異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常~   作:九十九一

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414件目 林間・臨海学校最終日

 林間・臨海学校が最終日となる四日目。

 

 この四日目に関しては、基本的にどちらに行くかは自由。

 

 体力に自信があるのなら、林間・臨海学校両方に行ってもいいし、めいっぱい海で遊びたい! というのなら、臨海学校側、山の方がいい! と言う人たちは林間学校側、と言う風に分かれます。

 

 正直なところ、ボクたちとしてはどちらでもよかった。

 

 最初は、熊さんたちがいる林間学校に行こうかと思ったけど、なんだかお別れしにくくなりそうだったので、少し微妙な気分に。

 

 その結果出した案として、態徒が、

 

「んじゃ、スマホのルーレットアプリで決めようぜ」

 

 と言い出し、それはそれで面白そう、と言う理由そう言うことになりました。

 

 ルーレットに書いたのは、林間、臨海、両方、という三つのマス。

 

 なぜか代表してボクが回すことになり、まあいっか、と言う気持ちで回した。

 

 その結果、

 

「お、臨海学校の方か」

 

 臨海学校の方に決まりました。

 

「まあ、夏と言ったら海、みたいなところがあるものね」

「だね。林間学校の方もよかったけど、そっちは来年かなぁ」

「うんうん。来年もあるんだもんね! じゃあ、今年は海で遊ぼ!」

「ああ」

「じゃあ、バスで移動しないとね」

 

 ボクがそう言うと、みんなはこくりと頷き、近くのバスにボクたちは乗り込んだ。

 

 

 と言うわけで海。

 

 遊ぶ時間は、一応お昼の十二時まで。

 

 昼食に関しては、旅館で食べることになっているので、その時間まで遊ぶことができます。

 

 その前に一度水着に着替えないとね。

 

 さすがに、今日はちょっと余裕がなかったので、着てこなかったけど。

 

「よい……しょ、と」

『『『お、おおぉぉぉ~……で、でかい』』』

「え、えっと……な、なにかな?」

 

 ボクが服を脱いでいると、急に周囲から感嘆の声が聞こえて来て、その後には『でかい』と一斉に言われた。

 

 この声には未果たちも含まれてます。

 

『大人モードの依桜ちゃんって、ほんっとうに胸が大きいんだな~って思って』

『ってか、体が変化するって、普通に考えた不思議なんだけど……』

『すっごくずるいよね!』

「え、ず、ずるい?」

『『『ずるい!』』』

 

 ボクって、ずるいの?

 

 ……一体どこが?

 

「んまー、普通に考えて、普通の可愛い銀髪碧眼巨乳美少女をベースとして、ロリっ娘になったり、ケモロリっ娘になったり、ケモっ娘になったり、色気溢れる美女になったりするんだもんねぇ。ラノベとかマンガでも、ここまで欲張りな特性を持った人って少ないんじゃないかなぁ」

「確かにそうね。稀にそう言うのは見かけるけど、結構多種多様だし……ある意味、色んな人の好みに刺さりそうよね」

「うち、通常時とケモロリっ娘状態が好きかな?」

『私、大人モード』

『んー、ケモっ娘が気になる!』

『ロリっ娘がいいよね!』

『断然ケモロリっ娘!』

『私も!』

『あたしも!』

 

 ……し、知らなかった。ボクの変化する体質、そんな風に思われてたんだ……。

 

 あと、昨日のあの姿、すっごく人気があるね!

 

 そんなに、耳と尻尾が生えた幼い女の子って人気なのかな?

 

 ちょっと訊いてみよう。

 

「あの、昨日みたいな姿って、そんなにいいの?」

『『『最高!』』』

「さ、最高なんだ」

 

 そこまで断言されると、ちょっと気恥ずかしい……。

 

「でも、そこまでのものかな……?」

「依桜君、ちょっと想像してみて」

「突然何……?」

「いいからいいから。目を瞑って」

「う、うん」

 

 女委に言われて目を瞑る。

 

 何を想像させるんだろう?

 

「とりあえず、メルちゃんたちをそうぞ――」

「うんした。すごくした。すぐにした」

「……今、言い切る前に言ったわよね?」

「わー、依桜ちゃん妹さん想い」

 

 普段一緒に住んでいる僕なら、刹那で想像することは容易いです。

 

 お姉ちゃんだから!

 

「じゃ、じゃあ気を取り直して。そのメルちゃんたちに、こう……猫でも狼でなんでもいいので、動物の耳と尻尾が生えた姿を想像してみて」

「耳と尻尾……」

 

 軽く想像してみる。

 

「ねーさま、猫だにゃん♪」

「兎です! ぴょんぴょん♪」

「……い、犬、です。わんわん……♪」

「虎さんだよ! ガオガオー♪」

「熊さんなのです。ガオー、なのです♪」

「……狐。コンコン♪」

 

 …………………え、なにこれ、すっごくいい!

