大本営の資料室   作:114

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けんとまほうのせかいへようこほ(笑)



はい。アンケートでとった短編のひとつ、"長波の異世界転移モノ"にございます


なお、今までのお話では艦娘も人もバタバタと死んできましたが、今回の資料のお話では誰も死ぬ予定はございません


ではどうぞ




File68.下総海軍工廠艦娘失踪案件

 

 

 

 

ねぇ、知ってる?あの噂…

 

 

知ってる知ってる。電話ボックスの噂でしょ?

 

 

堤防沿い近くのとある電話ボックスで、ある電話番号を掛けると別の国へ飛ばされるってやつでしょう?

 

 

そうそう…え?でも私は別の世界へ飛ばされるって聞いたよ?

 

 

私は命が取られるって聞いたけど…

 

 

 

こわいよねー

 

 

 

 

ねー

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

昭和91年 8月

 

 

 

 

ここは千葉県船橋市の海岸沿いに鎮座する日本国軍海軍の大工廠の1つ。下総(しもうさ)海軍工廠基地

 

 

艦娘達で近海を哨戒する傍ら、主に対深海棲艦用艦艇に搭載される機銃や小径主砲の開発等し、運営する工廠基地

 

 

 

 

基地執務室 1600

 

 

 

「…うーん…」

 

 

執務机で唸りながら兵器設計図を眺めるは下総海軍工廠の提督、田原圭介大佐(32)

 

 

執務机の向こうに立つ軽巡洋艦鬼怒は難しそうな顔で田原を見ている

 

 

 

「…鬼怒。ごめん…これは無理そうかな…」

 

田原が苦笑いで設計図を下げる

 

鬼怒はやっぱり、とがっくりと項垂れる

 

 

「…やっぱ無理かぁ……予算ですかぁ?」

 

「…はは……うん、この開発内容だとちょっと…下りないかもなぁ…」

 

「私一応言ったんですよー?夕張に…これじゃ予算より足出るよ、って…」

 

 

うーん、と田原は首をかしげる 

 

 

「…私の方からも夕張には話しておくよ」

 

 

うん、と頷いて壁に掛けられた時計に視線を向ける田原

 

 

「…16時か…そろそろ哨戒班の交代時間かな?」

 

 

田原に問われると、鬼怒はええと、と指をアゴに当て思案し、頷く

 

 

「あー…はい、そうですね。次は哨戒5班…大波達ですね」

 

 

 

 

下総海軍工廠

 

提督と艦娘との関係は良好で、特に大きな問題のない基地である

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

基地ドック

 

 

「…ふぃー…哨戒終了っと」

 

 

哨戒任務を終えた下総哨戒4班の面々が艤装を解除し、海から戻ってくる

 

 

下総海軍工廠哨戒4班

 

旗艦夕雲、巻雲、風雲、長波、巻波、高波の6隻

 

 

「敵艦の襲撃がほぼ無いとはいえ、哨戒はやっぱり気を遣うからね…みんな無事でなによりね…お疲れ様」

 

 

艤装を解除し、コンクリートのドックに立った旗艦夕雲が笑顔で面々に語り掛ける

 

 

「ううー…夕雲姉さんの優しさが無ければ巻雲は駄目になってましたー…」

 

「はいはい、巻雲姉…しっかり立ってよね?もう…」

 

 

夕雲に続いて巻雲、風雲も艤装を解除してドックに上がる

 

 

「長波姉さまー…高波はもうヘトヘトかもです…」

 

「…おいおい…抱きつくなよ高波…ただでさえあっついんだからよー…」

 

「あはは…高波はぶれないねぇ」

 

 

続いて長波、高波、巻波もドックへ上がる

 

 

 

「うん、みんな修理箇所も無いわね!哨戒お疲れ様!」

 

 

そんな4班を出迎える作業着姿の夕張は笑顔で夕雲達にグッドサインを送る

 

 

「…ありがとうございます。夕張さん…じゃあ皆。私は司令官にご報告に行ってくるわね?皆は先にシャワー浴びちゃって」

 

 

「ゆ、夕雲姉さん!巻雲もご一緒「はいはい、巻雲姉…邪魔になるから私達は行くわよ?」…あーれー…」

 

 

夕雲に着いていこうとした巻雲を、風雲と巻波が片側ずつ巻雲の肩を待ちあげて夕雲の行く先とは別の方へと進む

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

基地ロッカールーム シャワー室

 

 

 

シャワーヘッドが20個並ぶシャワー室

そこへ夕雲を除く4班の面々が並んで頭から温かいシャワーを浴びる

 

 

「…はぁー…陽射しもあったせいか今日の哨戒も疲れたなー」

 

 

「…長波姉さまお背中流します!」

 

「…お?サンキュー高波」

 

 

