サンサンと照らす太陽……雲一つ無い青空……そして白い砂浜に抉られたような逞しい岩石、そして生い茂っている森。そう、ここは無人島……まだ、人が住んでいない島にある一つの船がそこに向かっていた……
「見えてきたよクリスちゃんッ!」
「おいバカッ!あんまりはしゃぐと落ちるぞッ!」
その船に乗っていた2人の少女の名前は立花響と雪音クリス。ガングニールとイチイバルの装者である。しかし、何故この2人が無人島にやって来たのか、それには理由があった。
「しかし、まさかギャラルホルンで遭難した時の訓練で無人島行くって……おかしいだろッ!!」
「仕方ないよクリスちゃん。でも、無人島だよッ!面白そうじゃんッ!私達はただ、この無人島に着いたら1泊2日過ごすだけで終わりなんだよッ!」
「だけどよぉ……っと着いた見たいだな」
そうして船は無人島に到着した。しかし船は岸まで上がる事はなく、その手前あたりの場所で止まった。2人は何故船がそこで止まったのか疑問に思った。
「……船止まっちゃったね」
「あぁ……もしかしてここで降りるのか?」
「うぇッ!?そうなのッ!?私スニーカーで来ちゃったよー……」
「なら、とりあえずスニーカー脱いで降りたらどうだ?ほら、荷物を持って降りるぞ」
そうして2人は船から降りて浅瀬の海に降りる。海に足をつけると最初はちょっと冷たい状態で、それが膝のあたりまで使った。
「冷たッ!うぅ……冷たい……」
「ひゃんッ!た、確かに冷たいな……ってなんだよ」
「いやー……クリスちゃん可愛い声出てたなーって……」
「ッ!?さ、さっさと行くぞッ!」
2人は何とか海から岸まで上がって荷物をその場に置いた。そして船は2人が岸に上がった事を確認するとそのまま行ってしまった。やがて最初に行動を始めたのはクリスだった。
「とりあえずは……拠点探しだな。あの岩場あたりとかどうだ?」
「うーん……クリスちゃんもうちょっと私的には岩場のあたりがいいと思うけど……」
「岩場だぁ〜?岩場だったら風も強いし危ないだろ」
「でも、こう無人島してる感があるじゃんッ!」
「……とりあえず岩場は無しだ。……いいな?」
「えー……」
そして2人は拠点を岩場ではなく、塩が上がってこない砂浜の場所に拠点を建てる事にした。そしてクリスと響はまず、自分達の荷物の確認をし始めた。
「今回はギャラルホルンでの遭難した時の訓練で無人島にやってきた訳だが……おっさんから聞いたルールは知ってるか?」
「確かシンフォギアの使用はありで持っていける物は3つまでだったよね?」
「あぁ、そうだ。一応緊急時の為のスマホも持ってるしな……てゆーかお前は何を持ってきたんだよ」
「……実はね、クリスちゃん……私はこれを用意しました〜ッ!」
そうして響がリュックから取り出したのは鍋、ザル、小麦粉だった。それを見たクリスはもちろん激怒した。
「おいバカッ!お前今から無人島で生活するって時になんで小麦粉が入ってんだよッ!」
「だって食材は持って行けないし……その間ご飯食べれないんだよッ!なら作るしかないじゃんッ!」
「期待したあたしが馬鹿だった……」
そしてクリスも自分のカバンから持ってきたのを取り出す……中に入れていたのはナイフ、ブルーシート、縄だった。それを見た響はこれを見て率直な感想を言った。
「……クリスちゃん、普通にサバイバル出来そうだね」
「当たり前だろッ!普通はこうだろうがッ!」
「ひぅッ!ご、ごめんなさい……」
やがて2人は一旦落ち着き、今からやる事を決める事にした。そのやる事は拠点での水の確保と拠点作り、食材の確保で分担する事にしたのだ。
「とりあえずは拠点作りと水の確保だ。……で、どっちがやるかなんだが……」
「はいはーいッ!私海で魚取ってくるねッ!」
「待てバカッ!それはあたしの仕事だ」
「えぇ〜ッ!なんでぇ……」
「そもそも、どうやって魚を獲ってくるつもりなんだよ」
「……手づかみとか?」
「お前は熊かッ!」
結局、食材の確保はクリス、水の確保と拠点作りは響が行う事になり、それぞれで別行動となった。
♬
2人が別れて、最初に行動を始めたのはクリスだった。しかし、クリスはとある問題にぶつかっていた……
「……あたしが食材を確保するとは言ったが、このナイフだけじゃ絶対に獲れる気がしないんだよな……しかもあたしは水着も着けてないから下着で潜る事になるよな……この下着お気に入りなんだけどな……」
今のクリスは私服姿でしかも、武器はただのナイフだけだった。そのナイフも百均で買えるようなシンプルなナイフだったのでクリスは悩んでいた。
