【悲報】刹那の妹に転生したけど双子の片割れが一方通行な件について 作:篠原えれの
一通り情報交換を終えたロックオンとミヤからは深いため息が聞こえた。主にそのため息はロックオンからである。彼女から教えて貰ったことの方が多かったからというのもあるが、警戒心丸出しだったのが恥ずかしいぐらい、ミヤという少女は良い子だった。
所謂、嫌われ系の主人公になる可能性もあったロックオンは、刹那の妹という単語だけで半分ぐらいこの世界に絶望していたが、そんなものがどうでもよくなるぐらいとんでもない単語が彼女の口から出てきた。
『
それはまぁ、知らないと言えば嘘になる。ロックオンだって、前世では普通にオタクをやっていた社会人だ。しかもその作品は全部追っかけていた。
ミヤ・イブラヒムの会話は止まらない。
『えーと、それから転生者専用掲示板って知ってます?SAOみたいにこう空中でS字を描いたら開けるんですけど』
言って普通に転生者専用掲示板の画面を開くんじゃないとロックオンは思った。ロックオンはミヤのように何か特殊能力がある訳じゃない。あるのは原作のロックオンと同様の射撃力とガンダムを動かすための技術、原作知識ぐらいだ。間違いを起こさないように危機を回避するぐらいしか、彼には力が無い。当然、神にも会っていない彼は転生者専用掲示板の存在なんて知る訳もなく。
「分かった、俺の降参だ。お前に協力してやる。で、もうスレは立ててるのか?」
『やった。あなたとは仲良くなれるって言う予知を信じてよかったです。スレ立てはこれからです。刹那と仲直りしてからスレ立てしたくて』
「そうか。まぁ、別にいいぞ」
『それから、ロックオンってコードネームですよね。なるべくこっちではロックオンって呼ぶようにするので、スレではニール兄貴って呼んでもいい?』
「唐突だな。なんだ、俺のHNがロックオンじゃなくて本名コテハンにするのも予知で分かったか」
『うん。あと、私の予知が正しければ多分、とあるシリーズのみんなが何人かこっちに来てると思うんだよね。その確認のためのスレ立てでもあるかな』
ミヤはさらっと今後起こり得るだろう未来を次々に話していく。
この時には既に、上条当麻やインデックス、御坂美琴がこの世界に存在する可能性が高いことをミヤの予知は警告していたが嘘だぁと彼女は水に流していた。
同時に、攻殻機動隊のメンバーがこの世界に存在する可能性も何故かこの時上条当麻の件と一緒に浮上していたのだがミヤは予知が間違ってるかもしれないと考えて水に流した。
「....来ていなかったらいいな」
『私の予知が外れてたらいいね。なんか、御坂美琴がわりと可愛そうなことになる予知が出てるんだよね。しかも、この予知は私達とずっと敵対することになるパターンの予知だよ』
「マジか。ほんとに、外れてたらいいなそれは。もし
『色んな世界の掲示板が乱立してるから、この世界だけの掲示板を探すのは難しいと思うけど、うん。お願いします』
そう言って、この日の会議自体は解散することになった。ロックオンはまだあれこれミヤと会話したかった様子だがその前に食事の時間が来たのと、先に刹那と仲直りしたいと言うミヤのやりたいことを優先した。
◼
ミヤから話を聞けば、刹那とはあの家族殺しの一件以来音信不通だったらしい。刹那が無慈悲に放った銃撃を、前世の記憶が一瞬だけ戻った
刹那は家族を殺していなかった。
反射を使った
研究者達は双子を使った人体実験をしたかった。しかもアルビノだ。喉から手が出るほど欲しかったに違いない。
そして、彼等が双子を誘拐した。この世界において、イブラヒム家の家族を殺したのは刹那ではない。紛れもなく人革連の研究者達だった。