高波はニコニコして長波の背中を泡泡にする

 

 

「…あーいいねいいね…流石上手いな高波は…」

 

「…おほめの言葉、ありがとうございます!…折角なので前の方も高波が洗わせて頂くかもで「いや、前はいいよ」

 

 

 

長波と高波のやりとりをなんとも言えない表情で見つめる風雲、巻雲、巻波

 

 

 

 

「…前の方も高波が「いや、前はいいよ」

 

 

「…高「いや、いいよ」

 

 

 

長波は高波の持っていたスポンジを取り上げてしまった

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

「いやー…やっぱ風呂上がりは牛乳だよなぁっ!」

 

 

シャワーを終え、ロッカールームの自販機で売っていた250mlのパック牛乳を飲んで笑顔になる長波

 

 

そのロッカールームの隅では高波がいじけている

 

気持ち高波からは「かもかもかもかも」と呟きが聞こえるが長波達はこれを無視する

 

 

 

「…ったく…そんなに乳が恋しいなら他の奴の揉んでやればいいじゃんかよ…浜風とか……浜風とか」

 

 

「んー…浜風じゃ違うと思うけどねー…」

 

 

長波のぼやきに巻波が苦笑いで返す

 

そんな時、ロッカールームの扉が開いて睦月型の長月が入ってくる

 

 

「ここにいたか高波!」

 

「かもかもか……あれ?長月ちゃん?」

 

 

名を呼ばれ、意識が戻ってくる高波

 

 

「…また1つ項が増えそうだ…新たな噂を手に入れたぞ?」

 

「かもっ!…詳しくお願いしたいかもです!」

 

 

長月の謎の言葉にテンションが上がり、すぐにメモ帳を取り出す高波

 

 

長波が風雲の方を見る

 

 

 

「…うわさ?」

 

「…ああ…高波ったら噂集めをするのが趣味みたいでね…ああやって色んな駆逐艦の子達から噂を聞いてはメモ帳に書き記してるのよ」

 

「…へー」

 

 

自身のアホ毛を弄りながら生返事の長波

 

風雲は呆れたようにため息

 

 

「…興味無さそうね…長波は…」

 

 

 

 

 

「…ああ、それで…その双眼鏡を使えば夜でも真っ昼間みたいに覗いた景色が見えるらしい」

 

「…そんな便利な双眼鏡があるかもしれないなんて…もしも見つかれば…ロマンかもです!」

 

 

 

長月と高波が熱く話しているのを横目で見てた長波は小さく鼻で笑う

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

「夜でも明るく見える双眼鏡ねー…ははは…そんなんあったら夜戦なんて無双し放題だな…ん?こっちは……ははは…70ノットで航行したらタイムスリップぅ?…70ノットって…おいおい…」

 

 

 

艦娘寮 長波、巻波、高波の三人部屋

 

 

 

夕食を終え、寮に戻ってきた長波は自分のベッドに寝転がって高波のメモ帳を読んで笑っていた

 

 

「…まぁあくまで噂、ですから…もしかして長波姉さまも噂や都市伝説に興味あるかもですか!?」

 

「いやー…ないな「まぁまぁそう言わずに」

 

 

高波はテンションがあがりつつ失礼します、と長波の隣に座り、メモ帳のページを捲る

 

 

「高波が調べた噂で一番謎かもと思うのがですね…こちらです!」

 

長波は高波に見せつけられたページを面倒くさそうに見る

 

 

「……電話ボックスの怪ぃ?」

 

「かもです!」

 

長波の言葉に風雲が反応する

 

 

「…ああ…昔からある噂よね…基地近くの電話ボックスに0時00分にある電話番号に掛けるとどこかへ連れていかれるってやつでしょ?」

 

「…へー…っつーか近くったって下総の敷地は端から端なんてかなり距離あるし、電話ボックスなんていくらでもあんだろ?」

 

 

かもかもと高波は頷く

 

 

「…いくら下総の規律が緩いとはいえ、基地の外へ出るには月に一度しか許可が貰えないかもです!…ひとつひとつ探すにはかなり大変かもです…」

 

 

 

下総海軍工廠では月に一度、艦娘達だけでの街への買い出しが許されている

 

海軍所属の艦娘を嫌う近隣住民もいるため勿論制服ではなく私服で外出、ではあるが

 

 

 

「…ですがこの高波!ようやく目星をつけた電話ボックスを見つけたかもです!次の外出時には検証するかもです!」

 

 

「うん!がんばれ!」

 

 

長波の心のこもっていない明るいエールに再び泣き顔にはなる高波

 

長波は開かれた電話ボックスのページを見る

そこには掛けると何処かへ連れていかれてしまうと言われている電話番号らしき数字が書かれていた

 

 

 

 

