う

 

 

ロビーで会った岸波は当初得院へ来た時はステージ2だった

 

 

元々いた鎮守府で過酷な任務遂行を強制させられ、ストレスから眠る事が出来なくなってしまったが、小林をはじめ特院のスタッフ達の献身的な治療で症状は良くなり、ステージ1へと判断された

 

 

 

「お父さんはいんちょうなんですか?」

 

 

「ああ、そうだよ?お父さんは院長なんだ」

 

 

 

「…」

 

 

まるで親子

 

特院の廊下を歩く小林と岸波の姿を見て松井はそう思う

 

 

「さ、また後でお話しよう。岸波は皆とお絵かきをしていなさい」

 

 

「はい」

 

 

病室、大部屋の一室へ岸波に入るよう話し、岸波はそのまま大部屋の扉を開け入っていく

 

 

 

「…大変そうですね…小林先生」

 

 

「…ええ…あの子達を酷使する人間がいる限り…我々に安寧の時はありませんから…」

 

 

 

「……すいません…」

 

 

「あ、いやいや…変な意味ではなくて…ですね…」

 

 

 

思わず出てきた小林の海軍への本音が松井の胸に突き刺さる

 

まさか久しぶりの再開でいきなりストレートを貰うとは思わなかった

 

 

 

「…ここが院長室です。どうぞ」

 

 

 

 

小林に促され、院長室へと入る松井

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

「あらぁ?…司令官じゃぁ…ないわねぇ?」

 

 

 

院長室の客人用のソファーに座っていたのは病衣を着た駆逐艦の荒潮だった

 

 

 

「やぁ、荒潮…来客中でね。コーヒーを淹れて貰えないかな?」

 

 

 

「うふふ…わかったわぁ」

 

荒潮は嬉しそうに笑い、院長室から出ていく

 

 

「…先生…患者さんにそんな…」

 

 

「いや、良いんです…理由をつけてどこかへ行かせないと、いつまで経っても荒潮は院長室から出ていかない…」

 

 

「…そう、ですか…」

 

 

 

 

小林と松井は向かい合うようにソファーに座る

 

 

「さて…聞いてたのはウチの視察ということですが…」

 

 

「…ええ。建前です…本当はある艦娘に用があってこちらに参りました…あ、これお土産です」

 

 

 

松井は持っていた紙袋を小林に渡す

 

 

「…おお…ナボナ!…良いですね。好きですよ、ナボナ」

 

 

紙袋に入った菓子箱を見て喜ぶ小林

 

 

「…船下ろしの娘ですね?…彼女ならステージ4の別棟にいますよ。一緒に行きましょうか?」

 

 

 

小林がそう言うとソファーの背もたれによりかかりながら昔の事を思うように笑う

 

 

「…しかし…本当に久しぶりですね。松井准将…貴方を見ていると、憲兵の彼とあの娘を思い出す…ええと…なんて言ったか…」

 

 

 

松井は少し浮かない顔になり

 

 

「…清原と…龍驤ですね…軽空母の…」

 

 

 

「ああ…そうそう……二人のことは残念ですが…なにより貴方が生きていて良かった…」

 

 

「…いいえ……では、そろそろ行きましょう?予定も押してきてしまうので…」

 

 

 

松井がそう言うと小林はぱん、と自身の頭を叩き笑う

 

 

 

「あははは…すいません…そうですね。行きましょう」

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

それから吹雪のいる別棟に移動するまで、松井は異世界に迷い込んだ様な感覚に襲われる

 

 

ステージ1とステージ2は同じ棟内にあり、通路を歩けばどこかの病室からか少女達の笑い声等が聞こえてきたりして、まるでどこかの鎮守府にいるような気すらしてきたが、ステージ3の病棟を通ると一気に雰囲気が変わった

 

 

少女とは思えない叫び声が聞こえたり、通路を忙しなく医療スタッフが点滴やカルテ、タオル等を持って走り回る

 

 

小林の後を歩いていた松井が途中、小窓の付いた扉の中をちらりと覗くと、ベッドの上に正座しゆらゆらと頭を振り続ける戦艦の少女がいたり、別の小窓を見れば何かの図が書かれた用紙を壁に貼り、それに祈り続ける駆逐艦の姿や、病室の中をぐるぐると周り続ける軽巡の姿などを見た

 

 

 

