異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常~   作:九十九一

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 そして、球技大会当日。

 

 ボクの朝は早い。

 

 朝の四時半に起きて、みんなを起こさないよう、細心の注意を払いながら、布団から抜け出す。

 

 修業時代に得た技術? 技能? の中に、睡眠時間短縮があります。

 

 読んで字のごとく、短い睡眠でも問題なく生活するための物です。

 

 一応、三時間寝れば、三日は寝ずに動けます。まあ、あれです。一日一時間で大丈夫、みたいな感じですね。

 

 まあ……これでも師匠には敵わないんだけど……。

 

 だってあの人、五分寝れば、一週間寝ずに動けるんだもん。

 

 三大欲求って、あるのかな、あの人。

 

 あ、でも、師匠って神のような存在って言ってたし……それが原因で、人よりも睡眠時間とか栄養補給が必要ないのかも。

 

 今度訊いてみよう。

 

「さて、それよりも、早く作っちゃお」

 

 ボクが大会当日に朝早く起きているのは、単純にお弁当を作るためです。

 

 一応、学食は開いているけど、見学に来る一般の人たちが来ることも考えると、席が取れない可能性があるし、それなら、自分で作った方が確実だしね。

 

 それに、成り行きとはいえ、莉奈さんたちも来ることを考えたら、あの人たちの分のお弁当も用意しておいた方がいいよね。

 

 あ、それなら、あらかじめ言っておかないと。

 

 よかった、連絡先交換しておいて。

 

「たしか、父さんと母さんは仕事があるって言って、行けない、とか言ってたっけ」

 

 ある意味、よかったかも。特に、母さんの方。

 さすがに、あの姿を見られるのはちょっとね……。

 

「あ、早く作っちゃわないと」

 

 時間もそこまであるわけじゃないし。

 

 でも、仕込みをしておいてよかったよ、本当に。

 

 少しでも、みんなに美味しいものを食べてもらいたいしね。

 

 美味しくないお弁当を食べさせるのは、お姉ちゃん的にはありえません。なら、自分ができる最大限の料理を、お弁当箱にいれればいいのです。

 

 ふふふ、みんな喜んでくれるかなぁ。

 

 

 朝から張り切って作ったお弁当は、七時になる頃には完成していました。

 一応、三日間あるから、明日明後日も作らないとね。

 ちなみに、今日は和食がメインだったりします。

 

「ふぁあぁ……んぁ、イオか。おはよーさん」

「おはようございます、師匠。朝ご飯、食べますか?」

「ああ、そうだな、もらうよ」

「はい、じゃあすぐに準備しますね♪」

 

 とりあえず、あまったお弁当のおかずと、軽くサラダでも作ろうかな。

 

「~~~♪ ~~♪」

「……」

 

 ふと、師匠から変な視線を感じた。

 

「師匠、どうしたんですか?」

「あー、いや、何と言うか……制服にエプロンつけて、鼻歌まじりに料理しているお前を見てると……マジで可愛いなと」

「ふゃ!?」

 

 不意打ちで可愛いと言われて、つい顔が熱くなった。

 

「正直、『あれ? これ元男だよな? 女だったっけ? あれ?』みたいな心境だ」

「お、男です! も、元ですけど」

「だが、そんなものっそい家庭的な姿を見せられるとなぁ……少なくとも、お前が元男だって知ってる奴でも、忘れるくらいに似合ってんだぞ? お前のその姿」

「そ、そう言われましても……」

「まあ、あれだな。いい嫁さんになりそうだ」

「お、おおおおお、お嫁さん!? な、ななっ、なななに言ってるんですかぁ!」

 

 お、お嫁さんだなんて、そんな……。

 

 で、でもボク、男の人と付き合いたいっていうあれはないし……そ、それなら、女の子の方が……って、そうじゃなくて!

 

 あぅぅ、朝から恥ずかしいよぉ……。

 

「と、とりあえず、どうぞ、朝ご飯です……」

「すまないな。んじゃま、いただきます」

「召し上がれ」

 

 ボクの家は、家事は基本的にボクか母さんのどちらかがやってます。

 

 ただ、前の家では、知らない間に家が綺麗になってた時もあったけど……あれ、誰がやったんだろう?

 

 さ、さすがに、幽霊とかじゃない、よね?