「…噂ねぇ…まぁ、私はそういうの興味ないからさ…趣味がある高波は凄いと思うぜ?」

 

これには巻波も頷く

 

 

「そうそう。私達なんて訓練か哨戒ばっかだしさ…何かに打ち込める高波はすごいって」

 

 

「え、えへへ…そう誉められると照れるかもです…実は高波は…夢があるかもで…いえ、あります!」

 

 

窓際でうちわをあおいでいた風雲が反応する

 

 

「…夢って?」

 

 

高波は恥ずかしそうに頬に手を当てながら

 

 

「…高波…この戦争が終わって艦娘としての任が解かれたら…いつか新聞記者になるのが夢…です」

 

 

「へぇ…新聞記者…いいじゃんか!私達も応援するぜ!」

 

長波がそう言うと、巻波も風雲も頷く

 

 

「えへへ…は、はい!頑張るかもです!」

 

「そこは"かも"はいらないだろ?」

 

 

鈴虫の音が窓の外から聞こえるなか、長波達の部屋では少女達の楽しそうな笑い声があがる

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

「ほい」

 

 

 

「…え?長波姉さま…これって…」

 

 

ある日の訓練終わり

 

運動場から戻る時に長波から高波へと渡されたのは小さなキーホルダーの様なものだった

 

 

「前欲しいって言ってたろ?…みけ猫のキーホルダーだよ」

 

それはデフォルトされたみけ猫の眠そうな顔型キーホルダーだった

 

 

「…ほら、お前が改装された時お祝い渡すの忘れてたからさ…やるよ」

 

 

「な、長波姉さまぁ…」

 

長波の眩しい笑顔にメロメロになった高波は、長波から貰ったキーホルダーを大事に握る

 

 

「…まぁあれか…未来の新聞記者にゃあキャメラの方が良かったか?…なんなら磯波から…あ、いや…そりゃ可哀想か…時雨辺りからギってくるか?あいつなら提督が欲しがってるとか適当に言っときゃあホイホイと「…こらこら…何を物騒なこと言ってるんだ?長波」

 

 

 

男性の声と共に、長波の頭に誰かの手が乗せられる

 

むぁー?っと長波が振り返ると、そこには田原が苦笑いで立っていた

 

 

「…女の子がギる、なんて言っちゃあいけませんよ?」

 

 

「…提督じゃん。こっちまで来るの珍しいな…」

「し、司令官!」

 

 

にひひ、と手をヒラヒラ振る長波と、訓練終わりでも疲れた顔を見せずにびしりと敬礼する高波

 

 

田原は高波に敬礼を返すと、長波に笑顔を向けながらも首をかしげる

 

 

「…大淀と保管期間が過ぎた書類を焼却所に持って行ってたんだ…ところで高波の…新聞記者って?」

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇   

 

 

 

1600

 

 

基地本館入り口の階段にて田原、長波、高波が座り込んで談笑をしている

 

 

「…なるほど…戦争が終わったら…か」

 

「…うー…申し訳ありません司令官…まだ戦争中なのにこんなこと…」 

 

 

「あはは…いやいや…いいじゃないか。私は応援するよ?高波」

 

 

下総海軍工廠提督、田原はちょっとやそっとじゃあ怒ることはない

 

他の鎮守府でなら戦争が終わったら新聞記者になる、だなんて言えばその鎮守府の提督はよくて苦笑い…酷いところでは懲罰を与える原因になる可能性もある発言だ

 

 

だが田原は高波の新聞記者の夢を怒るどころか応援をするとまで言ってくれている

 

そんな田原の人の良さを知っている長波はにやにやして田原を見上げると、彼女に気づいた田原ひ頬を赤くしてわざとらしく咳払いをする

 

 

「…う"うん…とにかく…私に協力出来ることならなんでもするから…何かあれば相談してね。高波」

 

「かもです!」

 

「えー?私はぁ?」

 

「はいはい…長波もいつでもおいで」

 

 

よっこいしょ、と田原は座っていた階段から立ち上がる

 

 

 

「…そういやぁ…提督の夢ってなんだ?」

 

「…え?」

 

 

夕日を浴びて振り返る田原

 

 

「…あー…聞き方間違えたな……提督になってなかったら…提督はどんな仕事してたんだろうなーってさ」

 

 

ふむ、と田原は考える

 

 

「…想像つかないかな…私は…うちは父の代から海軍…や、昔は海上自衛隊か……うん、だったから…」

 

 

あはは、と長波は笑う

 

 

「やっぱサラリーマンか?提督真面目そうだもんなー」

 

「す、凄腕営業マンかもです!」

 

 

「はは…どうかな…でも…うん。子供の頃の夢は…憲兵察だったかな?…正義の味方になるのが夢だったからさ」

 

 

