異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常~   作:九十九一

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189件目 初イベント、開始前

 そして、イベント当日。

 

 イベント開始時間は、現実の時間で、夜の九時から。

 

 ボクたちは、冬休み最終日なので、いつも通り、お昼からログインすることに。

 そして、ログイン後、ボクのお店に集まる。

 

「……それで? ユキ、ステータスはどうなったの? たしか、最後に振ったのは、レベル9の時だったわよね?」

「うん。だから、今のうちに振っちゃおうかなって」

「てことはあれか、レベル10~18までのポイント×2が手に入ってるってことか?」

「そうだね。だから、今のうちにやっておかないと」

 

 現在、ボクが所持しているFPとSPは、それぞれ380と3200。

 

 見ての通り、かなりある。

 

 本来なら、これの半分くらいだけど、ボクは称号の効果によって、これが二倍になっている。そのため、ボクの実質的なレベルは18ではなく、36が正しい。

 

 ……もっとも、ボクのステータスは、異世界のあれこれが参照されすぎているせいで、初期は三桁スタートだったから、もっと上だったりするんだけど。

 

 正直、これで勝てないことはない。

 でも、万が一があるといけないので、万全を期して挑む必要がある。

 これで油断してやられたら、師匠にこっぴどく怒られてしまうからね。それだけは嫌だ……。

 

 というわけで、ステータスを振ることに。

 

 色々と振った結果がこう。

 

【ユキ Lv18 HP200/200 MP350/350 

 《職業:暗殺者》

 《STR:175(+75)》《VIT:105(+70)》

 《DEX:230(+30)》《AGI:450(+530)》

 《INT:140》《LUC:250(+125)》

 《装備》【頭:なし】【体:隠者ノ黒コート】【右手:魔殺しノ短剣】【左手:天使ノ短剣】【腕:創造者ノグローブ】【足:隠者ノ黒コート】【靴:悪路ブーツ】【アクセサリー:なし】【アクセサリー:なし】【アクセサリー:なし】

 《称号》【最強の弟子】【神に愛された少女】【純粋無垢なる少女】【変幻自在】【慈愛の暗殺者】

 《スキル》【気配感知Lv10】【気配遮断Lv10】【消音Lv6】【擬態Lv3】【身体強化Lv10】【立体機動Lv10】【瞬刹Lv10】【投擲Lv7】【一撃必殺Lv7】【料理Lv10】【裁縫Lv10】【鑑定(低)Lv5】【無詠唱Lv10】【毒耐性Lv10】【睡眠耐性Lv5】

 《魔法》【風魔法(初級)Lv3】【武器生成(小)LV10】【回復魔法(初級)Lv10】【聖属性魔法(初級)Lv4】【付与魔法Lv2】

 《保有FP:0》《保有SP:0》】

 

 うん。おかしい。

 

 自分で振っておいてなんだけど、本当にAGIが異常になってる。

 いや、そもそもの話、暗殺者なのに、STRとVITが150後半以上行っていること自体が変だと思うんだけどね。

 

 だって、1上げるのに、FPが2必要だもん。

 

 100FP入れても、50しか上がらないからね。

 

 まあでも、ボクの場合は初期ステータスに恵まれたのと、称号の効果があってこそ、だけど。

 ……ずると言われてもおかしくないよね、これ。実際、ずるみたいなものだとは思うけど。

 

 あ、ちなみに、スキルと魔法のレベルも上がってます。

 【消音】、【擬態】、【投擲】、【鑑定(低)】、【毒耐性】、【聖属性魔法(初級)】の計六つ。

 

 ここにきて、初めてSPを使ったよ。

 

 ……まあ、別にスキルと魔法に関しては上げる必要がほとんどなかったからだけど。

 

 そもそも、【気配感知】と【気配遮断】、【立体機動装置】、【投擲】、【一撃必殺】辺りで十分だったから。

 

 特に、【投擲】なんて、レベル5でも十分通用するほど、割と使い勝手がいい。

 それに、ボクには【武器生成(小)】があるので、ある意味、相性がいいスキルと魔法。

 

 ……そういえば、本当に【可憐なる天使】の称号が消えてる。

 やっぱり、あの姿限定みたい。

 

「できた?」

「うん。とりあえず、こうなったよ」

 

 ポイントを振り終えたステータスをみんなに見せる。

 

「「「「え、えげつない……」」」」

 

 みんなそろってドン引きした。

 

