楓の部屋に戻り、夕食とケーキを食べた。
先に風呂に入ってくれと言われたので、何の疑いもなく入浴していると、楓乱入イベント発生!!
毎晩見てはいたけど、楓の美しさにしばらく見とれてしまった。
一週間最後の夜もベッドを共にして、最終日はもって帰る荷物の片付けをして、夕方までまったりと過ごした。
「次の休みはいつなんだ?」
「次は土曜日です」
「じゃあ、土曜日にまた来るよ」
「嬉しい…」
「あっ!」
「どうしたんですか?」
「連絡先…」
「あら、ずっと一緒に居たから気がつきませんてましたね」
連絡先を交換して玄関へ。
「じゃあまたな」
「はい…」
「どうした?」
「いってらっしゃい」
「え?」
「言ってみたかったんです」
楓を抱き寄せてキスをした。
「じゃあ、いってきますだ」
「はい」
こうして一週間は終わり、新なスタートとなった。
荷物を持って部屋に帰る。激動の一週間だった。好きだったヤツが結婚して、その日の夜に似た声の楓と出会い、ニセモノ同士で身を寄せあっていただけのつもりが…。
「あ、お兄ちゃんお帰り」
「小町、来てたのか。ただいま」
「傷心旅行はどうだった?」
まぁ、一週間も有休使って部屋に戻らなきゃそうなるか。
「ぼちぼちだ」
「ふ~ん。ディステニーランドは一人で行ったの?」
「な、なんのことかな?」
「耳が置いてあったよ。あとチョコクランチ」
「え?あ、うん」
楓、置いていったな。チョコクランチ減ってるし。
「それと、食器とか歯ブラシとか増えてない?」
ヤバッ!
「そ、そうか?」
「それと、洗面台に長い髪が落ちてたんだけど…」
小町ちゃん、恐いよ。
「お兄ちゃん、女の人連れ込んだの?」
いつからヤンデレ妹になったの?
「え、あの…」
「正直に答える!」
「…はい」
言っちまったなぁ…。
「雪乃さんが結婚したからって、レンタル彼女とかエッチなお姉さん呼ぶとかやめてよ」
エッチなお姉さんて…。俺が家賃払ってる部屋だからエッチなお姉さん呼んでもいいよね?楓が居るから呼ばんけど。まぁ、それより…。
「いや、違うけど…」
「じゃあなに?彼女とか出来たの?」
「まぁ、そうだな」
「そうだよね、お兄ちゃんに彼女が出来る訳が…って、嘘!」
「まぁ、嘘じゃねぇな」
「お兄ちゃん、二次元や脳内彼女はノーカンだよ」
「いや、リアルだけど」
あれ?小町黙っちゃった。
「会わせて…」
「はい?」
「会わせてくれないと信用出来ない」
何それ。お兄ちゃん悲しい。
「ちょっと待ってろ」
スマホを操作して楓にLINEをする。小町が信用してないから、電話してもいいかと。即OKの返事が来たが、フルネームを言わないようにだけ注意しておく。
「小町、向こうのOKが出たから、今は電話で勘弁してくれ」
「わかった」
楓の電話にコールする。
『はい、アナタの楓です』
ガフッ!ノーガードにその攻撃はズルい。
「す、すまんな、電話して」
『いいえ。いずれは妹さんとも話をしたかったので』
「んじゃ、スピーカーに切り替えるぞ」
『妹さん、聞こえますか?八幡さんの彼女ですよ~』
「え?雪乃さん?何の冗談ですか?」
そうだよなぁ、そう聞こえるよなぁ。
「小町、俺は雪ノ下の連絡先を知らん」
『雪ノ下雪乃さんではありませんよ。楓と言います、よろしくねぇ』
「は、初めまして。小町と言います。お兄ちゃんとはどのように知り合ったんですか?」
『八幡さんがやけ酒してる時に、たまたま出会いまして。一緒に飲んで意気投合しました。それで今週はずっと一緒に居たんですよ』
「では、兄と一緒にディステニーランドも?」
『はい、楽しかったですよ。そのあと、八幡さんの部屋に寄らせてもらいました』
「今度会っていただいてもいいですか?」
『ぜひお会いしたいです』
「それは俺が調整する」
『八幡さん、お願いします』
「小町、こんな感じでいいか?」
「う、うん。楓さん、急にすいませんでした」
『大丈夫で~す♪』
「じゃあ楓、また連絡する」
『は~い。では、おやすみなさい』
「おう、おやすみ」
電話を切ると、小町が呆然としていた。
「どうした小町」
「お兄ちゃん、本当に雪乃さんじゃないよね?声、ソックリだよ」
「俺も最初は驚いた。それに、雪ノ下がこんな嘘つくと思うか?」
「思わない」
「じゃあ、そういうことだ」
「それにしても、切り替え早くない?」
「俺もそう思う。だけど、理屈じゃねぇんだよな」
「いつも屁理屈ばっかりのお兄ちゃんが…」
「うるせぇ、仕方ねぇだろ。好きになっちまったんだから」
「お、お兄ちゃん…。本当にお兄ちゃんなの!ま、まさか偽者!」
「誰が好き好んで俺にバケるんたよ」
言ってて悲しい。
「それもそうか」
納得しないで!