異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常~   作:九十九一

464 / 469
455件目 悪魔騒動解決……と思いきや

「これで、よしと」

 

 あれから数十分ほどかけて、大勢の悪魔の人たちの治療を終わらせた。

 

 ボクの魔力が残り二割になっちゃったけど、間に合ってよかったよ。

 

「セルマさん、これで終わったよ。後は、目が覚めるを待つだけ」

「おお! すごいのだ、主! 悪魔たちは魔法による攻撃は得意なのだが、如何せんサポート系の魔法は苦手で……。なので、回復魔法が使えないのだ」

「もともとは、聖属性だったみたいだからね、あれ。もしかすると、そこが関係してるかもね」

「よく知ってるな。そうなのだ。回復魔法は聖属性から派生したものなので、聖属性は介していないのだが、決して0というわけではないのだ。なので、悪魔が苦手としているのだ。魔族は多分使えるのではないかな?」

「そう言えば、魔族でも使える人はいたっけ」

 

 過去に戦った魔族の人たちの中にも、使える人はいた。

 

 でも、どうして魔族の人たちが使えたんだろう?

 

 なんて疑問に思っていたら、セルマが話してくれた。

 

「まあ、元は聖属性魔法に含まれていた回復系統の魔法を魔族でも使えるように改良したのが、回復魔法なのだがな。なので、回復魔法は魔族発祥なのだ」

「え、そうなの!?」

「そうなのだ」

 

 それは驚いた。

 

 師匠から回復魔法のあれこれは聞いていたから、ずっと疑問だったけど、なるほど。だから魔族の人たちも使えたんだ、回復魔法。

 

 普通に驚き。

 

「まあ、このことを知っているのは本当に数少ないし、仕方ないのだ。他に知りたいことがあれば、なんでも教えるのだ」

「ありがとう。じゃあ、教えて欲しいことがあったら、セルマさんに訊くね」

「そうするといいのだ!」

 

 あ、なんか嬉しそう。

 

 もしかして、頼りにされているのが嬉しい、とか?

 

 本当に、ボクと契約してよかったのかな?

 

「ねえ、セルマさんってどれくらい強いの?」

「我か? そうだなぁ……少なくとも、一つ前の代の魔王であれば、余裕だぞ? 片手間で倒せるのだ」

 

 ……すごく強かった。

 

 え、じゃあ尚更疑問なんだけど。

 

「じゃあ、なんでボクを倒そうとしなかったんですか?」

「あー、何と言うか……奴に似ていたせいで、戦意がほぼなくて……。それに、主の神気がとんでもなかったので、勝てる気がしなかったのだ。隙を突けば倒せたかもしれないけど、そんな好きなかったからな。さっきの神気と聖属性の魔力をかなりの密度で纏っていたあの武器に触れられただけで一発アウトだったし」

「そ、そうなんだ」

 

 そんなにボクの神気ってすごいことになってるの?

 

 自分じゃわからないんだけど……。

 

 うーん……。

 

「しかし、主はよく天使に見つからなかったのだ」

「どういうこと?」

「天使のクソ共は主くらいの神気を見ると、大勢でやってくるのだ。しかも、結構漏れてるしな、主の神気」

「え、漏れてる……?」

「うん、漏れてるのだ」

「……どのくらい?」

「んー……半径五十メートルくらい?」

「結構漏れてるね!?」

「だから我も気になっておったし、ミリエリアと勘違いしたのだが……そうか、主は気づいてなかったのだな」

「全然気づかなかった……」

 

 あ、だからショッピングモールで戦った悪魔さんに、漏れてるとか言われてたんだ。

 

 今になって納得したよ。

 

 うわぁ……なんか嫌な状況……。

 

「とりあえず、ひっこめた方がいいと思うのだ」

「う、うん。ちょっとやってみる」

 

 えーっとこう……内に溜める感じで……神気を……。

 

「お、みるみる収まって行ってるのだ」

 

 んぬぬぬぬ……やぁ!

 

「どう?」

「大丈夫なのだ。これで、神気は漏れ出てないぞ!」

「よかった」

 

 これで問題ないっていうことだね。

 

「……あ、でもボク、天使の人に会ってるよ?」

「なぬ、マジで?」

「うん、マジ。あっちの世界に来た翌日だったかな? それくらいに、ノエルっていう天使の人と会ってて……。その時に、様付けで呼ばれたよ」

「あー、マジかー……」

 

 なんでだろう。セルマさんがあっちゃー、みたいな顔をしてるんだけど。

 

 何か問題でもあったのかな……?