 

 想像しただけでも、可愛すぎて思わず倒れちゃいそう!

 

 ど、どうしよう……見てみたい! すごく見てみたい!

 

「どう?」

「……て、天国」

「でしょ? つまり、そういうことなんだよ。可愛い女の子と、動物の融合……それすなわち、正義!」

「せ、正義……」

「この正義は、どんな人にも必ず刺さります! なら、依桜君のあの姿が刺さらないわけがないのだよ!」

「な、なるほど! メルたちの所謂ケモっ娘姿なら、どんな人でも魅了しちゃうね! あれは可愛すぎるよ! というか、可愛すぎて、現実でそうなったら誰にも見せたくない!」

 

(((依桜ちゃん、シスコン……?)))

 

「おやおや。依桜君的には、嫌だと?」

「だ、だって、だって……それでメルたちに告白してくる男の子たちが増えたらどうするの!? ボク、絶対に許しません! メルたちにはまだ早いです! 今はまだ、お姉ちゃんに甘えるくらいでいいのです!」

 

(((あ、これガチモンのシスコンだ。そっかぁ……依桜ちゃんって、ドが付くほどのシスコンだったんだ)))

 

 何やら周囲から生暖かい視線が向けられてるけど……なんだろう? 気のせいだよね!

 

 ともかく、メルたちに恋愛はまだ早いです!

 

 少なくとも……高校生くらい!

 

「依桜って、普段は真面目で、割と完璧みたいなところがあるけど、ことメルちゃんたちのこととなると、頭のねじがぶっ飛ぶのよね」

「あはははー……いやぁ、依桜ちゃんにも残念な部分があったんだね。なんだか、ちょっとほっとしたよ」

 

 ボクが女委と話している横で、そんな会話が為されていたそうです。

 

 

 謎の談義を終え、水着に着替えて晶たちと合流。

 

「お、来たか」

「おっすおっす」

「お待たせ、二人とも。待ったかな?」

「んや、全然」

「女子は時間がかかるのはわかっている。問題はないさ。慣れてるしな」

「ふふっ、ありがとう」

 

 にっこりと微笑んでお礼を言うと、

 

「……やっべ、これが大人の魅力って奴か……メッチャドキドキする」

「まあ、依桜は一応俺達よりも年上だからな。三年くらい。ある意味、年齢と外見が合致している、と言えるだろう」

 

 なぜか二人が顔を赤くして、何かを話していた。

 

 何を話してるんだろう?

 

『……なぁ、あれ、ヤバくね?』

『やばいな』

『男女ってさ、普段は確かに巨乳だが……』

『大人モードはもっとやべえよな』

『むしろあれ、マジで同じ人間か? 見ろよ、他の女子たちなんて、男女に比べたら、有象無ぞごふっ!?』

『有象無象で悪かったわね』

『そんなんだから、碌に彼女もできないのよ』

『と言うか、依桜ちゃんと比べたら、日本の女子高生のほとんどが負けじゃない』

『あれは別格。まさに、神様の加護を得たかのような、完璧な体なのよ!』

 

 遠くで何か会話が聞こえる。

 

 でも、ここには学園の生徒の半数くらいがいるわけだから、会話なんて別に珍しくもないよね。

 

 ボクたちだってこうして話しているわけだし。

 

「しっかしま、依桜に向かう視線が多いこと多いこと」

「たしかに……やっぱり、大人状態だから浮いちゃうよね。高校生の中に、一人だけ大人が混じっているようなものだし……」

 

(((((絶世の美女だからなぁ……)))))

 

 個人的に、この姿は嫌いじゃないんだけど、どういうわけか普段以上に視線を貰うんだよね、この姿。

 

 目標以上に背が伸びるから、何かと嬉しいんだけど、視線が多いのはね……。

 

「それで? 何して遊ぶんだ? 海と言えば、色々とあるが……」

「そうね。六人いることだし、ビーチバレーなんてどう?」

「「「「「賛成!」」」」」

 

 と言うわけで、最初はビーチバレーをすることになりました。

 

 

 チーム分けはこう。

 

 ボク、女委、晶の三人と、未果、態徒、エナちゃんの三人。

 

「……なぁ、これってさ、実質三対二じゃね?」

「どうして? うちたちの方も三人だよ? いや、正直言おう。オレ、絶対戦力外」

「何言ってるのよ。こっちの中で一番運動神経がいいのは、態徒でしょ?」

「そうだよ、態徒君。うちも運動は得意だから大丈夫だよ!」

「いや、そう言うわけじゃないんだが……まあ、見てりゃわかるって」

 

 態徒の言っていることが理解できない未果とエナちゃんは、そろって首を傾げた。

 

 ボクも意味がわからないので、首を傾げた。

 

 どういうことなんだろう?

