8月のとある水曜日、マーガレットとネモはハグリッドとともにダイアゴン横丁に来ていた。時節柄かホグワーツの生徒とその保護者たちの姿も多く見える。きっと彼らも新学期に向けての準備をしているのだろう。
「ハグリッド、ケトルバーン教授のおつかいはこれで終わりでしょうか?」
マーガレットは自身が教えるマグル学とケトルバーン教授が教鞭をとる魔法生物飼育学の準備のために買い物をしていた。
というのも、あの魔法生物飼育学の教授はこの休暇中にドラゴン保護区を訪れたらしく、その際に
「その安全手袋で最後だ。あとはおれが必要な『肉食ナメクジの駆除剤』を買いに行く」
マーガレットは先ほど買ったドラゴンの革製の手袋を検知不可能拡大呪文がかかったトランクに詰め込んだ。
「『肉食ナメクジの駆除剤』……。なら、お次は薬問屋ですか?」
「いや、ノクターン横丁に行こうと思うちょる。あそこならより強力なやつが手に入るってもんだ」
「ノクターン横丁?」
マーガレットは目をパチクリさせた。かつて恩師がノクターン横丁のことをどのような場所と言っていたかを思い出す。
「その、ノクターン横丁は危険なのでは……。昔、興味本位で近づかないようにと教えていただきましたから」
「たしかに危ねえし怖いところだが、あそこにしか売ってないようなもんもあるんだ。まだ行ったことがないんなら、マーガレットも一緒にくるか?」
「いいんですか?」
ハグリッドはすでに何度かノクターン横丁を訪れたことがあるようだ。ゆえに、恩師の言いつけを守り続けていたマーガレットにはその誘いが魅力的であった。
「まだホグワーツに通っとるような子供を連れて行くわけにゃいかないが、今のおまえさんなら大丈夫だろ。なんせ、闇の魔術に対する防衛術の教授と決闘までしたんだからな」
ハグリッドに背中を軽くポンと叩かれ、マーガレットは思わずよろめく。だが、そのおかげで彼女の取り繕ったような表情がハグリッドに見られることはなかった。
「……えっと、そうですね。防衛術には、その、ほんの少し自信がありますから」
ハグリッドも含めた多くのホグワーツ関係者の間では、生き残った男の子が賢者の石を守りきったあの夜、ある一組の男女が決闘まがいの大喧嘩をしたことになっている。
ダンブルドアが言ったとおり、賢者の石を巡る騒動の真相はごくごく一部の人間しか知らないようだ。
「マーガレットはクィレル教授に色々と教えてもらっていたからな。そのおまえさんたちが喧嘩別れしちまっただなんて、おれはなんだか悲しいよ」
そう語るハグリッドの目にはなぜか涙まで浮かんでいた。これにはマーガレットも苦笑いを浮かべることしかできない。
そもそもマーガレットとクィレルは恋人の関係にあったわけでない。だから、別れたという表現も正しくはない。
しかし、噂を否定してしまえば、嘘で隠された真相がいずれ暴かれてしまうかもしれない。マーガレットが恩師と
「だが、闇の魔術に対する防衛術の教師がまた一年で変わっちまうんだな」
「そう、ですね……」
「マーガレットは次に誰が来るとか、もう聞いたか?」
マーガレットは首を横に振った。校長であるダンブルドアが各教科の教師を任命するのだが、彼からはまだなにも聞いていない。
思い返せば、クィレルがマグル学から防衛術の教授になることを聞いたのもかなり急だったのだから、防衛術の後任をまだ知らないことについてもあまり気にしていなかった。
「マクゴナガル先生がダンブルドア先生になにか言っとったが……。お、着いたぞ。ここがノクターン横丁だ」
店の軒先に掛かった古ぼけた木の看板にはたしかに「
縮んだ生首が飾られている店や巨大な黒蜘蛛が蠢く大きな檻が置かれた店。闇の魔術に関する物を売っているような店ばかりが立ち並んでいる。
「おれは駆除剤を買ってくるが、おまえさんは好きな店でも見ていてくれ」
