異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常~   作:九十九一

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 言語をまずどうにかするべく、ボクの仮説に基づいて習得を試みる。

 

 すると、

 

「あ、なんか『言語理解』って言うのが手に入ったわ」

「俺もだ」

「オレも」

「わたしもー」

「私も」

「うちも!」

 

 みんな無事に習得できたみたいだった。

 

 うーん、やっぱり習得の条件は、異世界人であることと、異世界に行って一文字でも言語を理解することなんだろうね。

 

 そんな簡単な方法でいいのかな。

 

 あ、そうだ。あれを言っておこう。

 

「みんな知ってると思うけど、『言語理解』は元の世界でも常時発揮されてるので、英語とか古典もバッチリになるよ。特に態徒、よかったね」

「マジか! これで、一番赤点の危険性がある英語を勉強しなくてもいいと!?」

「まあ、そうだね。ただし、読解力は必要だけど。と言っても、赤点になるような事態にはなりにくいと思うよ? 授業を聞いてれば」

「うぐっ……」

「微妙に卑怯な気がするわ、これ」

「そうだな。ありがたいと言えばありがたいが、いささか卑怯だろう。勉強せずとも、言語が感嘆に覚えられるわけだからな」

「わたしはいいと思うぜー。これがあれば、外国の人たちとのパイプが得られそうだぜ!」

 

 女委は、どこを目指しているんだろう?

 

「私は、声優業がやりやすくなるかな。たまに英語とかも話すときがあるからね。その度に、家で勉強してたっけ。これで、演技に集中できるよ」

「うちもそうかな。英語の歌詞が出てくると、ちょっと大変だったり……。だから、うちはとっても嬉しいよ!」

 

 学生組は卑怯に感じたり、ラッキーだと感じている一方、仕事をしている美羽さんとエナちゃんの二人に関しては、仕事がしやすくなり幅が広がるということで、とても嬉しそう。

 

「イオ、終わったんなら、さっさと行った方がいいんじゃないか? まあ、お前は英雄だしな。多少待たせてもそこまで問題はなさそうだが」

「いえ、さすがにそれは申し訳ないので、そろそろ行きましょうか。みんなは道を知らないと思うから、はぐれないように付いてきてね」

「「「「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」」」」

 

 うん、多い。

 

 

 出現した部屋を出て、ぞろぞろとお城の廊下を移動。

 

 道中お城に使えているメイドさんやその他の使用人に人たちがボクたちに気づきぎょっとしたんだけど、特にボクが一番驚かれました。

 

 まあ……突然、勇者が来てるわけだし、びっくりもするよね。

 

 なんか、すっごく見事な礼をされてしまったけど。

 

 こっちの世界のこの国では、どうもボクは神聖視されているような気がしてならない……。

 

 ただ、たまにいる騎士団の人たちなんかは、ボクに気軽に声をかけてくるんだけどね。

 

 以前と変わらず、普通に接してくれるのは素直に嬉しい。

 

 ……なぜか、女性陣の方たちのほとんどがちょっとムッとした様子だったけど。

 

 なんで?

 

 とまあ、道中のことはさておき、食堂に到着。

 

 こういう時謁見の間とかの方がいいんだろうけど、人数が多いからね。あと、これはプライベートな訪問だから、と言うのもあるのかも。

 

 食堂に入るなり、ヴェルガさんに聞かされていたのか、ボクがこっちにいた時に身の回りのお世話をしてくれていた侍女の人たちがいた。

 

「お久しぶりです。ルルナさん、サラさん、ファルナさん」

「「「お久しぶりです、イオ様」」」

「あ、相変わらず、様付けなんですね……」

「それはもう、英雄様ですから」

「勇者様ですから」

「すっごい可愛いですから」

「いや、可愛いだけおかしくないですか?」

 

 ルルナさん、サラさん、ファルナさんの三人は、とても優秀な人で、なんでも王様に仕えていた時期もあったとか。

 

 それ以外にも、公爵家に仕えていたりと、結構すごい人……らしいんだけど、どういうわけかボク相手には、おかしな言動をする時が多かった。

 

『あら、とても可愛らしい男の娘が勇者として召喚されたのですね』

 

 とか、

 

『なるほど……理想、ね』

 

 とか、

 

『可愛らしい。この方が勇者となるのは、素晴らしい』

 

 とか言って来るんだよ?

