異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常~   作:九十九一

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2-4章 球技大会(普通?)
315件目 球技大会の種目決めと委員会の仕事


「というわけで、球技大会に出る種目を決めるわよー」

 

 ゴールデンウイーク明けから、最初の木曜日。

 

 五月下旬に球技大会があるということで、HRの時間にどの種目に出場するかを決めることになりました。

 

 ちなみに、進行は未果です。

 

 大変だね、クラス委員。

 

「とりあえず、今から種目を黒板に書いていくので、選んでね」

 

 そう言いながら、未果が黒板に競技種目を書いていく。

 

・バスケ 男女それぞれ六人ずつ

・ソフトボール 男女混合九人

・卓球 男女それぞれ二人ずつ

・サッカー 男女別十一人

・テニス 男女それぞれお二人ずつ

・バレーボール 男女混合六人

・ドッジボール 男女混合十人

・最終種目(全員参加)

 

「これくらいね。男女混合種目に関してはあれだけど、男女別種目は一人だけ二つでないといけないので、そこも考えておいてね。ま、混合種目もあるから、それを考えたら、一人二種目出る人もいるとは思うけどね。とりあえず、何か質問ある?」

 

 未果がそう尋ねると、晶が手を挙げる。

 

「はい、晶」

「最後の種目ってなんだ?」

「あー、これね。体育祭の時と同じく、まだ秘密にされてるのよ。しかも、全員参加になってるのよね、これ。まあ、多分当日か、前日くらいにわかると思うし、今は気にしないということにしといて」

「そうか、わかった」

「はい、じゃあ聞いての通りなので、これは気にしないでね。さ、適当に話し合って決めてね」

 

 未果って、割と適当なところがあるような……。

 でも、クラス委員って大変だと思うし、仕方ないよね。うん。

 

「おーっし、何出るか決めようぜー」

 

 と、みんながボクの所に来た。

 

「あ、みんな」

「とりあえず、私たちも出場種目を決めないとね。男女別種目は、一人だけ二種目だけど、みんなはなにか希望はあるのかしら?」

「そうだな……俺はバスケがいいかもな」

「オレサッカー」

「わたしは、そうだねぇ……うーん、運動する上で胸が揺れるのって痛いしなー……やっぱり、卓球辺りかな?」

「じゃあ、私はテニスにしようかしら」

「依桜はどうするんだ?」

「うーん、ボクは……」

 

 何にしよう。

 

 正直、ボクはどの種目に出ても目立つことにしかならないような気がするんだよね……。

 

 身体能力、異常だもん。

 

 でも、女委の言い分もわかる……。

 

 運動って、何をしても胸が揺れるから、付け根が痛くなっちゃうんだよね……。

 大きく動くと、すごく揺れちゃって……。

 

「まあ、依桜の場合は何に出ても、優勝できそうだし、贅沢な悩みよね」

「そ、そうは言うけど……運動しにくいんだよ? これでも」

「「「「まあ、その胸じゃぁね」」」」

「……うん」

 

 本当にね。なんで、こんな体系になったんだろうね、ボク。

 

「なら……サッカーにでもしておけば?」

「なんで?」

「んー、サッカーってほら、ゴールキーパーくらいなら、そこまで動かなくてすむでしょう? 相手のチームの強さには寄ってきちゃうけど……」

「だが、ゴールキーパーも結構動くと思うんだが」

「バレーボールとかに比べればマシよ。というか、依桜の場合、ちょっと力の入れ方をミスしただけで、死人が出るわ」

「ひ、否定できない……」

 

 未果の言う通り、ある意味、一番安全にできるのは、ゴールキーパーかも……。

 

 そこそこ動くかもしれないけど、ボクなら最小限の動きで済むし……。

 

 それに、攻撃の時は、そこまで動くこともないから、胸も動かさないで済みそうだもんね。うん。

 

 もっと言えば、未果が言ったように、ボクは力の入れ方を間違えると、本当に死人が出る可能性があるからね……。

 