「あとで待ち合わせだ」と言って、ハグリッドは奥へと行ってしまった。
「たしかに不気味な場所……。あんまり遠くに行かないほうがいいかも。ネモも勝手にどこか行かないでね」
ふらふらと通りを歩いていたマーガレットだが、ある店の前でふと足を止めた。
店の名前は「ボージン・アンド・バークス」。ショーケースには不気味な髑髏や古い瓶が並べられている。
「ここ、アンティークショップだ」
ノクターン横丁の中でも一番大きなその店は、どうやらアンティークショップのようだった。アンティークショップといえばマーガレットの実家もそうである。
幼いころから骨董品はずいぶんと見慣れているが、そういえば魔法界ではどのような品物が取り扱われているのだろう。
好奇心の赴くままマーガレットがショーウィンドウをのぞき込んでいると、中から二人組が出てきた。
「おや。マグル学の教授がこのようなところに」
「マルフォイ理事! その、お久しぶりです」
姿を現したのはホグワーツ理事のルシウス・マルフォイとその息子ドラコ・マルフォイ。ホグワーツでは何度か顔を合わせたことはあるが、こうして外で言葉を交わすことは初めてであった。
「なにをしていたのかね?」
冷たい灰色の瞳がマーガレットを見据える。別にやましいことをしていたわけではないのだが、なにか責められているような、そんな視線だった。
「ウィンドウショッピングです。その、アンティークショップということで、この店に興味がありまして」
「マグル学の教授がここに用があるとは……。もしや、9月からは闇の魔術に対する防衛術を教えることにでもなりましたかな? 前任者とはずいぶんと仲がよろしかったと聞いているが」
マルフォイ氏の言葉にドラコは肩を震わせて笑っていた。どうやら件の噂は授業などでもほとんど接点のないスリザリン生にまで伝わってしまっていたようだ。
「……えっと、たしかにそうですね。ですが、とくにそういった話は。ダンブルドア校長にも、マグル学の教師を続けさせてほしいとお伝えしていますし」
「あなたには決闘の才があると耳にしたものだから、それで選ばれでもしたのかと」
あのホグワーツで秘密を秘密のままにするのはずいぶんと難しいはずだが、最も偉大な魔法使いの作戦はうまくいっているようである。
「マルフォイ理事のお耳にも届いてしまっていましたか……。お恥ずかしい限りです」
「理事会にはあなたのあの行動を問題視する者もいた。我々に教授の任命権はないとはいえ、身の振り方は考えていただきたいものですな。こんな場所にいたら、それこそまた良からぬ噂が立つというもの」
「……ご忠告痛み入ります」
足早に去っていくマルフォイ氏と彼の後ろをついていくドラコを見送りながら、マーガレットは一つため息をつく。
というのも、マーガレットはどうにも彼らのような純血貴族が苦手であった。
純血主義者を中心に、未だに魔法界にはマグルやマグル生まれへの偏見がある。そのため、マグル学それ自体も他の学問に比べて軽んじられているというのが現状であった。
とはいえ、マーガレット自身は半純血の生まれであるから、表立って差別されはしない。しかし、彼女のマグル育ちという経歴やマグル学教授という肩書が、ある人々には歓迎されていないことを薄々感じてはいた。
マーガレットはマルフォイ氏が出てきた店の看板を見上げる。ボージン・アンド・バークス——純血貴族も御用達にしているアンティークショップ。
中には珍しい品も多くあるのだろうが、自分の趣味に合うような物はない気がした。この店に入るのは辞めておこうと踵を返す。
だが、不意に背後から声をかけられた。
「マノック先生!」
マーガレットが子供の声で振り返ると、そこには眼鏡をかけた黒髪の少年——ハリー・ポッターが立っていた。
「ミスター・ポッター? どうしてここに?」
「僕、迷子になったんです。煙突飛行粉が——」