 

「じゃあ、ボクから行くね。せー……のっ!」

 

 その場で飛び上がって、まずはサーブ。

 

 そして、空中でボールを打った瞬間、

 

「ごふっ……」

 

 態徒がなぜか鼻血を噴き出して倒れた。

 

 それと同時に、

 

『『『ごふっ……!』』』

 

 なぜか周囲の男子の人たちも鼻血を噴き出していた。

 

 え、なんで?

 

「日射病か何か?」

「……依桜、気にしなくていいぞ」

「晶が言うなら、気にしないよ」

 

 よくわからないからね。

 

「……なるほど、確かにこれは、三対二ね」

「だね!」

 

 二人もなぜか理解した様子。

 

 なんで倒れたんだろうね。

 

 ともかく、倒れたままではちょっと問題があるので、態徒を日陰に寝かせて休ませる。

 

 うーん……一人でいるのはちょっと可哀そうだし……

 

「みんなー! ボク、ちょっと態徒を休ませてるよー!」

「「「「りょうかーい!」」」」

 

 みんなの理解も得られたところで、休ませてあげよう。

 

 とりあえず、いつものでいいかな。

 

「よいしょ、と」

 

 ボクはいつものように、態徒の頭をボクの膝に乗せた。

 つまり、膝枕です。

 

「態徒、大丈夫?」

「な、なんか……めっちゃ柔らかい何かがオレの後頭部にあってよ……そんでもって、すっげえいい匂いがするんだ……オレ、死んだん……?」

「ふふっ。何言ってるの。まだ生きてるよ。それに、柔らかいのは、多分ボクの太腿かな?」

「お、おう、そうなのか……って、ふ、太腿!?」

 

 うっすらと開いていた目が一気に開くと、態徒は大声で叫んだ。

 

「あ、まだ寝てないとダメだよ。日射病かもしれないんだから」

 

 起き上がった態徒の肩を掴んで、やんわりと寝かせる。

 こういう時は、休んでおかないと。

 

「す、すまねぇ……」

「いいの。友達だもん。これくらいはお安い御用だよ」

「……普段、変態とか言って来る割には、依桜ってこういうことしてくれるよなぁ」

「確かに変態だけど、態徒が優しいことは知ってるからね」

「美女に微笑まれながらそう言われると、クッソ面映ゆいな……」

 

 照れたように、態徒が視線を逸らす。

 

「まあでも、その友達の抱き枕カバーとか写真を購入していたりするんだけど?」

「マジすんません」

「ふふっ。もういいよ。絶対にしないって約束してくれたからね」

「いやぁ、ハハハハ」

 

 そう言えば、あの商会ってどうなったんだろう?

 いつか調べようと思ってたけど、すっかり忘れてた。

 

「態徒、あのえっと……なんだったかな? その商会の名前」

「あー、たしか……江口アダルティー商会だったか?」

「あ、それそれ。その商会の情報って知ってる?」

「ん? ああ、聞いたところによると、どうやら潰されたらしいぜ?」

「え、そうなの?」

「おう。なんでも、『や、ヤバい黒髪ポニーテールの美女が笑顔で襲い掛かってきた』らしくてなぁ。それ以降、怖くてやめたらしいぜ?」

「……やばい黒髪ポニーテールの美女」

「どう聞いても、あの人だよなぁ」

「……そう、だね」

 

 その特徴を聞いて真っ先に思い浮かぶのは、間違いなく師匠。

 

 あの人、いつの間にそんなことをしていたの?

 

 知らなかった……。

 

 本当に、暗殺者らしく、裏で色々と暗躍しているみたい。

 

 こっちでは教師として、普通に生活してもらいたいんだけどなぁ……。

 

 だって師匠、向こうの世界では色々と頑張っていたような気がするし、何より、数百年も生きていたんだから、こっちの世界にいる間は、普通に、平穏に、穏やかに過ごしてほしい。

 

 それが、師匠に対するボクの願いだったりするんだけど……。

 

「ミオさんには、マジで敵わんよなぁ。だってよ、あの商会を潰した理由って、間違いなく依桜だろ?」

「ボク?」

「おうよ。あそこ、盗撮写真とか抱き枕カバーとか売ってたらからなぁ。しかも、依桜だけじゃなく、未果たちのもあったし。ふっつうにキレたんじゃね? あの人、理不尽だけど過保護だしな!」

