ここは神保町の古書店。古書店特有の臭いがたまらん。普通の本屋とも図書館とも違う臭い。
さてと、お宝はあるかなぁ…。
「八幡さん、私こっち見ててもいいですか?」
「俺はこっちにいるからな」
「は~い」
おっ!『ドグラ・マグラ』か。一回読んでみたかったんだよな。こっちは…、おお!『虚無への供物』。もしかしたら…。あった!『黒死館殺人事件』。やべぇ、欲しい…。
夢中になって本を見ていたら、人にぶつかってしまった。
「きゃっ!」
「おっと、すいません。大丈夫ですか?」
ころんでしまった相手に手を差し出すと、そこには楓にも負けないほどの綺麗な瞳、…そして楓とは違う豊満なむ…ゲフンゲフン。楓はあれだ、美乳だ。そう、その美乳を毎晩…ぐへへ。
おっといかん。
相手の女性が手を取ったので引き起こした。
「ケガとかないか?」
「…大丈夫…です。…こちらこそ…すいません。…前を…見てなかった…ので…」
細い手だなぁ…。なんて、考えてると。
「八幡さん、何を女の子と手を繋いでニヤニヤしているんですか?」
おうっ!雪ノ下もビックリの冷気!
「あ、楓…さん…」
「あら、文香ちゃん。おはようございます」
「おはよう…ございます…」
文香ちゃん?も、もしかして…。
「楓、この娘って…」
「鷺沢文香ちゃんですよ…。いつまで手を握ってるんですか?」
「あ!おう、す、すまんな、鷺沢さん」
「い、いえ…、大丈夫…です…」
鷺沢さん、なんでそんなに顔赤いんですかね?怒ってらっしゃいます?
「ダメですよ文香ちゃん、八幡さんは私の彼氏です」
楓は急に何を言い出すの!本当のことだけど!
「そうなん…ですね…」
鷺沢さん、なんでちょっと残念そうなの?
「八幡さん、行きますよ!」
「え?え!え~!!」
なんで怒ってるの?あぁ、俺の三大奇小説が!
古書店を出る時に、鷺沢さんが呟いた一言が聞こえた。
「とても…お似合いのお二人です…」
楓も聞こえてたのか、少し頬が緩んでる。
次は神田明神へ。
楓が入り口付近の掲示板のポスターをジッと見ているので、俺も見てみる。
「なになに…。スクールアイドル?」
「可愛い娘達ですね。でも、ウチの娘達も負けてませんよ」
「そうだな。その中でも先頭に立って引っ張ってるのが楓だろ?」
失念していることが多いが、楓はトップアイドルなんだよな…。俺なんかが側に居て…、やめよう、こんな考えは…。
「八幡さん、お参りしましょう」
「そうだな」
ちょっとネガティブになりかけたけど、楓が笑顔でぶっ飛ばしてくれる。
「ところで楓、神田明神のご利益って知ってるか?」
「いいえ。なんですか?」
「恋愛運・仕事運、あと勝負運かな」
「まぁ、素敵ですね」
「そうだな」
恋愛運か…。今がMAXなんじゃね?