異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常~   作:九十九一

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243件目 依桜&桜コンビのドッジボール

 それから、五、六時間目は体育の時間になりました。

 

 体操着に関しては、一応『アイテムボックス』に入れているので、問題なしだったのはよかったよ。

 

 まあ、着替えはもちろん、女子更衣室なんだけどね……。

 相変わらず、慣れないよ……。

 

 少しずつは慣れてきてるけど、それでもまだ恥ずかしいという気持ちや、申し訳ないという罪悪感があるよ……。

 

 一応、元男だし……。

 

 昨日の朝の会話が聞こえていたら、多分元男だって気付いてると思うけど。

 とりあえず、早く着替えよう……そう思っていたら、

 

「……隙あり!」

「ふゃんっ!」

 

 いきなり、女委に胸を揉まれて、変な声が出てしまった。

 

『え、何今の反応』

『……あれ、依桜君が依桜ちゃんだった時も、女委ちゃんにやられてたけど、んっ、くらいで済ませてたよね?』

『うん。桜ちゃん、すごく反応が可愛い……』

「お、おー、なんという揉み心地……柔らかくて、それでいて張りがある……なのに、このふわふわ、もちもちした感触! す、すごいっ、こ、これが桜君のおっぱい!」

「め、女委っ、や、やめっ、ゃんっ」

『う、嘘、あれが依桜君の双子の妹……?』

『反応が全く違う……』

『え、エロい……』

 

 こ、こっちの女委も、なんでボクの胸を揉んでくるの……!?

 あ、だめ……あ、頭の中が……。

 

「ぁっ、んっ……!」

 

 へ、変な声も出てきちゃうよぉ……。

 頭の中が白くなってくる――

 

「はいはい、そこでやめなさい、この馬鹿」

「うきゅっ」

 

 何か、色々と大変なことになる一歩手前で、未果が女委を引きはがしてくれた。

 

「はぁっ……はぁっ……あ、ありがとう、未果……」

「いいのよ。……まったく。一応、私たちが知る依桜とは違うんだから、少しは自重しなさいよ」

「に、にゃははー……つ、つい……前の癖で……」

 

 周りには聞こえないように話す二人。

 

「ごめんなさいね、桜。こっちの女委がこれで」

「い、いいよ、ボクの方も大体同じことしてくるから……」

 

 特に女委はしょっちゅう……。

 

「その辺も同じなのね……。女委、あなたどこでも変態腐女子みたいよ?」

「おー、マジかー。えへへぇ、照れちゃうぜ~」

「「いや、褒めてないよ(わよ)」」

 

 ボクと未果のツッコミが重なった。

 

 一応、ボクが知っている未果と性格などが同じなためか、やっぱり話は合う。

 それはもちろん、晶や態徒、女委にも言えることだけどね。

 ……まあ、本当はボクが普段一緒にいるみんなと違うんだけど、違和感が全く仕事をしてくれないんだよね。

 

 本当に、すごいよ、この状況。

 

 ……これ、いつか、こっちの世界の依桜がボクの世界の方に来る、なんてことがあったら、さすがに大ごとになるんだろうなぁ……。

 

 まあ、それを言ったら、未果たちもだけど……。

 

 そう言えば、並行世界っていくつあるんだろう?

 一応、分岐の数だけある、みたいなことを聞いたことがあるし……。

 だから、ボクがいる世界といない世界がある、みたいな感じもあるってことだよね?

 

 うーん、まあ、わからないしいいよね。

 

 今はとりあえず、着替えて、グラウンドに行かないと。

 

 

 あの後、特に女委が何かをやってくることはなく、普通に着替えてグラウンドに出てきた。

 

 とりあえず、今日の体育はまだ三回目と言うことで、軽い運動のみ。

 

 軽い運動と言っても、ドッジボールなわけだけど。

 

 ドッジボールかぁ。

 

 そう言えば、異世界から元の世界に帰った直後に、一回やったなぁ。

 あの時は、ボクがちょっと異世界で鍛えた身体能力でちょっとやりすぎちゃったけどね……。

 

 ……あ、あれ? 今回って普通に考えて、ボクが二人いるってことだから……あ、ちょっとまずいかも……。

 

「集まったな、ガキども。今日は、諸事情で熱伊が休みなんで、あたしだけだ。ま、今日はドッジボールをするぞ。まあ、ルールなんざ、知らない奴はいないと思うんで、すっ飛ばすぞ。チーム分けは……あー、そうだな。公平を期すため、イオはAチーム、サクラをBチームにするか」