「よくわかってるね、態徒」

「……まあ、オレもあの人の扱き、受けてるからよ……」

 

 そう言いながら、態徒の表情が途端に暗いものになり、儚い笑みで遠くを見つめた。

 

 態徒……何と言うか、お疲れ様です……。

 

 ボクは、心の底から態徒に同情した。

 

 

 態徒の回復が完了したら、みんなと合流して再び遊ぶ。

 

「おっしゃー! 晶には負けないぜー!」

「くっ、態徒に負けるのはなんだか癪だ! 負けないぞ!」

 

 次にやりだしたのは、普通に水泳。

 

 そしたら態徒が晶に水泳勝負を仕掛けて、晶も珍しく乗った。

 

 結構な速度で二人は泳いでおり、結構白熱している。

 

「二人とも、お先に!」

「「なに!?」」

 

 と思ったら、二人以上の速度で泳いでいるエナちゃんに追い抜かされていた。

 

 たしか、昔のボクの泳ぎの練習の影響で、かなり頑張った、って聞くし、なんだったら、一番得意な運動とも言ってたしね。

 

 さすが。

 

「ふぃー、いやー、三人は頑張りますなぁ」

「そうね。私はあそこまで泳ぐのは無理だわ」

「まあ、三人ともどちらかと言えば体育会系だもんね」

 

 晶は文武両道だけど、どちらかと言えば武の方に寄ってるし、態徒は明らかに肉体派。エナちゃんも文武両道のタイプだけど、アイドルをやっている影響で、運動はかなり得意。

 

 三人とも、普段から運動しているけど、やっぱりどうしても運動量的にはエナちゃんには敵わないよね。

 

 だって、普段からずっと動いているような物だからね、アイドルって。

 

「やったー! 一位!」

「だー! 負けたー!」

「あぁ、速いな、御庭は」

「もっちろん、うちは水泳が大得意だからね! まっけないよー!」

 

 元気いっぱいに二人にそう言うエナちゃん。

 

 どこに行っても、エナちゃんはとっても元気。

 

「あー、負けた負けた! 全然敵わなかったぜ」

「少し休憩だな」

「うちもちょっと休憩ー」

 

 水泳対決を終えた三人がこっちに戻って来た。

 

 晶と態徒の二人はちょっと疲れた様子だけど、エナちゃんは全く疲れていないように見える。

 

 やっぱり体力がすごくあるみたい。

 

「いやぁ、それにしてもいい夏休みのスタートだよねぇ」

「そうだな。学園行事からのスタートとは言え、なかなかに楽しい」

「やっぱ、学生って言ったら、林間・臨海学校だよな! しかも、両方楽しめるとか、最高すぎる!」

「うちは、こういった行事に参加したことがほとんどなかったから、新鮮でとっても楽しいよ!」

「エナちゃん、アイドルだもんね。スケジュールが合わないと難しそうだもん」

 

 むしろ、今回はよくスケジュールを合わせられたね。

 それだけ行きたかったのかも。

 

「ってか、今年は夏休みの予定がそこそこある気がするぜ」

「言われてみればそうね。一応、二週間後くらいに異世界旅行に行くし、街の夏祭りにも行くし」

「後は夏〇ミだね! 今年も参加するぜー!」

「あぁ、やっぱり抽選に当たっていたんだな」

「もち!」

「夏〇ミかぁ……スケジュール合うかな?」

「お、来てくれるのかい? エナっち」

「んー、スケジュールが合えばかなぁ。でも、友達だしできれば行きたいね。まあ、もしかしたら招待されるかもしれないけどね!」

 

 夏〇ミ……冬〇ミの時は、メイド服を着たっけ。

 

 あれは、微妙に恥ずかしかったよ。

 

 思えば、あの時美羽さんにボクの素性がバレちゃったんだっけ。

 

 バレた、と言うより、バラしたが近いかもしれないけど。

 

「でも、一番楽しみなのはやっぱり、異世界旅行よね」

「それな! オレ、めっちゃ楽しみなんだよ!」

「わかるよ! わたしも、あれだけはわくわくが抑えられないよ! だって、アニメ好きやラノベ好き、マンガ好きとしては、心の底から憧れる夢だもんね!」

「うちもとっても楽しみ! しかも、大勢だもんね!」

「俺としても、異世界旅行はとても楽しみだ。何があるのか、気になっているしな」

「あはは……。まあ、今は平和だし、多分大丈夫だよ。戦争もないし、魔族の人たちは、みんないい人だから」

 

