異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常~   作:九十九一

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 翌日。

 

 今日もお昼にログイン。

 

 みんなはちょっと予定があるとかで、少し遅れるそうで、来るまではボク一人でプレイすることになった。

 

 んー、どうしようかな……時間もかなりあるし……昨日の女性プレイヤーさんがいれば、すぐに渡せるんだけどなぁ……。

 

 あの装備、かなり強いものになっちゃったけど……大丈夫なのかなぁ。

 変に情報が出回らない方がいい気がするし……。

 

 というか、一日に四名限定にしたはしたけど、結構問題な気がしてきた……。

 お金は良心的にしたけど……まあ、そもそもの話、布によって能力値が変わってくるんだけどね、あれ。

 

 例えば、【丈夫な布】のみを使って作った場合の装備がこちら。

 

【丈夫なシャツ】……ただただ丈夫なだけの洋服。全職業が装備可能。VIT+10

 

 こうなります。

 

 ここで気付いたのが、いい布じゃないと、強い装備はできない、ということですね。

 

 ボクがこの装備を作るのに使用したのは、【慈愛の布】というのと【天使の布】という二種類の布です。

 

 これ、なんかよくわからないお店に売っていて、一つ10万しました。それを四つずつ買って、六つ全部使用して作ったのが、お店用の装備。

 

 残ったものを使ったのが、このリボン。

 

 一番レア度の低い布で作っていた場合、何の効果もないものが出来上がってたはずだし。

 

 おそらく、スキル付与の能力自体は、すでにあったんじゃないかな?

 だって、装備の効果が、スキルが付けやすくなる、だもん。

 たまたま、運よく、あれが出来上がっただけ……のはず。

 

 ……もしかして、スキル付与率って、LUCが関わってたりする……?

 可能性はないわけじゃないと思うけど、何とも言えない……。

 

「う、うーん……まあ、とりあえず、洋服屋さんの方は、ちょっと考えた方がいい、かも?」

 

 今後、ああいった布を持ちこんでくる人が増えるかもしれないし……そうなったら、強装備が多く発生しちゃうと思うし……。

 

 そうなったら、鍛冶師の人たちが作る鎧系統の防具とか、完全にいらなくなってしまいかねないし、商売あがったりになるよね……。

 

「どうするのが正しいのかなぁ……」

 

 ……ヤオイに相談した方がいいかも。

 ヤオイが一番早く来る、みたいなことを言ってたし。

 

『やあやあ、お待たせ、ユキ君!』

 

 なんて思ってたら、本当にヤオイがログインしてきた。

 これ幸いにと、ボクはヤオイにメッセージを飛ばす。

 

『あ、ヤオイ、ちょうどよかったよ。今からボクのお店に来てほしいんだけど、大丈夫?』

『いいよー。じゃあすぐ行くねー』

 

 あっさり了承してくれた。

 よかった……。

 ボク自身、家を買ったからか、ログインするとその場所に出るようになって、現在はお店の中。

 多分だけど、死んじゃった場合とかも、宿屋じゃなくて、この家で復活するのかも。

 

「来たよ、ユキ君!」

 

 そんなことを考えていたら、ヤオイがお店にやってきた。

 

「あ、いらっしゃい、ヤオイ。とりあえず、どこでもいいから座って」

「はいはーい」

 

 ヤオイが来たので、ボクは厨房へ。

 デザート系の料理を作ろうと思って、昨日営業が終わった後、ちょっと試作していたり。

 最近、現実の方でお菓子作りをしていたおかげで、あっさり完成。

 それを持って、ヤオイの所へ。

 

「はいこれ、ケーキ」

「いいの?」

「うん、ちょっと相談事があってね、その依頼料、かな?」

「ほうほう、相談とな? では、このケーキはもらっておきましょう」

 

 嬉しそうな表情で、ヤオイがケーキを食べだす。

 

「んっ! 美味しいよユキ君!」

「ほんと? よかったぁ。最近作ったケーキでね? ちょっと甘さ控えめのケーキなんだよ。これなら、苦手な人がいても食べられるかなーって」

「うんうん、いいと思うよ! わたし、これ好きだなー。甘さもちょうどいいし、果物の酸味も強すぎないから食べやすいし」

「それなら、メニューに追加かな。値段は……500テリルでいいかな」

「んー、600でいいと思うよー。多分、結構売れるだろうからね。ちょっと高めにするくらいがちょうどいいよ」

「なるほど……じゃあ、600にするよ」

 

 やっぱり、ヤオイがいると、いいアドバイスがもらえてありがたいよ。

 ボクにはその辺りの知識とかもないからね。ちょっとしたことしかできないもん。

 

「ふぃー、食べた食べた。それで、相談事ってなぁに?」

「あ、うん。えっと、実は昨日、洋服屋さんの方に一人お客様が来てね」

「へぇ~、よかったねユキ君!」

「うん。それはよかったんだけど……ちょっと、完成した装備を見てほしいんだけど……」

 