「…憲兵察…なんか意外だな」

 

「そうでしょうか…高波はしっくり来る気がするかもです」

 

 

艦娘二人の反応を見た田原はふふ、と笑い、二人の肩に優しく触れ

 

 

「さ…そろそろ夕食の時間だろう?…食堂へ行ってきなさい」

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

あの日の夕食はBセットだった

 

 

下総には間宮がいない

故に基地工廠の厨房には主計課の人間が基地の職員、艦娘のために食事を作り、提供している

 

 

あの日の夜の長波はBセットの気分だった

 

麻婆茄子に中華スープ…漬け物に白米…

 

そして長波のメニューを見た高波も同じものを食べた

 

 

そんな小さな出来事さえも彼女は覚えていた

 

 

 

「…まだ…見つからないみたい…」

 

 

哨戒4班の部屋にて、ベッドに腰かけて俯く長波の肩に手を触れながら夕雲がそう呟く

 

 

 

長波から猫のキーホルダーを貰った夜、高波は行方不明になった

 

 

翌朝ベッドに居なかった夕雲は違和感を感じたが、きっと朝早くから訓練所にいるんだろうと皆で納得していた

 

しかしその日一日高波の姿が見えず、哨戒任務開始時刻に集合場所へ高波が来なかったことで失踪が発覚

 

 

捜索は基地内外問わず行われたが、高波を発見することはできなかった

 

 

 

「…ちくしょう…どこに行ったんだよ…高波」

 

 

誘拐か…逃亡か…

 

前者は僅かながら可能性はある

 

正直下総海軍工廠は規律が緩い…

外出許可なんて名目があるが、基地内から外へ出るのは容易だ

 

外に出てしまって暴漢に誘拐された、というのは考えられる

 

 

故に後者はありえない

 

 

いつも自身無さげな高波だがそこは艦娘…

 

己の役割はよく理解しているし、もし不満があれば長波に…長波に言いにくくても夕雲に相談はしている

 

 

 

窓の外を見ていた巻波も眉間にしわをよせたまま

 

 

「…明日は全艦娘で基地敷地内を再捜索するって…哨戒班も2班でまわすみたい」

 

 

 

 

その日、明け方まで捜索のための基地中のサーチライトの光が消えることはなかった

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

高波が失踪して2日目

 

基地応接室

 

 

 

「…田原大佐…捜索するのもただじゃあないんですよ?」

 

 

応接室ソファーに座るはツリ目で細身の士官

 

常陸基地提督、小曽川中佐(26)

 

 

蛇のような…気を抜けば首もとに噛みついてきそうな雰囲気の細身の男は困り顔の田原を見て鼻で笑う

 

 

「…捜索用のヘリを2日使うだけでいくら掛かるかわかってんすか!?300万っすよ!?300万!」

 

 

「…提督」

 

 

小曽川が嫌味を言うと、小曽川の背後に立っていた彼の秘書艦、伊201が小曽川を止める

 

 

「…本当に迷惑をかけてしまい申し訳ない…」

 

 

深く頭を下げる田原を見て舌打ちをする小曽川

 

「…んな簡単に頭下げんのやめてくださいよマジで……ったく…空と海中はうちらが捜索してあげますから…基地周辺はおたくらでお願いしますよ?」

 

 

悪態をつく小曽川は、元々田原の後輩だった

 

優しく、仕事もこなせる田原の背を見て憧れて育った彼は、田原からの連絡ですぐに下総へやってきた

 

 

しかし思った以上に弱気になっている田原を見てもやもやしてしまい、いつも以上に悪態をついてしまったのだ

 

 

 

「んじゃ自分はこれで失礼しやすね」

 

 

簡単な挨拶を済ますと、小曽川は応接室の扉を開けて出ていってしまった

 

肩を落とす田原をじっと見る伊201はほんの少しだけ口の端を上げ

 

 

「…大丈夫…提督はああは言ってるけど、誰よりも田原大佐を…心配してる…」

 

意外な人からの意外な励ましだったのか、田原と、田原の背後に立っていた鬼怒も驚く

 

だがすぐに田原は伊201に向けてにこりと笑い礼を言う

 

 

「…ああ…彼の優しいところはよく知っているよ…伊201さんありがとう、励ましてくれて」

 

 

礼を言われた伊201も小さく笑い、田原に敬礼

 

 

「…ではこれより常陸基地、臨時捜索隊、捜索任務に入ります」

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

それから2日

 

 

下総海軍工廠、常陸基地での合同高波大捜索は行われたが、結局手がかりは無しのままだった

 

 

 

下総海軍工廠 執務室

 

 

1800

 

 

外では大雨が降り、執務室の窓を強く叩いている

 

田原に呼ばれた長波は執務机の前に立つ

その顔はやはり浮かないものだった

 