訳を聞けば、どうやらウィーズリーの家族とともに煙突飛行でダイアゴン横丁に来たはずが、誤ってノクターン横丁に来てしまったようだ。
彼の姿をよく見れば服は煤で汚れ、眼鏡も壊れている。マーガレットはトランクから取り出した愛用の毛ばたきでハリーの体を払い、得意の修復呪文で眼鏡もあっという間に直してみせた。
「なるほど。初めての煙突飛行で失敗してしまったのですね。なにか怖いことはありませんでしたか?」
ハリーは首を横に振る。
「マノック先生はどうしてこんなところに? よくここに来るんですか?」
今度はマーガレットが首を横に振った。
「わたしもここに来たのは初めてです。あぁ、こういうことを言ってしまうと、ミスター・ポッターを不安にさせてしまいますね。よければどうぞ」
マーガレットはローブのポケットから丸い棒付きキャンディーを取り出す。そして、ハリーに好きな物を選ばせると、自分はプリン味のキャンディーを口に咥えた。
本物のプリンのような甘い味が口いっぱいに広がる。
「ハグリッドと一緒に買い物をしていたんです。新学期の準備のために」
「ハグリッドも?」
ハグリッドの名前が出たことで、ハリーは安堵の表情を浮かべた。
「ハグリッドも直に戻ってくると思いますが、ここで待っているのも……。ミスター・ポッター、ダイアゴン横丁に戻りましょうか。ミスター・ウィーズリーたちもきっとあなたを探していることでしょうし」
「さあ、行きましょうか」と、マーガレットは右手を差し出した。
「マノック先生、もう腕は大丈夫なんですか?」
言われてみれば、ハリーと最後にあったあの夜、マーガレットは怪我のせいで右腕が動かせなくなっていた。
「あぁ、そういえば。えっと、おかげさまですっかり治りました」
マーガレットは歩きながら、前に後ろにと肩をぐるぐる回してみせる。マダム・ポンフリーの処置により傷一つ残っていないおかげで、怪我したことなどすっかり忘れていた。
「教えるのがマグル学とはいえ、ホグワーツの教師が杖も握れず、ろくに魔法も使えないとなれば面目が立ちませんから」
ハリーはこのマグル学教授の言葉になにか違和感を覚えたが、その正体までは思い出せない。気のせいだろうかと頭を捻る少年のことを青い目の鴉が見下ろしていた。
「でも、あの夜はそのせいであなたに怖い思いをさせてしまいましたね。ごめんなさい、ミスター・ポッター。クィレル先生のこと、わたしがもっと早くに気づいていれば……」
「僕もずっと犯人を勘違いしていたから……。それに、一瞬でも僕はマノック先生のことを疑った……」
「それは仕方のないことですよ。だって、わたしとクィレル先生は
そう言って、マーガレットはわざとらしく肩をすくめる。
「いったい、いつからそんなふうに言われていたのでしょうね」
「その、僕はロンから聞きました。それで、ロンはフレッドとジョージから。フレッドとジョージはパーシーから。そして、パーシーはチャーリーがそんなことを言っていたって」
「そんな昔からですか!」
驚いた拍子にマーガレットは口に入れていたキャンディーを噛み砕いてしまった。
チャーリー・ウィーズリーがホグワーツにいた時期といえば、それこそまだ自分が学生だった頃の話である。まさか、それほど前からあった噂だとは——。
「どうりでみんなが知っているわけですね……」
二人と一羽は人通りの多いダイアゴン横丁まで戻ってきた。はぐれないように気をつけて歩いていると、ふとハリーの名前を呼ぶ声が聞こえた。
声のする方を向けば、ふわふわとした栗色の髪をたなびかせ、一人の少女が駆け寄ってくる。
「ハリー! 会いたかったわ! ロンの家族と一緒なのよね? だけど、隣にいるのは……マノック先生?」
「そう。ロンの家から煙突飛行でここまで来る予定だったんだけど、僕だけはぐれちゃって……。でも、偶然マノック先生に会えたんだ」
「
たしか、ハリー・ポッターは
