楽しんで頂けたら幸いです。
ーーCIRCLE
「まりなさん、こんにちは!スタジオ空いてますかー?」
「みんな、いらっしゃい。ちょっと待ってね〜…。…うん、空いてるよー。」
あある日の昼下がり。いつものようにCIRCLEで受付をしていると、Poppin’Partyのみんながやってきた。今私に声をかけてくれた子がリーダーでギターボーカルの戸山香澄ちゃん。今日も元気いっぱい、まさに星のカリスマである。
「でも珍しいね?いつもは有咲ちゃんちの蔵で練習してるんだったよね?」
「そうなんですけど、今ばあちゃんの荷物を置いてて、それでちょっとスペースがきつくなっちゃって。」
あそう言って私の疑問に答えてくれたのが市ヶ谷有咲ちゃん。Poppin’Partyのキーボード担当だ。
…ちなみに背は低くて可愛らしいのに、私よりも大きい…。
「そうだったんだ。…あっ、それじゃあついでにみんなに紹介したい人がいるんだけどいいかな?」
「紹介したい人…、ってどんな人ですか?」
あこの子はベースの牛込りみちゃん。私と違って、おっとりしていてとても可愛らしい。私もこんな風なら恋人ができるのだろうか…。
「もしかして、まりなさん結婚するの?」
「「「「えぇっ!?」」」」
「うっ…。ざ、残念だけどちがうよ〜?というか、今まで誰かと付き合ったこともないし…。」
あ今私の心を呼んだかのようにダメージをあたえてきたのが花園たえちゃん。綺麗な黒髪ロングの女の子で一見すると「ザ・大和撫子」という感じだが、今のように天然な部分が多々見られる。悪気は無いのだろうが、私のような彼氏いない歴=年齢な大人にその話題はタブーである。
「びっくりした…。それじゃあまりなさん、その人ってどんな人なんですか?」
あそして、この子がPoppin’Partyのドラム、山吹沙綾ちゃん。商店街にある山吹ベーカリーの娘さんで、その有り余る姉力からPoppin’Partyの保護者的存在(私調べ)となっている。
「今日からここで働く新しいスタッフなんだ。…初めは少しびっくりするかもしれないけど。」
「「「「…??」」」」
あ私の意味深な物言いにポピパのみんなが揃って首を傾げる。仲良いなぁ。
そんなことを考えていると、ポピパの後ろから突然声が聞こえた。
「…まりなs「きゃぁ!?」…すみまs「な、なんだ!?どうしたりm、って誰だ!!?」…あの「えぇ!?ほんとだ!!?誰この人!?」…すみ「全然物音がしなかったんだけど!!?」…えっと「凄い。どこからでてきたの?」…いや、どこからというか…。」
あ彼の突然の登場に驚いてしまったのかポピパのみんな(たえちゃん以外)はパニックとなってしまっていた。
「待って、みんな。その人が今言ってた新しいスタッフだよ。 ていうか、刀華くん?気配消して背後に回っちゃダメって言ったでしょ?」
「… すみません。」
「…え、この人が新しいスタッフさんですか?」
「うん。実はそうなんだ。みんな驚かせちゃってごめんね。」
あ私はそう言って謝るが、みんなまだ混乱しているようでりみちゃんに至っては腰が抜けてしまっている。それはそうだ。いきなり自分の背後から身長180後半の男性が現れたのだから。私もかなり慣れたが、それでも気を抜くとすぐに驚かされてしまう。
「刀華くん、こちらはPoppin’Partyのみんなだよ。手前から順に戸山香澄ちゃん、市ヶ谷有咲ちゃん、牛込りみちゃん、花園たえちゃん、山吹沙綾ちゃん。CIRCLEの常連さんなんだよ?だから、刀華くんも自己紹介して。」
「…わかりました。」
あそう言って彼はポピパへ向き直ると、ぺこりとちょうど腰が直角になるまで頭を下げて、自己紹介始めた。
「…
「「「「「「…………?」」」」」」
「……?」
「…それだけ?」
「…?…はい。」
あ何か問題でも?と言いたげな顔で私を見てくる刀華くん。…いや、ダメとは言わないけど。
「えっと…、面白い人ですね…?」
「いや、面白いっていうか…。」
「変わってるね。」
「いや、おたえは人のことあんまり言えないからな。」
「…?」
あみんな見事に戸惑っている。ここは年上として私がフォローしなければ…!