 

 

「…この4日間…捜索を続けたが…高波を見つけることは出来なかった…すまん…大本営にも相談はしに行ったんだがね…"たかが駆逐艦一隻ごときで"と追い返されてしまったよ…」

 

 

ぐ、と両拳を握る長波

 

 

「なんだよそれ…たかが…って、なんだよ…」

 

この3日間、長波や夕雲達も必死に基地周辺を探した

 

風雲と他の哨戒班で市内での聞き込みもした

 

 

目の下に隈を作った長波は小さくぼやく

 

 

「…結局…私ら駆逐艦なんてそんな扱いな「だが、私は諦めないよ」

 

 

くい込みに返ってきた田原の声ではっとする長波

 

 

見れば自分も自身の足を使って捜索をして疲れているはずの田原が笑顔で長波を見ている

 

 

「…必ず高波は見つける。だから長波も…元気だして…くれないかな?」

 

 

「…て…提……」

 

ぐすぐすっと長波は袖で鼻を拭く

 

 

「ば、ばっか!…馬鹿!アホ提督!…そんなん…私だって諦めるわけないじゃん…」

 

 

半ベソの長波も小さく笑う姿を見て、田原は執務椅子に深く座り直す

 

 

「さて…うーん……せめて僅かでも手がかりがあればいいんだが…」

 

 

「…手がかり…」

 

 

 

深く考える長波と田原

 

ここで長波の脳裏にふとある記憶が過る

 

 

 

 

 

『目星をつけた電話ボックスを見つけたかもです!』

 

 

 

 

 

「あ…」

 

「…どうかした?長波」

 

 

電話ボックスの噂の事を思い出した長波

 

 

(いや…いやいやいやいや…ただの噂だぞ?…子供だましのお遊びだ!なに本気にしてんだ私は!)

 

 

しかしなんの手がかりもない今、長波にとっては小さくも、はっきりとした手がかりだった

 

 

「…あー…いや…ごめん提督…ちょっと私…もう行くよ……あの、あれだ…清霜達と約束してたから…そんじゃ!」

 

「ん?…ああ…」

 

 

そう言って長波は執務室から出ていく 

 

 

まさか噂を鵜呑みにして高波を探しに行ってくる、とは口が裂けても言えない

 

 

(…いや、んな事言うの恥ずかしいし…)

 

 

 

 

執務室を出て廊下を歩く長波は、はっとする

 

 

(…そういやぁ…何処の電話ボックスかわかんねーじゃん!…番号はあのメモ見て覚えたけど……場所わかんねーじゃん!)

 

 

僅かな希望が闇に埋もれた瞬間、がくりと壁に寄りかかる長波

そこへ一人の少女が近づいてくる 

 

 

「…長波…大丈夫か?」

 

「…んぁ?」

 

 

長波を心配して声をかけてきたのは長月だった

 

そう。高波の噂仲間、長月だった

 

 

「…高波がいなくなったのがショックなのはわかるが…お前がそんな「長月!電話ボックスわかるか!?」ふぁあ?」

 

長波は勢いのままに長月の肩を掴む

 

 

「…で、電話?」

 

「そうだ!高波が探してたあの…あれだ!…電話すると連れ去られるって電話ボックスだ!」

 

 

長月はああ、と思い出す

 

 

「…確か…基地周辺で見つけたとかって前は喜んでたな…流石に何処までかはわからな「おう!サンキュー!」

 

 

必要な情報だけ受けとると、長波は廊下を走っていってしまった

 

 

 

1人残された長月

 

 

「…長波…君は思ったより元気…なのか?」

 

 

長波の背を見て長月は首をかしげる

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

基地正門 守衛室 1900

 

 

基地本館から外に出て、正門横にある守衛室の扉横には雨でびしょびしょに濡れたビニール傘が置かれている

 

長波のものだった

 

 

 

 

 

「おいおい…長波ちゃん!どうしたってんだよ?」

 

 

小太りと細身の老人守衛ではわんぱく少女を止められない

 

 

長波は守衛室内にある基地周辺地図を手に取る

 

 

「おっちゃん!…電話ボックスってどのマークか教えてくれないか!?」

 

 

息を荒くした長波は小太りの守衛に問う

 

 

「で、電話ボックス?」

「あー…公衆電話じゃあねぇか?」

 

 

戸惑う小太りの守衛に助け船を渡したのは細身の老人守衛だった

 

 

「…ああ…公衆電話なら…この受話器のマークだよ…って、長波ちゃん!?」

 

「サンキュー!ちょっとこの地図借りるぜ!」

 

 

台風のようにやってきたわんぱく少女は守衛室から地図を奪い、知りたい情報を手に入れるとまたもや台風のように去っていった

 

 

 

「…行っちまった…」

 

