大本営の資料室   作:114

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はい、始まります



File54.紅い記憶⑨

「司令官!これあげるわ!」

 

 

「…これは…クッキー?」

 

 

「ふふ…暁ちゃん…何度も失敗しながら頑張ったんですよ?」

 

 

「ちょっ…!五月雨!…言わないでよぅ!」

 

 

「あはは…ごめんごめん…」

 

 

「…暁…ありがとうね」

 

 

「…ん…ふ、ふふーん!暁のようなレディならこれくらい簡単に作れちゃうんだから!」

 

 

「…こっちは綾波達が作ったんです!」

 

 

「あ!司令!これは私が作りました!」

 

 

「綾波…比叡……うん、ありがとう…でもなんで…?」

 

 

「…だって今日は提督が着任した記念の日ですから!私からも…はい!どうぞ!」

 

 

「…五月雨……ふふ…ありがとう…」

 

 

 

いつも一生懸命な暁…

 

きちんと周りの娘達を引っ張ってくれる綾波…

 

どんなときでも艦隊の空気を上げてくれる比叡…

 

 

 

…そして…

 

 

 

 

僕は…

 

 

この幸せな世界がいつまでも続くと思っていた…

 

きっとこのまま…皆で力を合わせて深海棲艦との戦いに勝利するものだと思っていた

 

 

 

 

 

でも…

 

 

 

 

皆との別れは突然だった

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

トラック島から桜龍の輸送艦隊が出航した日の夜

 

 

夕食を終えたサムは神通に連れられ、島の岬へと来ていた

 

 

「…静かですね…月もきれい…」

 

「…ええ」

 

 

サムは隣に立つ神通へ呟くと、神通も短く返す

 

 

「…ええと…あの…どうして私をここへ?」

 

「…御礼と……お別れを言いたくて…」

 

 

突然の告白、そしてその内容にサムは驚く

 

 

「…え!?…お、お別れって…」

 

 

しかし神通はサムを見ることなく、岬から見渡せる真っ暗な水平線を眺めながら

 

 

「…先程ボスから命令を受けました…次に桜龍の輸送艦隊が来たときに、彼女達に貴女を引き取ってもらう、と…」

 

「…え…そ、そんな…急に…私何も聞いてま「私も、その方が良いかと思います」…え?」

 

 

そこで神通はサムとちゃんと対面する

 

 

「…きっとこの島は近いうちに戦場になります…それも地獄のような…」

 

「…それって…ボスの言ってた秘書艦の人との戦いってことですか…?」

 

 

神通は頷く

 

 

「…勝手に貴女を建造して…勝手なことばかりでごめんなさい…けれども…あなたが産まれてこの数日…たった数日間だけれども、貴女のお陰でこの基地は…親衛隊は…ボスは…変わりました」

 

 

「…神通さん…」

 

 

神通はくすりと笑う

 

 

「…球磨さんの言っていた可能性…その賜ですね」

 

「…可能性…?」

 

「ボスの元へ集まった親衛隊…私もそうですが、元々はボスの為に命をかけて、五月雨さんを打ち倒すためにと頑張っていました…その間で出来る限り人や海をも守ろう、と…最初こそこのトラック周辺で起きる深海棲艦による輸送船襲撃や、強襲にも進んで手助けや支援等も行っていましたが…」

 

 

「…しかし時が経つにつれ、段々とその考えは歪んでいき、ボスも、皆も……私も…目的がかすみはじめていました…ボスに倣って海賊の様な行為をし始めた者、その日1日だけを楽しむ者、無気力になった者も多くいました」

 

 

「…」

 

 

神通の青い片目は月の光に反射し、優しく光る

 

 

「…そんな時に貴女が…貴女の存在が皆を…皆を救いました。ボスを…私をも…」

 

 

 

「…神通さん…」

 

 

神通はにこりと笑う

 

 

「…きっとこの狂いはじめた世界を見かねて、運命の女神様がサムさんを贈ってくれた…私はそう思っていますし、そんな貴女には、ここで死んで欲しくないの」

 

「…」

 

 

「ボスの命令に…皆賛成しました。下された命令に従った、ではなく…賛成しました…」

 

 

「…球磨さんも、多摩さんも…川内さんや那珂ちゃん…名取さんに夕張さん……阿武隈さんですら貴女にはここを出て生きてもらいたい、と…」

 

 

神通の話を聞いていたサムは眉を寄せる

 

 

「…皆は…皆はどうするつもりですか?」

 

 

サムの問いを受けて神通は再び海を見つめる

 

「…私達はボスの願いを、想いを成就する為にボスに忠誠を誓ってここにいます…サムさんとはまた違う存在です…それに…」

 

 

神通はサムの頭を優しく撫でる

まるで大切な妹を諭すように

 

 

