大本営の資料室   作:114

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遅くなりましたが、約一ヶ月前に大本営の資料室は3年目へと突入いたしました。パチパチパチ


はい、ではどうぞ


File69.下総海軍工廠艦娘失踪案件②

 

 

やっと2016年になった…

 

…これまで色々あったなぁ

 

 

 

…ああ…

 

 

 

"この生活"……これからも続くのかなぁ…

 

 

みんなに会いたいなぁ…

 

司令官に会いたいなぁ…

 

 

 

 

…長波姉さまに…

 

 

 

会いたい…

 

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

◇  ◇  ◇ 

 

 

 

 

 

 

 

「…すいませーん…ちょっといいですかー?」

 

「…あん?」

 

 

午後8時半

 

船橋物流センター前でふらふらしていた長波は見知った服装の男性に声をかけられる

 

 

「…びしょびしょの服…君、通報であった公衆電話で倒れていた子だよね?」

 

 

20代中頃の若い警察官だった

彼の背後にはパトカー…そしてそのパトカーの運転席に座る中年の警察官がいた

 

 

「…あー…いや……はは…」

 

 

若い警察官は長波の眼をじっと見つめ

 

 

「…公衆電話近くから通報してくれた子達は真逆の方へ歩いていったって言われたんだけどね…だめだよ?勝手に現場から離れたりしちゃ…」

 

 

若い警察官が優しく叱ると、もう1人の中年警察官がパトカーから降りてきて、うーん、と唸ると若い警察官に目で合図する

 

 

「…了解。…君、身分証見せてくれる?」

 

 

は?、と長波は驚きつつも

 

 

「…ああ、私艦娘だから職質はいいよ」

 

 

「かんむす?」

 

長波の言葉に首をかしげる若い警察官

 

「…うん。じゃあ身分証見せてくれる?学生証でもいいよ?」

 

 

「…いや、だから…私下総の艦娘だからさ…艦娘は職質の対象外だろ?」

 

 

長波にそう言われるも、若い警察官と中年の警察官は顔を見合せて不思議そうな顔になっている

 

中年の警察官は無線機でどこかへ連絡をしている

若い警察官はメモ帳とペンを取り出す

 

 

「…じゃあ、お名前教えてもらっても良いかな?」

 

「…ったく…長波だよ。駆逐艦長波」

 

「……なが…な、み……長波なにさん?下の名前は?」

 

「は?…いや、だから駆逐艦の長波だって」

 

 

警察官の偉そうなもの聞きの態度になんとなく嫌な感じがした長波はむっとして答える

 

 

「……じゃあ長波さん…住所と、おうちの電話番号を教えてもらえる?親御さんはこの時間はおうちにいるよね?」

 

 

「いや、その前に…ここにあった下総海軍工廠はどこに行っちまったんだ?」

 

「うん。そんなところないから…おうちの住所教えて」

 

 

何かが長波のなかでプチっと切れる

 

 

「…だから!私は下総海軍工廠の哨戒4班!駆逐艦長波だ!んなこと基地に戻ればすぐわかんだって!」

 

口調を強くして返す長波

しかし若い警察官は表情を変えない

 

 

「…とりあえず、我々と一緒に来てもらっていいかな?近くの交番で話しましょうか」

 

 

そう言って若い警察官は中年警察官のところへ行くと、小声で…

 

 

「…家出っぽいですね。とりあえず捜索願出てないか洗ってみましょうか」

 

「…だな。パトカー乗せるか…少年課にも繋げとくか」

 

 

中年警察官と話した若い警察官が、長波をパトカーへ乗ってもらうよう彼女の方を振り返る

 

 

「じゃあちょっとパトカーに…あっ!」

 

 

 

駆逐艦長波は警察官達から全力で逃げていた

 

 

「待ちなさい!君っ!」

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

「じょ、冗談じゃない!んなこと下総に連絡すりゃあ…いや、艦娘って言えば普通わかんだろうがっ!」

 

 

先程の警察官達から全力で逃げる長波

 

濡れているせいか、履いている靴は水でグッポグッポいって気持ち悪かった

 

 

「…くそぅっ!どこ行けばいいんだってーの!」

 

 

そう叫びながら先の曲がり角を曲がる長波、しかしお約束というべきか、曲がりきった所には妙齢の女性が立っていた

 

 

 

「…うぉっ…あ、あぶ…うわぁあっ!!」

 

「きゃっ!」

 

 

長波は止まりきれずに女性にぶつかってしまった

 

ぶつかった拍子で女性の持っていた鞄からまとめられた紐の様なものが落ちる

 

 

「…いってて…わ、悪い…あ、いや…大丈夫…ですか?」

 

