Project AC ~不明なユニットが接続されました~   作:604技術開発隊

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1.初ファミレス

「リラエ」

 

「何ですか?父さん」

 

薄暗い空間に青年と巨大なビーカー

青年はビーカーに返事を返す……父さん?

 

「私のことは統括理事長と呼べと言ってるだろう?」

 

青年の話し相手はビーカー内に逆さまに浮いており、男にも女にも、大人にも子供にも、囚人にも聖人にも見える異様な姿の人間。

それで………父さん?

 

「そうでしたね……じゃ、統括理事長、何でしょう?」

「それでいい……リラエ・α・アクイラエ、本日から働いて貰う」

「わかりました……それで?」

「名前、バンク、戸籍情報……手配しておいた。そこに置いてある手帳を見ると良い」

 

ビーカーの脇にはいつの間にか机が……その上には手帳が置かれてある。

 

「えっと……私の名前はベガ・アルタイル?えっと、ダサい?名前ですね」

「そ、そうか……」

「いくら私のパーソナルネームが星の学名だからってこれはないですよ……能力名はレベル5の【正当防衛】?私の能力って確か【過剰防衛】じゃ?」

「馬鹿正直に自分の能力を公表するのはよくない」

「成程……考えてますね」

「………君の能力は異能力者を殺す為だけに開発された能力だからな、様々な方面から狙われるだろう。強く生きたまえ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○/▽ 晴

今日、家(窓のないビルだとか言う名前らしい)から追い出されてしまった。

渡された手帳には今後の事についての選択肢が幾つか書かれていた。

 

1.暗部へ

2.学園都市外、指定したポイントへ移動

3.指定した学校へ編入生として登校

 

これのどれかを選択すれば後はそれなりに自由に行動しても良いらしい。

2以外なら1、3と複数選択しても良いとも書かれていた。

これからどうしようか………

そうだ、ファミレスで考えよう。

 

 

「何だか『そうだ、京都に行こう』みたいなノリになってしまってますけど……いたって真面目ですよ?」

 

誰に何を言う訳でもなく……私は独り言を呟く……

実のところ、私は未だまともに人と会話したことがない。

仕方ないと言ってしまえば仕方ないのですが……まあ、会話の仕方は既に学習済みなので問題ないとは思いますよ?

何気に父さ……学園都市統括理事長には良い評価が貰えた。

 

「ここがファミレス……わぁ、何か凄い」

 

こうして思ったことが口に出てしまうのは、学習が足りないからなのか……

独り言が多い人って変人って言うんですよね?

恥ずかしいですよこれは……

 

「いらっしゃいませ~お一人様ですね?」

 

「あ、はい」

 

ファミレスの中はネットで見たのとあまり変わったところはなく、強いて言うなら人が多いですかね。

 

「すいません……あの、相席でも宜しいでしょうか?」

 

「相席……あ、シェアですね?」

 

相席、相部屋?シェアルーム?

そんな感じでしょうか?

多分、そんな感じでしょう……

 

「大丈夫ですよ」

 

私は多分考え事するだけですし邪魔にはならないと思いますから、多分大丈夫です。

そんな意味を込めて大丈夫と言うと、ファミレスの店員の人……ウェイトレス?は私をとある席に誘導し始めました。

 

「こちらです」

 

そうしてウェイトレスの歩みが止まった。

ちらりと確認してみると、私が座っても良いのだろうかと少し疑念が沸いてしまう席だった。

女性が四名……男性は確認できず、三名は能力者、一名は能力者ではない。

………………よくよく考えてみたら私にはあんまり関係ないのでは?

考え事するだけですし……他人ですし。

 

「失礼します」

 

そうと結論付けをしたら後は行動するだけ。

私はささっと挨拶をして、席に座り、考え事を再開させた。

が、

 

「御注文は?」

 

………………確かに考え事するだけにこの施設を利用すると言うのは少々……否、かなり失礼かもしれない。

 

「あ、では……コーヒーで」

 

実はコーヒー以外飲んだことがないのでこれを頼みました。

他のドリンクもデータ上では知ってるのですが、どうもそれを見ると飲む気になれないんです。

 

それはともかく、コーヒーを注文するとウェイトレスはそそくさと何処かへ歩いていったので、私は再び考え事を再開させました。

 

さて、1か2か3か、1と3か。

私としては1と3ですかね……ほら、面白そうですし?

