うずまきナルト憑依物語   作:トーな

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後書きに作者の愚痴?的な話があります。興味ないって人は飛ばしてください


第三話

 白髪事件から1週間程度が経過した。そして、俺達はアカデミーの教室にいた。というのも、今日は俺達第7班を担当する上忍が来るのだ。他の班は、既に担当上忍と共に何処かへ行ってしまった。落ち着ける場所で自己紹介か何かをやっているのだろう。

 

 誰が来るのか、既に知っている俺からすれば、それ程興味は湧かないが、原作通りに展開させる為に廊下に顔を出してキョロキョロと左右を見る。

 

「ナルト、じっとしてなさいよ!」

 

 そんな俺の様子に苛立ったのか、春野サクラが注意をしてくる。

 

「なんで俺達第7班の先生だけこんなに遅いんだってばよ!? 他の班は皆新しい先生とどっか行っちまうし、イルカ先生は帰っちまうし!」

 

 何故、俺達第7班を担当する上忍だけがこんなに遅いのか。それについては、春野サクラも同じように感じていたのか、僅かに同調する言葉を吐く。その言葉を左から右に流して、俺は自分でも「下らねぇ」と思いつつ、ドアの隙間に黒板消しをセットする。

 

 前世では、漫画やアニメの世界では、よく見かけた悪戯なのだが、現実でやっている人を俺は見た事がない。

 

 俺がやっている事を見た春野サクラが問い詰めてくるが、それに俺は反論する。

 

「遅刻してくるやつが悪いんだってばよ!」

 

「私、知らないからね!」

 

「上忍がそんな下手な罠に引っ掛かるか」

 

 自分でも黒板消しの悪戯は下らないと思っているが、遅刻してくるやつが悪いという言葉にはある程度は共感する。もし、やる気がなかったとしても、せめて時間ぐらいは守って欲しい。上忍という事で何かと忙しいのかもしれないが、そういう時は一言ぐらい言って欲しい。暇な人に伝言を頼むとか、忍なら分身の術でも使って、代わりに分身を行かせるとか、色々とあるだろうに。

 

 春野サクラは、私は言いました感を出しているが、見逃している時点でナンセンスである。悪いとでも思っているなら、上忍が来る前に外すとか出来るだろう。それなのに、見逃しているのだから、少なからず同じ思考回路をしているという事だろう。

 

 うちはサスケの言葉については原作を読んでいた頃の俺も同じ考えだった。下忍、中忍、上忍という区別の中で最も上位に位置するのだから、きっと凄い人なのだろうと思っていた。そんな人がこんなのに引っ掛かる訳ないだろうと。

 

 そんな時にドアを開いて、1人の男が教室に入ってきた。そして、俺が仕掛けた黒板消し落としに引っ掛かり、黒板消しが頭へと直撃した。ただ、直撃したからと言って、見た目にそんな変化はない。黒髪の人だったならば、白い粉が頭を白く染めるのだが、入ってきた人の髪は元々白色である。白い粉が白髪に舞った所でさして、見た目に変化はない。

 

 改めて、自分の目で見ても、何故に上忍がこんな下らない罠に引っ掛かるのか、本当に分からない。あえて受けたという可能性は無きしにも非ずなのだが、態々黒板消しを頭で受け止める意味が分からない。自分からしておいてなんだが、俺の中にあるのは困惑、そしてドン引きである。

 

 とりあえずは表面上では爆笑しておくことにした。片手でお腹を押さえて、もう片方の手は上忍の方を指差しておく事にする。

 

「ぎゃはははは! 引っ掛かった!」

 

「ごめんなさい、先生。私はやめるように言ったんですけど……」

 

 俺と春野サクラは、入ってきた上忍に言葉を投げ、うちはサスケは俯きながら、入ってきた上忍に困惑しているのが良く分かる。大丈夫だ、俺もどうしてこんな単純でしょうもない罠に引っ掛かるのか、全く分からないから。

 

 髪についたチョークの粉を叩き落として、先程まで黙っていた上忍はようやく口を開く。

 

「うーん。何て言うかな。お前らの第一印象は「嫌い」だ」

 

 それはそうだろうよ。

 

 ──────

 