ということは、二つの噂話の真実を知る当事者には彼女も含まれているということか。
「ハーマイオニーとロンは全部知っているんです。ダンブルドアが二人には本当のことを話してもいいって」
噂をすれば、そのもう一人の当事者の姿も見えた。赤毛の一団がこちらに向かって駆けてくる。
「ハリー。いや、せいぜい一つ向こうの火格子まで行きすぎたくらいであればと願っていたんだよ……」
この一家の大黒柱と思わしき男性は肩で息をしていた。彼の後ろにはウィーズリー家の男兄弟たちがぞろぞろと続いている。
「おや、あなたは? ハリーを見つけてくれたのですか?」
「はい。ホグワーツでマグル学を教えているマーガレット・マノックと言います」
「あぁ、マグル学の! 私はアーサー・ウィーズリー。魔法省のマグル製品不正取締局で働いています。パーシーから話は聞いていますよ」
マーガレットは一瞬どきりとした。まさか、またあの噂について言われるのではないか、と。
「あなたはマグル育ちで、マグルの生活にもかなり詳しいそうですね。さらには、マグルの道具を直すのもお得意だとか! いや、ぜひとも話がしてみたい。私もマグルの物が好きで、いろいろと集めているのですよ」
そう語るウィーズリー氏の瞳は少年のようにきらきらと輝いている。マグル学に強い興味があるのか、マーガレットに出会えたことも心から喜んでくれている様子だ。
マーガレットがずいぶんと前に目を通した「純血一族一覧」によればウィーズリー家も聖28一族の一つであったはずだが、他の純血一族の魔法使いとはずいぶんと雰囲気が違った。マルフォイ氏と会ったばかりだから、なおさらそう感じる。
マーガレットがウィーズリー氏と話しているうちに、赤毛の少女を連れたウィーズリー夫人とノクターン横丁から戻ってきたハグリッドがやってきた。
ハグリッドはハリーがダイアゴン横丁にいることをとても喜んでいたが、彼がノクターン横丁にいたことを知るとひどく驚いていた。
ウィーズリー夫人もノクターン横丁と聞き、かなりのショックを受けた様子だった。ハリーがまた迷子になってしまわないようにと、彼の手をしっかりと握りしめる。
夫人がもう片方の手を繋いでいる赤毛の少女は、母親越しに黒髪の少年のことを見つめていた。
「さあ、もう行かにゃならん。みんな、ホグワーツで、またな!」
ハリーたちはこれからグリンゴッツに行くそうで、そう長話もしてられない。それに、マーガレット自身もまだ買い物が残っている。
ホグワーツでの再会を約束し、彼らとはここでお別れだ。
その後、マーガレットはハグリッドとは別行動でダイアゴン横丁を巡っていた。ケトルバーン教授のおつかいの際は魔法生物に詳しいハグリッドがいた方が助かったが、残りの買い物は自分一人でゆっくりと回れる方がいい。
それに、久しぶりのダイアゴン横丁なのだから、フローリアン・フォーテスキュー・アイスクリームパーラーであの絶品アイスクリームも食べて帰りたかったのだ。
そして、いくつかの寄り道のあと、マーガレットはフローリシュ・アンド・ブロッツ書店を訪れた。
「それにしても、すごい人。なにかの発売日だったのかな」
この時期の書店はいつも混んでいるのだが、今日は一段と賑わっている。
黒山の人集りから視線を上げれば、大きな横断幕が上階の窓に掛けられていた。
「サイン会、自伝『私はマジックだ』。著者は……ギルデロイ・ロックハート!」
マーリン勲章勲三等、闇の力に対する防衛術連盟名誉会員、週刊魔女チャーミングスマイル賞を五度も受賞した魔法界の大ベストセラー作家。それがギルデロイ・ロックハート。
今をときめく人気作家のサイン会ということで、書店には多くの魔女たちが詰めかけている。
店の奥では黄色い声を上げているご婦人方ほどではないが、マーガレットもロックハート作品の熱心な読者であった。かの作家の著作は全部読んだし、さらにはすべて買い揃えてホグワーツの自室の本棚に並べている。