「…これは…」  

 

 

流石の松井も息が詰まる

 

そう、このステージ3からの病棟が"壊れた"艦娘達の病棟なのだ

 

この棟での艦娘は、外側から施錠された病室と言うなの独房に収容されてる

 

 

「…凄い光景でしょう…でもここに入っている娘達は最初に比べてまだ大人しくなったほうですよ」

 

 

「…!?」

 

 

強い視線を感じて斜め後ろの扉を見る松井

 

すると小窓から松井を真っ赤に血走った眼とその下に出来た隈で見つめる少女がそこにいた

 

少女は小窓に密着する程顔を押し付け、何かを喋っているのか、口をパクパクと動かしてブツブツと言っている

 

 

 

「……」

 

声も出せずごくりとつばを飲み込む松井

 

 

「…彼女は佐渡海上防衛基地にいた照月です…対空守備の任務に着いていたみたいですが…最後の方は味方の艦載機ばかり狙っていたみたいですよ」

 

 

 

「…て、照月…?」

 

 

松井の知る艦娘照月とは随分と雰囲気の変わった少女

 

瞬きすることなくずっと松井を見ていた

 

 

「さぁ、この先がステージ4の病棟です」

 

 

 

しばらく通路を進むと白い両扉が見えてきた

 

扉に着くと小林は扉横のカードリーダにカードを差し込む

 

すると扉からかちゃり、とロック解除の音が鳴り、扉は開いた

 

 

 

 

「…ここが…ステージ4…」

 

 

 

「…ええ。この治療院の最深部です」

 

 

 

思っていた場所と違う、と感じた松井

 

勝手失礼ながら、重患者のいる病棟なら散らかった通路や壁には血の跡があったりするんだろうと考えていたからだ

 

しかし松井の視界に入った世界はステージ1.2と同じくらいの…いや、それらよりも綺麗な。純白の壁と天井が長く続いていた

 

 

「…病室は覗かないほうか良いですよ?健常者の方でも彼女達の姿を見ればどうなるかわかりませんから…」   

 

 

 

小林からそう言われた松井は扉の方を見るが、扉の小窓には通路側から小窓のサイズに合う小さなカーテンが取り付けられており、全ての扉の小窓はカーテンが閉まっていた

 

 

「……ここです」

 

 

 

小林がある扉の前で足を止める

 

この扉の奥にあの吹雪がいる

 

 

 

小林は扉の鍵を開ける   

 

 

 

「…え…だ、大丈夫なんですか?急に開けたりしたら…」   

 

 

 

「ああ…大丈夫ですよ。ステージ4は病室内と扉の間に特殊なガラス板を設けてますから。彼女達が扉に近づく事は出来ません」

 

 

 

 

「…そうですか…」

 

 

 

 

病室の扉が開いた

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

施錠されていた病室の扉を開けると中は真っ白だった 

 

 

そこは8畳程の広さの縦長の部屋…その壁、床は衝撃吸収の白い素材で囲まれており、小さな窓側にはベッド、写真立てが置かれた小机、椅子という質素な…もはや本当に独房と言ったほうが早い内装の病室だった

 

 

「っと…」

 

 

 

よく目を凝らすと眼の前に透明な壁があちら側とこちら側との仕切りになっていたのがわかる

 

 

 

扉から約2メートル…急いで病室に入ってくれば間違いなく顔をぶつける位置だ

 

 

(…まるでATフィールドやな)

 

 

 

松井は以前田中から聞いた映画の事を思い出していた

 

 

(…羊たちの沈黙…やったっけ…あれみたいやな)

 

 

しかし目の前にいる、こちらを向いてちょこんと小さく椅子に座る少女は食人鬼ではない

 

 

 

「…おはよう、小林先生」    

 

 

普通、まさに普通の少女だった

その病衣を着たそばかす顔の中学生のような少女はいつも通りと言ったふうに小林に挨拶をする

 

外から入る陽の光のせいか、その姿はまるで聖女のように

 

 

「…おはよう。調子はどうかな?」

 

 

「…ええ。普通ね…悪くないわ…それに夢を見たの…」

 

 

 

「…夢?」

 

 

小林が聞き返すと少女は眼を瞑り、懐かしそうに思い出しながら

 

 

「…ええ…内容はよくは覚えていないけど…なんだか懐かしい夢だったわ…」

 

 

嬉しそうに、少し恥ずかしそうに…少女は楽しかったあの頃を思い出すように語る

 

 

 

「…そんな事よりも…あんた誰?」

 

 

つまらないものでも見るように少女は松井の方を向く

 

 

 

「…ああ…この人は海軍の人だよ」

 

 

(おいおっさん!海軍言うたらこの子らに刺激与える事になるんちゃうんかい!?)