 バレーボールなんて、サーブでミスしたら、確実にボールが『新しい顔よ!』みたいに、飛んでいっちゃうおそれがあるもんね……。

 

「じゃ、じゃあ、サッカーにしようかな」

「了解よ。見たところ、他の所も決まって来たみたいだし」

 

 そう言うと、未果は教壇の方へ戻っていく。

 

「はい、とりあえず、決まったみたいね。今から種目を言うので、出るところに手を挙げてね。じゃないと、こっちで勝手に入れるから」

 

 地味に酷いこと言ってるね、未果。

 でも、みんなから不満みたいなのが出ないところを見ると、概ね決まったみたいだね。

 

「それじゃあ、まずは――」

 

 

 意外とつつがなく進み、男女別種目は早々に決まりました。

 

 ボクはそのままサッカーに決まった。

 

 終盤、男子はバレーボールが一人決まらなくて、女の子の方は、バスケが決まりませんでした。

 

 でも、それを見た晶と未果が立候補した結果、二人は男女別種目に二つ出ることになりました。

 

 大変そう。

 

 ……でも、ボクじゃなくてよかったです。

 

「はい次。次は、男女混合種目を決めるんだけど……まあ、ここはくじ引きにしましょう。どうせ、暴動が起きそうだし」

 

 未果がそう言うと、なぜかクラスのみんながボクを見てきた。

 

 え、なに?

 

 もしかして、ボクが暴動を起こすと思ってる……?

 

 ち、違うよね? ボクそんなことしないもん。

 

「じゃあ、例によってあみだくじがあるので、書きに来て。早い者勝ちよ」

 

 と、未果が言うと、クラスのみんがあみだくじに殺到した。

 何か出たい種目とかでもあるのかな……?

 

「あとは依桜だけよ、書きに来て」

「あ、うん」

 

 気付けば、ボクだけになっていた。

 

 一ヵ所だけ残っていたところに名前を書く。

 

 これで、あみだくじの準備が出来たので、未果が確認し、黒板に書いていく。

 

 その結果、

 

「あ、ドッジボールだ」

 

 ボクは、ドッジボールに出場することになりました。

 

 ドッジボールというと……並行世界に行った時のことを思い出すよ。

 

 あの時は、ボクともう一人のボクだけのチームで、相手はクラスメートのみんなだったしね……。

 あれは、本当に酷かったなぁ。

 

「はい、決まりね」

 

 周囲を見れば、何やらがっかりしている人と、嬉しそうにしている人がいた。

 

 がっかりしている人は、出場種目がない人と、普通に出場種目がある人、両方いるんだけど……そんなに出たい種目があったのかな?

 

「さて、じゃあこれで種目は決まったけど……あとは軽く球技大会の説明ね。まあ、去年すでにやっているからわかると思うけど、球技大会は例年通りなら、二日間に渡って行われる物だったんだけど……今年から初等部と中等部が開校されたので、大きく変わるわ」

 

 あ、そっか。

 

 球技大会をやる以上、それに参加する生徒も去年以上に増えるんだもんね。

 

 それなら、メルたちの応援もしないとね。

 

「その結果、球技大会は五月二十六日二十八日の間の計三日間渡って行われるそうよ。まあ、この先のイベントも、同じようになるらしいけど」

 

 なるほど、三日間もやるんだ……。

 

 それ、勉強の方大丈夫なのかな?

