異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常~   作:九十九一

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新年あけましておめでとうございます! お正月早々、こんなつまらない小説を見てくださり、ありがとうございます!


183件目 謎は多い

 ログアウト後。

 ボクは、例の布について、気になることを師匠に尋ねに行く。

 

「師匠、起きてますか?」

 

 ドアをノックしながら、呼びかける。

 少し物音がして、扉から師匠がそっと顔をのぞかせる。

 

「どうした?」

「あ、えと、ちょっと気になることがあって、師匠に訊きに来たんですけど……今って大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ。まあ、入れ」

「はい」

 

 師匠に、部屋に入るように言われて、ボクは師匠の部屋に入る。

 中は、別段汚れているとか、散らかっている、なんてことはなく、最初に家具を設置した後状態で保たれていた。

 

「あれ? 師匠、随分部屋が綺麗ですね」

「今のあたしは、居候だからな。さすがに、愛弟子の汚すほど、あたしの心は汚れてない」

「そうですか。でも、意外です」

「……まあいいだろ。ほれ、とりあえず座って話そうか」

 

 師匠の部屋は、機能性を優先した部屋。

 あるのは、小さめのテーブルと、座布団。それから、ベッドに本棚、パソコン、机。そして、クローゼットくらい。

 本当にこれだけ。

 

 師匠は、最低限の暮らしができればいい、という考え方らしく、あまり無駄なものがない部屋だ。

 

 ……ただ、妙にクローゼットが膨らんでいるような気がするんだけど……気のせい、だよね?

 

「んで? 訊きたいこと、ってのは何だ?」

「あ、はい。えっと、向こうの世界のことなんですけど……えっと、ボクが出会った女神様って、師匠が知っている神様だったりするんですか?」

「あー、どうだったか……たしか、違ったはずだぞ」

「ほんとですか?」

「ああ。たしか、今あの世界を管理している神ってのは、二代目だったな」

「二代目? えと、前の神様って?」

「……死んだよ」

 

 師匠は短く、そして一番わかりやすい言葉で、そう言った。

 その顔には、深い悲しみ、そして嘆きが見て取れた。

 

「え……」

「死んだ。まあ、色々あってな」

「ど、どうして?」

「……さあな。あたしも、あれがいつのことだか覚えていない。つか、100年から先の人生、ほとんど覚えて無くてな。あたしですら、何百年生きているのかわからん」

「でも、前に百年以上って……」

「二百年生きようが、五百年生きようが、百年以上と言えば、百年以上だろ?」

「そ、そうですけど……」

 

 それは、屁理屈、って言うんじゃないの?

 なんて、今空気じゃ言えるわけがない。

 

「……ま、色々あったんだ。あいつは、あたしの唯一無二の親友だった」

「師匠、神様と親友だったんですか?」

 

 理不尽で、強くて、傍若無人で、面倒見がよく、なんだかんだで優しい師匠にも、親友と呼べる人がいたんだ……。

 

「ああ。どういうわけか、仲良くなってな。本当にお人好しで、人が好きで、謙虚で、そのくせ、誰かのためにはいつだって真っ直ぐだったぞ。そうだな……ちょうど、お前みたいにな」

「ボクですか? あはは、何言ってるんですか。ボクは人間ですよ? 女神様みたい、って言うのはちょっと言いすぎですよ」

「……人間じゃない可能性があるんだがな」

「え? 師匠、何か言いました?」

「いや、何でもない」

「そうですか?」

 

 今、小声で何かを言っていた気がしたんだけど……気のせいだったのかな?

 師匠、たまに何かを隠しているように感じる時があるんだけど……まあ、単なる思い過ごしだよね。

 

「んで? 訊きたいこと、ってのは前の管理者の女神か?」

「あ、いえ。ちょっと、向こうの世界を模したゲームが三日前に出たんです」

「ほう。あの世界をねぇ?」

 

 師匠は、感心したような顔をしながら、頬杖を突く。

 

「それで、女神の布、なんていうアイテムが出てきて、何でも、『かつて、この世界を愛し、管理していた女神の力が宿っているとされる布』なんて説明があったんです」

「そんなアイテムが……」

「それで、どうにも、懐かしい感じがするというか、ちょっと手に馴染むというか、そんな感じがしているんですよ」

「……それ、ほんとか?」

 