「…私達はもう世界から必要とされない存在…いつどこで死のうとも…誰も悲しみはしません」

 

 

「…そんなことないよっ!」 

 

 

神通の言葉にサムが強く否定する

 

きっと神通にとって初めての聞いたサムの大きな声だった

 

片方青い目を丸くしてサムを見つめる

 

 

「誰も悲しまないなんて…ううん…誰も…死んじゃ 

 

 

 

しかしサムの言葉は最後まで聞こえなかった

 

 

どん、と島を半分囲む大壁のある沖でいくつもの 爆発が起きる

 

 

「!?」

 

「…な、なに!?」

 

 

戸惑うサム、直後八木から全親衛隊へ通信が入る

 

 

『ベイビーズ!仕事だ!こないだの深海棲艦共がまーたやってきやがった!第一、第四、第五真鋭隊は壁の方へ向かえ!残りは島と基地の守りだ!…それと青いの!お前はすぐに俺の所へ戻れ!命令だ!』

 

 

「!?」

 

 

まさかの自分の事を呼ばれて緊張するサム

 

 

『ボス!』

 

 

しかしすぐに誰かが全体通信を使う

 

驚く神通とサムはお互い顔を合わせる

 

「…この声…」

 

「…川内さん!?」

 

 

それは昨夜までは毎晩コンテナで一人過ごしていた川内の声だった

 

 

『…川内か…?…お前…なんで…』

 

 

『壁へは今三親隊が向かってる!代わりに一親隊を守りに向かわせて欲しいんだ!』

 

 

  

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

基地本館、作戦室 

 

 

 

壁の大穴から差し込まれてくる月の光に照らされ、八木は腕時計型の無線機に話しかける

 

 

「…おいおいおい…大丈夫なのか?川内…」

 

『…多分ね』

 

「…多分、か…なら十分だ…聞いたな阿武隈?お前ら一真隊は守備に付け…三、四、五真隊で奴等を蹴散らせ!)

 

『『イエス、ボス!』』

 

 

そう命令し、八木は沖に立つ壁に視線を向ける

 

 

「…っく…いてぇな…」

 

 

ズキズキと頭痛のするこめかみに手を当てながら

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

ズドン、と空に響く轟音

 

 

文字通り鉄壁とも呼べるトラック島を守る高い壁を砲撃する者が数名

 

 

深海棲艦重巡戦隊だった

 

 

[全員続けろ!砲撃!]

 

 

一人の重巡がそう叫ぶと、近くにいた3隻の重巡達は壁に向かって砲撃をする

 

 

[……艦娘どもめ…!一人残らず沈めてやる!]

 

[…電探に感あり!…艦娘だ!艦娘が近づいてる!]

 

[…くっ!…思ったより来るのが速いな!…まぁいい、続けろ!]

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

トラック島を出撃し、壁の外の海上を滑る三親隊

 

勿論先頭は…

 

 

 

「ぁぁああああああ!!!待ちに待った……夜戦だぁぁあああああ!!!」

 

 

 

両の手を左右に大きく広げ、そう叫ぶは三親隊隊長、川内だった

 

 

「…隊長っ!声大きいよっ!敵に気づかれちゃう!」

 

 

心配して川内を注意する古鷹だったが、その後ろにつく加古が笑う

 

 

「…あはは…もう気づかれてるって〜」

 

 

その後ろを航行する鈴谷もくすくすと笑う

 

 

「…ひっさびさの4人での夜戦だからね~…隊長〜?今日はマジで鈴谷達を攻撃しないでよ〜?」

 

 

 

「オッケーオッケー!まっかせて!…他の親衛隊は遅いねぇ!私達だけで片付けちゃうよ!」

 

 

調子にのる川内達に八木から通信が入る

 

 

『よぉ、ハッパでも吸ってんのか川内?…何度も言ってるが奴等の攻撃に気をつけろ…加古、お前はわかってるよな?』

 

 

いつかの深海棲艦からの魚雷で大破した事を思い出した加古は苦虫を噛み潰したような顔になる    

 

「…わぁってるよ…ボス…奴等も強くなってる…あたしらも油断はしないよ…なぁ、みんな?」

 

 

「もち!」

「ええ!」

「はーいはい」

 

 

『恐らく奴等はお前等とは逆…オーラを火力に全振りしてるはずだ…一発が致命傷になる可能性があるからな……気をつけろよ』

 

 

「「「「イエス、ボス!」」」」

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

基地へ続く森の中、神通とサムは走って森を抜けようとしていた

 

壁の向こう側で爆発音が聞こえてくると、サムは壁の方へ顔を向ける

 

 

「…始まった!」

 

「…っ!…サムさんはこのままボスの元へ!…球磨さん!能代さん!ニ親隊各艦すぐに守備のポイントへ!」

 