 そう言って、ボクはヤオイに完成した装備を見せる。

 

「えーっと、何々? 【炎嵐ノ衣】? 効果は……え、な、何この化け物装備」

 

 にこにこ顔だったヤオイの顔が一変、驚愕の表情になった。

 

「ば、化け物?」

「化け物だよ、これ! こ、これ、ユキ君が作ったの?」

「う、うん」

「そ、そっかぁ……ユキ君が作っちゃったのかぁ……」

「や、やっぱりまずかった、かな……?」

 

 ヤオイが頭の痛そうな反応をしているので、恐る恐るヤオイそう尋ねる。

 

「まずかったなんてものじゃないかなぁ。だって、衣服系の装備って、ステータス補正はかからないし、そもそもスキルなんて付かないし……」

「え、スキルって付かないの……?」

「うん。たしか、スキル付きの装備は、ユキ君がくれた装備とかみたいに、かなりのレアリティがないと付いてないことが多いらしくてねー。そもそも、スキル付きの装備なんて持ってるの、わたしたちくらいだよ」

「そ、そうだったの!?」

「あり? ユキ君、もしかして知らなかった?」

「し、知らなかった」

「そっか……」

 

 あ、なんか呆れられてる……?

 そ、そうだよね、こんな情報を知らないこと自体、呆れるようなことだよね……。

 やっぱり、情報収集は大事かぁ……。

 

「うーん……それにしても、困ったねぇ」

「えと、どうかしたの?」

「いや、本来、ステータス補正がかかるのは、鍛冶師の人たちが作るような物だけで、例外として、侍の装備があるみたいだけどね。で、ユキ君はその常識……と言っても、サービス開始から三日目だから常識も何もないけど、通常はないみたいなんだよね」

 

 そ、そんなことが……。

 ボク、もしかして、相当とんでもないことをしていたりする……?

 

「それに、現時点で最強って言われているレギオ、っていうプレイヤーも、まだそう言う装備は持ってないみたいだし……」

「そうなの!?」

「そうなんだよ。だから困るんだよねぇ……。だって、本来生産職ですらないユキ君が鍛冶師顔負けどころか、鍛冶師以上の装備を作っちゃってるからね……しかも、布だけで」

「うっ」

「そう考えると、製作費1000テリルはちょっと安すぎるね」

「じゃ、じゃあ、どれくらいが適当……?」

「本来は、100万取っても問題ないくらいのぶっ壊れ装備なんだよねぇ……」

「ひゃ、100万!?」

 

 そんなに取れるの!?

 なんだか、かなり高いように思えてしまうんだけど……。

 

「だけど、ユキ君的には、あんまり高くしたくないんだよね?」

「う、うん。だって、お金が欲しくてやってるわけじゃないし……それに、他の人の手助けになれば、と思ってやってるわけだし……」

 

 お金は別に困っていないから、別にいいんだけど、ボクの経営理念的には、人のために、と言う部分が強い。

 

 このゲームは始まったばかりだし、未知な部分も数多くあるから、困る人が多くなるはず。しかも、仮想とはいえ、人と人が直接会って会話したり、協力したりするわけだから、ストレスが溜まる面も出てくるはず。

 

 本来楽しいはずのゲームなのに、ちょっと弱いからダメとか、レベルが低いから、なんて理由で楽しく遊べない人がいたら嫌だから、という理由でやってるわけだしね……。

 

 だからこそ、なるべく安めの値段でやっているわけだけど……。

 

「だよねぇ。ユキ君、異常なくらい他人に優しいからね。まあ、否定はしないよ。でも、一日四名限定だと、ちょっと多すぎかな」

「うーん、じゃあどうすれば……?」

「そうだねぇ。一番いいのは、単純に値段を引き上げることなんだけど、ユキ君はそれを嫌がっているから、違う方法。そうなると、週に一人にするとか、月に一人だけにするとか。あとは、制限を設けるか」

「制限?」

「例えば、レベル1~レベル5までの人は1000テリルで請け負うけど、6~10は1万テリル。レベル11からは5万テリル。トップレベルの人は、100万テリル、みたいな感じに」

「な、なるほど……」

 

 そうなると、お金がかかるという理由で、鍛冶師の人たちの所に行く、って感じかな。

 

「まあでも、これはお勧めしないかなぁ」

「それはどうして?」

「んー、なんて言ったらいいのかな……。ネットゲームにいる、マナーが悪い人って言うのは、何と言うか……『俺は強いんだ! だから、もっと安くしろ!』みたいな頭のおかしい人がたまーにいてね。今までは画面の中だけだったからよかったんだけど……ほら、これってゲームの中じゃん? だから、強そうな外見にして、自分が本当に強いと錯覚して、脅す人が出るかもしれないんだよ」

