異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常~ 作:九十九一
236件目 入学式
四月八日。
今日から新学期であると同時に、ボクは二年生になり、メルは四年生として新しく新設される初等部に編入。
一応、海外からの留学、という設定だけど、戸籍上的にはボクの妹になってるからね。
留学と言っても、一応は高等部卒業くらいまでは考えているけど、向こうの世界の様子を見て、って感じかな。
できれば、早く自由に行き来できる装置が完成してくれるとありがたいんだけど、昨日の学園長先生の話を聞いていると、少し遅れそうだよね。
まあ、あっちは私的な理由だけど、今回のこの件に関しては、日本全国で問題が発生しちゃってるからね。そっちを優先させた方がいいのは当然。
しかも、それを調べられるのが、少なくとも学園長先生の所だけだからなおさら。
何とかなるといいなぁ。
「メル、起きて。今日から学校だよ」
「んにゅぅ……ふぁあぁ……おはようなのじゃ、ねーさま……」
「うん、おはよう。さ、着替えて着替えて。遅刻しちゃうよ?」
「はっ、そうじゃった! 急いで着替えねば!」
眠そうにしていたメルが、一気に目を見開くと、大急ぎで着替え始めた。
楽しみだったんだね、学園。
いいことです。
「おはよー」
「おはようなのじゃ!」
「おはよう、依桜、メルちゃん」
「ああ、おはよう、イオ、メル」
リビングに行くと、師匠がコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。
おー、なんか似合う。
「師匠がこの時間にいるのって珍しいですね?」
「ああ、あたしは別に、大きな仕事があるわけじゃないからな。たまには、イオと登校するのもいいと思ってな。もちろん、エイコに許可はもらってるぞ」
「そうですか。それはよかったです」
新学期早々、師匠と登校できるとは思わなかったけど、普通に嬉しいかな。
でも、もう二年生なのか。
早かったような気はするし、長かったようにも思える。
「さ、二人とも、朝ご飯食べちゃって」
「「はーい(なのじゃ)」」
朝ご飯を食べ終えた後、メルはランドセルを背負って、ボクは学園指定のカバンを持ち、登校。
師匠だけは、軽装だ。
まあ、師匠の場合は、体育教師だから、あんまり荷物がないのかもね。
あるとすれば、昼食とかじゃないかな?
あとは、着替えとか。
ちょっと羨ましい。
「楽しみじゃのぅ。友達できるかのぅ」
いつものように、メルと手を繋ぎながら、三人で学園へ向かっていると、メルがそんなことを口にした。
「メルならきっとできるよ」
「ほんとか?」
「うん。この春休みで、ちゃんと手加減も学んで、普通に人間と同じくらいで動けるから、大丈夫。それに、メルは可愛いから」
「そうか! ねーさまに褒められるのは嬉しいのぅ」
「そう? そう言ってくれると嬉しいよ」
メルは、春休みの間で、勉強だけでなく、手加減も学んだ。
普通の人よりも、圧倒的に力が強いからね。
少なくとも、世界チャンピオンの格闘家に余裕で勝てるレベルと思っていただければわかりやすいと思います。
そもそも、コンクリート壊せるレベルだからちょっとあれだけど。
メルとか師匠が《CFO》でキャラクターを作った場合、どんなキャラになるんだろう?