神通も走りながら球磨達に通信を送る

 

 

『わかってるクマ!今能代と向かってるクマ…っつーかあの夜戦大馬鹿速すぎだクマ!』

 

 

 

「サムさん!貴女はこのまま真っ直ぐ進んで基地へ!良いですね?」 

 

「は、はい!…神通さんもお気をつけて!」 

 

 

サムにそう言われると、神通は頷き二人は別々の道へと走っていく

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

「っぁぁああああっ!!」

 

 

ガコン、と川内の全力の飛び蹴りが敵巡洋艦、重巡Aの砲塔を壊す

 

 

 

「…艦娘っ!?」

 

 

対する重巡Aも負けじと残った第2砲塔を川内に向け砲撃

 

同時に川内が叫ぶ

 

 

「遅いっ!!」 

 

 

川内は砲撃した事でスキのできた重巡Aの腹部に手刀を与える

 

[くっ!]

 

 

 

しかしギリギリで重巡Aに躱される

 

 

 

(…まずい!)

 

驚いた古鷹はすぐに接近用の艤装から主砲や魚雷を装備した通常の艤装へと展開

 

 

敵巡洋艦群に向けて砲撃

 

 

「隊長!退いてっ!」

 

 

昼戦での川内ならば、間違いなく今の攻撃が直撃、敵の上半身と下半身はバイバイしている… 

 

しかしこの眼の前の深海棲艦には紙一重で避けられた

 

敵が速いのか、久々の理性を持った状態での夜戦に川内が本調子になれないのか…

 

 

思いを巡らせた古鷹だが、古鷹が放った砲撃を重巡Aは片手で振り払う

 

 

[…奴等をここで足止め!…沈めるぞ!]

 

 

重巡Bは口を動かして味方に指示をする

その姿を見て加古は呟く

 

 

「…なーんか言ってやがんな…」

 

「…だねー…何言ってるかわかんないけど…」

 

 

鈴谷が加古の呟きに答えながら、古鷹と同じ様に通常艤装を転換、敵巡洋艦達と距離を取りながら砲撃を開始

 

 

 

 

「…くっ!…」

 

 

古鷹達の援護を受けながら川内はバックステップで重巡Aから遠のこうとするが

 

 

[甘いっ!]

 

 

川内のスキをついた重巡Aが主砲を川内に向け再度砲撃

 

 

「ぐっ!」

 

 

敵巡洋艦の砲撃により、避け損なった川内の脇腹を掠る

 

 

「隊長!すぐに戻って!」

「隊長!なにしてんだ!」

 

 

 

川内より離れた海上からそう叫ぶ古鷹達

 

 

「…く…わぁってる…っつの…」 

 

 

血の垂れる脇腹を抑えながら重巡Aから逃げる川内

 

 

(…くそっ!…くそくそ!…一撃目で仕留められなかった!…しかも反撃されたし…!)

 

 

敵巡洋艦群からの砲撃を避けながら思考を巡らせる川内

 

 

 

(…ボスにああ言ったのに…めちゃくちゃカッコ悪いじゃん…私…)

 

 

すると八木から親衛隊全員へ通信が入る

 

 

『タイムアップだ三真隊。退きながら砲雷撃戦だ。今一真隊が向かってる』

 

 

「…!?ボス!…まだ終わってないよ!私は戦える!」

 

 

川内は強く八木へ通信を入れるも、バランスを崩し倒れそうになる

 

 

「隊長!」

「隊長っ!」

 

 

鈴谷が敵巡洋艦4隻に向け砲撃しながら、古鷹と加古が倒れそうだった川内を受け止める

 

 

『駄目だ《ザー》の方からも《ザザー》が来てる《ザー》』

 

 

「…ボスッ!?…ボス!」

 

「無線障害…!?…奴等の…!?」

 

 

八木からのノイズ混じりの通信を聞いた古鷹がそう叫び、敵巡洋艦の方を見る

 

しかし少し遠目に見える敵巡洋艦達も、挙動が少しおかしく、川内達への攻撃を止め、片手を耳に当て何か声を張っているように見える

 

苦しそうな表情の川内か呟く

 

 

「…まさか…あいつらも…無線障害…?」

 

 

 

そんな川内達の背後の水面に黒く、長い影がゆっくりと近づく

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

「川内っ!…川内!おい!」

 

 

基地作戦室

 

大穴から外の様子を見ながら腕時計に向かって叫ぶ八木

 

 

「…通信妨害か?…くそ…奴等か…!」

 

 

そう呟き川内達のいるであろう壁とは違う方向…壁の中央にある大門へと視線を向ける八木

 

そこでも大きく爆発が起きていた

 

 

 

「…2か所同時攻撃か…奴等、総攻撃でもするつもりか…大淀!」

 

