アーマードコア~空のない世界で~   作:PlusⅨ

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capture5 狩るもの、狩られるもの

 最強の傭兵、紛争の代行者、企業から独立して存在できる唯一の存在。

 

 レイヴン。

 

 レイヴンになるために必要な条件はそれほど多くは無い。

 

 身長・体重・その他身体的特徴・年齢に至るまで一切の制限は無い。

 

 レイヴン選定試験に参加するための、その資格はただ一つ。

 

 その試験に必要な一切合切の費用を支払うことだけ。しかし、その額は実に莫大である。

 

 それにも関わらず、試験希望者は後を絶たないという。

 

 レイヴンとはそれほどまでに魅力的な存在なのである。

 

 だが、その選定試験に合格するものは当然ながらごく僅かだ。

 

 とにかく、この試験を突破するのは非常に困難を極めた。

 

 実際のところ、選定試験の内容は実に単純ではある。

 

 指定された一定エリアの中、一定の数の敵と戦い、一定の時間内まで生存し続けること。

 

 たったの、これだけである。

 

 単純ゆえに困難。

 

 単純ゆえに、恐ろしい。

 

 受験者にはまず一機のACが与えられる。

 

 だが、ACの操作方法などのレクチャーなど無い。全て受験者任せ。これが第一関門。

 

 操作はMTに準ずるとはいえ、性能も使用目的もまったく違う代物である。ほとんどぶっつけ本番だ。

 

 やがて現れるのは二体のシュトルヒ。

 

 無論、実弾武装である。

 

 そして始まる試験は、紛う事の無い殺し合いだ。

 

 当然のことながら、下手をすれば死ぬ。

 

 だが、実はこの時点で不合格=死ぬ受験者はほとんど居なかったりする。

 

 合格条件は生きてさえいれば良いのだ。

 

 たとえどんなにズタボロになろうとも、シュトルヒが倒せなくとも、不合格ではない。

 

 まして試験用とはいえ、ACの装甲は二体のシュトルヒ程度に撃ち破られるほど脆くは無い。

 

 受験者の大半は、シュトルヒを破壊することに成功する。

 

 だが、これで終わりではない。

 

 当然すぐに下されるはずの、試験終了の合図は無い。

 

 受験者は訝しく思う。

 

 条件は満たしたはずなのに、何故だ。

 

 指定された一定エリアの中、一定の数の敵と戦い、一定の時間内まで生存し続けたのに何故だ。

 

 勘の良いものはやがて気付く。

 

 そして同時に身震いする。

 

 確かにここは指定された一定エリアの中だ。

 

 しかし、“一定の数”の敵とは、どれだけの数なんだ? 

 

 “一定の時間”内まで生存し続けることとは、何時間先のことなのだ?

 

 やがて再び目の前にシュトルヒが現れる。

 

 幾つも、幾つも。

 

 いつまでも、いつまでも。

 

 ACが破壊され、命からがら機体から脱出しても、まだ続く。

 

 シュトルヒたちは執念深く、受験者たちを狩り立てていく。

 

 受験者たちは、まるで肉食獣に怯える小動物のように、必死に逃げ回る。

 

 果てしなく長い、その一定時間の間を、ひたすら逃げ回る。

 

 生き延びて、レイヴンとなった者たちは皆、口々に言う。

 

 あれこそ、地獄。

 

 

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