 

 なんてことを思い出していたら、ドタドタと足音が聞こえてきた。

 

「あ、起きてきたかな?」

 

 そう言った直後、みんながリビングにやってきた。

 

「おはようなのじゃ、ねーさま!」

「おはようございます、イオお姉ちゃん」

「お、はよう、ござ、います、イオおねえちゃん」

「おはようです、イオねぇ!」

「おはようございます、イオお姉さま」

「……イオおねーちゃん、おはよう」

「うん、おはよう、みんな。朝ご飯できてるから、食べちゃって」

「「「「「「はーい(なのじゃ)!」」」」」」

 

 朝から元気いっぱいで何よりです。

 

 

 朝ご飯を食べたら、みんなを着替えさせて、準備を終えたら、学園へ。

 

 今日は球技大会ということで、体操着で登校しても問題なしです。

 

 ちなみに、ハーフパンツとブルマの二択は、初等部と中等部にも適用されていて、みんなもそれぞれで分かれてます。

 

 メル、ミリア、クーナの三人がブルマで、ニアとリル、スイの三人がハーフパンツです。

 

 みんなは体操着で行くらしく、すでに準備万端。ちゃんと、終わった後の着替えも持たせてるので、大丈夫。

 

 ボクは……とりあえず、向こうで着替えようかな。

 

 なんだかんだでやることがないわけじゃないしね。

 

 そう言えば、球技大会の間、女委はブルマにする、とか言っていたっけ。

 

 恥ずかしくないのかな、あれ。

 

 なんと言うか、足がほぼぜんぶむき出しになっちゃうから、恥ずかしいんだよね……一回家で試しに穿いたことあるけど……。

 

 そう言えば、さっきから、視線がすごいような……。

 

 ボクや師匠に向けられているんだけど、なんだかメルたちに視線が行っているような……?

 

『た、体操着姿の美幼女……』

『やっべ、マジで可愛い過ぎる』

『あ、あれって、最近よく見かける集団だよな?』

『ハァハァ……』

 

 ……なんか、ボクの大切な妹たちに変な目を向けている人たちがいる気がする。というより、いる。

 

 むぅ……なんだか、すごく嫌な気分。自分じゃないのに、自分のことのように……ううん、それ以上に嫌な気分。これはあれかな、不快って言うのかな。なんだか、そんな感じ。

 

 ……ちょっと、こっそりお仕置きした方がいいような……って、ダメダメ。悪いことをしているわけじゃないし、ここで能力とかスキルを使ったら、前例を作っちゃって、師匠が暴走しそうになっちゃう。

 

 それはダメ……。

 

 でも、すごく気になるし……うぅ、どうすれば……!

 

「む? ねーさま、どうしたのじゃ?」

「あ、う、ううん、大丈夫だよ、気にしないで」

「そうかの?」

「……イオおねーちゃん、ちょっと黒いオーラ出してた。怒ってる?」

 

 え、く、黒いオーラ?

 

 もしかして、あれかな。みんなに変な視線を向けている人たちに対する、不快感のようなものが出てた、とか?

 

「だ、大丈夫。怒ってないよ。さ、早く行こ?」

「「「「「「はーい(なのじゃ)!」」」」」」

 

 気を取り直して、学園へ行こう。無害なうちは、嫌だけど……見逃そう。

 

 

「……あいつ、相当な姉馬鹿になってるな……まさか、妹大好き人間になるとはな……」

 

 

 学園に到着すると、すでに賑わっていました。

 

 勝負だ! と言って、ライバル心を燃やしている人もいれば、仲良くやろう、みたいに友達同士で楽しくやろうって話す人も。

 

 ……まあ、中には、

 

『勝った方が、吉田さんと付き合う。だから、絶対手を抜くなよ』

『ふんっ、こっちのセリフだ!』

 

 みたいな感じに、誰かと付き合うということを賭けている人もいるみたいだけど……それって、どうなの? その人の許可は得てるかな?

 

 ちょっと気になる。

 

「それじゃあ、ボクは後でそっちの救護テントに行くから、一旦お別れね。と言っても、他の人に迷惑になっちゃうかもしれないから、人がいない時以外は来ちゃダメだよ?」

「「「「「「はーい(なのじゃ)!」」」」」」

「うん、いい返事です。じゃあ、頑張ってね」

 

 そう言って、みんなの頭を軽く撫でてから、ボクは高等部の校舎へと行きました。

 

 

「おはよー」

「おはよう、依桜」

「おはよう」

 

 やっぱり、二人は早い。

 イベントごとがある日、ない日問わず早いんだよね。

 さすが優等生……。

 

