異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常~   作:九十九一

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213件目 【CFO】でのバレンタイン

 夜になり、ボクたちは、CFOにログインしていた。

 今日はバレンタインということで、ゲーム内でイベントがあるから。

 ログインしたボクたちは、ボクのお店にみんな集まっていた。

 

「それで、イベント内容は?」

「たしか、カカオを集めるイベント、だったか? そのカカオを使って、材料と交換して、チョコレートを作れるらしい」

「なるほど。で、チョコは誰でも作れるのか?」

「いや、どうやら、【料理】スキルを持っている女性プレイヤー限定らしい」

「「「なるほど。つまり、ユキか」」」

「あはは……」

 

 このイベントはどうやら、主に女性プレイヤーがメインになるイベントみたい。

 それに、【料理】スキルを持っていないと意味がないって……。

 

「でもたしか、家を持ってないと、チョコは作れないんじゃなかったかなぁ?」

「ああ、実際はそうだが、どうやらこのイベントの間だけ、無料で調理場を借りられるらしいぞ」

「へぇ、だから、女性プレイヤーの人たちが張り切ってたんだ」

 

 ヤオイの言う通り、ログインした際、周囲にいた女性プレイヤーの人たちがかなり張り切っていた。

 そう言う理由があったからなんだ。

 

「それで、ミサとヤオイはどうするんだ?」

「私は……パスね。さすがに、ゲームでも作るって言われてもね」

「わたしもー。今回は、ユキちゃんのを期待するよー」

「それ、ボクに作れ、って言ってない?」

「「だって、ユキ(ちゃん)のチョコ食べたいし」」

「まあ、そう言ってくれるのは嬉しいからやるけど……あ、もちろん、ショウとレンのも作るよ」

「マジか。ゲームでももらえるってのも嬉しいぜ」

「いいのか?」

「うん。その代わり、材料を持ってきてくれるとありがたいかな。ちょっと、やることができちゃったから」

 

 少し、イベントのことをちらっと見たら、何やらレシピがいるらしいからそっちを買いに行かないといけないからね。

 だから、別行動になっちゃう。

 

「それくらい、お安い御用だ」

「んじゃまあ、オレたちは狩りに行くか!」

「了解」

「じゃあしゅっぱーつ!」

 

 意気揚々と、みんながモンスター狩りに出かけていった。

 

「うん。じゃあ、ボクも準備を」

 

 色々と準備をするために、ボクはレシピを買いに出かけた。

 

 

 街に出ると、普段と街の様子が違うことに気が付いた。

 

 至る所に、バレンタインらしい飾り付けがされていた。

 魔法がある世界だからか、風船じゃなくて、ハートの形をした、桃色のバブルや、炎が空中を舞っていた。

 

 魔法があると、幻想的になるよね。

 

 うん。すごくいいと思います。

 

 綺麗な街並みに、目移りしながらも、目的のお店に到着。

 

 このゲーム、料理のレシピも買えるからかなりありがたい。しかも、現実でも作れるような感じになっているがいいよね。

 

 材料とかは、ちょっと違う部分もあるんだけど。

 

 とりあえず、お店でレシピを見る。

 チョコレート系のお菓子がかなり多くある。

 

 中には作ったことがないものもあるので、結構嬉しい。

 

 料理のレパートリーが増えるのって、なんかいいよね。

 

 とりあえず、チョコレート系のお菓子のレシピをすべて購入。

 

 ちなみに、金額は値引きされて10万テリルでした。

 地味に高い。

 

 

 お店に戻り、今度は開店の準備。

 

 お店を経営するのはいつも通り。

 でも、今日はバレンタインイベントでもあるので、それに合わせた料理を提供するつもりです。

 

 といっても、そこまで大それたことはしないけど。

 

 そう言えば、バレンタイン限定のチョコレート系のお菓子って、特殊なステータス補正がかかるみたい。

 

 バレンタインアイテムのドロップ率増加とか、三ヵ所ステータス補正がかかったりとか。

 かなりいいものらしい。

 

 一応、アイテム扱いになるみたいで、期限はあるものの、その期限内であればいつでも食べられるとか。

 

 効果は一時間。これは、【料理】のレベル関係なく、一律。

 

 まあ、ボクが作るような料理と同じ効果にしちゃうと、とんでもないことになっちゃうからね。バランスが崩れちゃうよ。

 

 今日のお店は、いつも通りに料理を提供するのと、一人一個、チョコレートを付けること。

 無くなり次第終了、という形になっちゃうかもしれないけど、その辺りはみんな次第かな。

 