 

 明らかにちょっとおかしくない?

 

 だって、男だった時のボクに対して、初対面で可愛い、とか言って来るんだよ?

 

 あと、理想って何。

 

 ボクが色々と過去のことを思い返していると、三人に近づく人が。

 

 女委です。

 

「時にそこのメイドさんたち、これ、どう思います?」

 

 そう声をかけながら、女委が何かの薄い本を開いて、三人に見せる。

 

 すると、

 

「「「こ、これはっ……! 素晴らしい!」」」

 

 目を見開いて、なぜか絶賛していた。

 

「でしょでしょ? いやー、異世界の人にも通じるんだねぇ」

 

 ……女委が見せてる時点で、すでに何かは想像がつくけど。

 

「これ、譲っていただけませんか!?」

「言葉はなんて書いてあるかわかりませんが、譲ってほしい!」

「この絵の続きが気になる!」

「ふっ、わたしはもとより布教するつもりで来た面もあるので、もちろん渡します! あ、後々通訳した物を渡すんで、ちょっと待ってね!」

「「「よっしゃ!」」」

 

 すでに、打ち解けていた。

 

 女委、一体どんな本を見せたんだろう……?

 

 少なくとも、女委が用意する本の時点で、普通のものじゃない気がしてならない……。

 

 あと、『言語理解』のスキルを習得したのをいいことに、翻訳したものを渡そうとしているよね? いろんな意味で、アグレッシブ……。

 

「女委って、基本どこでも生きていけそうよね」

「まあ、知らない間に知り合いが増えているからな……」

「ついでに言えば、同人誌を描くだけで生きていけそうだよな」

「女委ちゃんだもんね! すごいよね!」

「売れっ子な同人作家さんって、やっぱりどこでも売れるのかな?」

 

 と、未果たちは女委のある意味逞しい姿に、それぞれ感想を漏らしていた。

 

 師匠たちはよくわかっていないような表情だったけど。

 

「では、そちらは楽しみにさせて頂きます。では皆様、こちら側のお好きな席にお座りください。あ、イオ様はここにお座りになってくださいね」

「あ、わかりました」

「もう間もなく、国王陛下がいらっしゃると思いますので、少々お待ちを。すぐに、お茶をご用意致します」

 

 ルルナさんが代表してそう言うと、三人は一度隣の部屋へと移動していった。

 

「えっと、とりあえず、座ろっか」

 

 さっきのあれこれは一度スルーして、そう促した。

 

 

 みんなで座って待っている間に、ルルナさんたちがワゴンを押しながら戻って来た。

 

 その上には、ティーポットやケーキなどが人数分置かれていた。

 

 この世界は、よくある異世界系の作品のように、元の世界にある物がこっちにはない、みたいなことはほとんどなかったり。

 

 マヨネーズだってあったし、スイーツも色々な種類があった。

 

 あとは、アイスクリームもあったね。

 

 ないとしたら、和食とかかな? 元の世界で見かけるような洋食とか、中華系は似たような物を見かけたんだけど、どうにも和食のような料理はなかった。

 

 なので、ボクができる範囲の料理を、実はお城にいる料理人の人たちに教えていたり。

 

 それがどこからか広まったのか、ボクが三年目にこの国を訪れた時は、なぜか国中に広まっていました。

 

 やっぱり、和食っていろんなところで通用するんだね。

 

 こうしてみると、結構類似点とかあるんだね、この世界と元の世界は。

 

 不思議なものです。

 

 脱線したところで、一旦戻して。

 

 みんなで用意してもらったケーキや紅茶を堪能していると、食堂の扉が開いて二人の人が入ってきた。

 

「おぉ、本当にイオ殿ではないか。久し振りだな、イオ殿」

「お久しぶりです、お姉さま!」

「はい、お久しぶりです、王様、レノ。と言っても、二ヵ月前くらいに会っていますけどね」

 

 入ってきたのは、王様とレノの二人。

 

 今回のレノは普通に話してくれたよ。

 

 前は、抱き着かれたからね……。

 