 ボクが、布に対して感じていたことを言うと、師匠が何や真剣な表情になった。

 

「は、はい。えっと、何か……?」

「……ふむ。ちょっと気がかりだが……まあ、気のせいだ。気にするな」

「は、はぁ……」

 

 なんだか、様子が変だけど……師匠が気にするな、って言うんだから、気にしない方がいいよね。

 多分、そこまで深刻な問題でもないと思うし。

 

「あ、そう言えば師匠。たまに、いろんなところに行っているみたいですけど、何をしてるんですか?」

「ん、あー、そりゃお前、ブライズだよ、ブライズ」

「ブライズ、って、体育祭の時に出現した、あの黒い靄ですか?」

 

 言われてみれば、体育祭で見たっきり、一度も見かけていない。

 

「ああ。そのブライズだ。あたしは、エイコの頼みで、この世界にを飛び回っていてな。異世界人がいないか、と言うことを調査して回っている。そして、ブライズもついでにな」

「つ、ついでって……あれ、ついでで済ませていいような存在じゃないと思うんですけど」

 

 人に憑りついて、悪意を刺激、そして行動に移させるような、害悪の塊のような存在を、ついでで探すって……。

 

「別に、ついででもいいんだよ。この世界の人間に憑りついたところで、普段よりもちょっと強くなる程度だ。数人がかりで抑えりゃ、簡単に抑えられる。……もっとも、あれを消すのは、聖属性の何かじゃないと、無理だがな」

「そ、そうなんですか」

 

 普段よりちょっと強くなる程度……うーん、でも佐々木君に憑りついたブライズって、普通に人の言葉を話してたし、少なくとも態徒が一方的にやられるくらいに強くなっていたんだけど……憑りつく人によっては、結構危険なんじゃ?

 

「そういや、この世界には、陰陽師とか、エクソシストなるものがいるんだったよな?」

「エクソシストはともかく、陰陽師は今いるかは……」

 

 そもそも、悪霊とか、悪魔がいるかどうか不明な状況……というか、大体はいない、と言われてきた世界。

 

 過去にいたのは知っているけど、現代にもいるのかはわからない。

 

 よく、超能力者もたまにテレビに出てくることがあるけど、ああいうのも実際のところ、本当かどうかなんてわからないしね。

 

 ……まあ、少なくともこの世界には、魔法を使えたり、人外的なことができる、ボクと師匠がいるけど。

 

「まあ、いるいないはともかく、聖水だとか、お札とかがあって、それを扱える奴がいるんだとすれば、ブライズは簡単に払えるよ。少なくとも、この世界の奴でも、ある程度抵抗できるレベルでな」

「……じゃあ、師匠はいると思うんですか?」

「そりゃお前、あたしらみたいな奴がいるんなら、いても不思議じゃない。世の中、自分の目で見えている者だけが真実、ってわけじゃないからな。ひょっとすると、秘匿にしているだけで、本当はいるかもしれないぞ」

「た、たしかに……」

 

 だって、学園長先生みたいな、とんでもない人が近くに潜んでいたのに、それに全く気付かなかったもんね……。

 そう考えると、師匠が言っていることは、本当に納得できる。

 

「えっと、それで、ブライズの方は?」

「ああ、見つけ次第消している。あたしの『気配感知』を最大に使えば、世界中をくまなく探すことができるからな。それで、探している。ちなみにだが、今は消して回っているおかげで、徐々に減ってきているぞ……って、どうした? 鳩が豆鉄砲を食ったような顔して」

「せ、世界中? 『気配感知』を?」

「ああ。これくらい、あたしなら朝飯前だ。お前もいずれ、その境地にたどり着けると思うぞ」

「い、いやいやいやいや! いいですよ、そんなことができるようにならなくても!」

 

 というか、世界中をくまなく探すことができる『気配感知』って何!?

 師匠は確かに、異常に強くて、理不尽な人だけど、まさかそこまで理不尽だとは思わなかったんだけど!?

 これ、師匠が誰かに殺された! とか言われても、全っ然信用できないよ!