 俺達は、入ってきた上忍に連れてこられて、アカデミーの屋上へとやって来ていた。

 

「じゃあ、まずは自己紹介でもしてもらおうかな」

 

 その言葉に最初に疑問を持ったのは、春野サクラだった。

 

「自己紹介って、どんな事言えば良いの?」

 

 会って1時間もしていない、上忍という目上の立場の人にため口をきく春野サクラに俺は引く。「礼儀正しい」「優秀」等々の印象を持ってもらう為に猫を被っていたであろうに、それを忘れてしまったのだろうか。若しくは、あの罠に引っ掛かる程度の忍に敬語を使う必要などないと判断したのだろうか。色々なパターンを考えられるが、春野サクラなら全てあり得るのが悲しい所だ。

 

「そりゃあ、好きなもの、嫌いなもの、将来の夢とか趣味とか色々だ。じゃあ、まずは俺から自己紹介するか」

 

 何を言うべきか思案していたのか、数秒「うーん」と唸ってから口を開いた。

 

「俺の名前ははたけカカシだ。好き嫌いはお前らに教える気はない。将来の夢と言われてもなぁ…… 趣味はまぁ色々とだ。はい、次はお前らな。最初はお前から」

 

 果たして、こんなにも内容の薄い自己紹介があっただろうか。何を言うのか考える時間に1秒も掛からなかったであろうそれに数秒も使ったのか、疑問しかない。

 

 はたけカカシの目が俺の方を向いている。要するに、俺が自己紹介をしろという訳だ。上忍のカカシを見習って、名前しか言わない自己紹介をしようかとも思ったが、それはやめておいた。

 

 

「俺はうずまきナルト! 好きなものはカップラーメン! もっと好きなものは一楽のラーメン! 嫌いなものはお湯を入れてからの3分間。趣味はカップラーメン食べ比べ。そんで将来の夢は火影を超す! んでもって、里の連中に俺の存在を認めさせてやるんだってばよ!」

 

 火影なんていうものに微塵も興味もないし、里の連中に認めてもらおうが認めてもらわなろうがどうでもいいというのが、俺の正直な本音だが、それは言わないでおく。好きなものはラーメンというのは、本当だが、今の俺は自炊とかもするからね? 

 

「春野サクラです! 好きなものは、いや、好きな人は…… で、趣味っていうか、将来の夢は、キャ──!! ……嫌いなものはナルトです」

 

 はたけカカシに促されて、自己紹介をした春野サクラ。好きな人とかは特に興味が無いので無視。それにしても、将来の夢が「キャー」とは何だろう。将来は声とか音になるのが夢なのだろうか。「キャー」という声になるのが夢とは、だいぶ変わっていらっしゃる。そして、嫌いなものは俺らしい。ちなみに俺は、お前に対して、興味は0だけど。

 

 そういえば、普通に敬語だな。さっきはため口だったのに、気持ちを改めたという事だろうか。敬語とため口を間違える訳もないし、きっと、そういう事だろう。

 

「名はうちはサスケ。嫌いなものなら沢山あるが、好きなものは別にない。夢なんて言葉で片付ける気はないが、野望はある。一族の復興と、ある男を殺す事だ」

 

 忍の世界ならこういう自己紹介はありなのかもしれないが、前世の学校だったら、間違いなく「なんだこいつ? 中二病か?」という白けた目を向けられ、終いにはハブられる事が確実である。

 

 そして、俺はうちはサスケには「KY(空気読めない)」という称号を授けよう。漫画を読んでいる時は「何か闇があるんだろうな。なんかカッコイイ!」と興味を持ったが、現実でこんな自己紹介をされてはたまったもんじゃない。これからよろしくする班の最初の自己紹介でこの発言は、パンチがあり過ぎて、空気を殺している。どこからどう見ても、「周りと馴れ馴れしくする気は無い」系の痛いコミュ障である。

 

 春野サクラがうちはサスケに対して「クールでカッコイイ……」みたいな視線を投げかけているが、それは違う。間違いに気付かせてあげろ。白い目を向けた方がうちはサスケの将来の為だから。絶対に。将来的には、「うわ、なんだこいつ。空気読めねぇのかよ」みたいな視線を頂戴するから。

 