「そ。それはそうと、りみちゃん大丈夫?腰抜けちゃったみたいだけど。」
「あっ、すみません…。そのびっくりしちゃって…。」
「だよね?ほら、刀華くん、ちゃんと謝ってあげて!」
「…わかりました。」
あよし、これで刀華くんがりみちゃんに謝ってそこからみんなと会話を広げてくれたら万事解決だ。私えらい。がんばった。
「…先程は、すみませんでした。」
「あ、その…大丈夫ですよ?私の方こそすみません、大きな声出してしまって。」
あうんうん、順調順調。
「…とんでもありません。…立てそうですか?」
「えっと…、ちょっと腰が抜けちゃって…。みんなは先に行ってていいよ?少し休憩したら私も行くから。」
あどうやらりみちゃんはまだしばらく立てないようで他のみんなに先に行くように提案した。
「それなら、あそこのテーブル使って。刀華くんは責任をもってあそこまで行くの手伝ってあげて。」
「…わかりました。」
あそう返事を返した刀華くんは再びりみちゃんに向き直った。
「えっと…、すみません、星守さん。」
「…自分がまいた種ですので。」
「ありがとうございます。それじゃあ、少し肩を「…失礼します。」えっ、…きゃぁっ!?、」
「「「「ーーーっ!!?」」」」
あそして、りみちゃんの言葉を遮った刀華くんは、りみちゃんを横抱きにして持ち上げて………、
………って、ちょっと!?
「ちょっ!?おまっ!?りみに何してんだよ!!」///
「わぁ!私、お姫様抱っこ初めて見た!」
「私も。りみ、お姫様みたい。」
「わ、私も初めて見た…。」///
「〜〜っ!!?」///
あ突然の出来事に再びポピパはパニック状態になってしまった。というか、私もお姫様抱っこを生で見るのは初めてだ…。/// あんな感じなんだ…。/// あっ、スカートがめくれないようにちゃんと刀華くんの上着がりみちゃんの腰周りに巻いてある…、いつの間に。あと、りみちゃん大丈夫?真っ赤になったまま一言も話さないんだけど。
「…着きました。…牛込さん、下ろしますね。」
「…えっ、…あ、あのっ…。」///
「…それから、こちらを。」
あ刀華くんはそう言うと、いつの間にか手に持っていた水をりみちゃんに差し出した。
「…あ、ありがとう、ございます…。」///
「…いえ。」
あ最後にそう言うと、刀華くんはりみちゃんから離れて私のもとへ戻ってきた。そして、刀華くんと入れ違いになるようにりみちゃんのもとにはポピパのみんなが集まって行った。
「りみ、大丈夫だったか?」
「いきなりだったね、私びっくりしちゃった。」
「でもりみ、本当にお姫様みたいだった。」
「たしかに。って、りみりん? 大丈夫?」
「………。」///
あポピパのみんなからの声が一切耳に入っていないのか、りみちゃんは頬を赤く染めて刀華くんの方へ熱い視線を向けていた。これってもしかしなくても、りみちゃん……。
「刀華くん。」
「…はい。」
あそれだと言うのに、当の本人は全く無自覚なようで…。まさか刀華くんが天然タラシだったとは。
まぁ、たしかに刀華くんは、背が高いし、顔立ちもかなり整ってる。そんな人にいきなりお姫様抱っこなんてされちゃったら、特に、花の女子高生は意識しちゃうよね。…なんて、ちょっとおばさんっぽいのかな…?
「これからは、いきなりあんなことしちゃダメだよ?」
「…?…わかりました。」
あ…これ多分分かってないやつだ。
私は何故かそう確信した。
追記、
結局その日、りみちゃんはずっと刀華くんを見てました。