「にしても……依桜、ずいぶんとその……大きな荷物ね」

 不意に、ボクが手に持つものを見て、苦笑いした。

「あ、うん。これ全部お弁当。ほら、一応人が増えたしね、ボクの家は」

「まあ、妹が六人もいるしな。それに、ミオさんだっていると思うと、さすがにな」

「うん。それから、ほら……莉奈さんたちも来るしね。あの人たちの分も用意したの」

「「あー……うん。さすが……お嫁さんにしたい女子No.1」」

「ちょっと待って? 何そのランキング」

 

 今、二人が同時に呟いたランキング、すっごく気になるんだけど。

 

「何って……読んで字のごとくよ。実を言うとこの学園、特に高等部ではね、謎のランキングが裏で行われてるのよ」

「ボク、知らないんだけど!?」

「まあ……依桜はそう言うのに興味ないしな……」

 

 た、たしかに、興味はないけど……少なくとも、ボクが入っている時点で、教えてほしかったんだけど。

 

「おっはー」

「うーっす」

「ん、おはよう、二人とも」

「おはようさん」

「おはよう。あ、ちょうどよかった。ねえ、女委。訊きたいことがあるんだけど、いいかな?」

「うん、いいよー」

 

 ここは、なんでも知ってそうな女委に訊いてみよう。

 何か知ってそう。

 

 だって、噂話とか好物だもんね、女委。

 

「えっとね、その、この学園でランキングが裏で行われてるって聞いたんだけど……ほんと?」

「うん、本当だね。ちなみに、今のところ、依桜君は……三冠だね」

「さ、三冠?」

 

 え、何? ボクって、三つのランキングで一位獲ってるの? ほんとに?

 なんで?

 

「えーっとね、『お嫁さんにしたい女子ランキング』、『彼女にしたい女子ランキング』『恋人にしたい人ランキング』の三つ」

「あの、最後の二つって同じじゃないの?」

 

 彼女にしたいと、恋人にしたいってどういうこと?

 え?

 

「あー、それはだな……。彼女にしたい、の方は男子限定で行われていたものだが、恋人にしたい、の方は男女両方で行われていてな。前者は言うまでもなく、ぶっちぎり。後者は……まあ、男女両方の票がぶっちぎりだったんだよ、依桜は」

「え、えぇぇー……」

 

 知らない間に、変なランキングが行われていた上に、なぜか同性の人からも大量の票が入っていたという事実に、戸惑いが隠せないんだけど、ボク。

 

 ボクって、そんなにいいところある?

 

 お世辞にも、可愛いとは言えないし、綺麗とは言えないよ?

 

 家庭的……とは言われるけど、単純に家事が好きなだけというのと、昔からやっていたから、っていう理由だし……。

 

(まあ、本当は三冠じゃなくて、七冠なんだけどね)

(……絶対依桜に言うなよ)

(依桜が聞いたら、絶対卒倒するよなー)

(何としても、情報が行かないようにするわよ)

(((おう)))

 

 あれ? なんか今、以前みんなに渡した、指輪の魔道具を使用した気配があったんだけど……気のせいかな?

 

 この後、みんなと色々と話しているうちに、開始の時間になりました。

 

 今日から三日間、頑張ろう。

 

 

 余談だが、依桜が獲った七冠の内、残り四つは……

 

『エロい女子ランキング』『胸に顔をうずめたい女子ランキング』『いじめてみたい(性的な方面で)女子ランキング』『ご奉仕してもらいたい女子ランキング』

 

 の四つである。

 

 欲塗れのランキングである。これが、学園内で行われているという恐怖。

 

 ちなみに、このランキング全て、男女両方が投票していたりするという点も、闇が深いと言えよう。

 

 さらに言うなら、三つ目のランキングには……未果と女委も票を入れていたりする。




 どうも、九十九一です。
 昨日は投稿できずすみませんでした。一昨日の夕方くらいから、急に体がだるくなりまして、途中までは頑張って書いたのですが……まあ、ダメでした。一度失踪(PCの死亡により)して、再開して以降、あまり休んでいなかったり、普段から窓を開けて部屋で過ごしていたりしたのが駄目だったのかなと。まあ、多分、風邪ですかね。頭痛もしてましたし。
 一応(ほぼ)治りましたので、普通に再開します。
 今日も二話投稿を考えていますが、まあ、いつも言っている通りですので、よろしくお願いします。
 では。

依桜の異世界に滞在していた三年間の話をやってほしいかどうか

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