 

幸いにも長波も、ぶつかられた女性も倒れることなく、長波は謝り、女性の落とした紐を拾って女性に渡す

 

 

しかし相手の女性は紐を受け取り、長波の顔を見ると、驚いたように目を大きくする

 

 

「…え…長波…姉…さま?」

 

「…え?」

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

 

 

「すいませーん!」

 

 

遅れて走ってやってきたのは先程長波に職務質問をかけてきた若い警察官だった

 

 

「…は、はい…なんでしょうか」

 

 

声をかけられた女性は少しおどおどしながら答える

 

 

「こちらの方に…はぁ、はぁ…女の子がやってきませんでしたか?…こう、髪が長くて…げほっ!…げほっ!…し、失礼…ピンク色のインカラーの…」

 

 

女性はうーん、と悩み

 

 

「ああ…そういえば…そこから飛び出してきた女の子なら…港の方に走っていきましたよ」

 

「ほ、本当ですか!ご協力感謝します!」

 

 

 

女性に向けて頭を下げて礼を言うと、若い警察官は港の方へと走っていき、その後ろを中年警察官が運転するパトカーがパトランプを照らしながら徐行でついていった

 

 

 

 

 

「……もう行きましたよ。長波姉さま」

 

 

 

女性にそう言われ、自販機の陰に隠れていた長波が姿を現す

 

 

「……高波…なのか…?」

 

 

「…お久しぶりです。長波姉さま…」

 

 

自販機の光が二人を照らす

 

確かに目の前にいる女性の雰囲気は妹、高波に非常に近い…

 

しかしその見た目はいつも見ていた12.3歳の外見と違い、どう見ても20代後半の大人の女性だ

 

 

故に長波は納得がいかなかった

 

 

「…その…なんだ…一体何があったんだ?」

 

 

長波がそう問うと、女性はふふ、と笑う

 

 

「…ここで話すのもなんですから…ついてきてください」

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇ 

 

 

 

 

 

 

千葉県市川市 午後9時

 

 

 

第5メゾン荻原

 

 

「…ここは…」

 

 

2階建てのアパートの前に到着した長波と女性

 

長波がアパートを見上げて呟く

 

 

 

「…今私が住んでいる家…アパートですよ。さ、中へどうぞ」

 

「…あ、ああ…」

 

 

 

 

階段を登り、二階の部屋の扉を開ける

 

中は6畳の1K…

 

部屋に入って振り返れば上にはロフトがあった

 

 

「…ここが…アパートってやつか…」

 

「…下総の寮より…少しだけ広いんですよ?」

 

 

高波らしく、女の子らしい可愛らしい装飾の部屋、その小さなソファーに座った長波に麦茶とバスタオルを出す高波

 

 

 

「…下総!…そ、そうだよ!下総は…!基地はどこにいったん…いや、そんなことよりお前のその姿はどうしたってんだよ!」

 

 

濡れた上着と靴を脱ぎ、バスタオルで濡れた頭をがしがしと拭きながら、麦茶を一口飲んで喉を潤した長波は高波に問う

 

高波もソファーの向かい、低いテーブルの向こう側に座り、緑色のクッションを抱きながら少し俯く

 

 

「…私は…高波は…こっちに来て艦娘としての能力が無くなりました…そして歳を重ねる毎に身体も成長して……戸籍上、今年で28歳になります」

 

 

「…にっ……はっ!?……ちょ、ま……えー…?」

 

 

淡々と説明する高波の話の内容についていけない長波

 

 

「…こっち…?…歳を重ねるって…それはおかしいだろ…って戸籍!?」

 

 

腕を組んで唸る長波の言葉に首をかしげる高波

 

 

「…?」

 

 

「…だってそうだろう?…お前…高波が行方不明になってからまだ4日だぞ?…それで28歳って…訳がわからないって…」

 

 

「…よっか…?」

 

 

高波の顔が段々青くなっていき、テーブルを乗り越えて勢いよく長波の両肩を掴む

 

 

「…よ、よよよ、4日って…!…そんなわけ無いじゃない!私がこっちに来たのは今から16年前なのよ!?」

 

 

敬語を忘れ、涙目で強く訴える高波

 

長波はますます訳がわからない

 

 

「…お前こそなに言ってんだ!…16年!?……はぁ!?」

 

 

お互い息を切らす二人

 

そんな部屋の窓には風鈴が取り付けられており、ちりん、と涼やかな音を鳴らす

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

 

「…それで、逃げ出したら高波とぶつかったんだ」

 

 

数分後

 

 

長波は高波と出逢う前の事を彼女に話した

 

 