 

 

心の中で思わずツッコむ松井

 

 

「…え…あ、あはは…」

 

 

 

と、そこへ小林から小声で助け船が出される

 

 

「…大丈夫ですよ松井准将。この人はステージ4では唯一まともに会話のできる人ですから…ちゃんと話せばわかってくれます…」

 

 

その言葉を信じ、姿勢を直す松井

 

 

 

「…えーと…貴女が、真由美さん…ですか?」

 

 

「そうよ。あんたは?」

 

 

松井に対してぶっきらぼうに返す真由美と呼ばれた少女

 

 

(…こいつー…可愛くないわぁ…)

 

 

「初めまして、東海支部の…松井と言います。貴女とお話をしたくて参りました」

 

 

「そう、ならもう帰っていいわよ?アタシから話すことはないから」

 

 

「…随分嫌われましたね…」

 

 

少女は松井の顔を見ないで返答する

 

 

「…海軍とは関わりたくないから…それに記憶喪失のアタシから為になる話なんてなにもないわよ?」

 

 

 

(…うーん…カマかけるか…)

 

 

 

「…能登、若狭…」

 

 

松井が一言そう呟くと、少女は瞬間的に松井に視線を向ける

 

 

「……どこそれ?…知らないわね」

 

 

「…誰?、とは聞かないんですね?」

 

  

「…!?」

 

 

 

「…貴女に対してこれ以上拘束したり、何かしようとは思いません…なので、記憶喪失のフリをやめて…話を聞かせてもらえませんか?」

 

 

 

「…吹雪さん?」

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

改めてガラス越しに向き合った吹雪と松井

 

 

 

松井は資料室で見た若狭のファイルの話をする

 

 

「…そう。全てそのファイルにまとめられてたって事ね…最悪ね」

 

 

 

話を聞いた吹雪は諦めたように椅子に座ったまま肩の力を抜く

 

 

 

「ええ…それでいくつかお聞きしたいのですが…」

 

 

「…ちょっと待って」

 

 

話の本題に入ろうとする松井を止める吹雪

 

 

「そんなことよりも…タバコ、吸わせてくれない?」

 

 

 

「…煙草…ですか…?」

 

 

松井は一度驚き隣に立つ小林の方を見るが、小林は持ってないとばかりに首を横に振る

 

 

 

(…しゃーないか…)

 

 

 

「…こんなもので良ければ…」

 

 

そう言ってポケットからタバコの箱とライターを取り出して小林に渡す

  

 

(…っつーか、ええんか?…病院内なのに…)

 

 

小林はガラス板の下部分にある食事等を受け渡す横長の穴に置く

 

 

松井がタバコを置くと、それを見た吹雪は椅子から立ち上がり、ゆっくりとタバコの方へ近づいてしゃがみ込み、タバコを拾う

 

 

 

「…へぇ…キャメル?渋いの吸ってるのね?しかもメンソール!…封開いてないけど貰っていいの?」

 

 

 

「…ええ。どうぞ」

 

 

 

松井自身はタバコを吸わない

 

しかしかつての友人の言葉を聞き入れ、いつも持ち歩くようにしていた。今回はそれが役に立ったのだ

 

 

「…いただきー」

 

 

吹雪は松井から貰ったタバコの封を慣れた手付きで開け、一本取り出すとその小さな口に咥える

 

 

「…んっ」

 

 

100円ライターの火を点け、タバコの先端に火を灯す

 

 

 

「…ふぅー…うーん…なんか久しぶり」

 

 

「…煙草、今まで吸われてたんですか?」

 

 

「…いや?…ここに入ってからね…たまに医療スタッフから貰うよ」

 

 

 

そばかす顔の女子中学生がタバコを吸っているようにしか見えない、そう感じた松井は気になっていた事を口にする

 

 

 

「…どれくらいここに入院されているんですか?」

 

 

 

正直、松井はこの病室に入った瞬間から気が気ではなかった

 

 

若狭の案件から10年

艦娘と言えども10年あればなんらかの変化がその見た目に必ず現れる   

 

 

人間の体に英霊の魂を降ろす船下ろしをされた人間なら尚更

 

 

しかしこの眼の前の少女は…いや、この女性はきっと若狭にいた頃から見た目が変わっていないのだろう

 

 

 

「10年だよ10年…もうアタシも35だよ」

 

 

「…さっ…ん…!?」

 

 

まさかの驚愕の真実

 

35歳の見た目女子中学生…

 

 

 

(…合法……ロリ……いや、何思てんねん!)