「…高波ちゃんと仲良かったからなー…長波ちゃんが必死なって探す気持ちわかるぜ…」

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

下総海軍工廠近くの公園

 

ばしゃばしゃと叩きつけてくる強い雨にも負けることなく長波は傘片手に、そして地図片手に公園内を走り回っていた

 

 

「…はぁ、はぁ…次はあっちの電話ボックスか」

 

 

 

もう何件目か…

 

基地周辺の公衆電話は全て見た

 

早く手がかりを手に入れてすぐに基地に戻らなければ今度は自分が心配される…

 

 

そんなことを考えながら長波は公園広場の公衆電話を視界に入れる

 

 

「…よし………っ!?」

 

 

その公衆電話の扉の下にきらりと光る何かに気づく長波

 

 

「…うそ…だろ…?」

 

 

泥がついて汚れていたが、紛れもなくそれは4日前に高波にあげた猫のキーホルダーだった

 

長波は手に待っていた傘を落とし、地面に膝をつく

 

 

震える手でキーホルダーを持つと、目の前に設置してある公衆電話に目を向ける

 

 

「…たか…なみ…」

 

 

(嘘だ…冗談だろ?…そんな…馬鹿なことが…嘘だ…高波…高波…高波!)

 

 

ふらふらとした足取りで公衆電話の扉を開く

 

強い雨を受けたせいで頭からびしょ濡れの長波

 

 

「…こんなの…現実じゃ…」

 

 

ゆっくりと受話器を取る長波は受話器を自分の耳に当てる

 

 

「…」

 

 

海上では入電された高速の暗号通信を解読し、その通信を理解する

 

故に艦娘の記憶力は実はいい者が多い

 

 

実際、4日前の記憶といえども長波は高波の書き記した例の電話番号を覚えていた

 

 

「…3…5…222…35…0…1…33…4…13……9…8…」

 

 

高波が本当に消えたと思われる驚愕と、夏でも雨に打たれたことで寒くなった身体のせいか、震える指で番号を押す長波

 

 

時刻は2000になるところである

 

  

 

「…」

 

 

受話器を耳に当てたまま、番号を押した手を電話機本体の上に置き、無音のままの受話器からの返答を待つ

 

 

 

 

「…はんっ…馬鹿馬鹿しい…」

 

 

数秒受話器からの無音を聞いていた長波は鼻で笑い、がちゃん、と受話器を戻す

 

 

「…さて………戻るか…」

 

 

公衆電話のボックス内の扉に手を当てた時だった

 

 

 

 

 

 

『プルルルルルル…プルルルルルル…』

「!?」

 

 

突然公衆電話の着信音が鳴り、驚いて開けようとした扉から手を離す長波

 

 

「…高波!」

 

 

普通ならば気味悪がって取るはずのない謎の着信…

 

だが長波はその受話器を取ってしまった

 

すぐに耳に当てる長波

 

 

「高波!高波か!?…今ど

 

 

 

 

 

 

 

 

テレビの電源ケーブルを引き抜かれるように

 

 

長波の意識はそこでぶつりと切れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

 

ツー…

 

 

『いや、警察だろ…』

 

 

ツー…ツー…

 

 

『普通救急車じゃん?』

 

 

 

ツー…ツー…ツー…ツー…

 

 

 

 

(なんだ…うるさいな…)

 

(ん……ここ…は…)

 

 

ゆっくりと目を開く

 

「…ん…ぁ?…」

 

 

長波が目を開けると、そこはやはり電話ボックスの中だった

 

どうやら気を失ってその場に座り込んでいたらしい

 

電話ボックスから見える空は真っ暗だ

 

 

目の前には垂れ下がった受話器

つー、つー、という音はどうやらその受話器から聞こえているようだ

 

 

「…気ぃ失ってたのか…く…情けないな……って、うわぁ!?」

 

頭を振って横に視線を向けた長波は驚いて座ったまま跳ねあがる

 

電話ボックスの外、扉の向こうには2人の男が扉に張り付いて長波を見ていたからだ

 

 

「お?気がついた?」

「大丈夫?お姉さん」

 

 

1人は金髪にした短髪をツンツンに立てた赤Tシャツの高校生くらいの少年

 

もう1人も黒髪を短いドレッド風にした背の高いノースリーブの少年

 

 

「…え?…だれ…だ?」

 

 

「…なんか…俺らそこの広場で板乗ってたら電話ボックスからごんって鈍い音が聞こえたんすよ」

 

「そうそう。んで、見に来たら箱ん中でお姉さん気ぃ失ってたっぽかったんで、これやべぇって思って…あ、とりあえず警察と救急車呼んどいたんで」

 

 

見た目がチャラそうな割に自分を心配してくれた彼等の評価を上げる長波

 

 