 ……本当は、ボクも行った方がいいと思うんだけどね。

 

 でも、ボクが出ちゃうと、変に目立つことになりそうなんだよね……あのサバイバルゲーム以来、ボクはほとんど外に出てないから。

 

 たまに、みんなと遊びに行ったりはしてるけど。

 その際、レベルもいくらか上がった。

 

 前は18だったけど、今は23になっている。

 

 考えてみたら、効率四倍になってるんだよね、ボク。

 

 上げにくくなってるステータスだって、2消費するのに、上がるポイントは2なんだもん。上げにくいステータスですら、1ポイントで1になってるんだよね。

 それに、上げやすいものに至っては、4上がる計算になるからね。

 

 ……なので、ボクのステータスに追いつくには、ボクのレベルよりも、58以上必要になっちゃうんだよね。

 

 ……おかしくない?

 

 いや、【覇者】の称号に関してはボクが悪いんだけど、それがなくても、かなり異常なんだよ? 原因は、学園長先生だけど……。

 

 まあ、その辺りは、何を言っても今更なので、考えるのをやめにしよう。うん。

 一応、レシピは全部買ってきたから問題なし、と。

 使う材料自体も、あとはみんな待ちだからね。

 どれくらいで戻ってくるかなぁと思いながら、ボクはみんなを待った。

 

 

 それから、一時間ほどしてみんなが帰って来た。

 

「「「「ただいまー」」」」

「あ、おかえりみんな! どうだった?」

「バッチリよ。はいこれ。私たちで集めたものよ。一応均等になるように交換してあるから、そのまま使っちゃって大丈夫よ」

「わぁ、ありがとう!」

 

 嬉々としてボクはみんなが集めてくれた材料を受け取る。

 アイテムボックスに収納して、内訳を見る。

 うん。ちゃんと材料があるね。

 

「それじゃあ、先にみんなの分を作っちゃうから、ちょっと待っててね」

 

 いつものお店用衣装に着替えて、ボクは厨房に入っていった。

 

 

 今回、みんなに作ったのは、ガトーショコラとチョコレートドリンク。

 あと、果物があったので、チョコレートフォンデュも作ってみたり。

 うん。やりすぎた感があるけど、いいよね!

 

「はい、どうぞー」

「「「「おお……」」」」

 

 ボクが持ってきたものを見て、みんなが感嘆の声を漏らす。

 

「さ、食べて食べて!」

「「「「いただきます」」」」

「召し上がれ!」

 

 みんながボクの用意したチョコレート系のお菓子を食べ始める。

 

「う、美味!」

「ほんと、過不足ない甘さ……ちょうどいいわ、これ!」

「しかも、飽きが来ないよ!」

「チョコレートフォンデュがいいな。甘酸っぱくて、食べやすい」

「ほんと? よかったぁ」

 

 みんな本当に美味しそうに食べてくれて、ボクとしてもすごく嬉しい。

 

「一応、これを今日だけセットメニューとして加えて、一人一個、チョコレートを付けようと思うんだけど、どうかな?」

「いいと思うよ! これなら、いくらでも食べられるし!」

「私も賛成」

「ショウとレンはどう?」

「ああ、これくらいならちょうどいいんじゃないか?」

「だな。甘すぎないから、男にもちょうどいいし。しかも、一人一個、チョコが付くんだろ? 絶対売れるって」

「二人が言うなら、大丈夫かな。まあ、売れるかどうかはあれだけど」

 

 そもそも、このイベントは女性プレイヤーの人たちだって、かなり張り切ってるみたいだしね。

 ボクのばかりが売れるとは限らないはず……。

 

「それで、値段はどうすればいいかな」

「そうだねぇ……今日限定で、なおかつチョコがおまけで付くと考えたら、1200テリルでいいんじゃないかな?」

「そ、そんなに?」

「意外と、適正価格だと思うよー。味はいいし、美少女の手作りだし、しかも別途チョコも付属。現実でも、ゲームでもチョコがもらえない悲しい男たちからしたら、安いくらいだと思うよー」

「ヤオイ、それは言いすぎじゃない……?」

 

 悲しい男って言うのは、いささか可哀そうと言うか……。

 

「まあでも、ヤオイの言う通りね」

「ミサがそう言うなら、そうしようかな」

 

 ミサも肯定したので、ボクはさっきのセットを1200テリルで販売することに決めた。

 

 

 そうと決まれば、ここからは準備がとんとん拍子に進んでいく。

 

 ある程度の下準備を済ませたものをストックして行って、前みたいに手が回らない! みたいな状態にならないようにする。

 