高波捜索が4日間続き、もしやと思って公衆電話で番号を掛けたら気を失って、気がつけば公園内で倒れ、少年達に声をかけてもらってから更に警察官に職務質問をされた、と…

 

 

「…そう、だったんですか…」

 

 

先程よりも落ち着いた高波は長波の話を聞いて頷く

 

 

「…しっかしまぁ…公園で会った少年達はひどいなまりだったぜ?…憲兵察のことをけーさつって言っててさ…あはは」

 

 

「…ええと…あの…長波姉さま?」

 

申し訳なさそうに手を上げる高波

 

 

「ん?どした?」

 

 

「…ええと…その…非常に言いにくいのですが…警察で…合っています」

 

 

きょとんとする長波

高波はぼそぼそとつづける

 

 

「…もっと言えば…日本国軍海軍もこの世界にはありません…日本にあるのは自衛隊…我々と縁のある海に関係する組織は…海上自衛隊だけです」

 

 

きょとんとしたまま首をかしげる長波

 

「…なに言ってんだ?…この世界?…自衛隊って…昔の海軍の呼び方だろ?…お前疲れてんのか?」

 

 

すっ、と高波はなにも言うこと無くチェストの脇に置かれた産経新聞を長波に渡す

 

 

「…ん…なんだよ…新聞?」

 

長波はため息をつきながら高波から渡された新聞に目を通す

 

 

「…アベノミスク…?…北朝鮮の潜水艦…ミサイル?…ん?…んん??」

 

聞きなれない単語に長波はまじまじと新聞を見て、最後に新聞のとある部分を見て顔を青ざめさせる

 

 

 

「…ひらなりって何「平成です」

 

 

「…」

 

「…」

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

高波のアパート 浴室

 

シャーッ、と熱いシャワーを顔から浴びる長波

 

 

 

「……へいせい……28年…」

 

 

あれから高波から色々と話を聞いた長波

 

 

昭和が終わり平成へ…

 

深海棲艦も艦娘もいない…

 

擬装も出せないし、それを整備する鎮守府も工廠もない…

 

 

元の世界とは違う世界…

 

 

 

「…じゃあ…私はなんなんだ?…私がここにいる意味ってなんなんだよ…」

 

 

シャワーを浴びながら壁に手を付く長波は、悔しそうに表情を歪ませる

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

「高波ー、風呂ありがとな」

 

「いえ…あ、これどうぞ」

 

「お?サンキュー」

 

 

 

シャワーからあがった長波は部屋に戻り、高波から牛乳入りのコップを受け取ると、片手を腰に当ててぐいっと飲み干す

 

 

「ぷはぁ!いや、やっぱこれだよなぁーっ!…って、なんだそりゃ…」

 

高波から借りたシャツとショートパンツ姿の長波は、口の回りに牛乳の跡を付けたまま高波の開いたパソコンに目をやる

 

 

「…実はお見せしたいものがあります」

 

 

(…高波…"かも"って口癖治ったんだな…)

 

 

 

そんなことを考えながら高波の開いたノートパソコン画面に注目

 

 

「…???…艦艇これくしょん?」

 

「はい」

 

 

主人公は鎮守府の提督となり、艦艇の魂を引き継いだ少女、艦女を育て、編成し、敵と戦い海域を奪還するブラウザゲーム…

 

 

「…実は2年くらい前から流行りだしたゲームで…私もやっているんですよ」

 

「…へぇ」

 

「…興味無さそうですね」

 

 

カチカチっとマウスのクリック音を鳴らす高波は在籍する艦女の一覧を開く

 

 

「…うわ」

 

長波が退く

高波はどや顔

 

 

「…え、なんでわた…長波いっぱいいんじゃん…っていうか、いすぎじゃね?」

 

 

画面に映された一覧には長波の名を持つ艦女が6人ほど表示されていた

 

上から…

 

長波レベル99

長波レベル99

長波レベル99

長波レベル94

長波レベル1

長波レベル1

 

…と。

 

更には"編成"メニューには駆逐艦夕雲を旗艦に、長波、巻雲、風雲、高波、巻波と編成されていたのを見て、少し嬉しくなった長波

 

 

 

「…たとえゲームでも長波姉さまは最優先で育てなければならないルールだからです。今はまだ4人目の長波姉さまのレベリングをしています」

 

「…いや、私でもわかる。そんなルールないだろ。このゲーム……しかしまぁ…見覚えのある名前の奴らばっかりだな…」

 

 

まじまじと他の艦女のキャラクターを見た長波は、はっと何かを思い付き、焦燥しながら高波に問う

 

 

「…え、高波…まさか…私達はゲームの中の存在で…このゲームから出てきたとかって言うつもりじゃないよな?」

 