「こんなあほみたいなAGI持ってるの、ユキくらいじゃね?」

「むしろ、ユキ以外にいたら、普通に怖い」

「で、ユキ君的にはどうなの?」

「そうだね……やっぱり、AGIがまだ足りない」

「「「「は?」」」」

「だって、現実だと、1500以上あるもん、ボクのスピード」

「「「「……ああ、これでも全然なのか」」」」

「あ、あれ? 呆れてる?」

 

 現実のボクのスピードを言った瞬間、みんなが呆れた顔をしながら、そんなことを言っていた。

 

 ……や、やっぱりおかしい、よね。

 

 そもそも、こっちの世界がどんなに頑張っても、現実での素早さは、100程度。

 それが、世界最速なんだから、ボクはそれの15倍と言うことになる。

 

 ……あくまでも、素のステータスがそれなだけで、もっと速く走れるからちょっとあれなんだけどね。

 

「だが、これでますますあの迷惑男が可哀そうになってきたな」

「……何より恐ろしいのは、無知ね」

「そりゃそうだ」

「その無知が、こうしてユキを本気にさせてしまったからな……」

「……オレ、今回のイベント、出るのやめようかな」

「奇遇ね、私も」

「同じく」

「わたしも」

「ええ!? み、みんなでないの……?」

 

 どういうわけか、みんながイベントに出るのをやめると言いだしてきた。

 ボクはそれに驚き、思わず声を上げていた。

 

「だってよ、あんなむかつく奴ですら、31。しかも、それが最高じゃないときた。レギオって奴が一番高いんだったか?」

「そうだな。たしか、35くらいだったはずだ」

「……それでも、ユキのステータスレベルじゃない、って言うんだから、本当にイカレてるわよね、ユキ」

「あ、あははは……」

 

 そ、そっか。一番レベルが高い人でも、35、なんだ。

 

 ……ボク、やっぱりおかしい。

 

 何度も何度も思っているけど、ボクのステータスは、かなり異常になっている。

 オート作成にしたため、AIがすべてを判断し、作成したのがあれだから、誰かの意志が介入している、なんてことはない。

 

 あるとすれば、学園長先生くらいだろう。

 ……まあ、さすがの学園長先生でも、それはしないと思うけど。

 

「それじゃ、私たちは観戦に回りましょうか」

「「「賛成」」」

「ええ!? そ、そんなぁ!」

 

 結局、イベントはボク一人の参加となってしまった。

 ……みんな酷い。

 

 

 そうして、みんなでまったりとイベントまでの時間を過ごし、ついに開始時間の十分前となった。

 

『はぁい! どぉもぉ! CFOのプレイヤーの皆さん! 初めましての方は初めまして! そして、会ったことがある人たちはこんばんは! ミウミウです☆』

 

 ……え、何やってるの、美羽さん。

 

 開始十分前になった途端、広場の空中にホログラムが発生。

 

 そこに映し出されたのは、つい最近会った……というか、友達になった、宮座美羽さん、その人だった。

 

 といっても、現実の姿を少しだけいじったのか、髪型と髪色が違う。

 

 現実では、ウェーブがかかった、ゆるふわな感じの明るい茶色をした髪なんだけど、ゲームの中に現れたのは、茶髪じゃなくて、青い髪で、ショートヘアだった。

 

 普通に可愛いけど、何してるの?

 

『この度ですね、私はこのゲームのマスコットキャラクターを演じさせてもらうことになり、こうしてイベントや情報を発信する際に出演しますよ! あ、もちろん、ゲーム自体も楽しみたいと思ってますから、私を探してみてくださいね☆』

『うおおおおおおおおおお!』

 

 美羽さんのバリバリの演技声で、この場にいた男性プレイヤーたち(女性プレイヤーも中には少数)が、雄叫びを上げる。

 

 ……こうして見ると、本当に美羽さんって売れてるんだなぁ、って実感する。

 冬〇ミの時にも会って、イベントを見たけど、大勢人が歓声を上げてたっけ。

 

『さて、それでは今回のイベントのルール説明を行います! 今回のイベントはずばり! 『サバイバルゲーム』です! これからこのゲームの中にいる皆さんには、軒並み思考加速が施されます! それにより、二時間が一日なりますので、思う存分、ドンパチやってくださいね!』

 

 ドンパチって……声優さんだから、やっぱりキャラ作ってるのかな?