「「え!?」」

 

 ボクと依桜の二人が、揃って驚きの声を上げた。

 

「あ? なんだ、イオ、サクラ。何か異論でもあるのか?」

「い、いや、ないけど……師匠が珍しく、まともなこと言ってるから、つい」

「あたしはいつだってまともだぞ?」

「「……え?」」

「お前らは、あたしをなんだと思ってるんだよ……まあいい。そこまで言うなら、こっちにも考えがある。おい、ガキども。今日のドッジボール、少し、ルールを変えよう。まあ、ルールって言っても、簡単だ。まず、チームが二つなのはさっき言った通り。で、Aチームは、イオとサクラの二人。あとの奴らは、Bチーム」

『『『!?』』』

「「し、師匠!?」」

「それから、球の数はそうだな……まあ、五個でいいだろう。問題ないよな? お前ら」

 

 と、師匠が笑顔でみんなに尋ねる。

 

 ボクと依桜の二人は、ええ? みたいな表情を浮かべ、未果たちは、苦笑い。

 

 でも、それは事情を知っているからそう言う反応になるわけで、ボクを普通の双子の妹だと思ってる、他のクラスメートのみんなは違うわけで……。

 

『せ、先生』

「なんだ」

『女男の奴が強いのはわかるんすけど、さすがに、男女の方は強くないんじゃないすか……?』

 

 まあ、そう思うよね……。

 

 こっちのみんなは、ボクが強いと言うことを知らないわけだし……。

 

 ボク自身も、外見は強そうに見えないからね……うん。仕方ないとは思うんだけど……ちょっと心に来る。

 

「心配ない」

『で、でも、さすがに女を攻撃するのは……』

「一応言うがな、そこのサクラも、下手な奴より強い……というか、基準的には、イオと同じだ。それも、全く同じ」

『『『え!?』』』

 

 師匠が言ったことに、クラスメートのみんなはそろって驚きの声を上げた。

 

『う、嘘、あんなに可愛い見た目して、実際はすごく、運動神経が高い……?』

『姉妹揃って運動能力抜群……』

『で、でも、全然すごそうには見えない、よね……?』

『胸部装甲はすごいけど』

 

 みんなの心配が心に刺さるぅ……。

 わかってはいたけど、こうなると、本当に泣けてきちゃうよ……。

 

「いいんだよ。あたしはできないことは言わない主義だ。できるから言うんだよ。おら、さっさと準備しろ。一応、人数の半数は外野だ。まあ、少し多すぎるからな。あとは……あー、そうか、二人だけだから外野が用意できんな……」

「な、なら、少し多くすればいいと思うんだが」

「いやダメだ。お前らはあたしをおちょくったからな。まあ、少しは修行だと思え」

「「で、ですよねー……」」

 

 理不尽なのは変わらず、かぁ……。

 むしろ、師匠が理不尽じゃない世界なんてあるのかな……。

 ボク的にはないと思うよ。

 

「まあ、外野なんていらんな。もう面倒だから、Bチーム側のAチーム外野はいらないんで、そこの外に転がった球は、Bチームのものとする。よし、ルールはこんなもんだな。やるぞ」

 

 と、ボクと依桜の二人は顔を見合わせて、

 

「「はぁ……」」

 

 深いため息を吐くのでした。

 

 

 それから、ドッジボールコートを師匠が一瞬で作り、

 

「まあ、さすがにあれなんで、五個の内、二つはお前たちが持っていいぞ」

「それでも、Bチーム側に三つあるんですけど……」

「お前たちは二人だけだ。なら、二つで十分だろ」

「ひ、酷すぎだ……」

 

 師匠は師匠でした……。

 

「それから、Bチームの奴らは、一回当たったら即終了で、外野行きだ。当たっても戻れない。いいな?」

『はい』

「よし、いい返事だ。んじゃ、ほれ球」

 

 そう言いながら、ぽーんとボールを投げ渡してきたので、ボクと依桜はボールをキャッチ。

 Bチームの人たちも、何人かボールをキャッチした。

 

「それじゃ、始めるぞ。……開始!」

『先手必勝! まずは、男女から狙うッ!』

 

 って、開始早々いきなりボク!?

 

 え、えっと名前は確か……あ、遠藤君!

 覚えてる限りだと、たしか、野球部、だったかな……?