「マジでどうするか……何かいいアイデアは……ん?そういえばこの前、なんかのテレビで……いい事思いついた。ならこのナイフは要らないな」
そしてクリスは一旦拠点に戻ってナイフを置き、戻ってきたと同時に自分の胸元から赤いペンダントを取り出した。
「確かギャラルホルンでの遭難の訓練なんだよな?なら、別にシンフォギアを使って魚を獲っても大丈夫だよな。Killter Ichaival tron……」
その瞬間、クリスは水着ギアを展開する。しかし、今回の水着ギアの武器は少し違った物で現れた。クリスはそれを片手にニヤリと笑った。
「確かこれは水中銃だったっけな?まぁ、これで今から魚が獲れるな……そんじゃ行くかッ!」
そうしてクリスは海に向かって進んでいく。……しかし、外の気温と海の水温の差では当然──
「冷たッ……だ、大丈夫だ。1回浸かれば……やっぱ冷てぇッ!」
その後、クリスはしばらく浸かっていると段々体も慣れてきたので海に潜った。すると、そこには沢山の魚達が泳いでおり、とても綺麗な景色に映っていた。
(こりゃまた……すげぇな……)
クリスはしばらく潜っていると程よい大きさの魚を見つけた。その魚は少し鮮やかな色をしており、緩やかに海を漂っていた。
(あの魚……よし、少し狙ってみるか……)
そして、クリスはその魚に照準を合わせる……やがて、その照準に狙いが定まった瞬間、クリスは引き金を引いた。
(ちょせぇッ!)
クリスが撃った水中銃のもりは見事にその魚に当たり、魚を獲る事に成功した。クリスが獲った魚はベラと言う魚で東日本ではあまり流通していないが、西日本では高級魚として取り扱われる魚だ。そしてクリスはそのベラについたモリを持って海面に浮上した。
「ぷはぁ……はぁ…はぁ……意外と楽しいもんだな。……次の魚も見つけてみるか」
そうしてクリスはまた次の魚を獲る為に海へと潜って行った……
♬
一方その頃、響は鍋を持ったまま、森の中に入って水の確保に向かっていた……
「はぁ…はぁ……本当に水なんてあるのかなぁ?」
響は必死に森の中を色々歩き回っていたのだが、やはり、水がある場所は中々無かった。
「……一旦拠点に戻ろう」
そして響は水の確保が出来ないまま、とりあえず拠点に戻る事にしたのだが……
「……えっと、帰り道どっちだっけ?」
響は絶賛迷子になっていた。周りは森の中、下手をしたら本当に遭難する状況に響はとても焦っていた。
「ど、どうしよう……このままじゃ私拠点に戻れないッ!一体どうすれば……」
響は辺りを見渡すが周りに使えなさそうな物は無く、上を見上げれば空が微かに見えるだけだった。
「このままじゃ私……な、何か…痛っ!?」
急いで響はこの状況を打破する為に動きだそうとしたのだが、木のツタが足に絡まってコケた。響は直ぐに立ち上がって服の汚れを叩こうとしたら服の中にあるペンダントに気がついた。
「シンフォギア……そうだッ!これなら Balwisyall Nescell gungnir tron……」
そして響は通常のギアを纏った。そして響は自分が持ってきた鍋を持って高く上に飛翔した。飛翔して、響は辺りを見渡すと下は無人島の森の中、周りは一面の海だった。そして見渡した斜め少し前のあたりに自分達の拠点もそこにはあった。
「よしッ!とりあえず拠点は見つけたけど……あれ?これもしかして私……ジャンプしすぎたぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
結局、響は重力の落下で拠点とは少し離れた岩場に落下した。
「痛ったーい……と、とりあえず森の中からは出れたけど……」
響は周りを見るとそこらじゅうに岩が沢山あった。響は疲れたのか、近くにあった岩場の場所に腰を下ろす。すると冷たい何かが響の背中に触れた。
「歩き回って疲れって冷たッ!な、何ッ!?……ってこれもしかして……湧き水ッ!?やったーッ!これで飲み物が確保出来たーッ!!」
響が見つけたのはなんと岩の割れ目から湧き出ている湧き水だった。響はこの幸運に感謝しながらその水を鍋いっぱいに入れて、自分の拠点に戻って行った。
♬
最初に拠点に戻ってきたのは響だった。響はとりあえず水の入った鍋を置いてクリスが持ってきたブルーシートの上に座った。しかし……
「帰ってこれたのはいいけど……日差しが暑いよ〜」