 魔族の人たちなんかは、特にボクが保証する。

 

 だって、一応はボクの国民みたいなものだしね。

 

 あとは、メルもいるから尚更に。

 

 それにしても、みんな本当に楽しみなようだね。

 

「異世界には一応一週間の滞在を予定しているけど、場合によっては一週間延ばせるから、安心してね。どのみち、向こうでの一週間は、こっちでの一日だから」

「やっぱり、反則よね、それ」

「まあ、仮に夏休みの宿題が終わっていなかった場合、四日もあれば一ヶ月くらい延ばせるのと同義だからな」

 

 と、晶が何気なく言った直後の事。

 

「「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!」」

 

 突如として、態徒と女委の二人が絶叫した。

 

 理由は多分……夏休みの宿題の部分。

 

「おい晶! お前、ここで夏休みの宿題という、悪魔のワードを出すんじゃねえよ!?」

「そうだよ! 今は聞きたくなかったよ! そのワードだけで、健全な高校生が死んでしまうような産物なんぞ!? 忘れさせてよぉ!」

「いや、すまん。……というか、せめて異世界旅行に行く前には終わらせておくべきなんじゃないか? でないと、去年みたいに最終日近くなってやる羽目になるぞ?」

「いいもん! その時は依桜君にお願いするから!」

「というか、依桜はどれくらい終わったんだ?」

「ボク? 配られた傍から全部終わらせたよ?」

「「マジで!?」」

「へぇ、依桜ちゃんって宿題は早めに終わらせるタイプなんだね!」

「うん。個人的には、そこまで難しくない問題ばかりだったし、それに、去年よりも早く終わったから」

 

 原因はもちろん『言語理解』。

 

 個人的に一番時間のかかる古典や英語が早めに終わって助かったよ。

 

 文系にだけは強くなっちゃったから。

 

「……一番の脅威は、依桜が去年よりもこなす家事の量が増えたにもかかわらず、宿題を終わらせる期間が短かったことよね」

「あぁ、家も大きくなった上に、家族も増えているからな。普通に考えたら、家事でする暇がなくなりそうなものだが……さすが依桜と言ったところなんだろうな」

 

 まあ、他にも『瞬刹』を使ったりしたけどね。

 

 あれがあると、計算が早くできて助かるよ。

 

 なんだかんだで、こう言った面にも活用できるからね、能力やスキルって。本当に便利。

 

「と、ところでよ……未果や晶、御庭はどこまで……?」

「私は七割方終わったわよ。あとは簡単な宿題が残っているくらいね」

「俺は半分終わってる。もう半分は、割とすぐ終わりそうだ」

「うちは六割くらいかな? アイドルのお仕事がなかったら、もう終わってると思うな」

「「……だ、だめだ! ここのグループ、無駄に優秀な人(奴)ばかりだっ……!」」

 

 二人は声を揃えて言うと、思いっきり地面に握り拳を叩きつけていた。

 

 そこまで……?

 

 結局、宿題は溜めないように、地道にコツコツやるか、早めに一気に終わらせれば、何も問題はないんだけどね。

 

「まあまあ。もしわからないところがあったら、ボクが教えてあげるから」

「マジ!? マジで神だよ! 依桜!」

「わたしも、お願い、依桜君!」

「はいはい。でも、ちゃんと自力でやるんだよ? 写すのは無しだからね?」

「「了解であります!」」

 

 調子のいい二人の返事を聞いて、ボクたちは思わず笑い合った。

 

 

 この後も、みんなで時間いっぱいまで遊んで、林間・臨海学校が幕を下ろしました。

 

 本当に楽しかったです。

 

 ……そう言えば、ボクが運動するたびに、大勢の人が鼻血を噴き出して倒れていた気がするけど……大丈夫だったのかな?

 

 ちょっと心配でした。

 

 あ、そろそろ異世界旅行の準備もしないとね。




 どうも、九十九一です。
 久々に長めの話を書きました。すっごい疲れた。やっぱり、4000~5000ちょっとの方があまり疲労はないですね。……そりゃそうか。
 昨日、紹介用の回を投稿したと思うんですが、指摘として『ミリエリアのことは書かないんですか?』というものが来ました。本人自身は登場していないとはいえ、そこそこ出てきちゃってるので、一応書き足しました。そこまで重要なことは書いてない……と思いますが、まあ、一応見て頂けると、嬉しいです。別に、見なくても問題はないですが。
 明日もいつも通りだと思いますので、よろしくお願いします。
 では。

依桜の異世界に滞在していた三年間の話をやってほしいかどうか

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  • 単体作品でやってほしい
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