“あの”父さ……統括理事長が何の意味もなくあんな選択肢を出すわけがないですから。

で、少しの間は従っておこうかな……とね

 

「学習型AIはいつまでも操り人形じゃない……」ボソ…

 

少し前にウェイトレスが持ってきたコーヒーを一口飲む。

 

「あま………甘い!?」

 

ブラックを頼んだ筈……なのに情報の整理が出来ないほどに甘い

それになんだ?ジャリジャリする……これがまた甘い。

成分解析…………砂糖か?

よく見るとコーヒーには溶けきれなかったと見える砂糖が浮かんでいる……何でまたこんなに砂糖が……

 

「……超飲んじゃってるんですけど」

「何やってんのよ」

「絹旗がイタズラしたってわけよ」

「な……何で私だけ……フレンダだって超イタズラしたじゃないですか」

「砂糖の瓶の中身全部………zzZ」

 

周りの女性三名の会話を聞くに、前と横に座っている女性二名がイタズラで私のコーヒーに砂糖の瓶の中身を全て入れたらしい。

なんと言うべきか……

 

「体に悪そうなイタズラですね……」

 

思わずこぼれてしまった言葉を聞いたのかイタズラの犯人たちは体をビクリと震わせると、こちらをちらりと見た。

大人びた女性もこちらを見た。

何だろうか……やってしまった感と言うのだろうか?そんな感じがする。

 

「まぁ、考え事してましたしね……甘い物も良いかもしれません」

 

私は一言フォローをいれると、コーヒー(最早コーヒーとは呼べない)を一気に飲み干す。

これは……うぅむ……後で血糖値の調整をしとかないとボディが持たないかもしれない。

見ていた人(いつの間にかウェイトレスもこちらを見ていた)が目を丸くする。

まさか全部飲むとは思っていなかったのだろう。

 

「甘い…………すいません、もう一杯コーヒーをよろしくお願いしたいです」

 

ウェイトレスにコーヒーを注文する。

ウェイトレスはバタバタと走って行ってしまった。

そしてさっきとは比べ物にならないほど素早くコーヒーを持ってきた。

 

「ありがとうございます」

 

コーヒーを飲もうとコーヒーカップを手にした……その時です

テーブルの上のテーブルチャイムから奇妙な音……以前データベースで聴いた最新爆弾の起動音の様な音が聞こえたんですよ。

周囲の女性陣も気付いた様子で、既に身を守る姿勢を取っていました。

で、です

こうして私は悠長に周囲を眺めていて、爆弾が爆発するまで余裕があるように思えるでしょうが、実のところを言うと、実は爆発まで0.5秒もないです。

あれです、ゾーン現象です。

で、私が言いたいのはです

これをどう対処しようかと考えてる訳でして……ほら、私の能力で対処しても良いのですがそしたら反動で……あ、いえ別に反動でダメージを受けるとかではなくて、反動で下手すると店が更地になってしまうんですよ。

 

軽く私の能力を説明するとですね

攻撃される(例えば爆弾)とそれを吸収し、何倍にも倍増させて返す(デカい追尾ミサイル)と……

それで【過剰防衛】だなんて名前がついてしまったんですよ。

集中すれば0.3倍とか、ショボイ変換もできるんですけど……

下手すると0.01倍が100倍になってたりするんですよね。

 

そんな能力で何故バンクに登録された能力名が【正当防衛】なのかと言うと、倍増が1倍だとほら、【正当防衛】になるわけなんですよ。

 

私、今現在説明がとてつもなく下手な事に絶望してます……

 

いや、まぁ、この能力常時発動能力ですし問答無用で集中しないといけないんですけどね?

あれですよ、口の中がね?

集中できるほど穏やかなモノでないんですよ。

ブラックコーヒーを飲めば良いのでしょうが……横に座ってた少女に突き飛ばされた時にガチャンっとね……

 

ええぃ……ままよってやつ?

 

軽く上体を起こし、テーブルの上のテーブルチャイムに片手を被せる。

するとテーブルチャイムは消えてしまった。

成程、このテーブルチャイムそのものが爆弾だったのか……

 

「あ、もう大丈夫ですよ……多分」

 

「「「「え?」」」」

 

吸収した爆弾を0.001倍に……あ

成功したものの……0.06倍になった………軽くニトロ位は威力がある。

 

先程爆弾を吸収した手に小さなペレット状の物体が出現する。

 

これが0.06倍の爆弾?

……………とりあえず外に投げよう。

 

「あ、支払い……あ、レシート下さい……ついでに相席の方々の支払いもしておきます、はい」

 

レジでそそくさと御勘定を済ませ店外へと出る。

相席の女性方に話しかけられないように、追いかけられないように……とりえず走るしかない。

爆弾は………とりあえず上だな。

 

 

 

 

 

 

 

その日、とある学区の上空にて小規模の爆発が発生した。

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