「ははは、そうであったな。して……そちらにいるミオ殿や、幼い少女たちはわかるのだが……そちらの、イオ殿と似たような服装をしている者たちは一体……」

「あ、はい。えっとですね、この人たちはボクの住む世界にいる人たちで、ボクの友達です」

「なんと。異世界の者たちとは。やはり、そちらは進んでいるのだなぁ」

「いえ、進んでいるのは転移装置を創った人であって、そんなに進んではいないですよ?」

 

 あの人は色々とおかしいから。

 

「そうか。まあそれはそれとして、イオ殿の友人とはなぁ……。何と言うか、イオ殿の友人と言うから、もっとこう……奇抜な者たちかと思ったのだが、案外普通なのだな」

「……王様、ボクのことを何だと思ってるんですか?」

「いやこれは失敬。そう言うつもりで言ったわけじゃないんだが……」

 

 この人、たまーに失言をするよね?

 

 こっちで生活していた時も、ボクが女の子だと思ったみたいだし。

 

 あの時は本当に、気分は沈んだよ。

 

「まあ、それはそれとして。それで、イオ殿は一体、どのような理由でこの世界に? 以前までは一人で来ていた気がするのだが」

「今回は普通に旅行です」

「旅行とな」

「はい、旅行です。滞在期間は、一週間から二週間を考えてます」

「なるほど……そうなると、あれか? やはり泊まる場所は決まってない感じか?」

「そうですね」

「ふむ。では今度こそ、ここに泊まらぬか? さすがに、その大所帯じゃ宿泊する場所も探すのは苦労するぞ?」

「いえ、ボク的には普通の場所がいいんですが……」

 

 そう言いながらちらりと他のみんなを見ると、

 

「私はOKよ。こう言う異世界のお城なんて、そもそも来れるはずがないしね」

「俺もありだと思うぞ。単純に生活してみたい、と言うのが強い」

「オレも! ってか、こんな豪華な場所で暮らすとか夢みたいじゃん!」

「わたしとしては、素晴らしいモデルになるし、今後の創作活動に活かせそうなので、むしろ泊まりたいぜ!」

「私としても、実際にこういう場所に泊まれば、異世界系作品に出演した時に、自然に演技できそうだから、泊まってみたいかな?」

「うちも楽しそうだから賛成!」

「あたしは別に構わん。ただ、美味い酒を出せば文句はない」

「楽しそうなのじゃ!」

「私もです!」

「わたし、も……!」

「ぼくも!」

「人間の国のお城に興味があるのです!」

「……気になる」

 

 あー……うん、みんな、賛成なんだね。

 

 視線を目の前に座る王様に戻すと、何とも嬉しそうな表情を浮かべていた。

 

 見れば、レノの方もキラキラと瞳を輝かせてるし……まあいっか。

 

「わかりました。それじゃあ……そうですね、魔族の国にも行くと思いますし、とりあえず、三泊ほどさせてもらえますか?」

「おぉ、泊ってくれるか! わかった、では最高の部屋を用意しよう! 誰か!」

『はい』

「この者たちが宿泊する部屋の準備を頼む」

『かしこまりました』

「あ、一つお願いがあるんですが」

『何なりとお申し付けください』

「えっと、ボクの部屋はこっちにいる子供たちと一緒に部屋にしてもらえませんか? その、一緒にしないと拗ねちゃうので……」

『かしこまりました』

「ふむ、それならばいっそのこと、大部屋に泊まるか?」

 

 ボクが妹たちの為のお願いをしていたら、不意に王様がそう提案して来た。

 

「大部屋なんてあるんですか?」

「うむ。まあ、元は昔使っていたのだが、今は使われていなくてな。もちろん、掃除はしてある。そこでなら、ここにいる女子全員が寝泊まりすることも可能だ。まあ、男の方は……」

「ああ、俺たちは二人部屋で大丈夫です」

「まー、さすがにこの大人数がいる女子部屋に一緒ってのも、問題ありそうだしなぁ」

 

 と、二人が言う。

 

 うーん……それはそれで、二人が可哀そうな気が……。

 

「あの、ボクは別に二人が一緒の部屋でもいいよ?」

「「――ッ!?」」

 

 せっかく大人数で旅行に来ているんだから、やっぱりこう、みんなで一緒に楽しみたい。

 

 なのに、二人だけ別の部屋と言うのもね。

 

 やっぱりこう、特殊な旅行だから。

 

「みんなはどうかな?」

「私は構わないわ。そもそも、依桜とミオさんがいる時点で、変なことなんてできるわけもないし」

「「「「「たしかに」」」」」

 

 未果の言い分に、晶、態徒、女委、美羽さん、エナちゃんの五人が揃って納得した。

 

 うん、本当にね。

 

 でも、変なことって何だろう?