それもそのはず。この日は快晴であり、砂場の近くでもあった為に気温は高かった。その上、それを遮る屋根もない状態では日差しが当たって涼しむ場所が無かったのだ。
「暑い〜影のある場所に移動したい〜……でもクリスちゃんも帰ってきてないし……」
響は少し考えながらこの暑さを何とかする方法を考えていた。なにせ、この暑さの中で過ごすとじわじわと汗をかいて体力を消費するからであった。すると、海の方からクリスが帰ってきた。
「戻ってきたぞー」
「あッ!クリスちゃんおかえり〜ってなんか魚いっぱい捕まえてないッ!?」
「あぁ。ちょっとシンフォギアを使ってな。……そう言えば水の確保は出来たのか?」
「それなら近くの岩場に湧き水が出てる所があったからちゃんとこの鍋に入れてきましたーッ!」
「お、おう……そうか」
そう言ってクリスはブルーシートに腰をかける。クリスが獲ってきた魚達はどれも美味しそうな色をしており、響は口からヨダレが出ていた。
「……」
「生じゃ食えねぇぞバカ」
「わ、分かってるよクリスちゃ……あ、火がないと魚が焼けない」
「……確かに火がないとこの魚食えねぇもんな。……とりあえず乾いた木の枝とか探すぞ」
クリスがそう言うと、2人はそれぞれ分かれて木の枝を拾い集めていた。しばらくして、響とクリスはそれぞれで枝を集めると響はある事にきがついた。
「ねぇ、クリスちゃん……どうやって火を起こすの?」
「……まぁ…その……あれだ。頑張れバカ」
「……もしかして私が火を起こすのッ!?」
「仕方ねぇだろ……あたしは力も持久力もないからな」
そう言ってクリスは乾いた板に綿、真っ直ぐな木の枝を響に渡してブルーシートに座った。そして、響は晩御飯の為に火を起こそうとしていた。
「すぅー……おぉりゃあああああああッ!!!!!」
「……おー…なんかすげぇな……」
♬
そして、響が火を起こし始めて1時間が経過した。あたりは段々暗くなり、月が見えてきた頃。響は……
「おおおおおッ!!!!!」
「……長ぇ……っておいバカッ!煙ッ!」
「おおおおお……って何クリスちゃ……あ、煙だ。……く、クリスちゃん火種ッ!何か燃える物ッ!」
「お、おうッ!」
そしてクリスが綿を火種に近づけて火をつけると、その綿は燃え始めた。そしてクリスと響は急いで木の枝をどんどん入れていく……
「や、やっと火がついたよ〜」
「そうだな。お疲れ……ってそうだった……そろそろこの魚を焼かないとな」
「ねぇねぇクリスちゃん」
「なんだよバカ」
「魚って鱗を取った方がいいよね?」
「…………」
♬
そして、夜……あたりも暗くなり、焚き火だけがその周囲を照らしていた。そして、その焚き火の近くにはしっかりと火が通った焼き魚が完成していた。
「……く、クリスちゃん……まだかな?もう私、我慢出来ない……」
「……まぁ、大分魚にも火が通ったからな。そろそろい「いただきますッ!」おいッ!……はぁ……」
「ん〜美味し〜ッ!」
響は焼き魚をしっかりと噛みしめながら美味しそうに食べていた。クリスも焼き魚を食べ始める。……しかし、クリスの場合は少し違った。
「確かにうめぇ……けど、なんかちょっと物足りないな……」
「〜♪……あ、そうだった。これで更に美味しいんだよね〜」
すると、響が食べるのを一旦やめてとある物を焚き火の中から取り出した。それはほとんど黒焦げ状態の竹の筒だった。
「クリスちゃん、ちょっとナイフ貸してッ!」
「おいバカ……その黒焦げの竹はなんなんだ?」
「ふっふっふ……実はこの中に海水を入れて塩を作ってましたッ!ほら見てッ!ちょっと焦げてる所もあるけど、ちゃんと塩だよッ!ほら、舐めてみてッ!」
「……確かに塩だな。ちょっと魚にかけてもいいか?」
「もちろんだよッ!クリスちゃんッ!」
そうして、クリスは焼き魚に塩をかけて再びその焼き魚に食べ始める。すると、その焼き魚はまた一段と変わった美味さを引き出していた。
「……やっぱり魚は塩がうめぇな」
「そうだね。クリスちゃんッ!……でも、せめて魚を綺麗に食べようよ……」
「わ、分かってるよッ!」
そして、響とクリスは焼き魚を食べ終わり、その間クリスはじっ……っと焚き火を見ていた。クリスはその焚き火を見る時間が意外と心地よく、静かに見ていたのだが……響が何やらゴソゴソして何かをし始めたのでそれが気になって仕方なかった。
「……」
「えぇっと……まずは小麦粉に…水、塩を入れて混ぜる……」
「…………」
「その後はしっかりコネて……んしょ……んしょ……」
「…………ッさっきからなにをしてんだよッ!気になるだろうがッ!」
