この素晴らしい侠客立ちに祝福を   作:単三抜き電池

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ようやく戦闘です。長々お付き合いありがとうございました。


第三撃 クエスト

花山、ウィズ、ゆんゆんの3人はアクセル郊外の森まで来ていた。

 

目的はマンティコアとグリフォンの討伐。

 

この二体が縄張り争いをしているので何とかしてほしいというクエストだ。

 

「いました!グリフォンです!……幸い今は一匹だけですね、このまま各個撃破と行きましょう!」

 

上空を旋回しているのは、ライオンの下半身に鷲の上半身が生えたモンスター。

 

「私が魔法で撃ち落とします!ハナヤマさんとウィズさんは落ちてきたところを……」

 

「ゆんゆんさん、危ない!」

 

初のパーティーでのクエストということもあり、ゆんゆんは少々浮かれていた。

獰猛な生物の前で背を向けるという、いつもなら絶対にしないであろう行為を、気の緩みからしてしまったのだ。

 

そんな隙をグリフォンが見逃すはずもない。

 

グリフォンは猛禽類特有の急降下でゆんゆんに迫る。

 

「(どうしよう…!避ける?魔法を打つ?間に合わな――)キャッ!?」

 

反応したのは花山だった。彼はゆんゆんの襟首をつかむとウィズの方へ放り投げる。ウィズはゆんゆんを受け止めたが、グリフォンの鉤爪は花山の眼前に迫っていた。

 

「ハナヤマさんッ!!」

 

ウィズが叫ぶ。土煙をまき散らしながら、グリフォンが花山にぶつかっていく。やがて煙が晴れ、彼女らの目に飛び込んできたのは……。

 

「「~~~~~ッ!!」」

 

手四つ。人間同士ならそう表現されるだろう。花山はグリフォンの両の鉤爪を両手で各々しっかり受け止めながら、10mほど引きずられたところで攻撃を受け止め切っていた。

 

 

 

グリフォンは混乱していた。

 

ここに自分の敵はマンティコア(あいつ)しかいないはずだ。

 

こんなサイズの奴らなんて相手にもならないただの餌。

 

であるにもかかわらず。

 

自分よりはるかに小さいこの雄から、グリフォンのDNAが感じたものは――

 

山のように大きな(こんな感じの)出会ったこともない天敵(バケモノ)――。

 

 

ミシミシ……

 

 

掴まれた鉤爪が、徐々に圧迫される感覚。

 

強者として生まれ、戦いではなく『狩り』に用いてきたからか。グリフォンは自らの鉤爪に起こる異変に気付くのが一瞬遅れた。

 

 

バキャッッ!!

 

 

自慢の武器が、無残にもひしゃげた。

 

解放された両足に激痛が走る。情けない悲鳴を上げながらもグリフォンは再び空へと飛んだ。

 

彼を突き動かしたのは『怒り』だった。

 

グリフォンにとって、自分以外のすべてが『餌』のはずだった。マンティコア(あいつ)だって、いずれは餌になる。本気でそう思っていた。

 

だからこそ許せない。

 

この小さな雄は餌にならないどころか、鉤爪を折り、痛みを与えてきた。

 

長らく王者として生きてきたグリフォンの怒りに火が付いた。

 

 

 

 

一緒にクエストに出ていた魔道具屋の店主は語る――。

 

「グリフォンが上空へ飛んだんです、……最初は逃げたかと思いました。」

 

「でも違いました。嘴を向けてハナヤマさんに突っ込んでいったんです。」

 

「一撃で仕留めようと思ったんでしょうね、それはもうすごい速さでした。」

 

「ハナヤマさんですか?彼は全く逃げようとしなかったというか……。」

 

「なんというかこう……遠投?」

 

「もう全部体重乗せて、真正面からスッコーンて」

 

「自分の頭がおかしくなったのかと思いましたよ、グリフォンの必殺の一撃にパンチをぶつけたんですから。」

 

「普通死にますよ、あんなことしたら。」

 

「ゴッチャっていうか、ガッチュっていうか……」

 

「私、最初壊れたと思いましたよ、ハナヤマさんの腕。」

 

「グリフォンは自分でつけた勢いが仇になったんでしょうね……。」

 

「壊れたのは嘴の方で、そのまま口内に入った拳が後頭部まで貫通してました――。」

 

 

 

壮絶な雄同士の戦い。

 

それを制した小さな雄は、左手を引き抜くと赤く染まったスーツもそのままにウィズとゆんゆんのところまで歩いてくる。

 

「……すごい……。」

 

どちらが呟いたのか。彼女らの胸に憧れのような、感動のような思いが去来していた。

 

――こういう強さもある。

 

彼女らは一つため息をつくと、いつの間にか握っていた拳を開いた。

 

「あの、ハナヤマさん!」

 

ゆんゆんが勢い良く立ち上がる。

 

「残りの一体の討伐、ハナヤマさんは見ていてもらえませんか!?……私、ハナヤマさんに見てもらいたいんです!私の戦いを……ッ!」

 

決意のこもった目でゆんゆんは訴える。すると、魔法で花山のスーツを洗浄していたウィズも名乗りを上げる。

 

「あの~、私も参加していいでしょうか。……その、昔の血が騒いでしまって……。」

 

「……ガンバってきな」

 

ゆんゆんもウィズも見かけによらず血の気が多い。花山の戦いを見て興奮した彼女らが二戦目のメンバーに決まった。

 

 

 

マンティコア。

 

人の顔に獅子の胴体、サソリの尾を持つ怪物である。

高い攻撃性と魔力耐性を持ち、並の冒険者ではまるで歯が立たない相手だ。

 

だが今回は相手が悪かった。

 

アクセル屈指のアークウィザードに、かつて氷の魔女と恐れられたリッチー。

 

マンティコアに魔法の嵐が降り注ぐ。離れたところで見ている花山も、初めて見る魔法に少々興奮した。

 

「『カースド・クリスタルプリズン』!」

 

「『ライト・オブ・セイバー』!!」

 

戦いの末、氷漬けにされ首を切り落とされた獣はその命を終えた。

 

「すげぇもんだな、魔法ってのは。」

 

「ハナヤマさんの拳に比べたら大したことはないですけどね。」

 

戦いの後、ゆんゆんに回復魔法をかけながらウィズは答えた。ちなみにウィズは全くの無傷である。

 

「ハナヤマさん、お願いがあります!」

 

あちこちにあった小さな切り傷が消えた後、ゆんゆんは花山に向き直った。

 

「次からもまた一緒にクエストに行っていいですか!?」

 

「好きにしな。」

 

ゆんゆんの頭に手を置くと、花山は短くそう言った。

 

ウィズと顔を見合わせ、綻ばせたゆんゆん。

 

こうして花山の初クエストが終わり、初めてのパーティメンバーが出来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ゆんゆんがぼっちじゃなくなりました。よかったね。

とりあえず戦闘話数まで連投。今後は週1,2くらいで投稿したいですね。
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