彼の背後の机で、付箋やメモ書きが沢山貼り付けられたパソコンを開く大淀を呼ぶ八木

 

 

「は、はい!…そ、その…壁の防衛システムが通信障害によって全く機能出来ずに…その…」

 

 

あたふたする大淀

それそのはず

 

トラック島を守る高い壁、その壁の大門は…

 

 

 

「…開けたら閉めろってよく母ちゃんに言われたもんだが…」

 

 

最初の爆発が起きた時、各親衛隊はトラック島から出撃し、大門を目指した

 

しかしその後、深海棲艦による謎の無線、通信障害と思われる攻撃により、門は三分の一ほど開いたまま、操作不能となってしまった

 

 

「…真鋭隊を出撃させたのはマズかったか…西には三真隊…門の外側は…四真隊と五真隊か…」

 

 

 

ニ親隊、六親隊は守りに、三親隊へは一親隊が援護に向かっている

 

 

「…さて…どうするか……ん?」

 

 

応戦するためにどうしようか…そう考えながら大穴から森の方へ視線を向けると、森の中を流れる川に注目する

 

 

「……」

 

 

例の双眼鏡を手に、再度川の方を見る八木

 

 

「…こりゃあ参ったな…妖精さん」

 

 

〈ボス!ここに!〉

 

 

ちょこんとジャンプをして八木の肩に乗る妖精

 

八木は双眼鏡で川を見たまま

 

 

「…手動の基地防衛システムはまだ動くよな?…北の川から4人お客さんだ…」

 

 

八木の覗く双眼鏡には、森の中を通る川を4隻の深海棲艦が基地に向かってゆっくりと航行する姿が見えた

 

その中には白髪の重巡がいる

 

 

「…迫撃砲4門…俺の合図で…………は?」

 

 

双眼鏡を覗いたまま、八木は固まった

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

「基地へ!…基地へぇっ!」

 

 

八木の元へ向かう為、真っ暗な森の中を疾走するサム

 

 

「…うぁあっ!陸地じゃよくわからない!…どっち!?…はっ!?」

 

 

上を見上げるが、月の光も見えないほどに茂った木の葉の闇が広がるだけだった

 

 

「…ぅぅ…私が迷子になるなんて…」

 

「…しっかりしろ、若いの」

 

 

半泣きなサムの迷彩服の胸の辺りから顔を出したのはクジラちゃんだった

 

 

「クジラちゃん!…いままでどこにいたの?」

 

「…ずっと服の中にいた。ほのかにミルクの香りがするこの中も悪くなかったぞ?」

 

 

「…」

 

何とも言えない複雑な表情でクジラちゃんを睨むサム

 

 

「…そんなことより…こっちの方角だと北に向かってることになる。基地があるのは南の方だ…もっとの右方向へ向かえ」

 

 

「あ、うん…よしっ!…急がなきゃ!」

 

 

遠くで砲撃音が鳴る中、再度走り出したサム

 

 

「いや!違うそっちじゃ…」

「うわっ!」

 

 

森の中を走り出したサムは地面に足を取られ、草むらにそのまま突っ込む、普通ならそこで転んで終わりだが、彼女の場合はそこが違う

 

サムの勢いは止まれずにそのまま草むらを抜けると、目の前には川が広がっており、サムはそのまま止まれずに川に落ちる

 

 

「ひゃぁあ…!」

 

 

運がよく川の浅瀬で座り込むサム

 

 

「…いてて…浅くてよかったよぉ…」

 

「いや…良くはないぞ…?若いの…」

 

 

クジラちゃんの冷静な声を聞いて辺りを見回すサム

 

 

「……あ…」

 

 

 

サムがいる浅瀬よりももう少し深い場所に立つ彼女達と目が合う

 

 

 

[…駆逐艦…?奴等の艦隊には駆逐艦もいるのか…]

 

 

白髪の深海棲艦重巡洋艦と、その仲間がサムに視線を向けていた

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

「ボス!どこへ!?」

 

 

基地作戦室

 

 

八木は対深海棲艦用の弾丸がセットされたガンベルトを装着する

 

 

「あんバカ野郎がっ!…くっそ!…大淀!忘れても良いようにメモっとけ!無線が繋がったら四真隊は基地北の川へ向かう様に言え!それと一、三、五真鋭隊は正面へ就くように指示!あとは阿武隈がわかる!んで、守備についたニ真隊と六真隊は配置から絶対離れるなっつっとけ!…俺はあのバカを助けに行く!」

 

 

「イ、イエス、ボス!」

 

 

八木と大淀のやり取りを見ていた香取も八木に寄り

 

 

「私達も付きます!鹿島!」

 

「了解!」

 

 

 

説明を終えると、八木、香取、鹿島は大穴から飛び出す

 