「…それは有り得ません…そもそもこのゲームが世に出たのは私がこちらの世界に来てから約14年後…私達がゲームから出てきたと言うのだったとしたら辻褄は合いませんし……私達の世界の下総の記憶や生活があまりにもリアル過ぎます…それに…」

 

 

高波は6人いるゲーム内の長波を1人選び、トップ画面に表示させ、胸部分をクリック

 

 

『改夕雲型駆逐艦、長波だず!一味違うずら!いぐねでが!ずっ!』

 

 

「…」

 

 

無表情の長波は画面の中でしゃべるゲーム内の長波を見て言葉を失う

 

 

「…喋り方も見た目も私達とは全く違いますから…」

 

ここにいるピンクのインカラーの長波と違い、ゲーム内の長波は金髪のショートヘア…一覧にはそれが6人…

 

確かに見れば他の艦女も、下総にいる艦娘と名前こそ同じだが、見た目が全く違う

 

 

「…って、見た目って…」

 

「…少なくとも、私や長波姉さまの記憶、思い出は本物です…ゲームなんかじゃ作ることはできませんよ」

 

 

そうだな、と長波はパソコンの画面から高波の部屋内へと視線を変える

 

すると部屋の壁…フックにハンガーで掛けられた白のブラウスと黒いスカートが目に入る

 

 

「…そういやぁ16年間こっちで生活してたみたいだけど…戸籍があるってことは人間として生きているんだよな?…今までどうやって生活してきたんだ?」

 

 

パタン、とノートパソコンを閉じた高波は眼を瞑り、今までの出来事を話す

 

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

 

昭和91年8月7日

 

 

どうしても電話ボックスの噂を検証したかった高波は、夜中に1人で下総を抜け出し、例の公園で番号を押し、長波と同じように意識を失った

 

 

そして気がつくと、16年前の西暦2000年の公園で目が覚めた

 

 

高波も長波と同じ様に当時の警察官に声をかけられ、何の情報もない高波は児童保護施設行きとなった

 

そして当然人間として出生届のない高波は船橋市、そして法務局のもとで手続きをし、戸籍作成、就学手続きを行った

 

 

駆逐艦高波は"高波理沙"として生きることとなった

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

「…それからは人間と同じ様に中学校、高校と入学、卒業し……一応仕事も…はい…してます…」

 

「へぇ…仕事って…あ、あれか!新聞記者になったのか!?」

 

 

眼をキラキラとさせて高波を見る長波

しかし高波は苦笑いで答える

 

 

「…いえ…物流会社で…派遣社員をやっています」

 

「……あ…そ、そっか!頑張ってるんだな!高波は!」

 

 

理由はよくわからないが、自分は余計な一言を言ったな、と本能で理解した長波はすぐにフォローに入り…

 

 

「そ、そういえば…あそこの辺りって職場近いのか?高波はなんであそこにいたんだ?」

 

 

「…あ、はい…職場自体は市川市内なんですが…実は4日ほど前から仕事が終わった後にあの公園に通っています…私が元いた時代…2016年8月7日にあそこにいれば何かあるんじゃないか…って…」

 

 

そう説明する高波は声が震えている

 

 

「…そうか…」

 

 

きっとこの4日間毎日あそこの公園に行っていたんだな、と理解した長波は立ち上がり、高波の背後に回る

 

 

「…へ?…な、長波姉さま?」

 

長波は高波を背中から抱きしめ、頭を撫でる

 

 

「…よく…よく1人で今日まで頑張ったな…私の自慢の妹だよ。おまえは」

 

「…な、長波…姉さま…」

 

 

にこっと長波は笑い

 

 

「…お陰で高波と上手く合流出来たし…今度は…今度こそは二人で帰る方法を考えようぜ!」

 

 

何年経とうとも長波にとって高波は大切な妹…

 

長波の自信満々な、元気いっぱいな少年のような笑顔を見て高波はそう思い出した

 

 

 

「…でもお前にこんな趣味があったとはなぁ…」

 

「…げえっ!」

 

 

長波はジト目で本棚の隙間から薄い本を取り出す

 

 

 

長波の持つ本の表紙には、成人していると見られる女性が、中学生くらいに見える女の子と裸で抱き合っているような絵が描かれた本だった

 

 

…右端にはR-18と書かれている

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

 

午後11時

 

 

千葉県 船橋警察署

 

 

警察署資料室にて、ファイルが並ぶ本棚を漁る中年警察官が1人

 

 

「…あ、巡査長…ここにいたんですか?」

 

「…お、中川か…ああ、ちょっと探し物をな…」

 

 

数時間前に長波を職務質問をしていた若い警察官と、パトカーに乗っていた中年の警察官だった

 