 

 なんか、すごく心配なんだけど……まあ、学園長先生のことだし、ちゃんと考えてるよね。

 

「まあ、十中八九、体育祭なんかはもっと濃密になりそうだけどね」

 

 たしかに。

 

 球技大会はそこまで種目数がないし、三日で収まるかもね。

 

 一応、各部にグラウンドは作られているらしいし、体育館もあるしね。

 

 この学園、実は相当広いもんね……。

 

 その内、学園が美天市を吸収して、学園都市、みたいになりそう。

 

「まあ、それはそれとして、軽く説明するわね。一応全部の日程の内、初等部~高等部まで全部同時に競技が行われるわ。一日目は基本的に予選。二日目で決勝トーナメントね。そして三日目で、最終種目らしいんだけど……どうやら、最終種目は高等部だけらしいわ」

 

 うーん、じゃあみんなの応援に行けるかわからないかも……。

 

 競技が重なっちゃうかもしれないし。

 

 ……最悪の場合は、瞬殺して応援に行こう。うん。そうしよう。

 

「一応、予選で敗退すれば、二日目は応援だけになる恐れがあるので、まあ頑張ってね」

 

 そっか。

 

 たしかに、初日で負けちゃったら、出ることはもうないんだもんね。

 

 そう考えたら、負けるのって結構嫌だね。暇になっちゃうもん。

 

「じゃあ、最後に。当日は、出場種目十分前以外は、学園内ならどこにいてもいいそうよ。だから、知り合いがいるのなら、初等部や中等部の方へ応援に行ってもいいしね」

 

 そう言うと、クラスのみんなが少し楽しそうに話し始める。

 

 まあ、中には兄弟がいる人だっているかもしれないしね。

 

 ボクだって、最近できたとはいえ、妹が六人もいるわけだし、応援には行きたい。

 

 もし、未果たちの出場種目とかぶっちゃったら、『分身体』を使って応援しよう。

 

「で、中には当日、仕事がある委員会もあるので、今から言うわね。体育委員、環境委員、保健委員の三つね」

 

 ……し、仕事がある……。

 で、でも、そこまで仕事はない――

 

「この中で、体育委員と保健委員の二つは仕事が多いわね。体育委員は、点呼を取ったり、競技の準備をしたり、それ以外にも多く仕事があるので、頑張ってね。で、保健委員は、怪我の手当てがあるわ。特に、高等部の生徒は、初等部と中等部にも派遣される場合があるので、頑張ってね」

 

 ……お、多そうだなぁ……保健委員の仕事……。

 

 でも、もし派遣されるのなら、初等部がいいです。

 

 みんなに会えると思うし。

 

「まあ、大体の説明はこんなところね。それから、図書委員は、当日のパンフレットづくりの為に駆り出されるらしいわ。で、この後、体育委員、環境委員、保健委員、図書委員は委員会があるそうなので、SHR後、各委員会の教室に行ってね」

 

 あ、図書委員も仕事があるんだ。

 

 よく見たら、女委がちょっとわくわくした表情を浮かべてる。

 

 パンフレット系に関しては、女委の得意分野だもんね。多分、色々と暴走するんじゃないかなぁ……。

 

「はい、じゃあ今日のHRは終わりかしら? まあ、後は適当に先生が来るまで静かに過ごしてましょ」

 

 意外と早く終わったので、時間になるまでみんなと話した。

 

 

 それからSHRも終わり、未果が言ったように、委員会があるのでボクは被服室へ。

 

 なんで、保健委員が被服室なのかはわからないけど。

 

「はーい、みんな集まりましたね~。じゃあ、今日は当日の動きについて教えるのと、担当場所を決めるだけなので、リラックスしてくださいね~」

 

 保健委員会の顧問の先生は、希美先生。

 まあ、養護の先生だしね。

 

「とりあえず、資料に書かれている通りです~。高等部は、色々と慣れていることから、初等部と中等部に行く人を決めないといけません~。高等部から一番遠いのは、初等部なんですけど、誰か、そこを担当してもいいよ~、という人はいますか~?」

 

 と、希美先生が言ったので、ボクは迷いなく手を挙げました。

 

 だって、ね?

 

 初等部にはみんながいるし、もし怪我をしたらちょっと心配だもん。もちろん、行くからには全力で仕事はするけど。

 

 周囲を見れば、他に挙手する人はいなかった。

 

「えーっと、依桜君だけね~。他に誰かいますか~? できれば、あと二、三人くらい欲しいんだけど~……」

 

 希美先生が困ったようにそう言うと、一斉に手が上がった。

 

 え!?