 料理の下準備はボク一人で全部こなす。

 

 その間、四人にはお店の飾り付けをお願いした。

 せっかくのバレンタインだからね。やっぱり、それに合わせたものにしたいもん。

 ちなみに、飾り付けのアイテムなどはあらかじめ買って来てあるので問題なしです。

 

「ユキ、内装は終わったぞ」

「外装も終わったわ」

「ありがとう、みんな。こっちも終わったよ」

 

 ちょうど同じタイミングで終わったみたいだね。

 

 とりあえず、飾り付けが終わった内装と外装を見る。

 

 内装は、中にハート形の火を灯したランプがところ何処に浮いていたり、色とりどりの花びらが店内を舞っている。

 

 店内で花びらが舞うって言うのも、不思議な光景だけど、面白いことにこれ、幻覚だったり。

 幻覚を見せる魔道具があって、それを使えば、こうして何もないところに花びらを舞っているように見せることができるというもの。

 

 これ、ボクの持ち物です。

 

 向こうにいた時に、救った村の村長さんからもらったもの。

 プラネタリウムみたいにできたので、かなりお気に入りだったんだよね。数少ない癒しだったから。

 

 それがここでも使用できたので。せっかくだから使おうと思ったわけです。

 

 もちろん、視界の邪魔にならないよう、適度な量にしてますよ。

 うん、これで、内装は問題なし。

 

 次、外装。

 外装を見に、一旦外へ。

 

 ハッピーバレンタインと書かれたアーチがお店の看板の上に飾られていた。

 

 他にも、風船が大量に。

 

 まあ、素人だしこれで十分だよね。

 別に、そう言った飾り付けのプロというわけじゃないし。

 ボクだって、これくらいしか思い浮かばないもん。

 

「うん、これで大丈夫だね。それじゃあ、そろそろ開店するよ!」

「「「「おー!」」」」

 

 こうしてボクたちのバレンタイン特別営業が始まった。

 

 

「いらっしゃいませ! お一人様ですね、こちらへどうぞ!」

「お待たせしました、女神のバレンタインセットです!」

「ありがとうございました!」

 

 お店が開店すると、すぐに大忙しとなった。

 

 バレンタインなので、やっぱりあのセットが一番売れていた。

 材料は全然あるので、2時間なら持つ、はず。

 

 下準備全部済ませていてよかった……なんとか、簡単に回せてるよ。

 

 これでもし、下準備をしていなかったらと思うと……どれだけ大変になっていたことか。

 

 そう思いながら、ガトーショコラを作ったり、チョコレートフォンデュ用の果物を切ったりしていると、どんどん注文が入る。

 

 甘いものが食べられるとあって、女性プレイヤーのお客様も多く来ている。

 食べる様子を見ていると、幸せそうな表情を浮かべながら食べている。

 

 うんうん、あの幸せそうな笑顔はすごくいいよね。

 

 胸があったかくなる。

 

『まさか、女神様がチョコレートを作るなんて……』

『ああ、めっちゃ美味いな……』

『このゲームのおかげで、ゲームとはいえ、チョコがもらえたぜ』

『だなぁ。しかも、あんな美少女の手作りってのがいいよな』

『最高だぜ』

 

 何を言っているのかは聴こえないけど、男性プレイヤーの人たちも嬉しそうなのでよかったです。

 

『ステータス補正やべえなぁ、今日は』

『ああ。俺なんて、STR+15、VIT+20、LUC+30が付いたぞ』

『俺は、HP、MP、INTの三つに、+30』

『しかも、バレンタイン限定の補正も付いてるのもやばすぎる』

『その上、料理も美味いからな』

『この店、マジでいいよなぁ……』

 

 なるほど、ステータス補正も本当に三つ付いてるんだ。

 イベント限定と言うのがいささかもったいなない気がするけど、これが普段からできちゃったら、とんでもないことになっちゃうもんね。

 その辺りは、バランスが崩れてなくてよかったと、ほっとするボクでした。

 

 

 それから、時間が経過するごとに、どんどんお客様が増えていき、忙しさに拍車がかかった。

 休憩なんてなく、二時間ぶっ通しで働き続ける。

 そうして、二時間立つ頃には、

 

「「「「ああぁぁぁ……つ、疲れたぁ……」」」」

 

 四人はバタンキューしてた。

 うん。だよね。

 いつになく増してお客様が多かったから、疲れて当然だよ。

 ボクだって、疲れたもん。

 まあ、現実と同じくらいのAGIになったから、かなり動きやすかったけど。

 

「というわけで、アルバイト代だよ」

 

