この世界の能力バランスがおかしい件   作:オーブ

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数年後

私が生まれてから10歳の誕生日を迎えてから数日後のこと。

 

「クララは働き者だね」

 

「レニーちゃんにいわれたくない」

 

ティルス王国に位置する料理亭。隣には宿屋が立っており、私は実家である武器屋の看板娘として働き、宿屋には幼馴染のレニーちゃんが働いていた。

 

「うちのお客さん。一割ほどクララに取られてるからね」

 

「一割なら気にする必要ないと思うけどなぁ……」

 

「駄目だよ!一割から二割、三割、四割と増えていくんだから!」

 

レニーちゃんは私と同じ10歳。明るくて人当たりのいい性格をしていることから宿屋を任されている。私たちの両親は昔からの付き合いで、私は空いている時間、レニーちゃんの宿屋を手伝っている。

 

「クララは本当にハンターになるの?」

 

「うん。今のところ、選択肢の一つかな」

 

レニーちゃんは放棄を手にしながら心配する眼差しで見る。

 

「クララが決めたことなら止めないけどさ。友人としては危険な道に友達が歩いていくのは止めたい」

 

「私、早く自立したいんだ。10歳からでも少しでも稼げるようになれば、お店のお金に回せるし、親も楽させてあげられる」

 

この世界にはハンターと呼ばれる若い年頃の子供達でも働ける職種がある。両親からは私が決めたことなら反対はされなかった。

 

「それなら来年からでも……」

 

「ううん。今年やる。やるって決めたからにはやらないといけないと思うし」

 

自分の進むべき道を決めた以上は今年中にやるという決心を持たないといけないし、来年にしようと思ってしまうとズルズルと引きずってしまいそうだから。

 

「クララって考え方が凄く大人だなって思うところが時々あるよ」

 

転生者ですからね……。口には出せないけど。

 

日が暮れてきた時間帯、少しずつお客さんの数が増えてきた。銀髪でピンクのリボンをつけ、同じくらいの女の子が来店する。

 

「あの、6泊お願いしたいんですけど……」

 

「はい、宿泊だけなら1泊あたり銀貨5枚、朝食は小銀貨3枚、昼食は小銀貨5枚、夕食は小銀貨8枚です。お湯は洗面器1杯銅貨5枚、たらい1杯小銀貨2枚になります」

 

「う~ん、せっかくだから色んなところで食べたいから、夕食は今夜だけ、朝食だけ毎日お願いします。お湯は、自分で出せるからいいや」

 

「ありゃ、魔法持ちですか!いいなぁ……」

 

レニーちゃんは魔法を扱えるお客様をうらやましそうに見ている。

 

「食事は、もういつでもできますよ。但し、夜2の鐘までですからね」

 

夜2の鐘とは、地球での21時相当に鳴らされる鐘である。6時に朝1、9時に朝2、12時に昼1、15時に昼2、18時に夜1、そして21時に夜2の鐘が鳴らされる。

 

「あ、じゃあ、このまま先に食べちゃいます」

 

食事はメニューから選べるらしく、壁に貼られたメニューには。

 

『オーク肉のステーキ』

 

『オーク肉のソテー』

 

『オーク肉の煮込み』

 

『オーク肉の串焼き』

 

『オーク肉のフライ』

 

また注文量を間違えたな……。レニーちゃん。

 

「あはは、肉の注文量をひとケタ間違えちゃいまして………」

 

お客様はそういうことなら仕方がないとメニューを見る。

 

「オーク肉のステーキを下さい」

 

レニーちゃんは厨房にメニューを伝えに行った。

 

「お客様はハンターですか?」

 

「はい。この町にある養成学校に通うことになるんですが」

 

これって私が通う学校と同じところじゃないかな。

 

「この学校って私と同じ所だと思います」

 

「本当に?」

 

「この町のハンター養成学校ってあそこしかないので」

 

他の町のハンター学校を知らないから比較できないけど、うちの町のハンター学校はそこまでレベルが高くないと聞いたことがある。

 

「私、明日休みなので。よかったら町を案内しましょうか?」

 

「ありがとうございます!数日は滞在する予定だったので助かります!」

 

女性は武器やいろんなものを見たいからと私の提案に感謝するように手を握る。

 

「私はクララです。では、明日の朝に」

 

「明日の朝ね」

 

マイルさんと明日の朝に約束を交わし、私は手伝いを終えて帰っていった。


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