 

「…って、何年前のファイル見てるんですか?両津巡査長…」

 

 

中川巡査が声をかけるも両津と呼ばれた巡査長は気にせずファイルを漁る

 

 

「…昔な…10…4.5年前だったか…今日と似たようなことがあったんだよ…」

 

 

「…はぁ…あのインカラーの娘のことですか?」

 

「…髪と顔は違ったが…服装はあの時の娘と全く同じだった…ような気がしてな…」

 

「…なんか電波系入ってません?両津巡査長」

 

 

呆れながら両津のファイル探しを手伝う中川

 

 

「…無関係に思えん…せめて当時の娘の情報があれば…」

 

「…その娘とインカラーの娘は関係ないような気がしますけどね…僕は」

 

 

 

両津と中川のファイル探しは日付が変わっても行われたが、結局見つかることはなかった

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

8月11日 午前5時

 

 

 

「…ん…」

 

 

 

ぱち、と目が覚めた長波は、天井を見てやはり下総ではないことに内心ため息を吐く

 

 

 

「…やっぱ…現実か…くぁあ…」

 

 

長波は寝返りをうち、枕に顔を埋め、寝たら夢だっろうなという淡い希望をした自分を恥じり、悔しがる

 

 

 

「…って…高波のやつもういないし…ん?あれは…」

 

 

がばっと起き上がった長波はテーブルに置かれた長波用に用意したと見られる朝食と、置き手紙に気がつく

 

 

「…『夜19時頃には戻ります。外に出てなにか問題が起きたら大変なので、出来る限りアパートに居てもらえると助かります。朝食はテーブルに、昼食は冷蔵庫に入っています』…か…」

 

 

意外としっかりしてるよなぁ、としみじみと感じる長波はベランダに続くカーテンを開く

 

 

部屋に射し込むは僅かな朝日

 

 

 

うーん、と背伸びをする長波

 

 

「…散歩にでも行くか!」

 

 

 

…高波の置き手紙の内容まではちゃんと読んでいなかった

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

「はい、じゃあこれよろしくね。派遣さん」

 

 

午前9:25

 

千葉県市川市内 天竜物流

 

 

中年の先輩女性事務員から渡されたのはなかなかに厚みのある大量の手書き書類

 

ここの派遣社員の高波は朝からこれか…といった風に苦笑いでそれを受けとる

 

 

「あはは…はい、わかりました」

 

 

高波も自分の分の仕事があるというのに、この中年女性事務員はなにかにつけて高波へ自分の分の仕事もやらせようと持ってくる

 

そして気がつくと他の中年女性事務員達と仕事もせずにお喋りばかりしているのだ

 

 

はぁ、と小さく…僅かなため息を吐くと、高波に書類を渡した中年の女性事務員はきっと高波を睨む

 

 

「え?なに?…なにそのため息…じゃあいいわよ。もう頼まないから!」

 

 

中年女性がそう言い返し、高波に渡した書類をがばっと取り上げて別の派遣社員の所へと行ってしまった

 

 

「…あ…」

 

 

言い返せなかった高波は悔しそうに両こぶしをにぎるも、力無くこぶしを緩める

 

 

 

 

 

 

午前10時半

 

 

 

 

「…あーあー…高波さん?」

 

 

事務作業がキリの良いところで終わり、ふぅ、と高波が息を吐いていると、事務所の主任の中年男性が彼女のデスクにやってきた

 

 

「…あ、はい主任…どうかしましたか?」

 

「あーと…ええと…あのね?…青峰さんから聞いたんだけどね?…あの~…ここで喧嘩とかは…ね?…ちょっとやめてほしいんだよ~…あはは…」

 

 

青峰さん…先ほど高波をイビってきた中年女性の名である

 

 

「…それにほら…高波さんは青峰さんと違って派遣さんだからさぁ…わかる…よね?…上手いことなんとか頼むよぉ…?」

 

 

頭部の薄い中年主任はへらへらとした態度で高波にそう説得すると、こそこそと逃げるように去っていく

 

 

 

「……はい…すみません…」

 

 

 

12時過ぎ

 

 

 

1人で昼食を終えた高波は自分にお茶を淹れるために給湯室でポッドを操作していると、3人の女性事務員が楽しそうに話しながら給湯室に入ってくる

 

 

「…でさ、明日の夜の合コンのメンツだけどさー…」

 

 

「…ぁ…」

 

入ってきたのは高波とは真逆の…彼女よりも年下でわりとイケイケな女性事務員達だった

 

 

 

「…あー…高波さんじゃないですか~…あ、明日の夜私ら合コンすんですけど、よかったら高波さんもどーです?」

 