 

 

 

邪心を払拭する為、頭を軽く振る松井にくすりと笑う吹雪

 

 

「…あんた、反応が面白いね」

 

 

 

「……とても35歳には見えませんが…」

 

 

 

「証拠は無いけど本当だよ。まぁいいや…んで?手っ取り早く話そうよ。何が聞きたいのさ」

 

 

 

(35歳…それでこの落ち着き様か…変に諂うよりストレートに聞いたほうがええな…)

 

 

 

「…ファイルには載っていない。北陸支部少将、井ノ上の悪事を暴きたく…貴女からの井ノ上の人身売買の証言が欲しいんです」

 

 

「…良いよ。アタシもそろそろあのジジイとケリつけたかったし。いくらでも喋ってあげるよ」

 

 

 

「…それと…貴女が船下ろしをして艦娘になった経緯…能登や若狭で貴女が起こした事件…なぜあんな事をしたのかを教えてもらいたくて…」

 

 

松井がそう言うと、吹雪はタバコを一口吸ってうーんと唸る

 

 

「んー…経緯…経緯ねぇ…そもそもアタシ、刑務所にいたんだよね」

 

 

この女性と話してると驚きが止まらない

まるでマトリョーシカの様ないくつもの重なったびっくり箱を次々と開けているようだ

 

 

 

「…刑務所…?」

 

 

「そ…アタシ実の母親と義理の父親、殺したのよ。それで懲役食らって刑務所にいたんだよね」

 

 

とんでもない事を淡々と話す吹雪

あどけない表情から出てくる言葉に松井は冷汗を流す   

 

 

 

「そんな時よ。当時北陸支部の大佐だった井ノ上が来てさ…超…なんとか法?みたいなので艦娘の適性検査をして…適性が出て従軍するなら刑務所から出してやるー、みたいなね…言われて」

 

 

「…超なんとか法?」

 

 

 

(…ああ…なるほど)

 

 

「…超法規的措置…ですか?」

 

 

 

「ああ、そう…それそれ!」

 

 

 

思ってた単語と全く違った吹雪はけらけらと笑う

 

 

(なんてことや…普通にダメやろ…何やってんねん井ノ上…)

 

 

松井は思わず眉間にシワを寄せる

 

 

犯罪者、しかも殺人を起こした懲役刑の人間を勧誘し、あまつさえ艦娘の適正があるからといって船下ろしをさせて海軍へ迎え入れるとは…

 

 

(…人身売買どころちゃうで…国民に公表できるかこんなこと…)

 

 

「で、船下ろしをして、無事艦娘吹雪になったって訳」

 

 

 

「…そう、ですか…」

 

 

 

そう返す松井の表情は沈んでいた

まさかこんなとんでもない事を知ることになるとは、と…

 

 

「…実は艦娘になる前さー…アタシ適正検査で、異常に高い適正率出したらしいんだよね」

 

 

適性率

この確率が高ければ高いほど船下ろしの成功率が上がり、より高い能力を持った艦娘として就役することができる

 

 

 

(とはいえ僕も船下ろしはそこまで詳しいわけやないからなあ…)

 

 

「ねぇ松井さん?」

 

 

「…はい?」

 

 

吹雪はタバコを消すと、無表情だった表情が少し曇る

 

 

 

「…周りから期待されてるって感じた事ある?」

 

 

「…?ええ…まぁ一時期はそれなりに…」

 

 

松井の返答に吹雪はニコリと笑う

 

 

「なら…真っ暗な戦場で…敵も味方もわからない中で命がけで戦ったことある?」

 

 

「…」

 

 

「…アタシは…船下ろしをされてる最中に"吹雪"の記憶を見たんだよね…」

 

 