「…あー…そりゃ悪かった…迷惑かけたな…っつーかそこ退いてくんない?私出れないし」

 

ジト目で少年2人を見ると、二人は電話ボックスの扉から離れる

 

 

「…あ、すんませんっす」

 

 

「…っていうか板ってなんだ?」

 

電話ボックスから出てきた長波がそう問うと、ドレッドヘアの少年が電話ボックスの横に立てたスケートボードを手に取る

 

 

「これっす、スケボー」

 

「ああ…板ってそういう…」

 

 

ここで少年二人は長波のある部分を見て思考がクリアになる

 

 

(…かわいい…っつか胸でけぇな…)

 

(すげぇインカラーピンクて…いや、っていうかおっぱいヤバ…)

 

 

健全なる男子高校生にとって、女性の胸とは哲学なのである

 

 

「ん?どうかしたか?」

 

長波は自分(の胸に)に視線を向ける二人に問うと、恥ずかしそうに顔を背ける少年達

 

 

「あ、いや…あれっすね…気絶?…してた時は気づかなかってんすけど…もしかして同い年くらいっすかね?」

 

「あ、ああ、そうそう…多分…お姉さん高校生だよね?」

 

 

長波は内心ため息をつく

 

 

(…ああ、こいつら私が艦娘だって気づいてないのか?)

 

 

自分の格好を見下ろす長波

 

 

(…下総はわりと地域の人と仲良くしてたつもりなんだけどなぁ…)

 

 

「…ん?」

 

そういえば、となにかに気づく長波

 

 

「…っつーかあんな雨降ってたのに、よくスケボーなんてやってたな…あんたら…」

 

 

「え?雨?」

「雨なんて今週は降ってないっすよ?」

 

 

「え?」

 

 

「…え?」

 

「え?」

 

 

 

時間が止まる長波

 

 

「え、いや…さっきまで大雨で…」

 

 

先ほどまでは打たれれば痛かったほどの雨が降ってただろ、と言おうとした長波だったが、ふと視界の端に入ったとある景色に心が奪われる

 

 

「…なん…だよ…あれ…」

 

 

「?」

「え?」

 

 

長波につられ、彼女の視界の先を見る少年二人

 

 

 

長波のいる公園、ふなばし三番瀬海浜公園からは東京湾、そして浦安の方までの景色が見える

 

 

その景色の中でも、夜なのに一際目立つ…ライトアップされた場所が見えた

 

 

 

「………」

 

 

長波の横に並ぶドレッドヘアの少年

 

 

「ああ…こっから見えるんすよ。TDL」

 

少年の言葉に奇怪な表情になる長波

 

 

「てぃー…なんだって?」

 

 

「…TDL…東京ディスニーランドっすよ」

 

「って、女の子なら誰でも知ってるでしょ」

 

 

 

(…ディスニーって…あれ…確か…)

 

長波はいつか見た深海凄艦の攻撃による各地の被害報告書の内容を思い出した

 

 

「…んなわけねぇだろ…ディスニーランドは…浦安の方は何年も前に深海凄艦の攻撃で破壊されて…その遊園地は今は廃墟施設の一つだろ…?」

 

 

「はぁ?」

「…え?廃墟…?」

 

 

長波の説明に首をかしげる少年達

 

 

そんな少年達の反応を見てはっとする長波

 

 

(…え…なんかこの反応…あれ?…もしかして…いや、ありえない……だが…!)

 

長波の脳裏を過ったのは部屋で見た高波のメモ帳…この中のひとつ、タイムスリップの話だった

 

 

「お、おい!今は何日だ!?何年何日だ!?」

「うぉっ…おわぁっ!」

 

 

焦りながら金髪の少年のシャツを掴む長波

 

「あ、ええと…し、は、8月!…2016年8月…ええと……何日だっけ!?てっち!」

 

シャツを掴まれて揺らされる金髪の少年はてっちと呼んだドレッドヘアの少年に助けの眼差しを送る

 

 

「あ…えっと…10日!8月10日っす!」

 

 

「…に、2016年…」

 

ほっとして金髪少年のシャツから手を離す長波

 

 

(…タイムスリップしたわけじゃあ…ないか…)

 

 

 

(けど…)

 

 

 

長波は浦安の方に再度視線を向ける

 

 

(…なんであんなもんが…ディスニーランドなんて資料でしか知らないし…)

 

 

そんな長波の心には、ある一つの小さな小さな欲が生まれてしまった

 

 

"遊園地…行ってみたい!"と…

 

 

(いやいやいやいや!高波を探す方が先だ!)