一方大淀は八木に言われた事を全てメモすると、パソコンのモニターの右上に貼り付けるが、そこであれ?と首を傾げる

 

 

「…あれ…私今ボスに何を言われたんだっけ…」

 

 

そう言いながらパソコンのモニターの右上のメモを見て

 

 

「あ!そ、そうだ!…無線無線…!」

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇  

 

 

 

 

壁の外

 

 

先程まで砲撃し合っていた川内達と深海棲艦達

 

しかし両艦隊とも今は硬直していた

 

 

鈴谷も主砲を構えたまま、額から汗を流し

 

 

 

「…嘘…でしょう…?」

 

 

信じられないといった風に古鷹も小声でそう呟く

 

 

川内達と敵深海棲艦達との間に出現し、うねりまわる黒く長いモノ

 

 

それは八木から龍と呼ばれる化け物の背中だった

 

 

 

[う、撃て!砲撃用意!]

 

[沈めぇえっ!]

 

[このぉぉおお!]

 

 

硬直していたのもつかの間

 

重巡Aが叫ぶと、海面から頭を出した真っ黒な巨龍の頭部に主砲を向ける深海棲艦の重巡達

 

 

「…あれが…龍…!」

 

 

川内を抱えた加古も初めて見る"五月雨"に言葉を詰まらせる

 

 

 

[撃てぇっ!!]

 

 

重巡Aが再度叫ぶと、深海棲艦重巡群は巨龍に向かって砲撃

 

 

古鷹達は驚きの表情でその光景を見つめる

 

 

「…あいつら…あの龍と仲間じゃないの…?」

 

「す、鈴谷がそんなこと知るはずないじゃん…!」

 

「はぁ…はぁ…」

 

「隊長!…しっかり!」

 

 

 

これをチャンスと見た古鷹達は撤退しようと反転、しかし後方にも体長10メートルはありそうな中型の龍が6匹、海面から頭部を伸ばして古鷹達を睨んでいた

 

 

「か…囲まれてる…!」

 

 

 

[がっ!がぁぁああっ!!]

 

 

こちら側からではない誰かの叫びで振り返る古鷹達

 

見ればあの巨龍が重巡Bの一人を咥え、バリバリとその身体を食べていた

 

 

[やめろぉお!]

 

[くそ!くそぉっ!]

 

 

仲間を助けようと砲撃を続ける3隻の重巡達を見て川内が呟く   

 

 

「…三親隊…龍への砲撃…用意!」

 

「え!」 

 

「助けるの!?…だ、だってあれ…敵じゃ…」

 

 

加古から離れた川内は、吐血しながら背後に並ぶ6匹の中型の龍に主砲を向ける  

 

 

「……敵の敵なら…私達にとっても敵…だったらまず共通の敵から…化け物から潰しておいたほうがいい…それに相手はあの龍…上手く殺せば…ゲホッゲホッ…」

 

 

「…」

 

古鷹は先程まで戦っていた深海棲艦の重巡達に目を向ける

 

彼女達はもう川内達を敵と見ず、巨龍に向けて必死に主砲、魚雷を撃ち込んでいた

 

 

「…単にあたしらに構ってる暇ねーって感じだけどね」

 

加古のぼやきを流し、川内は少しふらつきながら不敵に笑う

 

 

「…さぁ…私達も…仕掛けるよ…!砲撃、開始!」

 

 

川内達は一斉に中型の龍達に砲撃

砲撃直後、加古と鈴谷が機銃を発射

 

後方にいる中型の龍達に攻撃しながら、先程まで敵だった深海棲艦重巡艦隊へ近づく

 

 

 

[……!?]

 

 

重巡Aは近づいてくる川内達に気づき舌打ちをする   

 

 

[…くそっ!…こんな時にまであいつら…!!]

 

 

 

1隻が食べられ、残り3隻となった深海棲艦重巡艦隊は川内達の4隻、そして彼女らの後方にいる中型の龍6匹に、正面の巨龍、と敵だらけの状況に絶望を感じる

 

 

歯を食いしばる重巡A

 

 

[…くっそがぁ「…撃てぇっ!」…!?]

 

 

しかし深海棲艦重巡戦隊の心配を他所に、川内達は正面にいる巨大な龍へ砲撃を開始

 

 

巡洋艦の砲撃を受けた巨龍はその衝撃で咥えていた重巡Bを放してしまった

 

 

[……お、お前等…]

 

 

一斉射を受けた巨龍は低い唸り声をあげ、海中へ潜っていく

 

「…次の攻撃が来るよ!古鷹!加古!鈴谷!デカいのを警戒しつつ後方の龍へ砲撃!」 

 

「了解!」 

「あいよっ!」

「お任せっ!」

 

 

[…] 

 

 

何がなんやら、といった表情で川内の隣に立つ重巡A

 

 

[…何故我々を助けるような真似をした!艦娘!]