少なくとも、師匠はボク以上、メルはボクレベルとまでは行かなくても、かなり強いキャラクターが出来上がりそう。
称号『魔王』とかありそうだもんね。あと『神殺し』とか。
その内、二人の分の『New Era』も手に入れておこうかな。楽しんでくれそうだし。
師匠はわからないけど。
「にしても、この桜という花は綺麗だな」
「そうじゃなぁ。儂も気に入ったぞ! ふわふわ舞ってて可愛いのじゃ」
「ありがとう。一応、美天市は桜が多いからね。この時期になると、桜が満開になって、今みたいに舞っているんだよ」
「なるほど。こっちの世界には、見たことがない物が多くて、楽しいぞ」
「それはよかったです。でも、師匠がこっちに来てから、なんだかんだで四ヶ月は経ってるんですよね」
「言われてみればそうだな。すっかりこっちにも馴染んちまったからなぁ」
「いいことだと思いますよ」
「それもそうだな」
ボクとしては、師匠と一緒に暮らせるのはなんだかんだで嬉しいし。
やっぱり、恩人だし、なんだかんだでいい人だから。
異世界には、いい人しかいないようなイメージがあるよ。
……まあ、中には悪い人も大勢いたわけだけどね。
「しかしまあ、ここを歩くガキどもが増えたな」
「まあ、今日から生徒がかなり増えますからね、学園は」
「儂と同じくらいの者もおるのぉ」
今まで歩いていた道は、ボクと同じくらいの生徒しかいなくて、そこまで人はいなかったんだけど、今日から初等部と中等部が開校されるとあって、いつになく増して人が多い。
小学生や中学生がいる。
全国から集まって来てるわけだけど、普通に考えて、一人暮らしの許可が下りた、ってことなんだよね。
なんだか、賑やかになったなぁ。
商店街の人たちも、これから賑わうぞ! って気合が入ってたっけ。
実際、商店街を利用する学園生は多いんだよね。
あそこって、駄菓子屋さんとかあるし、肉屋さんに行けば、コロッケとかメンチカツが食べられるから。美味しいしね。
それ以外にも、割とどの店で買い食いができるような物があるから、人気がある。
ボクの場合は、普通にお買い物が目当てだけどね。安いから。
ショッピングモールの方も、何かと売り上げが上がってるって聞くし。
割といいことだったんじゃないかな、学園の拡大は。
まあ、逆に治安が悪くならないように色々としなきゃいけないと思うけど。
「しかしまあ、やっぱあたしたちは目立つのかね?」
「あー、まあ、そうなんじゃないですか?」
ボクたちに視線が集まっていることに対し、師匠が苦笑い交じりに言ってきたので、ボクはそう返す。
実際、師匠はかなり美人だし、メルは紫紺の髪に赤のメッシュが入っている上に、紅の瞳。それから、すごく可愛い。ボクは銀髪碧眼だから、どうしたって目立ってしまう。
やっぱり、珍しいよね、ボクの髪の毛って。
この中で一番普通な髪色なのって、師匠だけど、師匠の黒髪ってすごく綺麗なんだよね。艶がすごいというかなんというか。
「でもあれだな。イオはどこに行っても、注目されるんだな」
「あはは、まさか。ただ髪色とかが珍しいだけですよ」
「何言ってるんだ。さっきから、あたしらにすれ違うガキどもは、みんなお前を見て顔を赤くしてるぞ」
「そうですか? 単純に緊張してるだけだと思いますよ? 慣れない土地で、新しい学園に通うことになったり、入学したりすることになるわけですから」
「……お前の鈍感さや謙虚さ、ある意味一種のスキルだよな」
「そんなスキルはないですよ。それに、ボク結構鋭い方だと思ってますよ? ね、メル?」
「うむ? むー……ねーさまはちょっと鈍感かもしれないぞ?」
「え」
「メルも言ってるぞ? 実際認めた方がいいんじゃないのか?」
「そ、そんなはずは……」
え、ボクって鈍感なの?
でも、視線には気付くし、攻撃されればどこから来たのかもわかるし……それに、敵意とかよくわかるよ?
これだけわかってれば、鈍感じゃないと思うんだけど……。
「……これはダメだな」
師匠にダメと言われました。
それからしばらく歩き、学園に到着。
学園は春休み前に来た時よりもさらに広くなってました。
……え、これどうなってるの?
やっぱり、ホログラムとか、そう言うのを使って、小さく見せてただけとか……?
う、うーん、あの学園長先生だから、全然否定できない……。
どうなんだろう?
まあでも、本当に広くなったね。
よく見たら、いろんな建物が増えてるし。
講堂は大きくなってるし、体育館は新しく二つできてる。
他にも、プールとか、テニスコートに野球場、グラウンドも増えてる。
え、これ本当にどうやって増やしたの?
一応、この学園の周辺って、住宅街だったり、山だったりしたけど……まさか、買収? 買収したの?
だとしたら、学園長先生の財力って、本当にどうなってるの……?
なんかもう、色々とありすぎじゃない……?
それに、学園自体が、前より綺麗になってる気がする。
こんな、校門くぐって少しした先に、噴水なんてあったっけ?
舗装されているところも、以前はコンクリートだったのに、なぜかレンガになっていて、それ以外には芝生があるし……。
大幅に変えすぎじゃない? これ、何をどうしたらこうなるの?