 

 な、なぜかみんな手を挙げてるんだけど!?

 

「あらあら~、欲しいとは言ったけど、こんなにはいらないわよ~。それじゃあ……公平にくじ引きで決めましょうか~。ちょうどここに、くじがありますので~」

 

 なんで都合よくくじがあるの?

 

 まるで、こうなることがわかっていたかのような準備の良さなんだけど……わかってたのかな? 希美先生。

 

 殺気だった他の委員の人たちが、ものすごく真剣な表情でくじを引き……結果、一年生の生徒が一人と、三年生の生徒が一人、という結果となった。

 

 ある意味、バランスがいいね。

 

 でも……やっぱり、がっかりしていた。

 

 そんなに、初等部で仕事したかったのかな?

 

 うーん……代わってあげたいけど、ボクもちょっとやりたいしね、初等部の方で。

 

 万が一みんなが怪我したら大変だもん。

 

「これで決まりですね~。じゃあ、あとは中等部に行く人と、高等部の方、どちらか希望がある人はいますか~? なければ、こちらで決めちゃいますけど~」

 

 そう尋ねると、特に希望はなかったようなので、希美先生が決めることになった。

 

「初等部と中等部は、一応向こうの生徒さんがいるとは思いますけど、基本そこに常駐する形になると思いますので、頑張ってくださいね~。もちろん、交代もありますから、安心してください~」

 

 なるほど。

 

 だから、初等部と中等部って人数が少ないんだね。

 

 一応、向こうにもいるみたいだから、人員不足になることはないかな?

 

 もし、みんながいなかったら、高等部を選んでいたんだろうけど……さすがに、異世界から来て日も浅いしね。

 

 一応、勉強自体はまだやらないといけないんだけど、せっかくのイベントということで、みんなが編入するクラスに混ざって参加することになっているからね。

 

 でも、来たばかりで心配だから、初等部に行きたいわけで。

 

 妹が心配になるのは、姉として普通のことだもんね。

 

 うん。

 

「それじゃあ、当日の説明をしますね~。と言っても、やることは応急手当てです~。怪我した生徒の怪我の手当てをしてもらいますね~。一応、やり方がわからない人たちのために、やり方を書いたメモを渡しますので、それを参考にしてくださいね~。もし、応急手当てで済ますことができない怪我あったら、すぐに私を呼んでくださいね~。もしいなかったら、近くにいる先生方に連絡をお願いします~」

 

 ボクは、怪我の手当ては慣れてるから、大丈夫……だと思うけど、あとで復習しておこう。

 ちょっと心配だし。

 

「それから、出場することになる競技が間近になったら、他の生徒さんに伝えてくださいね~。初等部と中等部は、そこの生徒さんたちもいるので問題はないですけど~、高等部はシフト制みたいになるので、連絡はちゃんとしてくださいね~」

 

 一応、初等部だからと言って、連絡を怠らないようにしよう。

 何かあったらまずいからね。

 

「質問はありますか~? ……えーっと、ないようなので、今日の委員会はこれでおしまいです~。次は、来週の木曜日に、今日と同じ時間に、ここでありますので、忘れないようにしてくださいね~。それじゃあ、解散です~」

 

 その一言で、今日の委員会は終わりました。

 

 去年は保健委員会に入ってなかったので、ちょっと心配だけど、何とかなりそうかな。

 

 あ、みんなにも色々と聞かないとね。




 どうも、九十九一です。
 一応、この話から、依桜視点に戻り、球技大会の話に入ります。一応、大き目の章ということでやります。長さによっては、日常回にする可能性もありますが、できるだけそうならないようにします。
 明日もいつも通りだと思いますので、よろしくお願いします。
 では。

依桜の異世界に滞在していた三年間の話をやってほしいかどうか

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