「真っ暗な海上で…敵か味方かもわからない奴らから攻撃されて…味方だと思って守ろうとしたのが敵だったり…」

 

 

「…国から無茶な指示もあった中で…吹雪は…あの娘は何も言わずに、我慢して頑張ったんだよ…」

 

 

 

 

きっと彼女が言っていることは大戦時の駆逐艦、吹雪の事だろう

 

 

上からの無茶な建造命令で造られ、数々の戦場を駆け最期は艦船同士の乱戦で…

 

 

 

「…アタシも小さい頃は周りの大人達に期待されててさ…でも現実はそう上手くは行かないよね…お陰で小学生から荒んじゃってさ」

 

 

突如始まった自分語りにも松井は茶々は入れない

 

「実の父親は糖尿病で死んじゃってさ…母親はその後酒浸り…変な男は連れ込んでくるし」

 

 

「…」

「…」

 

松井と小林は何も言えず吹雪の話を聞く

 

「新しい父親ができても毎日イタズラしてきてさ…母親に相談したらあんたが誘惑した、って言われて殴られて…」

 

 

吹雪の笑顔がそこで消える

 

 

 

 

「…もう誰も信じられなかった…その後しばらく3人で住んでたけど、義理の父親からは性暴力、母親からも暴力…20歳になるまでほぼ毎日続いたよ…」

 

 

そこまで話すと吹雪はタバコをもう一本吸い出す

 

 

「…んで21のときに母親と父親が寝てるときに家に火をつけたのさ…いやー木造はよく燃えたねー…」

 

 

「…」

 

 

そこで吹雪はだからかな、と答える

 

少し視線の下がっていた松井は再度吹雪の方を見る

 

 

 

「…吹雪の心がものすごく流れ込んできたんだよね。真っ黒でドロドロとした感情がさ」

 

 

「…心が…?」

 

 

吹雪は笑う

 

 

「海軍への恨みっていうのかな?敵に対する想いより、"上"に対する負の感情の方が強かった気がするわ」

 

 

「…だから私は吹雪の力を…あの娘の記憶を引き継いでせめて駆逐艦らしく、戦ったわ…あの娘のできなかったことをやり続けた…何度も何度も何度も…」

 

 

「でも多分船下ろしの母体となったのが私なのが原因なんだろうね…私の中の吹雪が日を追うごとにどんどん凶暴になったの」

 

 

「…凶暴?」

 

 

 

「今まで仲間のために、任務のためにと戦ってた吹雪の心が、いつかは褒められるために、評価されるために…と」

 

 

「そして破壊のために、恨みのために、と変わっていき…」

 

 

「…気づけばアタシの自我は、身体は完全に吹雪に乗取られたわ…」

 

 

吹雪は椅子から立ち上がるとベッドの方へ歩く

 

 

 

「…あとはあんたが…松井さんが見た報告書の通りよ。アタシを乗取った吹雪が、能登と若狭の…自分にとって邪魔になりそうな奴らを潰していったのよ」

 

 

 

ベッドの縁に腰掛ける吹雪

 

 

「…邪魔、ですか?」

 

 

「能登の扶桑に日向…ああ…あの特型のガキも邪魔だったわね…あけ…ぼこ?ああ…曙?…それに若狭の磯波に響…浦風、と…」

  

 

 

「…吹雪は吹雪なりに海軍を良くしようとしてたのよ?…ただ、やり方が悪かっただけ…やり方を知らなかっただけ…」

 

 

(…山田ちゃんが言うてた…若狭でまともに艦娘達に訓練を指導出来なかったのはそういう事か…気持ちだけで動いてたんやな…)

 

 

「吹雪のやり方じゃあ他の奴らは納得しなかった…出来なかった…アタシだって何度も吹雪の心に言い聞かせようとしたよ?こんなやり方じゃなく別の方法を考えろ、ってね」

 

 

「でも吹雪はもう止まらなかった…国を守る為の力を、仲間を守るための勇気を、吹雪は全て破壊衝動に変えたわ…」

 

 

「能登でそれに気づいた井ノ上は怒り狂ったわね…能登で問題を起こした後は本来はロシアに売られることになってたの…でもそこで若狭の艦娘達に助けられたわ」

 

 

「…そして、暴走したままの吹雪はある二人の人物により止められることになるわ」

 

 

 

「…二人の…人物?」

 

