異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常~   作:九十九一

122 / 469
※ 例によって細分化を図っています。


121件目 再び……

「あぁ~……疲れたぁ……」

 

 家に着き、自分の部屋に入るなり、ボクはベッドにダイブしていた。

 

 今日はすっごく疲れた。

 

 なにせ、あんなに恥ずかしい格好で応援したり、とんでもない障害物競走で、かなり体力と精神力を持っていかれ、二人三脚では大惨事になり、美天杯では、すっごく怒った。

 

 そのおかげで、もうへとへとです……。

 

「それにしても……なんだか、変なのも出てきちゃったし……」

 

 ブライズ、だっけ?

 

 師匠曰く、仮説では、担当の神がいなくなった世界からきた何か、って言う話だけど……。

 

 また、神様ですか。

 

 やっぱり、この世界にも、神様っているのかな?

 いる、んだろうね。少なくとも。

 

 どういう神様かは分からないけど、ミレッドランドを管理していたような、軽い神様じゃないといいんだけど……。

 

「ん、ん~……それにしても、眠い……」

 

 精神的に疲れたのか、強い睡魔がボクを襲っていた。

 むぅ……ぼーっとする……。

 

「と、とりあえず、夜ご飯だけでも食べよう……」

 

 軽く頬を叩いて眠気覚まし。

 あまり効果はなかったけど、気休めにはなった。

 

 

 その夜。

 

 強い睡魔を感じながらも、夜ご飯を食べ、お風呂に入るという、ルーティンをこなし、再び部屋へ。

 

「う……」

 

 ベッドに近づくと、足元がおぼつかなくなってきて、そのままベッドに倒れこんでしまった。

 

 そのままだと風邪をひくと思い、なんとか布団に入る。

 

 すると、抗えないほどの強烈な睡魔が押し寄せてきて、そのまま深い眠りに落ちて行った。

 

 落ちる寸前、どこかで感じたような感覚と思ったが、深く考える前に落ちてしまったので、よくわからなかった。

 

 

 そして、翌朝。

 

「ん、ん~……さ、さむぃ……」

 

 目が覚めると、ものすごく寒かった。それに、スース―した。

 

 ……同時に、嫌な予感もした。

 

 う、うーん? なんで、パジャマが散乱してるんだろう?

 

 それから……妙に声が高くなってるような……って、まさか!

 

 慌てて起き上がって、姿見の前に立つ。

 

 そこには……

 

「ま、また、ちっちゃくなってるよぉ!」

 

 小さくなったボクが映っていた。

 

 それを見た瞬間、ボクは、がっくりとうなだれ、床に手をついて四つん這いになっていた。

 

 ……ちなみに、今は裸です。すっぽんぽんです。

 

「依桜~、おきなさ――」

 

 そう言いながら入ってきたのは母さんだ。

 母さんは、扉を開けて、四つん這いになっているボクを見るなり、

 

「きゃあああああああ! 依桜ってば、またちっちゃくなったのね!」

「むぎゅっ!」

 

 朝からハイテンションでボクを抱きしめてきた。

 う、く、苦しぃ……。

 

「可愛い! 本当に可愛いわよ、依桜!」

「んっ、んむー! ぷはっ! か、母さん、く、くるしいよぉ」

「あら、ごめんなさい。ついね」

「もぉ……」

 

 ついで抱きしめないでほしいものです……。

 この姿になると、身長もさらに低くなって、色々困るんだもん。

 

「それじゃあ、お母さん、朝ご飯とお弁当作ってるから、すぐに着替えて降りてきなさいよー」

「う、うん」

 

 にこにこ顔で母さんが部屋を出て行った。

 

「はぁ……このすがたは一度っきりで、もうないとばかり思ってたのに……」

 

 亜人族になったのは、ハロウィンの時で、三週間前くらい。

 あれを含めたら、二回しか、小さくなってなかった。

 だから、てっきりあれで最後とばかり思っていたのに……この姿。

 

「おーい、イオー。準備はできて――は?」

 

 少し気怠そうな師匠がボクの部屋に入ってきた。

 そして、ボクを見るなり、硬直してしまった。

 

「あー、お前は……イオ、なんだよな?」

「……そ、そうです」

「……あれか? 以前言ってた、体が小さくなるって言う、呪いの追加効果」

「……そうです」

「そうか……そんな感じか……。可愛いな」

「えっ?」

「小さくなるということは聞いていたが、まさか、こんな姿とはな……。ちょうど、普段のお前をそのまま幼くした感じだな」

 

 なんだろう。師匠の雰囲気がちょっと柔らかいような……?