 

 

重巡Aは川内に向かってそう怒鳴る

川内はビクリと肩を狭め…

 

 

「……言ってることわかんないけどさ…多分なんで助けたとかそんなでしょ?…別に助けたわけじゃないけどさ…」 

 

 

川内は装備の1つからあるものを取り出す

 

 

「…なんつーの?…さっきまではさ、私達とあんたらの戦いだったじゃん?」

 

 

川内が取り出したのは探照灯だった

 

重巡Aに向けてにこりと笑う川内

 

 

 

古鷹達3隻の重巡と深海棲艦の2隻の重巡は、後方の海面から頭を出す中型の龍達に砲撃をしている

 

 

 

「…ムッカつくんだよね…邪魔された感じでさっ!」

 

 

バチン、と探照灯を灯し、中型の龍達を照らす川内は自身の言葉を理解してないであろう重巡Aにそう言って古鷹達から単独で離れる

 

 

 

「…私が奴等を照らす!…皆っ撃ちまくれ!」

 

 

 

三親隊4隻と、深海棲艦重巡戦隊3隻、計7隻

 

その中でも川内は唯一の軽巡洋艦である

 

更に普段のメインが接近戦の三親隊のため、砲撃の火力もピカイチで川内は低い

 

 

故に少しでも砲撃や雷撃が当たるように探照灯、最も敵に狙われる役目を自分からかってでたのだ

 

 

 

[……艦娘…]

 

 

重巡Aには川内の話す言葉が理解できない

 

しかし彼女の雰囲気や心は、なんとなくだが感じたような気さえする

 

 

重巡Aは小さく、誰にも気づかれないように頷き

 

 

[…艦娘の探照灯を頼りに奴等を沈めるぞ!重巡戦隊!砲撃を続けろ!]

 

[ああ!]

[わかった!]

 

 

残る2隻の仲間にそう指示を叫ぶ重巡A

 

 

重巡C、Dが古鷹達と並び、6匹の中型の龍へ砲撃を続ける

 

防御にオーラを全振りした川内達と違い、攻撃、火力にオーラを割り振ったと見られる深海棲艦の重巡戦隊はやはり強く、6匹中2匹の中型の龍が砲撃を受け、血のようなものを吹きながら沈んでいく

 

 

 

「…やっぱ深海棲艦の火力は強いねぇ」

 

 

一人古鷹達から離れ、探照灯を中型の龍達に照らす川内がそう呟く

 

そしてそんな川内の背を守るように重巡Aが艤装を構え、警戒する

 

 

[…まさか艦娘共と共闘するとはな…]

 

 

深海棲艦重巡Aは自嘲するように呟く

 

そんな川内と重巡A、二人の背後の海面には、またも大きな影が迫る

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

[撃て!…殺せ!]

 

 

基地北部の川を滑る深海棲艦重巡戦隊は、白髪の重巡を先頭に青い駆逐艦を追いかけながら砲撃していた

 

 

 

「わぁぁああー!!!」

 

 

対して涙と鼻水を垂れ流しながら必死に川を南下するサム

 

敵重巡4隻からの砲撃をクジラちゃんの指示の下、上手く避けていた

 

 

「若いの!来るぞ!右へ20度避けろ!」

 

「ひゃいっ!」

 

 

サムの肩に乗り、背後を見ながらサムにそう指示を出すクジラちゃん

 

サムはクジラちゃんの指示に従い、正面右方向20度に進路を変え、敵重巡からの砲撃を避ける

 

 

[…ちっ!]

 

 

サムを追いかける白髪の重巡は舌打ちをする

 

 

[…やはり駆逐艦は速いな…]

 

[追いつくのは無理そうだ]

 

 

白髪の後方の重巡達がそう言うも、白髪の重巡は首を振る

 

 

[…だめだ。我々が無線封鎖をされた今、どんな小さな綻びも我らの死へと繋がる…仕留めるぞ]

 

[…艦娘共め…無線封鎖なんて卑怯な手を使うなんて…!]

 

 

 

 

「…ほ、砲撃を…「駄目だ!今は逃げることだけ考えろ!若いの!」

 

 

 

サムが深海棲艦達から逃げていると、正面から1つ、ライトの明かりが見え、近づいてくる

 

 

 

「…な、なに!?…クジラちゃん!あれ何!?」

 

「…あれは…!水上スキーか!?」

 

 

「青いのぉーー!!!」

 

 

正面から高速でやってくるのは八木の乗る水上スキーだった

 

 

「鹿島!香取!」

 

 

「「イエス、ボス!」」

 

 

 

返事をした香取と鹿島は川の上で減速、主砲を敵重巡達に向ける

 

 

 

八木達の姿を確認したは白髪の重巡は憎悪の込めた表情を作る

 

 

 

[…あの化け物の……飼い主めっ!]