 

「主、多分なのだが……」

「うん」

「主は天使に覚えられていると思うのだ」

「……それって、どういう意味?」

「我ら悪魔は、魔力で作られたツリーのようなものがあってな。そこに魔力で情報を送ると、そこから他の悪魔たちに情報を渡すことができるのだ」

 

 何そのインターネットみたいなシステム。

 

 というか、すごく便利だね、それ。

 

「で、これと同じようなことを天使もできてな。あっちは魔力と言うか……天力なのだ。まあ、言ってしまえば神気の下位互換なのだ」

「へぇ、天力って言うんですね。……でも、なんで悪魔の人たちは魔力なんですか?」

「ちょっと紛らわしいんだが、人間が使う魔力と、我ら悪魔が使う魔力は全くの別物なのだ」

「え、そうなの?」

「そうなのだ。こっちは、悪魔専用の力なのだが、人間や魔族たちが使う物は汎用的なものと言える。ちなみに、天力と魔力の間が、人間や魔族が使う魔力なのだ」

 

 ……どうしよう、なんかとんでもないことを知っちゃったんだけど……。

 

「え、じゃあなに? もともと天使と悪魔の力だった物が、人間や魔族がいる世界に流れ込んだって言うこと?」

「正確には色々と違うが……まあ、今は概ね、その解釈で合ってるのだ」

「そ、そうだったんだ……」

 

 なんと言うか、すごいね。

 もうそれしか言えない。

 

 楽しい旅行のはずが、とんでもない情報が飛び出してきてボクは驚愕だよ。

 

 師匠はこのこと知ってるのかな?

 

 ……知ってそうだなぁ。師匠だし。

 

「……あれ? そうなると、どうして魔の世界の人は魔法を使用できるの? その理屈だったら、法の世界の魔力が足りなくても、使えるような気がするんだけど……」

「ああ、それか。それはな、そう言う風に世界が作れているからなのだ。両方とも魔法が使えるくらいに魔力が充満していたら、確実に滅ぶからな、世界」

「ほ、滅ぶ!?」

「うん、滅ぶ。まあ、大丈夫なのだ。少なくとも、法の世界に本来よりも多い魔力が世界に充満していない限り、滅ぶことはないのだ。なので、今は滅ぶ心配はないぞ」

「あ、そうなんだ。よかった……」

 

 すごく心臓に悪いよ。

 

 でも、そっか。向こうの世界で魔法が使える人がいなかった理由って、そう言うことだったんだ。

 

 ということはつまり、世界を創るのって相当難しい、っていうことなんだよね?

 

 ……尚更、そのミリエリアさんってすごいような気がしてきた。

 

 だって、そんな世界を創れちゃうくらいなんだもん。

 

『うっ……こ、ここは……』

『畜生、あの女容赦ねェ……死ぬかと思った……』

 

 ふと、気絶していた悪魔の人たちが次々に起き上がりだした。

 

「おぉ! 我が同胞たちよ! 目を覚ましたか!」

 

 これには、セルマさんもおお喜び。

 

 すごく嬉しそうだよ。

 

『あ、悪魔王様! もしや、悪魔王様が俺達を……?』

「うむ! ……と、言いたいところなのだが……我はお前たちをこっちに引き戻しただけなのだ。肝心の治療は、そこにいる主がしてくれたのだ」

『あ、主……? って、お、お前は――!』

「これ! お前と言うんじゃない! この方は、我の契約者ぞ!」

『け、契約者!?』

『生まれてこの方、一度も人間どもと契約なんてしなかった、悪魔王様が……!?』

『な、何ということだ!』

 

 あ、あれ、なんか急に騒がしくなったんだけど……。

 これは、どういうこと?

 

「いいか、お前たち。ここにいる主はな、我の主人でもある。つまり、我が使い魔のような状態なのだ」

『『『なんっ……だと……?』』』

「なので、お前たちにとっても王ということになるのだ!」

「え、それ聞いてないよ!?」

「言ってないからな!」

 

 ちょっと待って、ボク悪魔の王になっちゃったの!?

 

 無茶苦茶だよ!

 

『悪魔王様! ということは、俺達はこの方に従えと?』

「そうなのだ!」

『『『了解だぜ!』』』

「それでいいの!?」

『構わん! 俺たちは、上下関係には厳しいのさ! それによ、あんたなら全然よさそうだからな!』

「こら! あんたと言うな! 別の呼び方にしろ!」

 

 怒るところはそこじゃないと思う。

 

 ……ちょっと待って、これはえっと……どう反応すればいいの?