 それに、声音も少し、軽い? 寝起きなのに。

 

「まあいい。話は後だな。とりあえず、さっさと服を着ろ」

「……そういえば」

 

 うなだれていただけで、全然着替えてなかった。

 

 ……でも、見ているのが師匠だからか、全然恥ずかしくない。

 あれかな。

 修業時代中に、お風呂に入っている時とか、『感覚共鳴』で散々覗かれてたからね……。

 

「そんじゃ、あたしは先に行ってるからなー」

「あ、はい」

 

 とりあえず、ボクは着替えた。

 ちなみに、ミニサイズの制服はぴったりでした。

 

 

「で? その状態だと、どんな不便がある? あと、身体能力の違いは?」

 

 朝ご飯を食べた後、ボクは師匠と一緒に登校していた。

 歩いていると、師匠がそんなことを尋ねてきた。

 

「えっと、このすがただと、三分の一くらいにまでおちます」

「なるほど。外見だけじゃなくて、身体能力も低下する、と。ふむ。なかなかに難儀な体質になったな」

「……師匠のせい、ですけどね」

「ハハハ! まあ、仕方ない!」

「……はぁ」

 

 こんなもんですよ。

 師匠に言ったところで、何かが変わるわけじゃないですしね。

 分かってましたよ。わかってました。

 

「まあいい。それ以外は特に問題はないんだろ?」

「しんちょうが低い以外はとくに」

「そうか。それならいいだろ。確かお前、今日も競技に出るんだよな?」

「はい、二つほど。つなひきと、アスレチック鬼ごっこですね」

「ふむ。綱引きはともかく、アスレチック鬼ごっこに関しては、お前……絶対負けるんじゃねえぞ?」

「うっ、は、はい……」

 

 ものすごく圧をかけられた。

 

 ……師匠の言いたいことはわかるけど。

 

 だって、ボクは世界最強の暗殺者の師匠に鍛えられたから、障害物がある競技で負けることは許さない、みたいなことだよね、これ。

 

 それに関しては、ボクも負けるわけにはいかないです。

 

 多少なりとも、プライドはありますし。

 

「しかしまあ、女のお前を見ていると、最初から女だったんじゃないか、なんて思っちまうな」

「や、やめてくださいよぉ。ボクは男です」

「だが、今は女だ。違うか?」

「ち、ちがいません、けど……」

「つーか、まだうじうじ考えてたのか? お前、女になってからどれくらい経つ? それと、もう二度と戻ることはできないんだから、受け入れろ」

「……そうなったのは師匠のせい、ですけど」

「いや、あれはクソ野郎が悪い」

「……」

 

 この人、絶対に自分のせいだって認めない気だよね?

 ……まあ、向こうで一緒に暮らしている時からそうだったけど。

 

「ほれ、あたしは今日も色々と仕事があんだ。走るぞ」

「え、ボクにかんけいないような……」

「うるせえ! いいから行くぞ!」

「は、はいぃ!」

 

 ……師匠には逆らえません。

 

 

「お、おはよー……」

 

 いつも通り……とは言いにくいけど、まあ、いつも通りの時間に到着し、教室へ入る。

 みんな、今のボクの姿を見るなり、ポカーンとしていた。

 

 と思った、その直後。

 

『きゃあああああああああああああああああ!』

「ひゃぁ!」

 

 女の子たちが黄色い悲鳴を上げたことにより、ボクも小さい悲鳴を上げた。

 

 こ、このパターン、前にもあったような……?

 

『依桜ちゃん、きょうは天使モードなのね!』

「え、て、てんしモード?」

 

 何そのモード。

 

『今みたいな依桜ちゃんの姿の時のことを言うのよ! ちなみに、普段の依桜ちゃんが、女神モードで、耳と尻尾が生えた状態を、けもっ娘モードて呼んでるわ』

「は、はつみみなんだけど!?」

 

 い、一体誰が考えたのそんな名称!

 

『あー、でも、今日は天使状態な依桜ちゃんの応援が見れるのね……』

『うん。あの格好を、この姿でしてもらえるとなると、テンション上がる!』

『うんうん! テンションだけじゃなくて、モチベーションも上がるよね!』

 

 そ、そこまでいいものでもないと思うんだけど……。

 

 それにしても、そっか……。

 

 あの衣装を、この姿で着ないといけない、んだよね、これ。

 ……まさか、本当に小さいサイズが必要になるとは思わなかった……。

 

「おはよう……」

「おはよう、依桜。今日は、小さいのね」

「うん。朝起きたらこうなっちゃって……」

「あれっきりと思っていたんだが……やっぱり、呪いを解かないとダメのか?」

「……たぶん、ね。まあ、もう二度とかいじゅはできないから、むり、だけどね……」

「そうか。てことは、一生それと付き合って生きていくわけか」

「……うん」

「難儀な体質ね」

 

 難儀、で片付けられるほど、単純じゃない気がするけどね、ボク。

 

「おーっす」

「おっはよー! って、おお? 依桜君が、天使になってる!」

 

 二人が教室に入るなり、女委が今日のボクを見て、すごくテンション高くなった。

 なんで?

