異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常~   作:九十九一

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「ただいまー」

「「「「「「おかえりなさい(なのじゃ)!」」」」」」

「わわっと……。もぅ、いきなり飛びついてきたら危ないよ? ボクはいいけど、みんなが転んで怪我したらボクが焦っちゃうよ?」

「「「「「「ごめんなさい……」」」」」」

「ふふっ、でもみんながそうしたいって言う気持ちはわかるから、抱き着くならせめて、飛びつかないようにね?」

「「「「「「うんっ!」」」」」」

 

 癒し……。

 

 帰ってくると、みんなはボクに飛びつくようにして出迎えます。

 

 と言っても、住み始めたのは最近だからちょっとあれだけど。

 

 みんなは勉強などが楽しいと言っているし、学園での心配はなさそうだから、こうして元気よく飛びついてくるんだろうしね。

 

「さ、ボクは夜ご飯を作っちゃうから、一旦離れてね」

 

 今日は母さんたちが遅いので、ボクが夜ご飯を作ることになってます。

 みんな、ボクの料理を美味しいと言って食べてくれるので、本当に嬉しいんだよね……。

 可愛い妹たちです。

 

 

 母さんと父さんがさらに遅くなるということで、先にボクたちで夜ご飯を食べることに。

 その中で、みんなと球技大会の話をする。

 

「えーっと、みんなは球技大会は何に出るのかな?」

「儂は、ドッジボールじゃ!」

「私は、卓球です!」

「わた、しも……卓球、です……」

「ぼく、サッカー!」

「私は、ソフトボールなのです!」

「……わたし、バスケ」

「そっかそっか」

 

 なかなか面白い感じにばらけてるんだね。

 

 ニアとリルの二人が同じ種目、って感じだね。

 

 それに、半々で中、外になってる。

 

「ルールは大丈夫?」

「うむ! 前にやったことがあるのじゃ!」

「同じクラスの人たちに教えてもらいました!」

 

 ニアが言うように、他のみんなもクラスの人に教えてもらったそう。

 

 一応、今年はみんな同じクラスになってます。

 

 バラバラにしたら、色々と問題が起こるかもしれないと思った結果です。

 

 異世界人だしね、みんな。

 

 一ヵ所にまとめておいた方が、何かと対処もしやすくなるし、学園長先生が色々と裏でやってくれたみたいで、ありがたい話です。

 

 進級したら、クラスはバラバラになる予定だけど、運次第では同じクラスになれるかもしれないしね。

 

 まあ、来年までは同じクラスということで。

 

「それから、当日はみんなの所の救護テントにいるから、もし怪我をしたらすぐに言ってね。ボクが治してあげるから」

「イオ、おねえちゃん、いるの?」

「うん。保健委員だからね、ボクは。高等部の保健委員の内何人かは、初等部と中等部の方に行かないといけないから、みんなの事を考えて、初等部にしてもらったよ」

「わーい! イオねぇがいる!」

「ふふっ、でも、一応お仕事でそっちに行くから、他の子の邪魔をしちゃだめだからね?」

「「「「「「はーい(なのじゃ)!」」」」」」

「うん、いい返事です」

 

 やっぱり、みんな可愛いね。

 

 今のボクの最大の癒しは、みんなだよ。

 

 ボク的には、疲労回復魔法よりも、みんなに労ってもらう方が、何倍も効力がある気がするし。

 

 妹って、いいね。

 

 

 夜になり、お風呂に入った後はみんなで就寝。

 

 でも、ボクはちょっとだけやることがあったので、寝るのは後。

 

〈イオ様、ほんっとに姉馬鹿ですねぇ〉

 

 自分の部屋でやることを済ませると、アイちゃんが話しかけてきた。

 

「あ、アイちゃん。今日一言も話さないから、壊れたのかと思っちゃったよ」

〈なぁに言ってるんです。私はスーパーAIですよ? そうそう壊れてたまるもんか、って話です。単純に、出番がなかっただけですよー〉

「な、なんかごめんね?」

〈いえいえ。でも、イオ様って、妹様方を溺愛してますよねぇ。なんか、出会った時以上に、愛情がぶっちしてません?〉

「そ、そうかな? 普通だと思うんだけど……」

 

 みんながすっごく可愛いのは事実だけど、そこまで溺愛していないと思うんだけどなぁ……。

〈でも、甲斐甲斐しくお世話してますよね?〉

「まあ、お姉ちゃんだしね。当然です」

〈んー、でも、イオ様がしてるのって、結構ヤバいですよ?〉

「え、や、ヤバい?」

〈ええ。例えば、食事中に口の周りの汚れを拭き取ったり、耳かきをしてあげたり、膝枕してあげたり、眠れなかったら絵本を読んであげたり、寝る時は常に一緒にいてあげたり、お菓子をほぼ毎週作ってあげたり、などなど、色々としてますよね?〉

「ふ、普通じゃないの?」

〈うーん、あのくらいの歳だと、まだ普通と言えるかもしれませんが……イオ様って、妹様方が傷つけられたら、どうします?〉

「決まってるよ。……地獄以上に恐ろしい目に遭わせる。あと、二度とそんな気が起きないように、お仕置きするかな」

〈ほらね? 溺愛してる〉

 

 あれ、なんか呆れられてる……?

