本殿でお参りを済ませて境内を見ると、何やらTVの撮影のようだ。昨今のパワースポットブームがあるから、こういう企画が多いんだろうな。
「八幡さん、おみくじ引きませんか?」
「じゃあ、運試ししますかな」
二人でおみくじを引く。あっ、大吉だ。どれどれ…。
『恋愛・壁を乗りこえて吉となる』
ほ~ん、今のおみくじってそんなこと書いてあるんだな。
「俺は大吉だったぞ。楓は?」
「はい、大吉でした。お揃いですね」
耐性はついてきても、この可愛いさは反則ですよ。
「では、結びましょう」
「待った。諸説あるんだが、良かったおみくじは持っててもいいらしいぞ。ちなみに俺は財布に入れた」
「では、私もそうします」
「なんか、いいこと書いてあったのか?」
「恋愛運にいいことが書いてあったので」
赤くなってモジモジしちゃって。これだから、高垣楓は最高だぜ。
境内を出ようと考えていたら、先ほどのTVの撮影が終わったようだ。スタッフ達が機材を片付けたりしている。すると、談笑していたアイドル達の方へ楓で駆けていった。
「歌鈴ちゃん、茄子ちゃん、佳乃ちゃん♪」
「楓さん…、あわわわ!」
楓に駆け寄ろうとした、巫女風衣装の娘がつまずいた。
「おっと、大丈夫か?」
転ばないように、抱き抱えた。セーフ。
「あ、ありがとうごさいましゅ」
あっ、噛んだ。
「ふふふっ、歌鈴ちゃん噛みましたね、神田だけに…」
あ~、言っちゃったよ。頭をよぎったけど、言わないようにしてたのに。
「あう、恥ずかしい…」
なんか、ほっこりするな。
「それで、八幡さんはいつまで歌鈴ちゃんを抱いているんですか?」
あっ、ヤベッ!
「す、すまなかったな」
「い、いえ、大丈夫でしゅ…」
また噛んだ。
「道明寺歌鈴さんか」
「は、はい!」
「なんか可愛いな」
「えっ!そ、そんにゃこと…はわわわわ」
おう、ワタワタしてる。可愛えぇのう。
「八幡さん…」
冷たい視線が…。
「楓が一番可愛いぞ」
「もう、そうやって…」
顔、赤いぞ。
「楓さん、そちらの方は?」
ショートカットの娘が聞いてきた。この娘はたしか…。
「鷹富士茄子さん?」
「はい、そうです」
ふむ、こっちの娘は…。
「はじめまして~。依田は佳乃と申しまして~」
「すげぇ、ジャポネスクだ、346の開運三人娘だ。俺は比企谷八幡だ」
「素敵なお名前ですね」
「徳の高い名前でして~」
「はわわわ、また噛んでしまいそうなお名前。でも格好いい…」
「私の彼氏ですよ~。歌鈴ちゃんにはあげません♪」
ぶっちゃけちゃったよこの人は。まぁ、今さらか。
「はううう、まさに美男美女」
「まぁ、素敵ですね」
「そなたそなた~」
「ん?俺?」
依田さんが俺を呼んだ。
「そなたには~、今から困難にあう相がみえます~」
まじか!
「ですが~、相手を信じ、仲間を頼れば~乗りこえられますゆえに~」
なるほどな。相手を信じて仲間を頼るか。俺に出来るのか?
「わかった、心にとめておくよ」
「それが良いのでして~」
「ありがとな」
「それは~楓さんも同じでして~」
「ありがとう、佳乃ちゃん」
鷹富士さんが、ポンと手を叩いた。
「きっとお二人は幸せになれますよ」
「鷹富士さんに言われると、そうなれる気がするよ」
「茄子ちゃん、ありがとう」
「いえいえ」
遠くからスタッフの『撤収します』と声が聞こえた。
「じゃあ、俺たち行くわ」
「またね」
挨拶をして三人娘から離れ神田明神をでた。
「はぁ、素敵なお二人でしたね」
「あの二人なら、苦難も乗りこえられます」
「でして~」