吸血鬼との船旅や泣き虫妖怪と過ごした休日。幼い頃より怪奇小説やファンタジー文学に慣れ親しんだマーガレットにとってはいい読み物であった。それに、それが作者の実体験だというのだから、なおさら心が躍る。
マーガレットは平積みされた新刊を一冊手に取った。表紙を飾る著者の写真は自信に満ちた表情を浮かべている。
作家と直に会えるような機会というのはそうそうない。それに、一年のほとんどをホグワーツ城で過ごしているのならばなおさら。
せっかくなのだからサインももらってみようか。マーガレットは長い長い行列の後ろに並んだ。
ようやくサインの順番が回ってきたのは、マーガレットが「私はマジックだ」をちょうど読み終えた頃だった。視線を上げれば、ギルデロイ・ロックハートはすぐそこに。
波打つブロンドの髪と輝くブルーの瞳。真っ白な歯を見せつけるような笑顔に瞳の色と揃えた忘れな草色のローブがよく似合っている。
これは世の魔女の皆様が夢中になる理由もわかるというもの。作家というよりも役者のようだとマーガレットは思った。
とてつもなく大きな孔雀の羽根ペンをさらさらと動かし、これまた大きな丸文字のサインをロックハートは書き上げる。
「ありがとうございます。あの、今回の本もとても面白かったです」
「そうでしょうとも! しかし、私の冒険はたった一冊で語り尽くせるようなものではありません!」
ロックハートの白い歯がカメラのフラッシュを浴びて輝いた。
「そして、私はさらなる功績を残すことでしょう!」
紫色の煙がポッポッと上がる。日刊預言者新聞の記者は雄弁に語るロックハートの姿を何度も写真に収めていた。
シャッターが切られるたびに、ロックハートは表情やポーズを変える。が、なにかに驚いたのか一瞬だけ気が抜けた表情になった。ブルーの瞳がじっと一点を見つめている。
「もしや、ハリー・ポッターでは?」
ロックハートが立ち上がると人垣がパッと割れ、彼の前に道ができた。そして、その道の先にはマーガレットも知っているあの少年——ハリー・ポッターが立っている。
ロックハートは列に飛び込むとハリーの腕を掴み、人々の前に引きずり出した。
生き残った男の子と人気作家。魔法界では知らない者がいない二人の有名人が握手をすると自然と拍手が沸き起こる。
「みなさん」
写真撮影がひと段落すると、ロックハートはハリーの肩に腕を回した。
「なんと記念すべき瞬間でしょう! 私がここしばらく伏せていたことを発表するのに、これほどふさわしい瞬間はまたとありますまい! ハリー君が、フローリシュ・アンド・ブロッツ書店に本日足を踏み入れたときには、この若者は私の自伝を買うことだけを欲していたのであります。——それをいま、喜んで彼にプレゼントいたします。
いったいなにを発表するつもりなのか。マーガレットはなかなか本題に入らない演説に耳を傾けていた。
「まもなく彼は、私の本『私はマジックだ』ばかりでなく、もっともっとよいものをもらえるでしょう。彼もそのクラスメートも、実は、『私はマジックだ』の実物を手にすることになるのです。みなさん、ここに、大いなる喜びと誇りを持って発表いたします。この9月から、私はホグワーツ魔法魔術学校にて、闇の魔術に対する防衛術の担当教授職をお引き受けすることになりました!」
ロックハートがそう宣言すると聴衆の熱狂は最高潮に達した。割れんばかりの拍手の音が鳴り止まない。
「あのギルデロイ・ロックハートが新しい防衛術の先生?」
一方、まさか目の前の作家が自分の同僚になるとはこれっぽっちも考えていなかったマーガレットは左肩の鴉と一緒にぽかんと口を開けていた。
また波乱の一年が始まろうとしている——。
おかしい。この作品を書き始めた頃は金ローで賢者の石をやっていたのに、気づけば死の秘宝part2まで放送されてる……。