 

 

小林は今まで気づかなかったが、松井は既に吹雪の言葉を手元のメモに書き記しながら話を聞いていたことに気づく

 

 

(…昔から真面目だったんだよなぁ…この人は…)

 

 

 

 

「…吹雪の最後の着任先…若狭基地の山下少佐…それにその秘書艦の長門さん」

 

 

 

二人の名を聞き、松井は片方を納得

 

「…確かに長門は貴女を止めたみたいですね…物理的に…しかし山下…いや、山下少佐なのは何故?」

 

 

松井がそう問うと、吹雪は小机の上にある写真立てを見る

 

 

「…彼は…どんな形であれ、吹雪を思ってくれた…撫でてくれた。着任を喜んでくれた…あの娘はそれが嬉しかった…だから暴走する速度が緩やかになってた…でも凶気が吹雪を邪魔したの」

 

 

「決定的だったのは磯波という娘の存在ね…」

 

 

 

「…秘書艦補佐だった?」

 

 

 

「ええ…吹雪と…あの娘と似た容姿、似た能力…そして同型艦なのに先に着任していた磯波に激しく嫉妬していたわ」

 

 

 

「…それで磯波を殺害した、と?」

 

 

 

吹雪は頷く

 

 

「…それに阿賀野型の女や浦風にも嫉妬してた」

 

 

 

「…それともう一人、吹雪の被害にあった駆逐艦の娘がいたんだけど…」

 

 

「…響ですね?」 

 

 

 

「…そう、あの娘にも悪いことしたわ…本来ならアタシがあの船に乗って罰としてロシアに行くはずだったのに…」

 

 

 

10年前のあの日に売られた響の行方は松井もわからない

 

…今現在響がどこでどうなったのかを知っているのはこの作品を見た貴方と、浦波だけなのだ

 

 

 

「…ところでその写真は…?」

 

 

 

吹雪が手に取った写真

そこに写っていたのは着任初日に山下と二人で撮った写真だった

 

 

 

「……アタシが拷問を受けてる期間中にね…営倉に閉じ込められてたアタシに…アホな娘と、ぽいぽい言う馬鹿な娘がくれたの…」

 

 

 

そう話す吹雪

きっと睦月と夕立の事だろうと松井は考える

 

 

「…馬鹿な娘達だよね…こんなアタシなんかを気にしたりしてさ…長門さんに見つかってたら二人だって罰を与えられたかもしれないってのに…」

 

 

 

吹雪は一瞬だけ眼を伏せ呟く

 

 

 

「…ホント…馬鹿だよ……」

 

 

 

「…」

「…」

 

 

何処の海軍基地でも睦月、夕立、吹雪は何故か3人で仲良くなることが多く、軍の研究者の研究対象になる事もあった

 

しかし何も結論付けられることはなかった

 

 

流れる沈黙

しかし短い沈黙を破ったのは松井だった

 

 

 

「…もしかしてと思っていましたが…もしかして貴女…」

 

 

 

 

 

「…もう吹雪では…ないのでは?」

 

 

 

 

「…ええ、長門さんのパンチを食らったと同時に元のアタシと入れ替わったわ…吹雪は今アタシの中で寝てる…気絶してるって言ったほうが正しいかも…」

 

 

松井は今日だけで何度驚けばいいのか…

 

船下ろしをされた艦娘が犯罪を犯す

これに関しては特に珍しい事ではない

 

人間の時にはできなかった事が出来るようになるのだ

 

その力を試したくなるのは道理

 

 

しかし大抵憲兵察や海軍に捕まると、強制で解体が行われる

 

 

解体されれば特殊資材と元の人間に分けられ、人間の方は軍刑務所に送られる

 

 

しかしこの眼の前の吹雪型はどう見ても解体はされていない

 

疑問に思った松井は問う

 

 

「…解体は…されていないのですか?」

 

 

「適正率が高すぎて解体不可、このまま特院へ強制入院…だったっけ…」

 

  

 

「……なるほど…」

 

 

松井、納得

そして何故か吹雪の言い放った長門のパンチという単語でふと頭を過ぎった言葉が出てきた

 

 

「…右フック…?」

 

 

 

 

山田から教えられた当時の状況の事を思い出してつい呟いてしまった松井

 

それを聞いて吹雪は驚く

 

 