 

 素の美羽さんって言えば、なんかこう……得体の知れない何かを隠し持っているというか……妙に熱っぽい視線をボクに向けてくるというか……そんな感じ。

 

 でも、すごく優しい人。

 

 ……まあ、ボクから見たら、ほとんどの知り合いの人はみんな優しい人に分類されちゃうんだけど。

 

『そして、ルールです! 今回、このサバイバルゲームに使われるのは、普段皆さんが使用している草原ではなく、新たに用意した、半径一五キロの円形のフィールドです! そのフィールドでは、草原、森林、砂漠、街、山岳、湿地帯の、計六地域があります! ですので、自ら動き回って他プレイヤーを狩ったり、得意な地域を拠点にし、待ち伏せして倒すもよし! このイベントでは、サバイバルゲームと言う名目なので、一度負ければそくリタイア。最終的に、フィールドに残っていた人が優勝となります!』

 

 なるほど……。

 

 じゃあ、自分がどう動くのも、その人の勝手、か。

 

 そうなると、強い人を倒すのに、手を組んで倒しに来る、って言う人たちも出る可能性がある。

 そう言う人たちは、友達ではない限り、連携が取れずに、逆に負けてしまう場合の方が多い。もちろんこれは、ボクの経験則。

 

 本物の戦争を知っているボクは、その場で手を組み、戦っている人たちを何度も見てきている。

 

 その際、たまたま知り合いだった人たちは、何の問題もなく連携がとれて、効率的に対処できていたけど、初対面の人たちは、上手く連携が取れず、倒されてしまう人が多かった。

 

 だから、初対面の人たちと手を組むというのは、かなりのリスクが伴う。

 

 ……ボクは暗殺者だったから、誰かと組む必要がなかった。というより、それをしてしまうと、ボクの動きが悪くなるから、と言うのが強かった。

 

 ボクが連携を取れる相手と言ったら、ミサたちと、師匠、それからヴェルガさんくらいかな? あ、もちろん、騎士団の人たちとだったら全然問題ないです。

 

 それから、今日の服装もいつも通り、暗殺者の衣装です。

 ボクが持てる、最高の装備。

 そして、ステータスもそれなりに上げた。

 特に、AGIがボクには必要。

 

 現実とゲームで、齟齬が生まれちゃっているので、できれば現実と同じ、1500以上にしておきたい。

 

 そうすれば、ちゃんとボクのすべてが活かせる攻撃にできる。

 

 ただ、そうなると、HP、MP、STR、VITも、現実と同じくらいにした方がいいかもしれない。

 

 ……まあ、そこまでやっちゃうと、本当につまらなくなっちゃいそうだから、やらないけど。

 

 LUCは……別にいいよね。あんまりいいものじゃなかったし。

 ボクが女の子になったのも、あれが原因と言う部分が少なからず……いや、大いにある。

 だから、なんとなく上げたくない。

 

『それでは最後に! 万が一、負けてしまった場合は、退場となり、敗者部屋と呼ばれる、いわゆる観戦ルームに送られます。そして、2位と3位の人は、専用部屋が用意されているとのことですので、ぜひぜひ! 上位入賞を目指してみてください! なお、10位までが特別報酬獲得範囲ですので、頑張ってくださいね☆』

 

 10位、か。

 

 うーん、ボクはこのイベント、別に上位を目指しているわけじゃないんだよね……。

 今回のボクの目的は、インガドを叩き潰すこと。

 徹底的に潰して、みんなに謝罪をさせないとねぇ。

 

『それでは、時間になりましたので、転送を開始します! 皆さん、頑張ってくださいね!』

 

 美羽さんのその言葉と共に、次々と噴水広場にいたプレイヤーの人たちが消え、ボクも視界がホワイトアウトした。

 

 

《CFO公式掲示板 匿名プレイヤーたちのお話広場》

【スレッド名:初イベ】

1:もはや恒例になりつつある、スレ立て!

 

2:だなー

 

3:それで、今回は当然、イベントの話でござるな?

 

4:そりゃそうじゃろ。これが、記念すべき初のイベントじゃからのぉ

 

5:お前らは参加しなかったのな

 

6:無理無理。だって、参加人数7万だろ? 普通に無理があるって。

 

7:こう言うのは、観戦の方が面白いンゴ

 

8:一理ある。俺たちみたいな、弱いキャラは、見てる方がいいよなー

 

9:で? 誰が優勝すると思う?

 

10:そりゃお前、レギオじゃね? 現時点で最強って言われてるの、あいつだし

 

11:まあ、そこは有力候補だもんな

 

12:じゃあ、他にいるとすりゃ、誰よ?