女性事務員の1人がへらへらと笑いながら高波へ話しかけるも、高波は苦笑いで首を少し傾げる

 

 

「…え、ええと…すいません…あの…私は…「高波さんも忙しいってさ。私らなんかとは付き合わないよ」

 

 

高波を誘った女性事務員とは別のリーダー格と思われる女性事務員が高波の言葉を遮って止める

 

 

「…す、すいません…私…もう行くので…」

 

 

やっぱりこの人達苦手だな、と考えながら給湯室から出ていこうとする高波

 

 

「あれ、行くんですよね?なんとかってアニメのイベント…毎年毎年大変ですねぇ…」

 

「…!」

 

 

リーダー各の女性事務員は馬鹿にするように高波の背に向けて言い放つと、他の二人もけらけらと笑う 

 

 

「あの歳でオタク~?まじでウケる~」

 

「…くすくす…あれじゃ結婚はおろか、彼氏の1人もいないんじゃないの?」

 

 

「…」

 

 

高波は歯をくいしばり、悔しそうな表情で給湯室をあとにする

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

船橋警察署

 

 

警察署前に停められたパトカーに乗り込む両津巡査長

 

それについていく中川巡査

 

 

「ちょ、先輩!本当に行くんですか!?手掛かりになんてなりませんって!」

 

 

「うるせぇ!お巡りは脚使ってナンボだろうが!」

 

「…わ、わかりましたよ!」

 

 

助手席に乗り込む中川

 

 

「…パトカー…壊さないでくださいよ?」

 

「おう!任せとけ!…とりあえず、この…高波って女ん所行くぞ!なにかわかるかもしれん!」

 

 

 

両津達を乗せたパトカーは船橋警察署を出発する

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

船橋物流センター前

 

 

 

「…やっぱないかぁ…」

 

 

下総の欠片も見当たらない建物を見て、長波は大きく項垂れる

 

 

「…昼間なら下総見つかるとおもったんだけどなぁ…」

 

 

強い陽射しのもと、長波はふらふらと歩き出す

 

 

「…ぅー…あっちぃ…あついあついあつい…」

 

 

ごそごそと制服のポケットを探る長波はちゃりんと小銭が入っていることに気づく

 

 

「…ラッキーだな…はは…」

 

 

小銭と共に出てきたのは猫のキーホルダーだった

 

 

「……高波…仕事がんばってんだろうなぁ…すげぇなぁ…あいつ…」

 

 

この世界で高波は16年間生きてきた

 

知っている人が誰もいないこの世界で…

 

 

それはきっと辛く、寂しいことだったろう…

 

だが高波はその感情と戦いながらも生きてきたのだ

 

 

 

「よしっ!…やっぱ部屋戻ってるか!」

 

 

長波は買おうとしていたジュースを買わずに高波のアパートへ帰ろうと決め、脚を進めた

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

『ピンポーン』

 

 

「…」

「…」

 

 

高波のアパート 玄関扉前

 

両津巡査長がインターホンを鳴らすも反応はない

 

 

「…っていうかまだ仕事中なんじゃないですか?」

 

「……そりゃそうか…タイミング悪かったか…」

 

 

中川にジト目で睨まれながらもため息する両津は、頭をがしがしと掻く

 

「しかたねぇな…出直すか」

 

 

そう言って両津と中川はアパートの階段を降り、アパートの右側の路地の方へと歩きだし、パトカーを駐車している路地へと消えていった

 

 

 

 

…と、同時にアパートの左側の通路から長波がとぼとぼと歩いて帰ってきた

 

 

 

「…あづい……あつい…」

 

 

ぶつぶつと呟きながら汗だくの長波はアパートの階段を登り、扉の鍵を開け、中へと入っていった

 

 

 

 

 

「…?…どうかしました?先輩」

 

「………いや、気のせいかな…」

 

 

長波と入れ違いとなった両津と中川は、そんなことを話しながら船橋警察署の方へと帰っていった

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

同日夜 

 

 

 

「…長波姉さまっ!!」

「うぁっぷっ!」

 

 

仕事が終わり、帰宅した高波は玄関で出迎えた長波に抱きついた

 

自分よりも背が高くなった妹に抱きつかれてばたばたとする長波

 

 

「…ぷはっ!や、やめろって!…ただいまくらい言えって!」

 

「ただいま…ただいま戻りました!!長波姉さまー!」

 

「んっだー!まとわりつくなー!」

 

 

 

 

◇  ◇  ◇ 

 

 

 

 

「…こ、これを長波姉さまが…!」

 

 

部屋着に着替えた高波は、テーブルの上に置かれた料理を見て驚く

 