 

「なんだ、今日は、ロリなのか……」

「……なんで、そんなにざんねんそうなの?」

「んなもん、応援中の、依桜の乳揺れが見れなくなるかぶらぁ!?」

 

 言い終わらないうちに、飛び上がってビンタを一発入れた。

 

 綺麗に、錐揉みしながら飛んでいきました。

 

 昨日、師匠に『付与魔法』も教えてもらったから、『ヒール』を纏わせてますとも。

 

 うん。遠慮しなくて済むようになった。ある程度。

 ……まあ、それでもちゃんと手加減はするけどね。

 

 と言っても、一番いいのは、態徒が変なことを言わないことだけど!

 

「昨日、結構かっこいいと思ったんだがな……ほんと、全てを台無しにするな、態徒は」

「そうね。自分で上げて、自分で下げるんだもの。まあ、そこが態徒らしいと言えばらしいけどね」

「ちょっ、オレはいつだってかっこいいだろ?」

「……ふっ」

「……女委、なんで鼻で笑った?」

「なんでだろ~ね~」

「くっ……」

 

 うん、なんか安心した。

 これでもし、変に落ち込んでいたりとかしたら、ちょっと困ったしね。

 

「それで、依桜は競技とか問題ないのか?」

「んーと、つなひきと鬼ごっこだけだから……うん。多分?」

 

 絶対に大丈夫とは言えない。

 

 だって、この姿になると、力のコントロールが難しくなっちゃうし……。

 ……体力測定の日とかがいい例だよね。握力測定をする器械とか、握りつぶしちゃったし……。

 

 でも、二回目だからか多少は慣れてるけどね、この体にも。

 

「でも、綱引きってこのクラスは卑怯だよね~」

「そうね。そもそも、依桜の力が異常に強いものね。まあ、今回のはハンデ……になるのかしら?」

「う~ん、たぶん? 一応、本気でパンチしてこわせるのは……岩、とか?」

「あー、うん。全然ハンデになってないわね、それ」

「……まあでも、普通に競技をしても、普通に勝てそうだけどな」

「あら、どうして?」

「考えても見ろ。依桜が小さくなったってことは、必然的に先頭になるだろう? そうなると、相手のチームからはよく見えるわけだ」

「あ、なるほど! つまり、可愛すぎる依桜君を見て、本気が出せなくなる、ってわけだね! なるほど!」

「「ああ、なるほど」」

 

 あれ、なんで未果と態徒も納得してるの?

 そんなしょうもない理由で勝てるとは思えないんだけど……。

 

「それに、アスレチック鬼ごっこに関しては、もしかすると、この姿の方が動きやすいかもしれないしな」

「それはあるかも」

 

 小さいほうが、小回りが利くし、晶の言うように動きやすくなるかも。

 普段だと、その……胸が引っかかったりしそうだし……。

 

「なら、あまり支障はなさそうね」

「そうかも」

「ならよかったな! でもなぁ、依桜の乳揺れが見れないのが残念だぜ……」

「……態徒、つぎ言ったら……落とすよ」

「ひぃ! す、すんません!」

「まったくもぉ……。それじゃあ、そろそろきがえて行こ」

「ええ、そうね」

 

 ちょうどいい時間になっていたので、ボクたちは更衣室に向かった。

 はぁ、でも、ちょっと大変になりそうかも……。

 

 始まる前から、少し気が滅入っているボクだった。




 どうも、九十九一です。
 ものすごく久しぶりな、幼女依桜です。別に、忘れていたり、無くなっていたわけじゃありませんからね? どこで出そうか迷っていただけです。
 それにしても……やっと、二日目かぁ。うん。正直、あと20話近くかかるんじゃないかと思っています。……早く、終わらせたいものです。
 明日もいつも通りだと思いますので、よろしくお願いします。
 では。

依桜の異世界に滞在していた三年間の話をやってほしいかどうか

  • やってほしい
  • やらなくていい
  • どっちでもいい
  • 知らぬ
  • 単体作品でやってほしい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。