「そんな人が……」

 

 ネットゲームはほとんどやらないから知らないけど、そう言う人がいるんだ……。

 一応、このゲームもネットゲームに分類されそうだし、そう言う人がいてもおかしくないって言うことか……。

 

「だから、お勧めはしないよ。わたし的には、人数制限をもっと厳しくする方かなー」

「そっか……一応、強い装備になる原理は分かったんだけど……」

「あ、そうなの? じゃあ、とりあえず教えてくれると嬉しいかなー。それを聞いて判断した方がいいかもだしねー」

「あ、うん。えっとね――」

 

 ヤオイが来る前に気付いたことを話す。

 

「ふむふむ。なるほど……つまり、レアリティが高い布じゃないと、強い装備は作れなくて、よくある布で作っても、鍛冶師の人たちが作った最低ラインの方が強いと」

「多分。鍛冶師の人たちがどれくらいの物を作れるのか知らないけど、多分それより弱いんじゃないかなって」

「VIT+10だもんね。うーむ。そうなると……持ち寄ったレアリティによって値段を引き上げる、の方がいいかもね」

「えっと、例えば?」

「そうだねー……このゲームで確認されてるレアリティで一番高いのは、6くらいらしいんだよ。ちなみに、最高は10だそうです」

「え、そうなの?」

 

 ヤオイの説明で、ちょっとボクが着ている装備のレアリティが気になって確認。

 

 【隠者ノコート】【魔殺しノ短剣】【天使ノ短剣】【悪路ブーツ】【創造者ノグローブ】が10。

 【良妻ノワンピース】【良妻ノエプロン】【良妻ノリボン】が9。

 【炎嵐ノ衣】が7。

 【丈夫なシャツ】が2だった。

 あれ、何かボク……とんでもないもの持ってない?

 

「ち、ちなみに、その6の物って、どういうの……?」

「なんでも、さっき言ったレギオ、って言う人がダンジョンで見つけた直剣らしいよ」

「へ、へぇー、そ、そうなんだー……」

「あれ、どしたのユキ君?」

「いや、あの……ぼ、ボクが作った装備より、ひ、低いんだなーって……」

「……もしかしてユキ君、7以上」

「……そのぉ、ボクが作った装備は全部、そうです……」

「そっかぁ……いやー、なんかもう驚かなくなってきたよー」

「あ、あはははは……」

 

 ボクも、乾いた笑しか出てこなくなってきたよ……。

 そ、そっかぁ……6まで物しか見つかってないんだね……。

 

「んー、そうなると、1~3の物は1000。4~5は1万。6が5万。7は10万。8で50万。9で75万。10で100万といったとこが妥当になるかなぁ」

「そ、そっか、そんなに高くなっちゃうんだね……」

「まあ、こればっかりはねぇ……じゃあ、制限にする?」

「……そう、だね。そっちの方が、まだ現実的、かなぁ……」

 

 なるべく、お金を取らない方向で行くには、ね。

 

「じゃあ、どういう制限にする?」

「うーん……あんまり目立ちたくないことを考えると……月に一人、とか?」

「そうだね。それが一番安心かも。それで、どうやって決めるの? 多分だけど、作ってほしい人は多く現れると思うよー?」

「……じゃんけん、かな」

 

 ちょっとだけ考えて、出た案が、じゃんけんだった。

 

「おー、公平なゲーム。まあ、一番妥当だよね。じゃあ、月に一人で、じゃんけんで決める、ってことでいいのかなー?」

「うん」

「それで、決める日は?」

「その月で一番遅い土曜日かな? それなら、集まれる人も多いと思うし」

「うんうん、いいと思うよ! じゃあ、そう言うことにしよっか」

「うん。ありがとう、ヤオイ。おかげで助かったよ」

「いいってことよー。それじゃあ、色々と変えないとね」

「あ、そうだね。すぐにやっちゃうから、ちょっとだけ待っててね」

「あいあーい」

 

 何とか無事、変更点を決めることができた。

 ヤオイって、普段はあれだけど、今みたいに頼もしい時があるから、本当にすごいと思うよ。……普段のあれがなければ、もっといいと思うんだけどね……。




 どうも、九十九一です。
 いやー、女委のキャラって、割とぶっ飛んでるなぁ、と今更ながらに思います。と言うか、一番キャラがぶれてる気が……。まあ、いまさらと言えば今更なんですがね……。
 えーっと、今日は2話投稿……は、多分できる、と思います。ただ、ちょっと微妙で、もしかすると夜の21時になる可能性があります。ちょっと、17時と19時は難しいかもしれないので。できれば、その時間に出しますが、無理そうなら、21時になりますので、よろしくお願いします。
 では。

依桜の異世界に滞在していた三年間の話をやってほしいかどうか

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