長波はてへへと照れる

 

 

「…まぁ、ほら…私お金持ってなかったからさ…冷蔵庫の中にあったもんで作ったんだ…あ、悪いな、冷蔵庫勝手に見て」

 

 

「そ、そそそそんなことありません!…というか…長波姉さまお料理出来たんですね…」

 

 

「…提督から教えてもらったからな!…チャーハン!」

 

 

高波家、本日の夕食

 

 

卵とネギのチャーハン

 

野菜コンソメのスープ

 

 

 

 

 

「ぐぁふっぐぁふっ!うまっ…!がつがつっ!」

 

「…んなあわてて食うなよ…」

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

「…東京を?」

 

 

夕食を終え、お茶を飲んでいると長波から突然お願いされた

 

 

「ああ!こっちの世界の…世界?…うん、世界の街が見てみたいんだ!」

 

目をキラキラとさせる長波と違い、うーんと眉間にしわをよせる高波

 

 

「…なんでそんなに見たいんですか?良いものじゃありませんよ?…この世界は」

 

 

「…だって深海棲艦のいない世界だろ?ならそんな平和な世界…見てみたいんだ」

 

 

お茶を一口含み、コップをテーブルに置く

 

部屋の中はエアコンの稼働する音が、ごーっと聞こえる

 

 

「…姉妹として、経験した者として忠告します…長波姉さまの理想はただの理想です…確かにこの世界には深海棲艦はいません……私が知る限りは…」

 

「…なら…」

 

「…では長波姉さま?…人の敵である深海棲艦がいなくなれば…次の敵は誰になると思いますか?」

 

長波の背中にぴん、と緊張が走る

 

 

「…え?…や…それは……わかんないけど…」

 

「…深海棲艦がいなくなれば次の敵は私達艦娘です…」

 

 

ぎょっとする長波

 

「は!?いや、な、なんでだよ!?ありえないだろ!」

 

「…姉さま?…邪神を倒した勇者というのは邪神よりも力を持っているというもの…王様がそんな力を持つ勇者を怖がらないとでも思いますか?」

 

 

「いや!意味わからん!」

 

 

ふぅ、と小さくため息をはく高波

 

 

「…そんな考えを持った生き物こそ人間という存在です…そんな輩の多い…人混みだらけの東京なんかへ長波姉さまを連れていくわけには行きません…!」

 

 

「…う、わ、わかったよ…悪かったよ」

 

 

半べそでしゅんとする長波

そんな長波に菩薩のような笑顔を向ける高波

 

 

「しゅんとする長波姉さまマジたまんねぇ!今夜のおかず決定かも!」(わかってくれれば良いんですよ。長波姉さま)

 

 

「…えぁ?…今なん「あ、いえ…と、とにかく…明日の日中はここで私と過ごしましょう!」

 

 

「…今夜のおか「日中は私と過ごしましょう!」

 

 

「……わかった…」

 

 

 

長波は高波の言いはなった不穏な言葉を忘れることにした

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

8月12日 午後16時頃

 

 

イオン市川妙典店

 

 

「…なぁー…今度はどこ行くんだよ…」  

 

 

モール内、両手に買い物袋を持った長波がダルそうに前を歩く高波に向けてぼやく

 

 

「ここです!ここ、ここ!」

 

 

長波と同じ様に両手に荷物の高波は目を輝かせてとある店の前に立つ

 

 

「……ゲームセンター?」

 

「そうです!長波姉さま!」

 

 

いつもの長波ならば"面白そうだ"、とテンション高めで反応するが、両手の荷物、そして半日歩き回ったお陰でそのテンションには遠く及ばなかった

 

 

「…なんだよ。ゆーふぉーきゃっちゃーやりたいのか?」

 

 

高波は嬉しそうにゲームセンターの中へと入っていった

 

 

「…ったく…相変わらずだな…高波は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……って、なんだこれ」

 

 

 

長波はゲームセンター内のとあるゲーム筐体を見て眉間に眉を寄せる

 

 

ゲーム筐体には"艦艇これくしょん"と書かれている

 

 

「…っ艦これアーケードです!」

 

「…」

 

 

声高々に高波は鞄から手のひらサイズの四角いケースを取り出すと、数十枚はあろうかというほどのカードを取り出し、どや顔でポーズを決める

 

 

 

「…市川の夕雲型提督!……高波!!いざ「もう先に帰るぞ私は」

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

 

同日午後7時 高波のアパート

 

 

夕食を食べ終えた長波はリュックを背負って動きやすそうな服装に着替えた高波を見上げる

 

 

「…どっか行くのか?」

 

「さぁ!…長波姉さまも準備を!」

 