 

ぱんぱん、と長波は自身の頬を叩き、振り返って少年二人と向き合う

 

 

「…あー…あれだ。心配してくれてありがとうな。悪いけど、私行かなきゃいけないところあるからさ…うん。もう行くよ」

 

 

 

"一度下総へ戻ろう"

 

 

そう思った長波は二人の少年に礼を言うと、ドレッドヘアの少年が頷く

 

 

「…なんか訳ありっぽい感じですし…警察来たら元気に帰ってったって言っときますよ」

 

すると金髪の少年も

 

 

「…あ…あと…良かったらLINEとか聞いてもいいっすか?」

 

 

「けいさつ?らいん?」

 

聞きなれない言葉に首をかしげる長波

 

金髪少年を見ると、スマートフォンを取り出している

 

そこでピンと来る長波

 

 

「ああ…連絡先か……あー…悪い、今私携帯電話持ってなくてさ…」

 

 

(…携帯電話…)

(…スマホの時代に携帯電話って単語久々に聞いたぜ…)

 

 

あはは、と苦笑いの少年達

 

うーん、と考える長波

 

 

「…私ら普段は携帯電話って持ってないからさ…外出許可が出た時にだけ貸出し用の携帯電話使ってるし…」

 

 

「が、外出許可?」

 

「なんか意外と厳しい校則なんすね…寮すか?」

 

 

「うん?…まぁ、寮っちゃあ寮かな?…だから、逆に私に二人の電話番号教えてくれよ。何かあったら連絡するからさ」

 

 

「え、番号覚えられんすか?」

 

「もち、番号覚えるなんて、そんくらいなら朝飯前だからな」

 

 

じゃあ、と少年達は自分達の持つスマートフォンの画面を開き、自分の携帯電話の番号を確認する 

 

 

 

「…えーと…いいすか?」

 

(…なんだよ…自分の電話番号…見ながらじゃないと言えないのか?…こいつら…)

 

 

長波は若干呆れながら少年達の電話番号を聞き、それを覚える

 

 

「うん、覚えた。サンキューな」

 

 

んじゃ、と踵を返す長波

 

 

「あ、お姉さん!」

「ん?」

 

 

金髪少年が少し照れながらも長波を呼ぶ

振り返る長波

 

 

「な、名前とか…聞いてもいいすか?」

 

 

長波はにかっと笑い

 

 

「…長波サマさっ!」

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

長波が立ち去った後の公園内、電話ボックスの前に少年二人はしゃがみこんでいた

 

 

「…長波…さん…」

 

「…すげぇ可愛かったな…あとおっぱいでかかったし…」

 

 

ぼんやりと、木々の間から僅かに見えるディスニーランドの光を眺める二人

 

 

「…てっち…俺何年も女の子とディスニー行ってねぇ…」

 

「…いや、俺もだし…この夏はナンパして、女作って最高の夏休みにする予定だったんだけどなぁ…」

 

 

 

「「…長波さん…」」

 

 

 

どうやら人間離れした美少女の長波は、思春期真っ只中の少年達の心に強すぎる刺激を与えてしまったらしい

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

時刻は午後8時過ぎ

 

 

とある建物の周りを歩く長波

 

 

「…うー…早く部屋戻って着替えたいな…」

 

 

先程まで大雨に打たれていたせいか、髪から靴のつま先までびしょびしょに濡れている

 

 

「…っつーか…なんだよ…電気もなにもついてないじゃん…」

 

 

下総海軍工廠と思われる建物を見てそう呟く長波

 

 

「…ん?……んー?…」

 

 

壁伝いに歩き、建物正面までたどり着くと、長波は口を開けて呆ける

 

 

「………は?…」

 

 

建物の入り口近くの看板には"船橋物流センター"と書かれており、奥の広い倉庫では大型のトラックが何台も並んでいた

 

 

「…は?…は?……はぁ??」

 

 

(え?…ここ下総…だよな…なんで物流センター?…は?…夜逃げ?…場所間違え…るわけないよな?…なんで?)

 

 

思考が高速で駆け巡り、ふらつく長波

 

近くの金網に手をつき、冷や汗を流す

 

 

 

 

「…か、海軍基地って倒産とか…すんのか…?」

 

 

 

駆逐艦長波…

 

決してふざけてはいない

 

こう見えて彼女は真剣で、大真面目である

 

 

 

 

我が家ともいえる下総海軍工廠が跡形もなく消え、新たに船橋物流センターと化した建物

 

何故か何年も前に廃墟になったはずなのに、爛々とライトアップされ、心なしか子供達の楽しそうな声すらも聞こえてきそうな舞浜の遊園地…

 

 

 

 

 

平成28年8月

 

 

行方不明になった妹を助けるために、駆逐艦長波の不思議で奇妙な冒険が今、幕を開ける

 

 

 

 

 




はい。

いかがでしたでしょうか

今までのおもっ苦しくて陰湿なお話ではなく、少し雰囲気を変えて進めようと思います。




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