「…驚いたわ…そんな事まで報告書に乗ってるわけ?」

 

 

 

一瞬焦る松井、だがすぐに冷静を装う

 

 

「…いえ、なんとなく…そんな気がして……なら長門達の懲罰を実際受けていたのは…」

 

 

「…アタシだよ…久々に自分の身体を取り戻せたと思ったらサンドバッグだったからね…まぁ両親殺した分と、吹雪を止められなかった分の罰だと思えば安いもんよ」 

 

 

 

あはは、と仲の良い友人と世間話をするかのごとく、軽く語る吹雪

 

 

「…しっかし長門さんたちの懲罰…もう拷問よね…相手が艤装装備の艦娘だからって加減なさすぎよ…」

 

 

 

「…」

 

 

 

「…まぁ、脱線もしたけど、こんな感じよ?アタシが船下ろしして艦娘になった経緯…それに能登と若狭への暴力事件を起こした理由は」

 

 

 

「…最後に、1つお聞きしたい…」

 

 

 

「…どーぞ」

 

 

 

3本目

吹雪は本日3本目のタバコに火をつける

 

 

 

「例え話になるかもしれませんが…此処から出たらどうす「そりゃあ無いわ」

 

 

松井と小林に緊張が走る

松井の言葉を切って言い放った吹雪の声は少しばかり怒気を孕んだ声だったからだ

 

 

 

「アタシは此処から退院するつもりも逃げ出すつもりもないわ」

 

 

「…何故ですか?」

 

 

 

「…さっき言ったとおり、吹雪は今アタシの中で寝てる…いつ起きるかもわからない…このまま起きないかもしれない、でも起きれば…必ずまたアタシを乗取って暴走するのは目に見えてるから…」

 

 

「…」

 

 

 

吹雪はふふ、と今まで見せたことのなかった笑みをつくり

 

 

 

「…何人も殺しちゃってどの口が言うんだって思うかもしれないけどさ…」

 

 

 

「…これ以上吹雪には罪を重ねて欲しくないんだよ…だから此処で…この場所で、吹雪とはアタシが死ぬその時まで一緒にいるつもりだよ…」

 

 

 

そう言って儚く笑う吹雪の笑顔を見て松井は思っとことを言葉として表現する

 

 

「…まるで、母親ですね」

 

 

「…あはは…どうだろう…もう12.3年一緒だからね…愛着も湧く…のかな…?」

 

 

 

 

「貴重なお話…ありがとうございました」

 

 

「いーえ、こちらこそ」

 

 

「…では、ここからは井ノ上少将…いや、井ノ上の話を聞かせていただきたいのですが…」

 

 

「もちろん。なんでも喋っちゃうよ」

 

 

そう明るく返す吹雪の表情は生き生きとしている

 

ようやく仕返しが出来る、そんな雰囲気さえ感じられた

 

 

「…書記にもう一人呼んでも良いですか?」

 

 

「…イケメン?…なら良いよ」

 

 

 

吹雪の言葉を聞くと松井は頷き

 

 

「…小林先生…病院の入り口に停まってる車に私の部下が居ます…こちらへ通してもらえませんか?…あと、上着と官帽を脱いで、と」

 

 

 

「わかりました。ウチのスタッフに連れて来てもらいましょう」

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

 

「…お疲れやで。ワンちゃん」

 

 

特院からの帰りの車

 

思っていたよりも聴取に時間がかかり、帰りは夕刻出発となった

 

 

後部座席に座った松井は運転席でハンドルを握る部下の士官を労う

 

 

「…マジ…勘弁ですね。特院は…」

 

 

そうぼやくワンちゃんと呼ばれた若い士官

 

 

「そう言ったらあかんて…お陰で井ノ上の悪事の尻尾…いや、片脚くらいは掴み取ったんや…」

 

 

 

そう言って松井は窓から車の外を眺める

 

田んぼと畑が広がる真っ暗な景色 

街頭はなし、松井達の乗る車のヘッドライトだけが明かりとなって夜の道を照らす  

 

 

 

「…自分、提督業に着いたことはないんすけど…船下ろしされた艦娘ってあんなんばっかなんすか?」

 

 

 

 

「んなわけ無いやろ…あの吹雪が…いや、あの人が特別なだけや」

 

 

 

あの後、書記の彼が吹雪の病室に合流して吹雪から井ノ上の事を詳しく聞いた

 