 

『男女にボールを当てるのは忍びないが……勝つためよ! 喰らえ!』

 

 と、遠藤君が勢いよくボールを投げてきた。

 けど、ボクからすれば、相当遅く感じるわけで。

 

「よっ!」

 

 持っていたボールを上に投げると、遠藤君のボールを右手で勢い全部いなして、右手でキャッチ。そのまま、落ちてきたボールを空いてる方の左手で捕る。

 

『は!?』

「お返しです!」

『ちょっ、は、はや――ぐほぁ!?』

 

 お返しとばかりに投げたボールが、見事に遠藤君の腹部を捉え、そのままアウトにした。

 

『さ、桜ちゃんすごい……』

『これ、マジでなめてかかったらすぐにやられるぞ!』

『みんな、これは連携で倒すぞ!』

『『『おお!』』』

「あ、ご、ごめんね。なんか、スイッチ入っちゃった……」

「いや、いいよ。どうせ、遅かれ早かれこうなったろうから」

「それもそっか」

 

 ボクと依桜の身体能力は師匠が言ったように全く同じだと思うしね。

 だから、今みたいにすぐにアウトのさせるくらいはできるわけだもんね。

 うん。たしかに、すぐにばれるよ。

 そんなわけで、ドッジボールが本格的に始まりました。

 

 

 ドッジボールが始まってすぐ、ボクと依桜は、

 

「「はぁっ!」」

『うおっ!?』

『きゃっ』

『しまった!』

『くっ』

 

 一回の投球で、数人をアウトにしてました。

 

 こういうのって、どういう風に投げれば、同時に何人落とせるか、と言うことさえわかっていれば、誰でもできるからね。

 

 この技術は、向こうで学んだものです。

 

 ちょっとしたアイテムを使って攻撃する時に、上手く反射を活かして使わないとダメな時があったので。

 うん。こっちでも活かせているようで何よりです。

 

 多分、依桜もボクと同じ理由だろうね。

 何せ、別の世界のボクだもん。

 

『くっ、一回の攻撃で数人も……とりあえず、ボールは全部こっちのチームにある! 外野! パスしてやるんだ!』

『『おう!』』

 

 内野にあったボールを全部、外野にパスするBチームの人たち。

 そして、指示通りに外野の人たちが一斉にボールをボクたちに投げる。

 んだけど……

 

「ふっ、よっ、はっ!」

「よっと」

 

 ボクと依桜は、上手く体を動かして、ボールを全部回避。

 

 顔に来たら、顔を横にして避け、胴体に来たら、体をのけぞらせる。この時、胸に当たらないようにボクは注意。まあ、かなり膝を曲げたから、すれすれのところで飛んでいくんだけど。

 

 そして、それを見計らったかのように飛んできたボールは、手足を使って軽く跳んで回避。さらにそこを狙ってくれば、体を捻ってさらに回避する。

 

 依桜の方も同じような動き。

 

 体を上手く回転させて回避したり、バク宙、側転などで回避していく。

 

 うん。まあ、そうなるよね、五個も飛んでくると。

 

 と、こんな感じにボールを回避し続けていると、

 

『はぁっ……はぁっ……ぜ、全然当たらねぇ……』

『む、無理でしょっ、あんなの……』

『依桜君だけじゃなくて、桜ちゃんも動きがすごすぎ……』

『ど、どうやったらっ、あんな動き、できるんだよっ……』

 

 Bチームのほとんどの人がばててしまった。

 

 うん。まあ……こうなるよね。

 

 Bチームの人たちには額に汗を浮かべていたり、中には疲れてへたり込んじゃってる人もいる。

 

 対して、ボクと依桜の二人。

 息切れなし。汗もかいてない。疲れもほとんどない。軽くウォーミングアップしたくらいかな? くらいの運動量にしか感じてない。

 

 う、うーん、これが世界の壁……。

 普通の世界と、異世界の身体能力の差……。

 こうしてみると、本当に差が大きいんだね。

 

「あー、これはどうすればいいと思う?」

「う、うーん、ボクもこの状況をどうすればいいのかわからないし、むしろ、どうにかする方法を聞きたいくらい」

 

 平然と立っているボクと依桜は、そんな風に話し合う。

 

『な、なんで疲れてねぇんだよ……ば、化け物すぎるだろ……』

『……うっ、気持ち悪……』

「あー、これはもうダメだな。……まあ、依桜を二人相手にして、奮闘した方だろうな、これは」

 

 なんて、師匠が呟いていたのが聞こえた。

 

 ……まあ、師匠の地獄のしごきを乗り越えた人間が二人いるからね……確かに、師匠の言う通り、奮闘した方だと思うよ、ボクも。

 

