目が覚めた。うん、よくご存知の天井。俺の部屋で俺のベッド。隣には生まれたままの姿の楓。…エロい。いかんいかん、一日イチャイチャで終わってしまう。…それも有りなんですけどね。
朝飯どうしようかな。冷蔵庫はほぼ空だったからな。コンビニ行ってくるか。
楓を起こさないように着替えてコンビニへ。サンドイッチでいいかな。
一人になるのは久しぶりな気がする。デパートの入り口で一人になったのは、すぐに雪ノ下に会ったからノーカン。
ここ数日は楓が隣に居るのが当たり前になっていた。休みの間だけ、一週間だけと始めたこの関係も残りわずか。俺は雪ノ下が結婚した寂しさから楓と一緒に居た。もっと言えば由比ヶ浜と雪ノ下に置いていかれた気がしていたのかもしれない。いずれにしても、心の隙間を埋めるために楓と一緒に居た。だか、楓との時間は隙間から溢れ出るほどのモノだった。目を閉じて出てくるのは楓の笑顔ばかりだ。惚れっぽいのか、楓が魅力的なのか…。両方だな。
俺は約束の期間が過ぎても楓と居たい。楓はどう思っているのだろうか。
俺は学んだことがある。想いは言葉にして伝え、行動で示さないと伝わらない。
こんな子供でもわかることを、この歳になってわかるとはね。もしかしたら、言葉や行動で示したいと思うほど好きになったのは初めてってことなのかもな。
さて、朝飯も買ったし帰りますかな。
「ヒキオ?」
久しぶりに聞いたな、そのアダ名。
「三浦か、久しぶりだな」
「んで、なにやってんの?」
「朝飯買ってきたんだよ」
「仕事は?」
「有給休暇」
「ふ~ん、思ったより元気そうだし」
「まあな。葉山は元気か?」
「…あんまり」
アイツ、雪ノ下大好きマンだったからな。
「こんな言い方アレだが、チャンスだと思って頑張れや」
「ヒキオは平気なん?」
「そうだな…」
雪ノ下の結婚を知って、絶望して結婚式でトドメを刺され、やけ酒飲んで、その先ドン底這うつもりでいたら楓に出会った。
「俺は好きな人が出来たよ、それこそ偶然の出会いだったけどな」
「ふ~ん」
「出会って間もないけど、心から一緒に居たいって思えるんだ」
「あっそ。じゃあ、がんばんなよ」
「三浦もな」
「あ、あーしは…」
「言葉にして伝えろよ。後悔のないようにな。俺は後悔しまくった。でも、俺は今回の出会いで後悔はしたくない」
「わかったし」
「じゃあな」
さて、足留めされちまったな。メシメシ~♪
「ヒキオ!」
まだあるのかよ。
「今のアンタ、その…。格好良くなった!」
「ありがとよ。三浦みたいな美人に言われると、嬉しいよ」
「なっ!び、美人とか言うなし!」
「葉山のこと、支えてやれよ」
「当たり前だし!」
三浦と別れて部屋に戻る。時間かかっちまったな。
部屋に戻ると、楓が半べそで待っていた。
「八幡さん、どこへ行ってたんですか!」
すごい勢いで抱きつかれた。
「おう、すまん。朝飯買いにな」
「目が覚めたら八幡さんが居なくて、部屋の中どこにも居なくて…。寂しくて…怖くて…」
「ごめんな」
楓を抱きしめ頭を撫でる。今…かな…。
「楓、聞いて欲しいことがある」
「なんですか?」
「好きだ」