 

 

正面、遠い位置からの鹿島と香取の砲撃により陣形が崩れる深海棲艦戦隊

 

 

 

あと僅かな距離でサムと正面衝突しそうな八木の水上スキー

 

 

「ぼ、ボボボボボボス!とまっ…「飛べ!サム!!」

 

 

ぶつかる直前、八木がそう声を張ると、サムは前進したまま水面をジャンプする

 

 

「…っ!ぅっう…ぐぇえっ!」

 

 

サムがジャンプすると同時に、すれ違うようにサムのお腹部分をラリアットするようにがしりと捕まえる八木

 

サムは捕まえられた衝撃で胃液が出そうになるが

 

 

「…ぐっ!おっも……サム!艤装解除!!」

 

「は、はぃいっ!!」

 

 

八木に命令され直ぐに艤装を解除すると、傾いていた水上スキーのバランスが戻り、そのまま高速で重巡達の間を突っ切る

 

 

 

「…よっしゃ!戻んぞ!」

 

 

[…させてたまるか!!]

 

 

 

そのまま逃げずに、Uターンをしようとした水上スキーに機銃掃射する白髪の重巡

 

その銃弾は水上スキーの前のカバー、そして後ろのカバーに被弾

 

 

「ぅおっ!?…おわぁっ!」

「きゃあっ!」

 

バシャン、と八木とサムは水上スキーから浅瀬へと投げ出される

 

 

 

「ボス!」

 

「くっ!ボス…!」

 

 

香取と鹿島は重巡達に砲撃をしながら八木の方へ近づこうとするが、白髪の周りにいた重巡達が応戦

 

香取達の足を止める

 

 

 

[…くくく…さぁ…終わりだ!]

 

 

勝利を確証した白髪の重巡は不敵に笑い、ゆっくりと八木達の倒れる浅瀬へと近づく

 

 

 

「…く…サム…!サムっ!」

 

 

「……」

 

 

 

なんとかかすり傷で済んだ八木

 

しかし艤装解除の状態で、浅瀬とはいえ小石のある地面に投げ出されたサムは気を失っていた

 

すぐにサムに近づき抱き上げる八木

 

 

 

「…く…!…ここまでか…!」

 

 

浅瀬でサムを抱き上げ、ゆっくりと近づいてくる白髪の重巡を見てついそう零す八木

 

 

(…リボルバー!)

 

 

せめて一発でも、と考えた八木はサムを抱えたままガンベルトに手をのばす

 

 

 

しかし既にその頭には白髪の重巡の主砲が向けられていた

 

 

[さぁ!我らの島を返してもらうぞ!人間!!]

 

「てめぇらの島だなんざ知ったことか!このアホが!!」

 

 

対する八木もリボルバーを構え白髪の重巡に銃口を向ける

 

 

 

 

 

 

 

「……ぁ?」

 

[…ん…?]

 

 

 

白髪の重巡は八木に主砲を向けたまま、八木は白髪の重巡に銃口を向けたまま、両者は固まる

 

 

 

 

(…なんだ…今の…なんか違和感が…)

 

 

[(…今…なんて…?)]

 

 

 

「……お前…」

 

[……!!]

 

 

ゆっくりと銃を下ろし、八木がそう声をかけると、白髪の重巡はビクリと驚く

 

 

 

そこへ白髪の仲間の重巡達が合流、八木達に主砲を向けようとする

 

同時に重巡達の後方にいた鹿島と香取も八木達に主砲を向ける重巡達に主砲を向ける 

 

 

 

[何をしている!?早くこの男を…]

 

「ボスに手を出させませ…」

 

 

 

「[やめろ!]」

 

 

八木と白髪の重巡が言語が違えど口を揃えてそう叫ぶ

 

 

白髪の重巡は八木から視線を外すことなく左手を真横に上げ、仲間の重巡達からの砲撃中止をし、八木も鹿島達に砲撃をさせないように掌を向ける

 

 

[…!?]

 

「…ボ、ボス!?」

 

 

 

砲撃を止められた重巡達、鹿島達はどうすればいいのかとおろおろする

 

 

八木はリボルバーをガンベルトにしまい、片手で抱き上げていたサムを両手で抱え、汗を一滴流しながら白髪の重巡を見上げる

 

 

 

「…俺の気のせいなら良いんだが…今お前の声が聞こえた様に感じたんだが…?」

 

[…]

 

 

白髪の重巡もちらりと八木から目線を反らして思案し、再度八木に視線を戻す

 

 

[…奇遇だな…私もお前の言葉が……何故か聞こえている…]

 

 

 

艦娘と深海棲艦はお互いの言語を理解することはない。

 

