常務って人が何を考えているかだな。『病気療養』はおそらく様子見。
選択肢としては3つ。引退・別れさせる・このまま交際OKでアイドル活動も継続。
1つ目は、そのままフェードアウトを狙っている。だが、CMやテレビの契約の問題もある。
2つ目は、『親しい友人です』とか適当なこと言っておいて、別れさせる。一番考えられるパターンだな。だが、これだと楓が引退を言い出す。
3つ目、これは希望でしかない。
346プロとしても楓はドル箱だ、簡単には手放したくはないはず。引退をチラつかせればあるいは…。そこは駆け引きになるか…。会って話してみないとダメか。
糖分を補給しようとマッカンを飲もうとしたら、切らしていた。
部屋に居る四人に声をかけて外に出る。
まとめ買いはいずれするとして、自動販売機で2本ほど購入…。
ん?視線を感じる、あそこの背が高い植え込みか…。おそらくマスコミ。まだ話しかけてくる様子はないが、早くしないとマズイな。
部屋に戻り、マスコミが外に居たことを伝える。
「あの怪しい人はそうだったのね」
「雪ノ下、よく気がついたな」
「さすが、ゆきのん」
「雪ノ下は帰る時、由比ヶ浜達と出てくれ、変なスキャンダルは困るだろ?」
「そうね」
「それから、明日にでも346プロへ行こうと思う」
「先輩、急にどうしたんですか?」
「さっき来てたTriad Primusからの伝言でな、346の常務が俺と楓から話を聞きたいんだとよ」
「お兄ちゃん、そんなに急がなくてもいいんじゃないの?」
「いや、一部とはいえマスコミが俺を見張ってるのはマズイ。特に高校時代のことを根掘り葉掘りやられるとな。それに、お前らに迷惑がかかる。だから、早目にしたいんだ」
「そうね、その方がいいわね」
早速、楓に電話をして常務とアポを取ってもらう。
『八幡さん、明日でOK出ました』
「悪いな急で。楓は事務所まで行けそうか?」
『大丈夫です、みんなが守ってくれてますから。八幡さんは大丈夫ですか?』
「マスコミが一人居るが、振り切れる」
『無理…しないでくださいね』
「大丈夫だ。じゃあ、明日346の事務所で」
『はい』
「楓の笑顔、楽しみにしてる」
『私も八幡さんの笑顔を楽しみにしています』
楓は大丈夫そうだな。
明日の役割分担をしよう。
「一色と小町は、隠れてるマスコミに声をかけてくれ」
「任せて、お兄ちゃん」
「デート一回ですよ」
「あざといから、却下」
ぶーぶー言ってる一色は放置。
「由比ヶ浜、戸塚と一緒に車で来てくれるか?」
「車で都内に行くの?」
「いや、カモフラージュだ」
「そのスキに電車ね」
「ご名答、さすが雪ノ下。電車は一本ズレたら追いかけるのはほぼ不可能だからな。それに人が多ければ、ステルスヒッキーも役立つ」
「懐かしいね、それ」
「まあな」
「私はどうすれば?」
「雪ノ下は検察の動きを教えてくれ。情報提供者という立場をフルに生かしてくれ」
「わかったわ」
みんなに頭を下げる。
「よろしく頼む」