ミヤも暗示が解けたのは、前世の記憶を思い出してからだ。そのせいで暗示にかかっていたという自覚は今もない。
『お兄ちゃん』
誰に聞いても刹那の居場所が分からなかったので、ミヤは偶然を装って予知能力で刹那の居場所を探しだした。うっかり刹那と呼び止めそうになったミヤであるが、前世の記憶を思い出す前のミヤは二人の兄達のことをしっかりお兄ちゃんと呼んでいた。
その辺を間違えると特に察しのいい二人はミヤに違和感を覚える可能性がある。それに、名前で呼ぶならミヤは刹那というコードネームよりもソランという本名で彼を呼び止めるはずだ。前世でもどちらかと言えば妹属性であったミヤは、ミヤのためにもミヤをきちんと演じた。
「.........」
刹那はミヤの方を見るなり、諦めた様子でそばを離れる。予知によると刹那は謝罪の意思こそあれど、面と向かってミヤと話せるほど当時のことをまだ克服できていない様子だった。刹那はまだ、家族を殺したのは自分だと思い込んでいる。ある程度は王留美からミヤが話したことを聞いているとは思うがそれでも自分を攻め続けていた。それは何故かミヤもそうで、前世の記憶を取り戻さなかった場合、ミヤが刹那にあれこれ質問攻めする光景がミヤには見えた。だから、予知のようなことを起こしてしまう前にイブラヒム家の本当のことを知る前世の記憶を思い出したミヤは刹那をもう一度呼び止めた。
『お兄ちゃん、まって!昨日はいきなり叩いてしまってごめんなさい!』
その声がようやく刹那に届いた。こちらが悲しんだり怒ったりしていないのが分かると刹那は少し安心した様子だった。
「そんなことなら別に気にしていない。むしろ謝らないといけないのは俺の方だ。俺の方が配慮が足りなかった。すまなかった。」
刹那も謝罪の言葉を口にする。相当思い詰めている様子で、自分が過去にした過ちと何度も向き合っていた様子だった。どうしようもない過去に、どうすれば解決するのか分からないまま突然生き別れの兄弟の生存を告られる。刹那の言葉は少し震えていた。
「俺は家族に会う資格も、お前に会う資格も何も無い。俺ができるのは謝罪しかない。もう一度言わせてくれ、あの時お前達を殺そうとしてすまなかった。」
『お兄ちゃん...』
「俺は、戦争を根絶するためにソレスタルビーイングに入った。俺は世界を変えるために此処にいる。謝罪もなく、先にお前に色んなことを聞こうとしたこと本当に、すまなかった」
言って、少しだけ頭を下げた後刹那はその場を後にした。ミヤの話を聞かずに。これでは到底和解したとはあまり言えないだろう。刹那を傷つけたままである。ミヤは言葉に悩みながらも刹那を追いかける。
『まって、お兄ちゃん!』
走って、ミヤは刹那を離さない。私の話も聞いてと、ミヤはまず前世を思い出してなかった頃の自分の気持ちを代弁した。
『あのねお兄ちゃんーー.....私は、ソランお兄ちゃんと話せないことがずっと怖かったの。私はあの時話せる相手がセラお兄ちゃんしかいなかったから。』
「....俺は、二人が生きていることすら知らなかった」
『うん。ずっと、離れ離れだった』
ミヤは刹那の話も聞きながら会話を続ける。
『あの状況を利用して、最も得をしたのは人革連の研究者達だった。ソランお兄ちゃんが全部悪い訳じゃない。悪いのは戦争に私達家族を利用した大人達。だからね、お兄ちゃん。私も戦う。戦争を根絶するために、ソレスタルビーイングの一員として。それから、セラお兄ちゃんを人革連の人達から助け出す』
これが私がずっとソランお兄ちゃんに話したかったこと。そうミヤは刹那に話した。刹那はミヤの言葉に納得したように、一つの悩みを解決したように決意を固めた表情をする。
「今度こそ、俺は間違えない」