「いや、どこ行くのさ」

 

「国際展示場です!さあ!」

 

 

うん?と長波は首をかしげる

 

 

「…なんで?もう夜の7時だぜ?」

 

高波は長波の両肩を掴み、ガクガクと揺らす

 

 

「むしろもう遅れてます!さあ!早く!早く!」

 

「わわわ、わかったから!揺らすなって!」

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

高波と同じ様に短パン、Tシャツ、と動きやすそうな格好に着替え、リュックを背負う

 

 

「…さっきの店で買ってたのはこの一式だったのか…で?本当にどこに行くつもりなんだ?」

 

 

鏡の前でジト目で高波を睨む長波

 

高波はふふふ、と企みを感じる様に怪しく笑い

 

 

 

「…今日から夏の祭典…コミックマーケットが始まりました…そして明日は2日目…艦これのジャンルがある2日目です」

 

「…で?」

 

「…夏コミは魔力を感じる性器…や、聖域です!艦これの提督が集まる2日目に本物の艦娘が参加すれば何かが起きます!!」

 

「…提督って…ゲームの、だろ?…それに艦娘が行けばなにか起きるっつーんなら…高波が行った時になにか起きたのか?何度か行ってるんだろ?コミケ」

 

 

長波の言葉にむむ、と高波が後ずさる

 

 

「…わ、私がコミケに行くようになったのは20歳を過ぎてからなんです…なんかそれって遅すぎじゃないですか…だから。こっちの世界に来たばかりの長波姉さまが行けば…なにか起きるかも…です」

 

 

「…それは一理……ないだろ…」

 

 

長波がそうツッコミと、高波の眼がうるうると涙ぐむ

 

「…な、長波姉さまと……コミケに行きたいんですっ!…長波姉さまと一緒にいられる時間が高波にとっての幸せなんです!四つ葉のクローバーなんです!天国なんです!どこでも一緒にいきたいんですよぉう!」

 

「…や、だってお前…あんまり人のいるところ行くなって言っ「ながなびねえざまぁぁあ!!」

 

 

28歳の女が15.6歳の見た目の姉にぼろ泣きしながらしがみつく

 

長波は内心呆れながら…

 

 

「…わかったわかった……でも本当に元の世界に帰れる手掛かりになるんだろうな?」

 

高波はけろっと泣き止み

 

 

「…多分………ある…かも…です」

 

「不安な予想しかできないんだが…」

 

 

長波はアパートの窓から遠目に見えるディスニーランドの光に目を向ける

 

 

「…ま、今はなんの手掛かりも無いからな…せっかくの土曜日も家にいたら退屈だ。…行くか…コミケ…」

 

 

「ぅぉぉおおおお!!!!やったぁあっ!!」

 

 

 

…下総では例のごとく陽炎型の末っ子が、艦娘はコミケのサークル参加出来ないのを知りながら、いつか訪れるだろうその日を夢見て細々と同人活動をしていた

 

長波も呆れながらもそんな自称同人作家の彼女の話を色々聞いてはいたので、実際のコミケというものに興味が無いわけではなかった

 

しかし現状、自分と高波は元の世界では行方不明者…

 

 

元の世界へ戻れもせずに遊んでいていいのか、と若干悩みはしたが…

 

 

 

(…私も東京観光してみたかったのは事実…あんま高波の事は言えないよな…)

 

 

 

 

 

しかし、この時コミケ初心者の長波は想像すら出来なかった…

 

 

 

"嫁"を手に入れるため魂を懸けたオタク達の聖戦…

 

 

 

 

 

夏コミの本当の恐ろしさを…

 

 

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

千葉県市川市よりも離れたとある県の某廃病院

 

 

 

「…」

 

 

薄暗いこの廃病院内、初心者マークに似たワッペンが付けられた白い帽子を被ったお下げ髪の少女が廊下内でなにかを探しながら歩いていた

 

 

「…確かにここでも歪みを感じたんですが…」

 

んん?と少女は何かを感じ、廃病院の窓から外に視線を向ける

 

 

 

「…微かに残ってますね…あれは…関東の方ですか…」

 

 

その空の方角は南東…まさに長波がいるであろう千葉方面だった

 

 

「…全く…やることが盛り沢山ですね…うん、仕方ありませんか…」

 

 

そう呟き、少女は窓枠に脚を乗せ

 

 

「…っしょ」

 

 

三階の高さの窓から軽々とジャンプする

 

 

 

 

 

 

 

 





何故かコミケに行くこととなった長波

彼女はあの聖戦を生き残れるか!


はたして高波と元の世界へ戻れるのか!


そして最後に出てきた謎の少女とは!




次回下総編、ラストとなります

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