 絶対に空気を読まなければいけないという訳ではないが、こういう輩は結婚式とか、そういう祝いの場でも、気にせずにおかしな発言をするから。

 

「よーし、3人とも個性豊かで面白い! 明日から任務やるぞ」

 

 個性豊か。悪く言えば、癖が強い。オブラートに包んでくれた言葉を頂戴した。「任務」という言葉に興味を持ったかのように、はたけカカシに疑問の言葉を投げかける。

 

「どんな任務をやるのでありますか!?」

 

 やる事は、原作知識で既に知っているのだが、それは勿論言う訳がない。

 

「まずはこの4人だけで出来ることをやる。サバイバル演習だ」

 

 内容を知っている身からすると、あれのどこがサバイバルなのか分からない。だが、勿論突っ込まない。

 

「任務なのになんで演習なんかやるのよ!? 演習ならアカデミーで散々やったわよ」

 

 春野サクラが不満を口にする。そして、ため口なのが俺はびっくりである。俺達は下忍で、目の前にいるのは上忍であるのにも関わらず。例えるなら小学校を卒業したばかりの中学生が先生にため口をきくようなものだ。演習とかそういうものの前に人との接し方をアカデミーで再履修する事を本気でお勧めする。

 

「やるのは、ただの演習じゃない。卒業生27名中、合格したのは、たったの9名。3人に1人は落ちる、超難関テストだ」

 

 俺を含めた3人が唖然とする中、はたけカカシは集合場所と持ってくる物だけを言って、解散を言い渡した。朝飯は食べてこないようにと付け加えて。

 

 ────ー

 

 はたけカカシに解散を言い渡されてから時間が経ち、集合時間の5時になった。腰の中にあるポーチには、苦無や手裏剣を準備しておいた。解散を言い渡された後は、いつも通りに修行をして過ごしていた。

 

 5時になり、集合場所に来ると、そこにはうちはサスケと春野サクラの姿があった。だが、そこには、はたけカカシの姿は無かった。これから待たされる事になるのは既に知っているが、それでも待つのは面倒でしかない。すぐ近くで寝る事も考えたが、はたけカカシがいつ来るのか分からない事が普通だと考えると、いつ来てもいいように備える為に起きておいた方が良いだろう。

 

 はぁ、眠い。

 

 ──────

 

 集合時間を過ぎて、5時間程経過した。山々の隙間から覗くだけだった太陽は空に昇り、俺達を照らしていた。

 

 ひたすらに待っていると、こちらに歩いてくるはたけカカシの姿があった。昨日といい、今日といい、はたけカカシには遅刻癖があるのだろうか。

 

「やぁ、諸君おはよう。いやぁ、黒猫に目の前を横切られちまってなぁ」

 

 悪びれる様子もなく、挨拶をして、言い訳を口にした。黒猫が横切るのは、縁起が悪いと言われる事もあるが、それを理由にするのは、どうなんだろう。3人の不満の視線を受けて、ばつが悪そうに目を逸らした。

 

 背負っていたリュックを木陰に置き、その中から1つの置時計と2つの鈴を取り出した。その時計を近くの切り株の上に置いて、時間をセットする。鈴の方は、俺達3人に見せるように手に持っていた。

 

「12時に時間をセットして、と。本日の課題は、この2つの鈴を俺から奪い取る事だ。奪えなかった者は昼飯抜き! 縛り付けたうえで、目の前で俺が弁当を食うから」

 

 その言葉に、特に「昼飯抜き」という単語に俺達は「まじかぁ」みたいな反応を返す。だが、ここで春野サクラが疑問を口にする。

 

「でも、ちょっと待って? なんで鈴は2つだけなのよ。私達は3人よ?」

 

 その疑問にはたけカカシは悪い笑みを浮かべる。口はマスクで隠されている為、確かな事は言えないが、きっと悪い笑みを浮かべているに違いない。雰囲気でなんとなく分かる。

 

「鈴は2つしかないから、強制的に1人は飯抜きになる。そいつは任務失敗ということでアカデミーに戻ってもらう。最低1人かもしれないし、3人全員かもしれない。まぁ、そこはお前達の頑張り次第という事だ。手裏剣、苦無の使用は許可する。どんな手を使ってもいいぞ。俺を殺す気でかかってこい。でないと、アカデミーに逆戻りだ」