色々と疑問になりつつも、敷地内を歩く。
すると、案内板が見えてきた。
「あ、ここで一旦別々になるんだ。メル、メルは向こうだよ」
「うむ、わかったのじゃ」
「それじゃあ、メル、頑張ってね」
「うむ!」
「では、師匠、ボクたちは行きますね」
「ああ。あたしも、さっさと職員室に行くよ。じゃあな」
ボクたちは一旦、それぞれの場所に分かれた。
「おはよー」
「おはよう、依桜」
「おはよう」
「やっぱり、今日も早いね、二人とも」
新しいクラスが書かれた紙が貼ってある昇降口前に行くと、いつもの二人がもう来ていた。
もう新しいクラスが張り出されたのか、大勢の生徒が群がっている。
「クラスは見た?」
「ああ。全員、同じクラスだったぞ」
「ほんと!?」
「ええ。みんな揃って、三組よ」
「そっか、よかったー」
本当に同じクラスになれたよ。
よかったよ、みんなと違うクラス、なんてことにならなくて。
そうなったら、ちょっと寂しかったよ。
「おーっす」
「おっはー」
と、ここで態徒と女委も登校してきた。
「おはよー、二人とも」
「おはよう」
「おはよう」
「クラスどうだったよ?」
「喜びなさい。態徒以外、全員同じクラスよ」
未果が悪ノリを始めた。
「ちょっ、マジで!?」
「ええ。みんな、三組だけど、一人だけ一組よ」
「なんっ、だとっ……。畜生! オレだけ、オレだけ仲間外れなのか!」
「残念だったな、態徒。どうやら、お前だけ、一人らしい」
あ、晶も便乗してきた。
「そっかそっかー。それは仕方ないよねぇ。態徒君、日ごろの行いが悪いもんねぇ」
と思ったら、女委も参加。
これ、いじめになってない……?
さすがに、ちょっと可哀そうなんだけど。
「くそっ、新学期も依桜と同じクラスになって、優越感に浸れると思ったのにっ……!」
前言撤回。全然可哀そうじゃないです。
「大丈夫だよ、態徒。少なくとも、体育祭では同じ陣営になれると思うから」
「それ、普段は別じゃねえか! マジかよぉ……オレだけ、オレだけ違うのかよぉ……」
なんか、泣き始めてきたんだけど。
あー、うん。ちょっとやりすぎたんじゃないの? これ。
「冗談よ。態徒も同じクラスよ」
「マジ……?」
「「「「マジ」」」」
「な、なんだよおどかすなよ……マジで焦ったぞ?」
一転変わって、さっきのやり取りが冗談であることを知って、態徒は心の底から安堵していた。
「でもよー、なんかクラス表の前、やけに熱狂してるよな。なんつーか、勝利の雄たけびを上げてるやつもいれば、FXで有り金溶かしたみたいに死んでるやつもいるしよ」
態徒が言うように、たしかにそう言う人たちがいる。
喜んでいる人よりも、落ち込んでいる人の方が圧倒的に多い。
そんなに一緒のクラスになりたかった人がいるのかな?
「これ、どう見ても……」
「そうね。間違いなく……」
「だな……」
「だね」
「あ、あの、なんでみんなボクを見るの?」
「「「「いや、なんでもないです」」」」
「そ、そう?」
なぜか、みんなにすごく見られてたんだけど、どうして、あんなに見られたんだろう?
うーん? よくわからない。
新しいクラスを確認したボクたちは、二年三組の教室へ。
入学式と始業式まで少し時間があるので、そっちで話そうと言うことになった。
教室に行くと、去年同じクラスだった人がちらほらと見受けられた。
他は他クラスだった人ばかり。
『よっしゃっ、男女と同じクラスだっ……!』
『今年の行事が全部楽しみになって来たっ!』
『しかも、椎崎とか腐女もいるし、マジで今年は最高だぜ……』
『依桜ちゃんと同じクラスなのは嬉しいなぁ』
『ねー。依桜ちゃん可愛いから、普通に嬉しいよね』
うん? なんだろう、また視線を感じるような……。
顔に何かついてる?
……ついてないね。
じゃあなんだろう?
「しかしまあ、この学園も広くなったな」
「そうね。というか、初等部と中等部が新設されたことの方がびっくりよ。事前に知っていたとはいえ、まさか本当に実現させるとは思わなかったもの」
「だなー。まあでも、可愛い子が増えるってことだろ? ならよくね?」
「お前、いつもそればっかだな」
「いやいや、男としては当然――ッ!?」
態徒が何かを言いかけた時、なぜかびくっと肩を震わせた。
「どうしたの?」
「い、いや、なんか今、すっげえ寒気がしたんだが……」
「風邪じゃないのー?」
「馬鹿は風邪ひかないって言うし、大方知らず知らずのうちに恨みを買って、その怨念か何かが来ただけじゃないの?」
「いや、それはそれでなんか違うような……?」
腕を組んで唸る態徒。
もしかしてあれかな。態徒のことが好きな人がいて、その人が態徒が言った今のセリフで怒った、とか?