 

「それに、わたしたち去年のクリスマスに依桜君の家に泊まってるしねー。今更じゃないかな?」

「そう言えばそうだったわ。まあ、あとは他の女性陣の意見が必要だけど……」

 

 そう言って、未果がちらっと他の人たちに視線を向けると、

 

「私は特に問題ないよー。大所帯のお泊まりってしてみたかったからね。それに、晶君と態徒君のことは信頼してるよ、私」

「うちも同じく。態徒君は変態さんだけど、それでも女の子に手を出すような人じゃないもんね! 信頼してるから大丈夫だよ!」

「あたしは別に構わん。たかだか一緒に部屋に寝るだけだ。何の問題もないだろ?」

 

 それぞれ問題なしと言ってきた。

 

 ちなみに、メルたちは、

 

「儂たちはねーさまと同じならいいのじゃ! あと、楽しそうなのじゃ!」

 

 だそうです。

 メルの言ったことに、みんなは楽しそうな表情で頷いていたところを見ると、総意らしいです。

 

 よかった。

 

「みんな大丈夫みたいだから、二人も一緒の部屋でいい?」

「……まあ、俺は別に構わないが……」

「オレは普通に楽しそうだから全然いいぜ!」

 

 晶はやや困惑した様子を見せつつも了承し、態徒は晶とは反対にノリノリだった。

 

 うん、まあいいよね、別に。

 

「まぁ、態徒は林間・臨海学校でちょっとやらかしてるけど……さすがに、しないわよね?」

 

 とにっこりと満面の笑みを浮かべた未果が、態徒にそう尋ねる。

 

「だ、大丈夫だぜ! さ、さすがに身内だけのイベントじゃ変なことしないって!」

 

 冷や汗をダラダラと流しつつ、上ずった声で返していた。

 

 何かしたっけ……? 記憶がない。

 

 まあ、何はともあれ、みんなで同じ部屋、ということで。

 

「えっと、そう言うことらしいので、十四人分の部屋ってあるんですか?」

「問題はない。この城には、もとよりなぜか大部屋があるからな。ほとんど使わていない部屋だし、勇者殿やその友人たち、師匠殿、妹君たちに使ってもらえるのならば、むしろ嬉しい限りだ。すぐに使用できるよう、準備させておくとしよう」

「ありがとうございます」

「うむ。あぁ、荷物はルルナたち使用人に預けさせれば、大部屋に持って行っておくが」

「そうですね。じゃあ、お願いします」

「あいわかった」

「じゃあ、一旦出しますね」

『アイテムボックス』を開き、中からみんなの荷物を取り出すと、それらを近くにいたルルナさんたちや、他の使用人の人たちに渡す。

 

 こっちの世界では見ないような構造のバッグに目を丸くしていたけど、すぐに普段通りの表情に戻し荷物を運んでいった。

 

 ボクたちの方は、軽くお茶を飲みながら談笑しました。




 どうも、九十九一です。
 そう言えばこの章についての概要をほとんど言ってなかった気がするの、軽くお話を。
 今回の章は、まあ、普通に旅行するだけではありますが、ちょこちょこ伏線の回収(?)を出来たらなと思います。以前行ったかもしれませんが、1-3章辺りで依桜が一週間ほど異世界に行った時、二日間の出来事がすっぽり抜け落ちてるあれ、今回の章で出すつもりです。ほんとは、何も思いつかなかったから二日分カットしたんですがね。何かに使えそうでしたし、ちょうどいいかなと。何があるかはお楽しみ。
 明日もいつも通りだと思いますので、よろしくお願いします。
 では。

依桜の異世界に滞在していた三年間の話をやってほしいかどうか

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