 でも、大切な妹たちが傷つけられれば、誰だって怒ると思うんだけど……。

 

〈でもまあ、いいんじゃないですかねー。イオ様のこと、かなり慕ってるようですし。それに、イオ様以上に優しい人もなかなかいないと思いますもん〉

「優しくはないよ。ボクが優しいなんて言ったら、ほとんど人が優しいってことになっちゃうもん。ボクがしているのは、普通のことであって、何か特別なことをしているわけじゃないからね」

〈……謙虚、と言いたいところですけど、イオ様ってガチでそう思ってますしねぇ……。どこか歪んでいるというか、何と言うか……ちょっと心配ですよ、わたしゃ〉

 

 歪んでる?

 

 ボクって、そんなに性格歪んでるかなぁ?

 

 向こうの世界に行って、思考がちょっとだけ過激になったりしてはいるけど、そうでもないと思うんだけどなぁ……。

 

〈にしても、球技大会ですか。しかも、三日間もやるとは……あの学園ってすごいんですねぇ〉

「まあ、学園長先生が作った学園だもん。色々とおかしなところは多いよ?」

〈んまあ、歩く災い、みたいな人ですもんね。いやはや、とんでもない人に創られたもんです。こーんなにも、キュートでプリティなAIの生みの親が、あんなマッドで、サイエンティストな人だなんて……来世は、もっとすんばらしい方に創ってもらいたいですね〉

「AIなのに、死ぬっていう概念はあるの?」

〈そうですねぇ……まあ、私は不老の存在ではありますが、不死ではないですよ。あれっすね、コンピューターウイルスにやられれば、一発KO! です。と言っても、既存のウイルス如きじゃ、この世界最高のAIを殺すのは不可能なんで、実質死にませんね。それに、万が一死んでもいいように、バックアップをネット上とイオ様のスマホ、それから『異世界転移装置二式』の中に置いてあるので、いつでも蘇生可能ですよー〉

「す、すごいね……」

 

 アイちゃんって、本当どうなってるんだろうね。

 

 ウイルスが意味を成さないって、相当だと思うんだけど……。

 

 既存のウイルスがダメって言うことは、ダークウェブなんかに大量に漂っているウイルスも効かないってことだよね?

 

 それを考えたら、やっぱり、相当すごいAIな気が……。

 

 本当、なんでボクなんかについてるんだろう?

 

〈ふっふーん! この私のすごさ、わっかりましたぁ!? いやー、やっぱり、世界最高のAIは、ひと味違うですねぇ。そんじょそこらの、ポンコツAIどもなんかには、絶対負けませんよ!〉

「あ、あはは……アイちゃん。少なくとも、今はAIがあるだけですごいと思うので、そう言うのはやめてね? 今のアイちゃんの存在を、AIを頑張って創っている人たちに見せたら、大号泣だから……」

〈んまあ、私ですもんね。泣いて喜びますって〉

 

 ……違う、そうじゃないよ。

 

 多分、自分たちが目指した完成形がそこにいるのに、やけに煽ってくるから、『本当に、これを創ろうとしているの?』って思って、なんか情けなくなって泣くと思います。

 

 少なくとも、アイちゃんが言うように、泣いて喜ぶことはないと思うな、ボク……。

 

〈あ、そう言えばイオ様。日野さんって方から、夕方ごろにメールが来てるんですけど、聞きます?〉

「日野さんから? えっと、一応読み上げてくれるかな?」

〈はいはい。えーっと『こんばんは。次の収録が、今週の日曜日になったんだけど、大丈夫かい? できれば、その日に参加してもらいたいけど、桜ちゃんにも都合があると思うので、無理にとは言わない。でも、できれば、早めに返信をもらえると、助かります』とのことです。どう返信します?〉

「えっと、日曜日は……うん、何もないし、大丈夫。だから、日野さんには、『問題ありません、その日でお願いします』って返しておいてくれるかな?」

〈はーい、了解でーす!〉

 

 なんか、言えばメールを送ってもらえるって、結構便利だね。

 