 

13:ふぅむ、エイルっていうやつがいたなぁ、レベル34の

 

14:マジか。二番目にたけえじゃん

 

15:やはり、30から上が優勝候補でござるな

 

16:そりゃそうだ。何せ、レベルを上げれば、ステータスが上がるからな。上げやすいもの重点的に上げさえすれば、それだけで強くなる

 

17:ただし、暗殺者は除く

 

18:まああれ、PSがないと、マジでできない職業だしなぁ

 

19:……そういや、全身黒装備の暗殺者がいたな……

 

20:へぇ、どんなん?

 

21:こんなん

 

 そんな文字と共に投稿されたスクリーンショットには、全身黒装備のユキの姿が写っていた。

 

22:……これ、女神様っぽくね?

 

23:そういや、女神様は暗殺者だったっけなぁ。しかも、見たことない装備付けてたし

 

24:……じゃあつまり、女神様も出ている、と?

 

25:さぞかし、強いんだろうなぁ

 

26:いや、聞いたところによると、レベルは18らしい

 

27:……無理じゃね? それ

 

28:18で参加とは……無謀なことを考えたものじゃなぁ、女神様は

 

29:いやでも、女神様だから、なんかこう……全員蹴散らす、とかしそうじゃね?

 

30:無理無理。いくら女神様がレベル2の時に、キングフォレストボア―を数発で倒しているからと言って……

 

31:……いや、あるな

 

32:たしかに。普通に考えて、レベル差10以上もあるモンスターを瞬殺するレベルってこと

は、相当やばいんじゃね?

 

33:……ま、まさかな

 

34:さすがに、二倍近いレベルを持った奴らに勝つのは無理だって

 

35:ハハハハ! そうだよな……

 

36:…………マジでやりそうで怖い

 

37:まあ、それはそれで、ありじゃね?

 

38:……だよなー。まあでも、優勝は難しいだろ

 

39:一応、見ておくンゴ

 

40:だな。……あ、そういや、女神様と言えば、オレ、とんでもねえもん見た

 

41:なんだ?

 

42:昨日のことなんだがよ、あのインガドに絡まれてたんだよ

 

43:げっ、あいつに?

 

44:ああ、なんか、すっげえ揉めてた

 

45:可哀そうに……きっと、恐怖で縮こまっていたに違いない……

 

46:いや、全然怖がっているそぶりはなかった。むしろ、困っている表情だった

 

47:……女神様、もしかしてそうとう肝が据わってる?

 

48:あいつに威圧されて、平気な女の子とか、いたのな

 

49:んで? 揉めていた原因は?

 

50:店仕舞いにもかかわらず、やれ料理を出せだの、女は女らしく媚び売ってろだの、本当にひでえもんだったぜ

 

51:……わしらの女神様をそこまでするとは……許せんな

 

52:だな。で、話を聞いていたら、今日のイベントで戦うらしいぞ

 

53:マジ!? あの、クソ野郎と女神様が!?

 

54:ああ。だが、面白いことに、レベル差を聞いてもなお、女神様はすっげえ余裕の笑みだった

 

55:……何者?

 

56:ふむ。じゃがあれだな。これでもし、インガドが負ければ、この件を公表するとするか

 

57:お、いいねぇ。あいつ、いろんなプレイヤーに迷惑かけてるし、中でも、生産職に対してはマジでひでぇ

 

58:因果応報でござるな

 

59:じゃあ、逆に女神様が負ければ?

 

60:……いや、負けることはないンゴ

 

61:根拠は?

 

62:女神様、だからンゴ

 

63:もうそれ、流行語じゃね? 俺たちの中で

 

64:同感。でもまあ、女神様に負ければ、きっと丸くなるだろ。ま、もう二度と、生産職プレイヤーとは取引できなくなるだろうがなー

 

 あの一部始終を見ていたプレイヤーが、普通にいたらしく、掲示板にてそれが晒された。

 そのおかげで、インガドはサービス開始直後からしてきたことに対し、後悔することになるが……今は知らない。




 どうも、九十九一です。
 今回は、あまりだれることなく、5章が終わりそうです。……4章は長すぎましたからね、あれ。だれまくりましたからね。反省を生かしています。……にもかかわらず、日常話が長かったわけですが。
 さて、今日も2話投稿を予定していますが、できるかまだわかりませんので、できなかったらすみません。できたら、いつも通りの2パターン。できなければ、いつも通りだと思いますので、よろしくお願いします。
 では。

依桜の異世界に滞在していた三年間の話をやってほしいかどうか

  • やってほしい
  • やらなくていい
  • どっちでもいい
  • 知らぬ
  • 単体作品でやってほしい
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