艦娘や人間は、声と耳とで意思疎通をするが、対する深海棲艦は通常念話や超音波を使って仲間と会話する。声を使った会話でも深海棲艦同士でしかわからない言語を使う。…中には片言で人間の言葉を喋る深海棲艦もいるが、ここは割愛する

 

 

よって、深海棲艦の声は人間や艦娘にはただモゴモゴと聞き取れない声にしか聞こえず、また深海棲艦も人間や艦娘の声は相手側と同じ様にモゴモゴと唸っているようにしか聞こえない

 

 

 

…この瞬間、眼の前の白髪の深海棲艦の声を八木は聞くことができ、この白髪の深海棲艦は人間である八木の声を聞くことができた

 

 

 

「…あー……お互い会話が出来るなら…喫茶店でお茶でもどうだ?」

 

 

[…きっさてん?…お茶?…何を言っている…どういうことだ?]

 

 

八木のジョークがよくわからず、首を小さく傾ける白髪の重巡

 

 

「……この戦いを一度止めて、俺と少し話でもしないか…?」

 

[…良いだろう…ならばまずは我らの無線封鎖、通信障害を解いてもらおうか]  

 

 

今度は八木が眉を寄せ、首を捻る

 

 

「…?無線封鎖してんのはお前等だろ?」

 

 

 

[…]

 

「…」

 

 

 

そこへドン、ドンと壁の向こうから…川内達のいる方角から大きな爆発音が聞こえる

 

 

「…川内!」

 

[…くっ!]

 

 

爆発音を聞き、すぐに水面を移動し始める白髪の重巡

 

 

「…鹿島!サムを頼む!」

 

「えっ…あっ?…は、イエス、ボス!」

 

 

八木は近づいてきた鹿島にサムを放ると、浅瀬で倒れていた水上スキーを立たせ、跨ると白髪の重巡を追う

 

 

[おい!行くぞ!]

 

[あ、ああ!]

 

次いで残った重巡2隻も後を追い

 

 

「…鹿島!貴女は基地に戻ってサムさんの手当を!」

 

「は、はい!香取姉は!?」

 

 

「私はボスについて行くわ!」

 

 

香取もサムを抱き抱える鹿島にそう言って2隻の重巡達の後を追う

 

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

 

 

トラック島から西へ離れた小島

 

 

月の光が照らされるその岩場に彼女は腰掛け、トラック島の方向を見つめ呟く

 

 

「…提…督…クッきー…どう…ゾ……」

 

 

もう涙は枯れ果て、いつか見た懐かしい思い出は消えてなくなっていく

 

 

後に残るは真っ黒で空っぽな感情

 

 

「…ワ…たし……を…愛…シ…テ…くれ…テ…」

 

 

壊れた人形の様にぽつりぽつりと言葉を吐き出す長い黒髪の少女。五月雨

 

 

その背後には五月雨と同じくらいの背丈の黒フードを被った青白い肌の少女が怪しく笑い、五月雨に耳打ちする

 

 

[…ああ…可哀想な五月雨…お前を殺すと約束した男はそんな約束をほっぽりだして、小さくて狭くて薄汚れた小島に引きこもって…他の女と欲望の赴くままヤリまくってるに決まってるよねぇ]

 

 

[大事で大切な五月雨がいるってのに最低の男だよねぇ]

 

 

フードの少女はニタニタと笑い、五月雨を背中から抱きしめる

 

 

[…大丈夫。五月雨には私がいるよ…だから、人間を殺せ…艦娘を壊せ…深海棲艦を沈めろ…全てを破壊し、すべてを殺せ…]

 

 

ふわりと五月雨を抱いていた腕を解くと、五月雨は虚ろな眼をしたままちゃぷりと海面へ降り、ふらふらと航行しだす

 

 

 

遠くなっていく五月雨の背を見ながら黒いフードの少女はくすくすと笑う

 

 

 

[…ああ、可哀想な五月雨…艦娘にもなれず、私達にもなれない出来損ないの哀れで愚かな化け物…く、くくく…くひゃははは…]

 

 

黒いフードの少女は肩を震わせていたかと思えば、ケタケタと笑い声を上げる

 

 

 

[ひゃあっはっはははは!!やっぱりシンタロウの言った通りだ!楽しくなりそうだねぇ!面白くなりそうだねぇ!ひゃはははは!!]

 

 

 

薄気味の悪い高い声が岩場に響く

 

 

 

 

「…比叡…サン…ごめんナさイ…暁…チャん…ごめン…ナさい…」

 

 

 

 

一方岩場から離れていく五月雨は黒いフードの少女の事を気にすることなく、ぼそぼそと呟きながらどこかへ向け航行する 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




…はい

妖精さんの声が聴こえるだけじゃあないということですね。八木さんは…


次回もどうぞよろしくお願いします

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