 むしろ、かなりすごかった気がする。

 連携だって上手くできてたし。

 

「ま、こうなったら、仕方ない。続行は不可能だな。そこまでだ。この勝負、Aチームの勝ちとする」

 

 疲労困憊の状況を見た師匠が、そう言うことでドッジボールは終了となった。

 

 

 その後は、少し回復してから再び複数チームに分かれて試合を何度か行い、五、六時間目は終わりとなった。

 

 

 更衣室にて。

 

「はぁ……依桜と桜、やっぱり異世界にいただけあるわ……」

「あ、あはは……なんか、ごめんね?」

「いいのよ。努力の結果なわけだしね。まあ、かなり疲れたけどね……」

 

 本当に、未果は疲れた表情を浮かべていた。

 うん。本当に申し訳ないよ……。

 

「いやー、桜君、すごかったよー」

 

 なんて、ボクを褒めてくる、女委。

 

 女委は、周りにボクたち以外がいない時は、ボクのことを桜君と呼んでくる。

 事情を知らない人たちがいる時は、桜君じゃなくて、桜ちゃん、って呼んでくるけど。

 

 まあ、どっちでもいいんだけどね。

 

「あ、ありがとう。でも、ちょっとやりすぎちゃった気分だよ……」

「まあ、いいんじゃないかなー。これで、大体の人は桜君が依桜ちゃんの双子の妹って信じただろうからねぇ」

「それもそうね。まあ、そっくりすぎるから、信じてもらえていない、なんてことはないでしょうけどね」

 

 そっくりすぎるって言うより、まったく同じなんだけどね。

 それを知ってるのは、ボクたちだけだからね。

 

 対外的には、双子っていうことで通さないといけないから。

 ある意味、ボクはこっちの世界にいちゃいけいない存在だし。

 

 と、そんなことを話したり、思ったりしながら着替えていると、

 

『『『桜ちゃん!』』』

 

 クラスメートの女の子たちがボクの所に来て、話しかけてきた。

 

「わっ、ど、どうしたの?」

『体育での桜ちゃんがすごかったから!』

「あ、あはは、ありがとう」

『桜ちゃん、生まれつき運動神経がよかったの?』

「ううん、あれは師匠に鍛えられただけだよ」

『ということは、武術の先生とか?』

「あ、ううん。えっと、一応、ミオ先生なんだけど」

『うっそー! 桜ちゃんもミオ先生のお弟子さんなんだ!』

「そうなんだよ」

 

 正確に言えば、みんなが知ってる師匠じゃないんだけど……。

 

『でもでも、そんなにおっきな胸してるのに、よくあんなに激しい動きができるね?』

「あ、あはは、実は結構痛かったりするんだよ……」

 

 激しい動きをすると、胸が揺れて付け根が痛いんだよね……。

 今回、結構動いたから試合中、すごく痛かったよ。

 

『やっぱり、大きいと大変なんだね』

「うん。あんまりいいことはないよ……」

 

 大きくてよかった! って思ったことはないよ、ボク。

 依桜も同じ気持ちだと思います。

 

『そうなんだー。でも、大きいから羨ましいなぁ』

『大きくする秘訣とかあるの?』

「あ、う、うーん、特に意識したことはないから、遺伝としか……」

『そっかー。だよねぇ』

『それじゃあ、運動ができるようになるコツとかは?』

「うーん……師匠の指導を受けてれば多分よくなると思う、よ?」

『そうなんだ。じゃあ、頑張ってみようかな』

『うん、運動ができて困ることはないからね』

『ありがとう、桜ちゃん』

「ううん、特にお礼を言われることは言ってないから、気にしないで」

 

 最後に軽くそう言って、女の子たちは戻っていった。

 

 こっちの世界のクラスメートのみんなも、やっぱり同じなんだね。

 結構安心したよ。




 どうも、九十九一です。
 馬鹿みたいに考えるのが大変な章です。正直、この章に関しては、一日一話のスタイルに戻りそうです……。まあ、元々、二話投稿がおかしかっただけですが。本来は一話投稿ですからね。
 まあでも、調子が良かったりできそうなときは二話投稿にしますので、ご了承ください。
 今日も一話投稿だけです。明日もいつも通りだと思いますので、よろしくお願いします。
 では。

依桜の異世界に滞在していた三年間の話をやってほしいかどうか

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  • やらなくていい
  • どっちでもいい
  • 知らぬ
  • 単体作品でやってほしい
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