……まさかね。
さすがに、あの娘がこの学園に通ってるわけじゃないと思うし。
……あれ? そう言えば、あの娘に似た名前があったような……?
気のせい、だよね。うん。
少しの間話していると、もうすぐ、入学式が始まる時間となり、ボクたちは講堂に移動した。
講堂がかなりの広さになったことで、まさかの全校生徒座れるという、とんでもない建物が出来上がっていました。
本当。どうなってるんだろうね……?
いつ工事したのかすごく気になるんだけど。
だって、普段も講堂は使っていたわけだし……。
普段使っているのに、どうやってこんなに大きくするような、大掛かりな改装工事なんてしたんだろう?
この学園は色々と謎が多いよ……。
『新入生、入場』
そのアナウンスと共に、新入生(初等部・中等部・高等部)の生徒たちが入場してきた。
一応、初等部と中等部の生徒は、基本全員新入生みたいなものだと思うんだけど。
それにしても、少子高齢化社会だというのに、よくこれだけの人数を集められたよ。
子供の人数が減って、廃校になる学校だってあるのに。
そんなに、この学園がよかったのかな? 一応、小学校と中学校は今日から開校される新設されたのに。
ある意味、未知数だと思うんだけど。
色々と考えながら、拍手をする。
しばらくその状態が続き、
『着席』
の指示で新入生が座席に座った。
開会の言葉や、来賓祝辞など、筒長く進み、学園長先生によるお話となった。
「新入生の皆さん、入学おめでとうございます。今年から初等部、中等部が新設され、この学園もさらに賑やかになると思います。初めての試みなので、まだまだ勉強しなければならない点もありますが、皆さんが楽しめるような学園にしたいと思いますので、のびのびと勉学、運動、部活動、行事などに積極的になり、思い出に残る学園生活にしてください。その他、初等部二年生~六年生の皆さんと、中等部二年生、三年生の皆さんも、右も左もわからないかもしれませんが、高等部二年生、三年生の皆さんを頼ってください。必ず、力になってくれると思います。もちろん、高等部一年生の皆さんも。頼ってください。頼るのは、先輩方だけでなく、教職員の方も頼っていただいて構いません。困ったことがあれば、遠慮なく頼ってください。そして、高等部二年生、三年生の皆さんは、今言った通り、困っている後輩を見かけたら、率先して助けてあげてくださいね。あんまり長いと、寝ちゃう人もいると思うので、私のお話はこれくらいにしましょう。それでは、よき学園生活が送れるよう祈っています」
すごくまともなこと言ってる……。
いや、学園長という立場だから、まともなことを言わないといけないんだけど。
でも、普通にこう言うことを言えるんだよね、学園長先生って。
プライベート時などが酷いだけで。
そこを除いたら、いい教育者だとは思うんだけど……。
やっぱりおかしいよ、あの人。
『続きまして――』
その後も、問題もなく、入学式が終わり、始業式も筒長く終了となった。
この日は、入学式と始業式、それからHRだけだったので、お昼前に終わり、すぐに帰宅となった。
ちなみに、ボクのクラスの担任と副担任の先生は、戸隠先生と、師匠でした。去年と変わらない。
ボクは、校門の前でメルと待ち合わせ。
今日は一緒に帰れるからね。
普段はちょっと難しいと思うけど。
初等部と高等部じゃ、授業の長さが違うからね。
「ねーさまー!」
と、タタタタッ! と足音共に、メルの声が聞こえてきた。
「ねーさま!」
「わわっと。メル、いつも言ってるけど、走りながら抱き着くと危ないよ? もしかしたら、怪我しちゃうかもしれないんだから」
「でも、ねーさまが受け止めてくれるから大丈夫じゃろ?」
「そうだけど、それとは別だよ? いい? いきなり抱きついちゃダメだよ?」
「むぅ、家でもか?」
「家は……まあ、走りながら抱き着いてきたり、飛びついてこないならいいけど」
「ならいいのじゃ!」
「まったくもぅ……。さ、帰ろっか」
「うむ!」
もう、手を繋いで歩くのが当たり前になってきていたボクたちは、いつも通りに手を繋いで家路に就いた。
どうも、九十九一です。
一応、この章が本格的になるまで(次の話で)章タイトルは伏せておきます。まあ、どの道午後に投稿する話で出ちゃうんで、あんまり関係ない気がするけども。
今日も2話投稿を予定しています。いつも言っている通りですので、よろしくお願いします。
では。
依桜の異世界に滞在していた三年間の話をやってほしいかどうか
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やってほしい
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やらなくていい
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どっちでもいい
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知らぬ
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単体作品でやってほしい