 

 手裏剣、苦無の使用許可の発言で春野サクラは顔を青くする。ただ、まぁ、それは仕方ないのかもしれない。それらは刃物であり、当たり所によっては死ぬ事だって有り得るからだ。人を殺す事が出来る道具を使えと言われれば、最悪を想定してしまうのも無理ないだろう。

 

「でも、先生危ないですよ!?」

 

 春野サクラが声を僅かに上擦らせながら、そう言う。俺も口だけは、それに賛同する。一応、俺も誰かを殺す覚悟ぐらいはしている。原作の描写では、「うずまきナルト」が誰かを殺した事はない。あるとしても、白ゼツかペイン六道ぐらいだ。だが、前者は人として言えるのか分からないし、後者に至っては動く死体なだけだ。もしかしたら、原作に描写されていないだけで、何かしらの任務で人を殺した事があるのかもしれないが、IFの事を想像しても意味がないので、今は考えないでおく。

 

 だが、ナルトが扱う螺旋手裏剣、尾獣玉、どれも人を殺せるだけの破壊力を有している。これこそ、少しでも違えば、誰かを殺す事になるだろう。それが分かっているからこそ、俺は誰かを殺す覚悟ぐらいは持っている。尤も、その場面になったら、迷わずに殺せるのかと聞かれれば、首を縦に振る事が出来ないだろう。そもそも、誰かを殺す場面には俺は遭遇していないのだから。

 

 結局、俺が口先だけの人なのか、それとも覚悟を行動で示せるかは、その時が来てからだろう。

 

「世間じゃ、実力がない奴は吠えたがる。まぁ、ドベは放っておいて。「よーい、スタート」の合図で──」

 

 原作に倣って、はたけカカシの言葉が終わらない段階で苦無を手に、無謀にも突撃する。もっと高速で動く事は可能だが、3割以下のスピードで突撃する。後ろに回り込むはたけカカシをスルーする。はたけカカシは、俺の手首を持ち、苦無が俺の首に当たるように無理矢理に俺の手を動かした。振り解く事も可能だろうが、今は「なん……だと……」みたいな顔を作る。

 

「そう慌てるな。まだスタートとは言ってないだろ? でもまぁ、やっと俺を殺す気でくるようになったか。それじゃあ、始めるぞ。よーいスタート!!」

 

 その言葉と同時に俺達は、はたけカカシの様子を見る為にあちこちに散った。

 

 ──────

 

 不意打ちが最適の答えなのだろうが、原作のナルトがそれを分かるはずもないし、分かっていたとしても、その性格上、そうする事はしないだろう。

 

 そういう事で、俺は、茂みの中からはたけカカシの目の前に姿を現す。

 

「いざ、尋常に、勝負──!!」

 

 俺自身でも「俺、バカっぽいな」と思う。傍から見ても、それは当たり前のようで、はたけカカシは呆れたように俺を見る。そりゃそうだ。

 

 まぁ、そんな事はなるべく気にしないようにしつつ、はたけカカシに突撃した。勿論、スピードは抑えたまま。

 

 そして、はたけカカシはポーチから何かを取り出した。何を取り出すのか知っているが、普通は、忍が何かしらのアクションを起こしたら、警戒するべきだろう。という事で、警戒するフリをして、はたけカカシが何を取り出したのか注視する。

 

 はたけカカシが取り出した物。それは本だった。題名は「イチャイチャパラダイス」。その本は官能小説。平たく言えば、エロ本である。未成年の、しかも自分の教え子になるかもしれない人の前でそんな本を読む度胸を褒めるべきなのか、その煩悩に呆れるべきなのだろうか。

 

「どうした? 早くかかってこい。この本の続きが気になってたからな。本を読みながら相手をしてやる。お前ら相手なら、本を読みながらでも関係ないから」

 

 立ち止まる俺に、はたけカカシがそう声を掛ける。しかも、けっこうな煽りを追加して。どれだけエロ本の続きが気になっているのだろう。他里では「写輪眼のカカシ」「コピー忍者」と言われ、恐れられているのだが、この姿を見せたらどう思うのだろう。個人的には「変態のカカシ」「エロ忍者」という称号が相応しい気がする。