 

人身売買の事はもちろん、刑務所に収容されている受刑者を不正に艦娘に就役させた事もである

 

 

 

 

「…集めた証言はあの吹雪で6人目……でもマジでこれで井ノ上少将が捕まることあったら北陸支部の海軍基地は大打撃っすよね?」

 

 

「なーにが大打撃や…本来建造も資材の調達も上から貰うもんやない…北陸の奴等は今まで井ノ上に甘えてただけや…自分らの艦娘達が犠牲になっとると知らずにな」

 

 

 

「…ん?」

 

 

その時松井の上着で何かが振動する

 

「…あら、タナちゃんからや」

 

 

 

取り出したのはスマートフォン

画面に表示される相手の名前に

 

"図書委員長"と表示されていた

 

 

 

松井は画面をトン、と指で操作して電話に出る

 

 

「もしもししもしも?こちら地球防衛隊第四艦隊です〜」

 

 

冗談を飛ばしながら電話口で話す松井

 

 

「…は?…ええよ、別に…はいはい…それじゃまた」

 

 

 

それだけ話すと松井は通話を切り、再び上着のポケットにスマートフォンをしまう

 

 

 

「…特務中尉っすか?」

 

 

「せやで…僕の報告書見たんやて」

 

 

 

「…准将の?…なんか秘密のファイルっすか?」

 

 

 

「いんや?…菱作戦の時の報告書や」

 

 

「はぁっ!?菱ぃ?」

 

 

ワンちゃんと呼ばれる士官は驚き後部座席の方へ勢いよく振り返る

 

 

 

「ワンちゃん!前前!」

 

 

再び前を向きハンドルを握るワンちゃん

 

 

「…確か准将のデビュー戦っすよね?なんでまた…」

 

 

松井、苦笑い

 

 

「…僕はボクサーちゃうで…いや、多分新人ちゃんが見たい言うたんやろね…」

 

 

ワンちゃん無言で何かを思案する

 

 

「…新人ちゃんは良いですけど…自分…特務中尉の事はなんか気に入らないっす」

 

 

ワンちゃんは前を向いたまま松井にそう訴える

 

 

「…今のは聞かんかったことにするわ…でもなんでや?」

 

 

「…あんな半端な人に准将が付いてるなんて…自分はわからないっす」

 

 

松井はふふ、と笑い

 

 

「なんやー…ワンちゃん僕ん事心配してくれてるんやな?かわええな」

 

 

「茶化さないでほしいっす!」

 

 

顔を赤くしながらアクセルを更に踏み込むワンちゃん

 

 

「…タナちゃんはな…僕の心を救ってくれた恩人や…だから今度は僕が…恩返しをしたいんや…」

 

 

 

松井は微笑むように窓の外に視線を向ける

 

 

 

 

「…流石に生え際とか加齢臭の事とか相談されても何もでけへんけどな…」

 

 

 

「…雰囲気ぶち壊しっすね」

 

 

 

「そんなことより…ワンちゃんは船下ろしの件…どうするんや?」

 

 

「は?…自分っすか?」

 

 

 

 

「…適性、出たんやろ?…犬飼少佐?」

 

 

 

ワンちゃん

 

もとい、犬飼少佐

士官学校卒業後、加藤の指示で松井准将の下に付いた若き女性士官

 

短く切り揃えられた髪と喋り方のせいで青年と間違えられるが歴とした女性である

 

 

 

 

「…あー…あきつ丸?…の適性が出ましたけど…自分は艦娘になるつもりはないっす…前線なんて嫌っす」

 

 

「…これも聞かんかっとことにするわ…まぁでも僕もワンちゃんおらんくなったら嫌やからなぁ…」

 

 

「…准将は自分がいないとダメダメっすからね…ナビアプリ使えないじゃないすか…」

 

 

「心の地図があれば男の子は前に向かって歩けるんやで?」

 

 

 

「…道は前だけじゃないっすよ?」

 

 

 

 

そんな会話をしながら松井と犬飼の乗る車は関東…大本営へと向かう

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ワンちゃんお土産屋さん寄ってってや」

 

「もう店開いてないっすよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




くぅ疲

これにて若狭基地編終了となります

次回のお話は頂いたリクエストに答えて、かつ松井准将を絡めたお話となります


よろしくお願いしますなのです

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