 

『じゃあ、姐さんで!』

「あ、姐さん!?」

『よろしく頼むぜ、姐さん!』

『俺達に命令をくれよ、姐さん!』

『可愛いぜ姐さん!』

「あ、姐さんはやめて!? は、恥ずかしいからぁ!」

 

 あと、今サラッと可愛いとか言った人いたよね!?

 

 悪魔の美的感覚でも、ボクの容姿って可愛いっていう部類に入るの? 信じられないんだけど、人間や魔族の人たちにも言われるし……。

 

 どうなんだろう。

 

「別に、姐さんでいいと思うのだ」

「で、でも……」

「それに、様付けで呼ばれるのも嫌なのではないか?」

「うっ、そ、そうだけど……」

「なら、姐さんでいいのだ。いいかお前たち! 今日から主のことは、姐さんと呼ぶように!」

『『『YEAHHHHHHHHHHHHHHHHH!!』』』

 

 あぁ、なんか姐さんで統一されちゃったよ……。

 

 魔族の国の女王の次は、悪魔の王ですか……。

 

 二年生になってから、立場が変化しすぎだと思います、ボク。

 

 

 そんなわけで、王となってしまったボクは、軽くルールを設けることに。

 

1.人間や魔族を襲うのは禁止。

2.契約したとしても、対価は命ではなく、物にすること。

3.基本的に他種族と仲良くすること。

 

 基本的にはこの三つをルールとして定めました。

 

 反発があるかも、と思ったんだけど……特になかった。

 

 悪魔って、意外と上の人の言葉には弱いみたいだったから。

 

 あとは、セルマさんがボクの使い魔(?)になったのもあるのかも。

 

 ともあれ、これで悪魔との問題は解決となりました。

 

「じゃあ、ボクはそろそろ帰りますね。みなさん、あのルールは守ってくださいね」

『『『もちろんだぜ!』』』

「よかったです。それじゃあ、セルマさんお願いします」

「了解なのだ。……それ!」

 

 セルマさんの掛け声と共に、空間に穴が開いた。

 

 その穴の先を覗くと、そこにはクナルラルが見えた。

 

「それでは、みなさん、お元気で。じゃあ、セルマさんまたね」

「またなのだ! いつでも呼んでくれていいからな!」

「うん、その時はお願いね。それじゃあね!」

 

 軽く手を振ってから、ボクは穴の中に飛び込んだ。

 

「バイバイなのだ、主!」

 

 後ろではつらつとしたセルマさんの声が聞こえてきた。

 

 友達(と言っていいかはわからないけど)が増えて、嬉しかったかな。

 

 それに、これで問題も起こらなくなるしね! よかったよかった。

 

 あ、ちなみに、人間の世界で何か問題を起こした悪魔の人には、後日しっかり謝罪しに行くように伝えました。あと、復興のお手伝いもね。

 

 それくらいはしてもらわないとダメです。

 

 死者が出なかったのは幸いだったかな。

 

 ……さて、向こうに戻ったらみんなに報告と、旅行の再開だよね!

 

 これで、心置きなく旅行ができるよ。

 

 

「ただいま!」

 

 魔界へ行く時に使った穴の近くに、セルマさんに繋げてもらった穴が出現した。

 

 そこから出るなら、ボクはみんなの所に、元気よく向かい、そして……

 

『『『依桜様、お待ちしておりました!』』』

「…………ふぇ?」

 

 大勢の天使の人たちに跪かれて出待ちされていた、という状況に呆けた声を出して、呆然とした。

 

 ……今度はなにぃ……?

 

 どうやら、まだまだゆっくりできなさそうです……。




 どうも、九十九一です。
 どんどん依桜がおかしな方向に向かってます。同時に、異世界旅行編も終わりが近いです。もう、六日目とか書かなくていいですかね? 多分、のんびりするだけで終わると思いますし、いい加減旅行以外の話が見たいですよね? というか、私は書きたい。さすがに結構書きましたしね、この章。
 書かなきゃいけないことはいっぱいなので、まあ、多分……あと六話以内で終わると思います、もしくは私が終わらせます。終わったら、日常回です。
 明日もいつも通りだと思いますので、よろしくお願いします。
 では。

依桜の異世界に滞在していた三年間の話をやってほしいかどうか

  • やってほしい
  • やらなくていい
  • どっちでもいい
  • 知らぬ
  • 単体作品でやってほしい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。