 

 まぁ、里で色々と陰口を叩かれているおかげで、これぐらいの言葉で大して心は動かない。常々「化け狐」等々の蔑称と言われてる俺の煽り耐性を舐めないでもらいたい。原作では、ここでキレていたのだが、これぐらいの言葉には普通に慣れるだろうに。それだけ、「うずまきナルト」という人物が短気だという事なのか。

 

 まぁ、キレるフリはするのだが。

 

「ボッコボコにしてやる!」

 

 その言葉と共に俺は走り出した。とりあえず、牽制みたいな感じで右ストレートを放つ。だが、そのパンチは本を持っていない、もう片方の手で軽く受け止められてしまった。驚いたような表情を表に出しつつも、次の攻撃として右回し蹴りを繰り出す。

 

 その蹴りは屈んで避けられるが、それによって、はたけカカシの顔の高さは未だに子供の身長である俺にとっては、都合の良い高さになった。丁度いい高さになったその顔面に目掛けて、左ストレートを決める。

 

 だが、流石上忍というべきか、その屈んだ体勢から素早く持ち直し、すぐさま俺の背後に回った。

 

「忍が何度も後ろを取られるな、バカ」

 

 はたけカカシが俺の愚行を軽く注意する。俺からしてみれば後ろを「取らせている」のだが、そこを訂正させる必要は無い。めちゃくちゃ上から目線な言葉だなと自分で思いつつ、俺は冷や汗を流してしまう。

 

 何故ならば、この次のはたけカカシの行動を知っているからだ。どうにかならないかと何度も考えたが、結果は何もしないというのが最適解であると俺は思い至った。

 

 はたけカカシが俺の背後に立ち、寅の印を結ぶ。そして、俺は覚悟を決める。この後にやってくるであろう激痛に耐える事を。

 

「木の葉隠れ秘伝体術奥義千年殺しッ!!」

 

 その指の刺突は、寸分の狂いもなく、人の弱点である穴に突き刺さった。痛みに悶える俺は、跳び上がり、川の中に突っ込んだ。

 

 ……そんな場面を()()の俺は茂みの中から眺めていた。

 

「何もしない」というのが最適解と言ったが、正確に言うと「影分身が何もしない」という話である。馬鹿正直に俺自身があれを食らう必要などない。白眼であろうとも、本体だと見抜く事が出来ない影分身を写輪眼も使っていないはたけカカシが見抜けるはずもないのだから。

 

 影分身が川の中に飛び込んだのを見てから、俺も物音を立てないように茂みの中から川の中へと潜る。川の中では、影分身がお尻を抑えながら、こちらを睨んでいるが、それを無視して影分身を消す。許せ、俺。

 

 何千回と繰り返した多重影分身を川の中で発動する。川の中に大体30体前後ほど忍び込ませておき、本体の俺は岸に上がる。

 

「なんだどうした? 昼までに鈴取らないと、飯抜きだぞ。火影を超すって言ってた割に元気ないねぇ、お前」

 

 別に火影とかどうでもいいです。はたけカカシは、本の続きを落ち着いた場所で読みたくなったのか、俺に背を向けて歩き出した。

 

「腹が減っても戦るんだからな! さっきはちょっと油断しただけだってばよ! なにがなんでも忍者になってやるってばよ!」

 

 俺が言葉を言い終えるのと同時に川の中から大量の影分身が飛び出してきた。それがただの分身でなく、影分身である事を見抜いたのか、本をポーチの中に入れる。

 

「お前が何体に増えた所で俺はやれない。やるにしても、もう少し頭を──」

 

 頭を使え。そう言おうとしたであろう言葉を中断して、はたけカカシは目を見開き、後ろに振り向いた。はたけカカシの背後には、四肢にそれぞれ張り付いた4体の影分身がいたのだから。その4体は、俺が川から上がる前にバレないように川から上げて、茂みの中を移動して、はたけカカシの背後に回り込ませておいた影分身だ。

 

 その影分身に驚いている内に大量の影分身をさらにはたけカカシにしがみ付かせて、動きを阻害させる。流石にどれだけ鍛えようと、素の力で10人ぐらいの人が巻き付いた状態で腕や足を動かすのは、困難を極めるだろう。