「ッ!?……び、びっくりしたぁ……クリスちゃん、私はね?……ご飯が食べたいんだよぉッ!だからこうやって生地から作ってるのッ!」
そう言って、響は再び生地を練り始める。その時の響の目はとても真剣な表情をしていた。そんな姿を見たクリスは……
「……お前、本当にご飯好き過ぎだろ……」
ただ、呆れるしか無かった。
♬
そして、響がチネリ米の生地を練り始めて少し経った頃、クリスはその間ずっと星空を見ていた。
「……無人島は星が綺麗だな……」
「クリスちゃ〜ん……」
「ん?……なんだ?もしかして終わったのか?」
「いや、まだだけど……その、出来ればお願いがあって……」
「……なんだよ」
「お願いしますッ!チネるの手伝ってくださいッ!じゃないとこのままじゃ朝になっちゃうよぉぉぉッ!!」
そう言って、すがりつく響。クリスはそんな響を見てただ一言……
「……嫌だ」
「そ、そんなぁ………………で、でもッ!クリスちゃんだって朝はご飯が食べたいでしょッ!」
「あたしはパン派だ」
「うぅ……やっぱりダメかぁ……」
そうして、響はしょんぼりしながら生地をチネり始める。そんな響を見てクリスはしばらく何もせずに見ていたが……
「……だぁッ!やればいいんだろッ!やればッ!」
「ッ!!本当ッ!クリスちゃんありがとうッ!」
「だから抱きつくなってッ!」
その後は、クリスも加わって響とクリスは残りの生地をチネリ米にしようと一生懸命にチネっていた。そして、1時間を過ぎた頃……響は生地をチネりながらクリスに話しかけてきた。
「……なんか、こうやってクリスと一緒に何かやるって新鮮だね」
「……まぁ……そうだな。……昔は敵同士だったってのにな……」
「そう言えばそうだったね……所でクリスちゃん。あの時って、ネフシュタンの鎧着てたよね?その……了子さんもそうだったけど、恥ずかしく無かったの?あれ痴女みたいだったよ?」
「なッ!?は、恥ずかしいに決まってんだろッ!それにあたしは痴女じゃねぇッ!」
「え?でもクリスちゃん、あの時アーマーパージっていいながら裸に「無駄口をたたくなら今すぐあたしのイチイバルで……」じょ、冗談だよ……クリスちゃん……」
その後も響とクリスはお互いの過去に起こった出来事を話しながら作業をして、2時間後……響とクリスは遂にチネリ米を完成することが出来た。
「で、出来たぁぁぁ……」
「……もう終わりだ。あたしは寝る……」
「うん……私も眠い……」
そして、クリスと響はそのまま完成したチネリ米を空の鍋に入れて、ブルーシートに横になって2人は死んだように深く眠った……その日の時刻は……深夜の2時を迎えていた……
♬
「……んぅぁ…んん…ゃあ…………ん?朝か?」
そして、次の日……最初に目覚めたのはクリスだった。なぜ、最初にクリスが目覚めたのには理由があった……
「えへへー……もう食べられないよぉ……むにゃむにゃ……」
「……このバカ……あたしの胸を食べ物か何かと勘違いしてやがる……」
「……でっかい……マシュマロ……」
「……おいバカッ!いつまでもあたしの胸を触ってないでさっさと起きろぉぉぉぉぉッ!!!!!」
「ッ!?痛ッ!……んぅ……おはようクリスちゃん……でも叩いて起こさなくても……」
「いいからさっさと顔を洗うぞバカ」
そして、クリスと響は1度湧き水が出ている場所に行き、顔を洗う。その後、2人は拠点に戻ると、朝ごはんの準備を始めた。
「ご飯〜♪ご飯〜♪」
「……朝から元気がいいな……」
「いやぁー……だってチネリ米だよ?私達が頑張って作った米だよッ!楽しみに決まってるじゃんッ!」
「……まぁ、そうだな。確かに楽しみだ」
そして、響はチネリ米をザルに入れて茹で始める……6分後、鍋からザルを出して水を切ると、チネリ米は完成した。……したのだが、あることにクリスは気がついた。
「やっ…………と出来たぁぁぁぁッ!クリスちゃん早く食べようよッ!」
「……なぁ、1つ聞いてもいいか?」
「何?クリスちゃん」
「この米、どうやって食べるんだよ……」
「………………」
こうして、2人の無人島生活は終わりを告げた……結局あの後は迎えの船がくるまで響はチネリ米にありつけなかった。また、クリスも頑張っていたので少しガッカリしていた……。
……ちなみに船で貸してもらったスプーンで食べたチネリ米は美味しかったとの事……
〜[完]〜
正直、黄金伝説が戻ってきて欲しいと感じたよ……。そして……響とクリスは最高。byマッカーサ軍曹