 

「まあ、できるっつっても、短い間だけだぞ?」

「あ、そうなんですね」

 

 さすがの師匠でも、常時展開は無理の様だ。

 うん。いくら師匠と言っても、さすがに、常時展開は――

 

「できても、二十時間程度だろう」

 

 ほとんど常時展開みたいなものでした。

 おかしい、この人絶対おかしいよ……。

 

「そこはほら、あたしだしな。世界最強と言われた伝説の暗殺者は、強いってことだ」

「……それは、身に染みてわかってますよ」

 

 修業時代とか、異世界に再訪した時とかにね……。

 殺されたり、神殺しの話を聞いたりしたもん。

 

「しかしまあ、ゲームの舞台にねぇ……。エイコも、なかなかにおかしなことをするものだな」

 

 師匠は人のこと言えないよね……だって、やらかしまくってるもん。

 

「それで? 訊きたいこと、ってのはさっきので終わりか?」

「あ、はい。一応あれだけです」

「そうか。……さて、もう夜も遅い、お前はさっさと寝な」

「そうですね。それじゃあ、ボクは寝ますね、おやすみなさい」

「ああ、おやすみ」

 

 最後に軽く挨拶をしてから、ボクは師匠の部屋を後にした。

 

 

「……あの女神の、ね」

 

 イオがいなくなった部屋で、あたしは一人呟く。

 

 エイコから、ゲームを作っている、という話を聞いてはいたが、まさかあの世界をモデルにしたものとはな。

 

 異世界観測装置、だったか? よくもまあ、あんな大それた物を作れるよ、エイコは。

 本当に天才だ。

 あたしとはまた違った方面でのな。

 

 ……それにしても、イオが言っていた感想はちと気になる。

 

 懐かしい、手に馴染む、か。

 

 もしかするとあいつは、初代と何らかのかかわりがあった人間の生まれ変わりなのかもな……。

 

 そう考えるなら、あいつが微力の神気を放っていても不思議ではないし、種族の項目が見れなくなっているのも変ではない。

 

 あたしの中での最大の謎は、イオだ。

 

 どことなく懐かしい気配はするし、あの異常な幸運値も気になる。なんだよ、7777って。そんな数値、聞いたこともないわ。

 あるとすりゃ、初代女神の、ミリエリアくらいだろうな。

 

 あいつ……というか、神族は基本的に幸運値が高いしな。つっても、大体の奴は1万越えとかのバケモンみてーな幸運値だったがな。

 

 やっぱあれか。隔世遺伝で生まれてくる、なんて稀有な部分も、幸運値が関係してるのかね、イオは。

 

 だがまあ、あいつが世界一可愛い弟子であることに変わりはないし、あいつがあいつであることにも、変わりはない。

 

 別にいいだろ。弟子に、いくつも謎があったって。

 どうせ、わからないことはわからない。

 

「ま、なるようになるだろ」

 

 あたしはとりあえず、あいつの師匠として、できることをしてやればいい。

 

 もし、あいつに命の危機が及ぶような状況があれば、あたしが身代わりになってでも、助ける。それくらいはするさ。

 

 ……しかし、気になることは山積みだな。

 

 イオは謎が多いし、ブライズもどこから来ているのか、今は推測を立てるくらいしかできん。

 

 あたしらの世界の住人もこっちの世界に来てしまっている奴が何人もいる。

 そいつらは、早急にどうにかしないといけない問題だ。

 

 ……『空間転移』があってよかったよ、ほんと。

 

 でなきゃ、海の上を走らなきゃいけなくなるところだ。

 あれ、かなり疲れるからできればやりたくないからな。

 ……ま、『空間転移』はそのために覚えたスキルだがな。

 

「……さて、あたしもいい感じに眠くなってきたし、寝るか」

 

 最近、色々なところに言っていためか、かなり疲れが出ているようだ。

 我ながら、情けない話だ。

 やや自分に呆れながら、あたしは睡眠の世界に旅立った。




 どうも、九十九一です。
 新年ですね。新年だというのに、やっていることは、昨日と同じですがね。まあ、これが私です。いつだって、小説を書きますよー。
 さて、前書きでも言ったように、新年早々、こんな小説を読んでくれて、ありがとうございます。小説を書いて、初めて新年の挨拶をした気がします。
 今年も、面白いものが書けるよう頑張りますので、今後ともよろしくお願いします。
 ちなみに、今日も2話投稿、の予定です。いつもの二パターンだと思いますので、よろしくお願いします。
 では。

依桜の異世界に滞在していた三年間の話をやってほしいかどうか

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  • やらなくていい
  • どっちでもいい
  • 知らぬ
  • 単体作品でやってほしい
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