 みんなに、トレードで今日の働いた分のお金と、作っておいたチョコレートを渡す。

 

「ゆ、ユキ、こんなにもらっていいのかよ?」

「うん。今日はすごかったからね。売り上げも普段の倍以上」

 

 その金額、180万テリル。

 なので、一人30万テリルをアルバイト代として出すことにした。

 かなりの大金だからね、驚くのもわかります。

 

「チョコ付きか。俺たち、ユキから現実とゲームの両方でもらったことになるな」

「たしかにそうね」

「でも、いくらもらっても嬉しいものだよねぇ」

「だな!」

「ふふっ、喜んでもらえてよかったよ」

 

 やっぱり、もらう側が喜んでくれるのが一番いいからね。

 こっちとしても、それだけで十分だし。

 

「さて、明日は普通に学園があるし、落ちるかー」

「そうね。それじゃあ、ユキありがとね。おやすみ」

「うん、おやすみ」

「チョコありがとうな。おやすみ、ユキ」

「おやすみ」

「嬉しかったよ、ユキ君! じゃあ、バイバイ!」

「うん、おやすみ」

「チョコ美味かったぜー、ユキ。んじゃな」

「ありがとう、おやすみ」

 

 みんながログアウトしていったのを見て、ボクもログアウトした。

 うん。やっぱり、料理屋さんって楽しいなぁ。

 また、イベントがあったら積極的に参加しよう。

 

 

《CFO公式掲示板 匿名プレイヤーたちのお話広場》

【スレッド名:バレンタインイベント】

1:おっすおっす。お前ら、バレンタインどうだった?

 

2:悲しいこと聞くなよ。現実でモテてたら、こんなところに来るわけないだろ

 

3:たしかに。つか、聞いてて悲しくなるぜ……

 

4:まあ、出会いなんてないでござるからなぁ……

 

5:出会いなぞ、求めるんじゃなくて、自分から行くものじゃぞ

 

6:へぇ、じじい、いいこと言うな

 

7:そりゃ、人生経験豊富じゃからのぉ

 

8:まあ、そんなことは置いておいて……で? お前ら、白銀亭行った?

 

9:当然

 

10:当たり前ンゴ

 

11:だよなぁ。てか、女神様ってマジで女神だったんだなと思わせられたぜ

 

12:まあ、食べに来たプレイヤー全員にチョコを一つ配布するくらいだからな

 

13:見ず知らずのプレイヤーにすら渡すんだから、マジで女神だったわ

 

14:女神のバレンタインセットがマジで美味かった

 

15:あれな。甘すぎなくて、男にも嬉しいやつだったよな

 

16:そうでござるなぁ。その辺りもしっかり考えるからこそ、女神様が女神様たるゆえんなんでござろうなぁ

 

17:バレンタインイベントがあるってことは、当然ホワイトデーもあるわけだしよ、お返しできるよな

 

18:そして、それを利用して、お近づきになるチャンス、ってか?

 

19:た、たしかに!

 

20:そうか、その手があったンゴ!

 

21:お返しと称して、友達になる、ということじゃな?

 

22:素晴らしい!

 

23:やべ、今から楽しみになって来た!

 

24:今回は、女性プレイヤー限定で作れたが、きっと次は男性プレイヤー限定のはず……やるっきゃない!

 

25:そうなったら、お前たちとは敵同士、ってことになるな!

 

26:ふっ、負けんぞ。今のうちに、【料理】すきるを上げておくか

 

27:その前に家とか買わないとな

 

28:まあ、その辺りはどうにかなるだろ

 

29:拙者、もう100万近く稼いでるでござる

 

30:なに!? すげえな!

 

31:ちっ、リードされちまう……!

 

32:これは、勝負あったでござるな

 

33:俺、130万

 

34:なぬ!?

 

35:くそう、こうしちゃいられん! 俺は金を稼ぎに行く!

 

36:負けるか!

 

 この後、この掲示板でだべっていたプレイヤーたちは、家を購入するためのお金を稼ぎに行った。

 なお、喧嘩が勃発したのは言うまでもない。




 どうも、九十九一です。
 うん。疲れてきた。そろそろやばいかも……なんて思いながら書いてます。本当に、1月~3月のネタがない。というか、長くなっちゃうんですよね。あんまり長すぎるとだれるのは目に見えてるので、こうしてさらっと流す程度で納めてます。
 明日もいつも通りだと思いますので、よろしくお願いします。
 では。

依桜の異世界に滞在していた三年間の話をやってほしいかどうか

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  • 知らぬ
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