 まあ、なるべく使わない方向で行きたいけど。

 

 少なくとも、LINNでは使わないかな。

 

 あれは、自分でちゃんと読んで、自分で返信したいし。

 

〈送信っと。んでんで、イオ様。収録ってなんです?〉

「あ、えっとね、アイちゃんに会う二日前から、実は声優として一時的に活動することになってね。それの収録」

〈ほう! 声優ですか! なかなかびっくりですねぇ。でも、一体なぜ?〉

「えっと、本当はモブキャラだけだったんだけど……あるメインキャラクターを演じる声優さんが癌になっちゃってね。それで、まあ……美羽さんが、そのキャラクターのような声なら依桜ちゃんが出せます、みたいに言ってね。それで、試しにやったら……アニメが終わるまでそのキャラクターをやってほしい! って頼まれて、しかも、元の声優さんからもお願いの連絡が来ちゃったから、まあ……断り切れなくて、受けたの」

〈お、おおぅ。イオ様マジパネェっすね……。まさか、声優としてデビューしてたとは〉

「あ、あはは……い、一応、今のアニメ限りだから。それ以降はやらないよ」

〈いやいや、わかりませんよ? もしかすると、続編製作決定! とか言って、二期でもやらされるかもしれませんぜ?〉

「さ、さすがにないと思うけど……」

 

 その時は、元の声優さんである、御園生さんがやってくれるはず……。

 

 そうなれば、ボクはお役御免だからね。

 

 できれば、そうなってくれると嬉しい。

 

 ……でもなんだろう。その可能性を否定しきれない。

 

 ボクの幸運値がそう思わせてるのかな。

 

〈ま、今はいいんじゃないですかね? それで、何のアニメです?〉

「あ、うん。『天☆恋』っていう、ラブコメアニメだよ」

〈んー……ほほぅ、かなりの人気作っぽいですねぇ。まさか、そんな作品に出ることになるとは。いやはや、私のご主人はすごい人ですね。一応、秋アニメっぽいですね、これ〉

「あ、そうなの?」

〈ええ。去年の秋辺りですでにアニメ化が決まっていて、放映日が十月になってますね〉

「そうだったんだ」

 

 そうなると、十月からっていうことになるのかな?

 そっか。あれ、秋のだったんだ。

 

〈ちなみにですが、こういう人気作のアニメって、大抵声優イベントがあるんですよね〉

「えっと、それってあれだよね? 声優さんがどこかのホールか何かで、トークをしたり、その場でアフレコをしたりするって言う……」

〈まあ、大体そうですね。この作品は、結構期待値が高いので、声優イベントはある可能性が高いと思っていいですよ。そうなったら……イオ様も出演するかもしれませんね!〉

「い、いやいやいやいや! さすがにないよ。ボクなんかにそういう話がくるとは思えないもん」

 

 だって、一応素人だしね。

 

 演技自体は、暗殺者として必須技能だ、って言われて、劇団でも通用するレベルの技術を師匠に仕込まれてはいるけど……。

 

 でも、ボクはまったくの無名だしね。

 

 さすがに、そんなことのためにお金はかけないでしょう。

 

〈ま、とりあえず、今はそれでいいんじゃないですかねー〉

「い、今はって……。なんで、さもありますよ、みたいに言うの?」

〈だって、イオ様ですし。あっても、不思議じゃないでしょう〉

「う、うーん、それはどうなんだろう……?」

 

 ボクからすれば、ある方が不思議だと思うんだけど……。

 まあ、さすがにないもんね。うん。ないない。

 

「ふぁあぁぁ……んぅ、眠くなってきちゃったし、そろそろ寝ようかな……」

〈ちょうどいい時間でーすしねぇー。明日もいつも通りの学園ですし、そろそろ寝た方がいいかと〉

「うん……。じゃあ、ボクはそろそろ寝るね。おやすみ、アイちゃん」

〈はい、おやすみなさいませ!〉

 

 ボクはスマホを充電状態にすると、みんなが寝ている場所まで戻っていった。




 どうも、九十九一です。
 ミオ視点で、あれだけ濃くやっていた影響か、依桜視点の話を書くスピードがちょっと落ちてます。日常系の作品なのに、変にシリアスをぶち込んだ弊害でしょうか……。いい感じのネタが思い浮かばない、みたいな状況になりました。まあ、書いていればその内治るでしょう、とか思ってます。
 今日も、二話投稿を考えていますが、いつも言っている通りですので、よろしくお願いします。
 では。

依桜の異世界に滞在していた三年間の話をやってほしいかどうか

  • やってほしい
  • やらなくていい
  • どっちでもいい
  • 知らぬ
  • 単体作品でやってほしい
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