 

 束縛されたはたけカカシの顔面を、勢いをつけて殴る。

 

 ……殴ったつもりが、俺が殴ったのは、はたけカカシでなく、影分身の俺自身であった。どうやら、変わり身の術で逃げられたらしい。まぁ、知っていたけれど。そんな事はありえないと思いつつ、影分身が変化したはたけカカシだと疑いの言葉を口にする。

 

「お前がカカシ先生だな!?」

 

 影分身達もお互いを疑い始めるフリをして、殴り合いを始める。

 

 ある程度やったら、失敗に終わった事は明白なので、影分身を消す。

 

 ため息をついていると、視界の端に光り輝く鈴を見付けた。罠である事は、どう見ても明らかなのだだが、それは気にせず、鈴を取る為に近付いた。

 

 その瞬間、俺は宙吊りになった。仕掛けられた罠に引っかかり、俺の足に縄が巻き付き、木につるされてしまったのだ。

 

「術はよく考えて使え。だから、逆に利用させられるんだよ。それとバレバレの罠に引っ掛かるな、ばぁか。忍者は裏の裏を読め」

 

 そう言われて、怒り出す俺。だが、木に吊るされた状態でどうにか出来るはずもなく、ぶらんぶらんと体が揺れるだけで終わる。

 

 そして、そんな光景を茂みの中から見る()である。本日、2度目の影分身に本体の身代わりをさせる作戦成功である。あの宙吊りの状態は辛そうだったので、影分身と交代する事に決めた。何時入れ替わったのかというと、影分身をはたけカカシだと疑うというアホらしい事をした時に起きた殴り合いの時だ。

 

 俺本体と影分身が入り混じった時に本体の俺は飛雷神の術でマーキングをしておいた茂みに隠れ、影分身達を消したように見せたが、1体だけ影分身を残しておいたのだ。それで、その影分身が俺の代わりに罠に引っ掛かったという訳である。罠に引っ掛かったのが俺本体でなくとも、それに誰かが気付く事がなければ、原作と展開が異なるような事はないだろう。

 

 影分身とはたけカカシの言葉のキャッチボールを眺めていると、何処からか、幾つもの手裏剣がはたけカカシに飛んで行った。うちはサスケの仕業だろう。その手裏剣は全てはたけカカシに命中するが、その瞬間にはたけカカシは、煙を立てて、只の木へと姿を変えた。俺の影分身に使ったのと同じの変わり身の術である。

 

 この変わり身の術は、大変便利そうなのに、原作では話が進むと全くと言っていい程に姿を消した忍術である。万能過ぎるが為に作者に消されてしまったであろう悲しき術である。敵から致命傷になるような攻撃を受けても、この術1つで解決してしまうような忍術なので、まぁ当たり前だろう。

 

 作者に存在を忘れられた可能性は否めないが、気にしてはいけない。

 

 そんな変わり身の術に黙祷を捧げていると、状況が変わったようである。わざと見せた隙を突いてしまったうちはサスケは、場所を知られたが為に動き出し、春野サクラに関しては、手裏剣を投げる等々の場所がバレるような動きをしていないのに、動き出すという理解不能の行動を開始した。何故、動き出したのだろう。

 

 その春野サクラは、突如として後ろにはたけカカシが現れたのに驚いたようで絶叫していた。

 

 

 

 

 

 




…………実はこの話の前にはもう1つの話を書いたんです。アニメでは「NARUTO」第二話の話を。内容はナルトがサスケに変化して。サクラから自分に対する気持ちを聞いてみようというやつですね。

作者はwordで文章を書いて、それをコピーしてハーメルンに投稿してるんですよね。何でそんな方法なのかというと、作者が使っている「google chrome」上で文字とかを書こうとすると、文字を入力した途端に消えてしまうんですよね。アップデートすれば治るとか再起動すれば治るとか、色々と試したんですけど、解決ならず。それで上記の形で小説を書く形に落ち着きました。
まぁ、それで書いたはいいものの保存し忘れた結果、パーになりました。要は俺の不注意ですね、はい。苦労して書いた1万文字が……

あんまり大事な話ではないので、別にいいかと考えて、その話を無かった事にしました。そう思わないと、作者の精神が保ちません。
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